皆さん、こんにちは。インターン生の向です。
7月11日、今回で3回目となった『SDGs三井ごっつぉproject』では三井小学校5、6年生の7名が遠足という形で珠洲市を訪れ、「あごだし」について学びました。
これまでの活動についてはこちらをご覧ください。
皆さん、「あごだし」はご存じでしょうか?「あごだし」とはトビウオの出汁(だし)のことで、新鮮なトビウオを焼いて干したり、煮て干したりして作るもののことです。珠洲では外浦で捕れる小さなトビウオを地元産の炭火で焼き、干して作っています。
今回の活動内容は
・あごだし作り体験
・あごを焼く珪藻土で作った七輪について学ぶこと
・トビウオを捕まえる道具作りについて学ぶこと
とても盛りだくさんな内容だったので、2部制で皆さんにお届けしたいと思います。
前半は午前中に行ったあごだし作り体験をメインに報告させていただきます!
最初の目的地は、珠洲市三崎町にある長手崎すいせん工房です。
「わぁぁ!海だぁ!」
普段は山に囲まれた三井で暮らしているため、今までのSDGsごっつぉprojectも山に関わるものでしたが、今回は初めての海。長手崎すいせん工房までの道中で、絵本「日本海のはなし」を読み聞かせしてもらい、気持ちはまっすぐ海に向かっていた子供たちは、工房のすぐそばにある海にとても目を輝かせていました。
あごだしはどうやって作るの?
今回は珠洲市みさき小学校が毎年行っている「あごだし作り体験」に同行させていただき、みさき小学校5年生11名の皆さんと一緒に体験を行いました。
最初にトビウオのウロコ・頭・内蔵を取ってから水で洗い、串に刺して炭火で焼きます。焼いた後は身を開いて中骨を取り出し、網に並べ、24時間乾燥機にかけることで、あごだしができます。
どうやら子供たちは初めてトビウオに見たり触れたりするようで、「トビウオ怖い!!」「いきなりウロコ取りって・・触るの!?」と、少々ビビりながら、体験を行う工房に入っていきました。
そんな子供たちも実際に作業を行うといろいろ感じたことがあるようです。「トビウオって固いんだね。」「どこに串を指すといいのかな?」「どうやってトビウオを採るの?」
実は串を指す場所にも知恵が隠されています。焼き場で焼くときに串に刺さったトビウオをひっくり返したりするのですが、低い位置に刺しすぎると頭の方が重くなって上手くひっくり返せないそうです。
その他にも、トビウオは300m~400m飛び、6~8月に南国からやってくることや、脂がのりすぎたトビウオはあごだしには不向きなため、脂が少ない6・7月にしかこの工房では作らないことなどを教えてもらいました。
自分が刺したトビウオを焼くために、焼き場に移動した子供たち。炭火で焼くことによって、遠赤外線で焼くことができるため、より美味しいトビウオが出来上がるそうです。いざ、焼き場に立つと「暑い!!」「トビウオの串、重いなぁ。」そして中骨を取り出す作業に入ると「上手く取れないよ。」「ポロポロ身が取れちゃう。」あごだし作りの苦労を子供たちはそれぞれ感じたようです。
あごだしが出来るまでを体験を通して学んだ子供たちを乗せたバスは、次の見学地の能登SDGsラボへと出発しました。
能登SDGsラボ
珠洲市三崎町には、廃校になった小泊小学校の校舎を再利用した金沢大学能登学舎があり、その一室に能登SDGsラボが存在します。校舎内には、SDGs珠洲版や、珠洲の水田の生き物たちについての展示などがあります。
「SDGsってなんのゴールなの?」
能登SDGs内に飾られたSDGsそれぞれのゴールについて書かれたパネルを見た子供たちは、不思議そうにつぶやきました。それを聞いたOUIKの永井事務局長が子供たちにそれぞれのゴールの解説を始めました。SDGsとは国連が2015年に定めた、持続可能な社会を実現するための17のゴール、169のターゲットのことを指します。その中でも特に貧困やジェンダー、海ゴミに関するゴールに子供たちは興味を持ったようでした。
「一日100円で生活してるんだって。何ができるかな?」「お菓子しか買えないよ・・。」
「男のマークと女のマークがあるから、ジェンダーはオスとメスが平等にって意味かな?」
「去年、七ツ島のごみ拾いに参加したけど、たくさんごみがあったから今年も行くの!」
でもSDGsは2030年までのゴールなので、11年後までに達成しなくてはいけないと知ると、「達成できなかったらどうするの?」と子供たちはこぼします。また、「言葉が難しくて分からない。」という子もいました。
実は普段やっていることがSDGsだった!
三井小学校の地区では週に一度程、地域の方と森に入って遊んだり、自然にふれあう活動が行われています。
「俺ら、週に一回森に入っていろいろやってるからSDGs15は普段やってるってこと?」
「知らなかったけど、普段やってることもSDGsなんだね。」
普段の行動がSDGs達成に繫がるということは、能登に豊かな自然や文化が残っているからです。自分たちの生活とSDGsのつながりを学ぶことで、子供たちにSDGsを身近に感じてもらうことができたのではないかと思います。
ごっつぉを食べて、あごだしへの理解を深める
お待ちかねのごっつぉの時間!!
ダッシュで地域の方が運営する食堂「へんざいもん」に駆け込んできた子供たちは、あごだしのそうめんを見て満面の笑顔。「美味しい!!」「ずっと食べたかった!!」と大喜びでした。
やっぱりごっつぉは最高だね!
午前中はあごだしを作り、SDGsを学び、あごだしを食し、地域の皆さんと共に学びを深めました。
午後の活動に関しては、もう一人のインターン生 成嶋さんが次号にまとめています。
子供たちのあごだしを学ぶ旅はまだまだ続きます!