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生物文化多様性Biocultural diversity platform

日本では長く自然と調和した生活が営まれ、地域の伝統的な文化習慣は、人間が自然の恵み(生態系サービス)を賢く利用する際の規範として機能してきました。人間が自然を慈しみ、自然が人間の生業を育む里山里海はそれが具現化したものと言えます。

2010年愛知県名古屋で開催された第10回生物多様性条約締約国会合(COP10)で、人間活動の影響を受けて形成、維持されている2次的自然環境保全の重要性が、日本政府のリーダーシップにより、Satoyama Initiativeとして生物多様性条約の中で公式に認識されました。またCOP10では、ユネスコと生物多様性事務局が生物多様性と文化多様性のつながりプログラムを立ち上げました。これまでそれぞれ別の国際枠組みで議論されてきた先住民の権利や彼らの多様な文化と、彼らの地域に存在する生態系とのつながりに注目し、生態系サービスを利用してきた先住民の伝統的知識と生態系の一体的かつ効率的な保全を目指しています。

 

 

 

 

 

 

 

国連食糧機関が進める世界農業遺産は、 地域の多様な自然資源に適応し、 地元の知識と経験に基づき何世代にも渡って維持されてきた各地域の独創的な農文化的システム全体を認定する取り組みです。その認定基準には食料生産という根幹に加えて、そのシステムが生物多様性と生態系機能を維持していることや地域の伝統文化、優れた景観形成に貢献していることが含まれており、2011年には能登の里山里海が、先進国で始めて認定されています。

ユネスコMan and Biosphere Programme(日本名:ユネスコエコパーク) は、生物多様性の保全、持続可能な開発、学術研究支援を目的に1971年に立ち上がり、今では120カ国の651サイトが認定されています。1995年からは、人間が自然を利用しつつ経済と社会の発展を目指す「移行ゾーン」を周辺に設定することが求められることになりました。県南部に広がる白山ユネスコエコパークは1980年にエコパークとして認定を受け、2016年には移行ゾーンを含む拡張登録申請が認められ、地域コミュニティが内外の関係者とつながりながら、自然と共生しつつ持続可能な生業を営んでいます。

金沢には有形無形の伝統文化や習慣が蓄積され、文化資本を生かした創造的な都市を目指すユネスコ創造都市ネットワークのクラフト工芸部門のメンバー都市として加盟しています。2015年には日本国内では初めて世界ネットワークの年次総会をホストしました。

このように日本に古くから根付いている文化には自然との共存という考えが内在し、国際的にも持続可能な発展のあり方のひとつとして評価が定着しています。そして石川県には上記の国際枠組みで認定された地域が複数あり、様々な課題を抱えながらも各地域が自然と文化の保護を通じ豊かな地域の創生に取り組んでいます。

OUIKでは能登の世界農業遺産、金沢の生物文化多様性戦略やユネスコ創造都市ネットワーク、白山ユネスコエコパーク/ジオパークなど国際的な枠組みで実施されている各地域の事業を生物文化多様性圏ーいしかわ金沢モデル」として、地域の自然文化資本の保全と活用というより大きな視点で捉え、石川県、金沢市への政策提言、政策の実施支援を行っています。

 

「生物文化多様性圏ーいしかわ金沢モデル」には、石川の豊かな生物多様性と文化多様性を包括的に保全するという考えに加えて、石川だからこそ可能となるさまざまなレベルや分野のつながり、調整、相乗効果を促進するプラットフォームという考え方が横たわっています。例えば、世界農業遺産とユネスコエコパークの異なる国際制度比較間の学び合いや、生産地としての農村と消費地としての都市部のつながり、文化創造を通じた都市(金沢)と周辺農村部の新しい関係構築、異なるセクターの関係者の恊働、異なる行政レベル間の連携、教育と活動の融合など、概念的にも物理的にもこれまで別々に論じられることが多かった事柄が、自然と文化歴史に恵まれた石川県だからこそ包括的に考察、実施することができるのです。その学びを国際社会に示すことで生物多様性条約、持続可能な開発目標などの国際目標の達成に地域から貢献してゆきたいと考えています。

Activities 研究活動紹介

地域との研究活動

地域との研究活動

第1回生物文化多様性アジア会議

第1回アジア生物文化多様性国際会議

出版物

生物文化多様性シリーズ

 

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