第3回目の能登×イフガオ国際交流プログラムは12月17日(木)に行われました。
第1回目のレポート・このプログラムの背景はこちらから。
第2回目のレポートはこちらから。
今回は、交流の前に世界農業遺産「能登の里山里海」について学習しました。
まず、世界農業遺産のDVDを視聴し、その後、なぜ能登が世界農業遺産(GIAHS:Globally Important Agricultural Systems)になれたのか、能登GIAHSとSDGsの繋がりなどについて学びました。そして、最後にフィリピンにも一つだけGIAHSがあるということ、そしてそれが今交流をしているイフガオであることを知ると、上戸小学校の児童達は「あ、そういうことだったのか!」と、驚くと同時に納得した様子でした。能登とイフガオは、2011年に同時期にGIAHSに登録されたということ、そしてGIAHSを守り活用していくための大人向けの学校「マイスタープログラム」が両方の地域で行われていて、これまでも大人同士の交流が進められていることなどを学びました。
GIAHSの学習の後、オンライン会議システムを使って2校を繋ぎ、3回目の交流を行い、上戸小学校の5、6年生11人とイフガオのキアガン中央小学校の5年生7人が参加しました。2校のオンラインでの交流の最終回となる今回のテーマは「伝統文化」です。
まず、能登の上戸小学校の皆さんに能登の伝統文化について紹介してもらいました。最初に「祭りのごっつぉ」について説明がありました。お祭りの際にご馳走を用意し、お呼ばれに行ったり、来てもらったりすること、各家庭で用意するご馳走が少しずつ違うこと、地域で採れた旬のものを入れて作られることなどが紹介されました。
次に「キリコ」について紹介し、キリコが神輿の前や後ろに付き灯りの役目を果たしていることや、珠洲市の寺家地区の祭りは9月に行われ、キリコは高さが16.5メートルもあり、日本一ともいえる大きさで豪華であることなどの紹介がありました。
最後に祭りで歌う「きゃあらげ」について紹介がありました。男の子がお化粧をして着物を着て2種類の歌を歌うことや、歌う時に使う扇子を実際に見せて説明しました。「その日は神の使いなので地面に足をついてはいけません。そのため大人がおんぶして地面に降りる時はゴザを敷きます。」と語り、大人達が作った「曳山(ひきやま)」に乗って移動することも紹介しました。紹介の後には実際に扇子を持って「きゃあらげ」を歌い、イフガオの皆さんも一緒に手拍子をしながら喜んで歌を聞いていました。
さらに、太鼓の紹介がありました。当日参加して下さっていた生徒のお父さんから「龍神太鼓」について詳しい説明をして頂きました。龍神太鼓は1000年ぐらい前から伝わっていて、能登の国で鬼が暴れていて作物が実らず困っていたところ、龍神が来て鬼を退治してくれた、という話を太鼓で表現しているそうです。児童のお父さんと一緒に勇ましく迫力のある太鼓も披露してくれましいた。太鼓の音が大きすぎてオンライン会議システムでは途中で音を届けられなくなるというアクシデントもありましたが、映像の雰囲気からも迫力は伝わったのではないかと思います。
イフガオから上戸小学校の皆さんに沢山の質問がでました。
イフガオ児童「男の子だけが扇子を使って歌うのですか?」
上戸小児童「はい、そうです。」
イフガオ児童「学校でも歌いますか?」
上戸小児童「祭りの日に学校に来て歌います。」
次に、イフガオから伝統的な歌と踊りの発表がありました。まず、先生から太鼓の紹介があり、「皆さんの太鼓と私達の太鼓ととても似ていると思います。こちらでも太鼓を使います。」とおっしゃっていました。そして、ガムという金属でできた楽器や、地域の竹で作られた楽器などイフガオの伝統的な曲には欠かせない楽器の紹介がありました。
続いて実際にイフガオの伝統的な歌を披露してくれました。上戸小学校の皆さんは、伝統衣装に身を包み、竹の楽器を手にリズミカルに歌うイフガオのみんなの様子を真剣に見ていました。歌の後には先生から「私達トゥワリ部族のブガンというきれいな女の人の曲と、別のアヤンガン部族の強い男の人の曲を歌いました」と紹介がありました。
次に、イフガオの地域では、伝統的な踊りは、結婚式などの特別な日に披露されると紹介があり、実際に踊りを披露してくれました。
踊りのあと、上戸小学校の児童達からも沢山の質問が出ました。
上戸小児童「フィリピンにお祭りはありますか?」
イフガオ児童「はい、あります。」
先生「イフガオにもお祭りがあり、伝統的な歌を歌ったり、踊りを踊ったりします。」
上戸小児童「お祭りは年に1回ですか?」
イフガオ児童「年に1回です。」
上戸小児童「イフガオではもう雪が降りましたか?」
イフガオ児童「こちらでは雪は降りません。」
上戸小児童「能登は大雪です。」
数日前から能登では雪が降っていたこともあり、ビデオカメラ越しに降り積もった雪を見せると、温かい地域に住んでいるイフガオの先生や生徒からは見慣れない雪景色に歓声があがり、とても喜んでいる様子でした。
上戸小児童「イフガオには冬休みはありますか?」
イフガオ児童「はい、クリスマスのお休みがあります。」
上戸小児童「お祭りは何のお祭りですか?」
イフガオ児童「サンクスギビング(感謝祭、収穫祭)です。」
先生「前回お餅づくりのビデオをお見せしましたが、あれもバックレ―祭りの風景で、お米が沢山採れたことを神様に感謝するお祭りです。」
上戸小児童「いつお祭りがあるのですか?」
イフガオ児童「収穫後です。6月です。」
先生「栽培しているお米の品種によって変わりますが、6月~7月頃です。年に1回しか収穫できない品種の場合は1月にすることもあります。」
上戸小児童「お祭りは好きですか?」
イフガオ児童「はい、大好きです。歌ったり踊ったりするのが好きなのでお祭りが大好きです。食べ物もいっぱいあるので好きです。」
上戸小児童「お祭りで、キリコの様なものは使いますか?」
イフガオ児童「いいえ。収穫した食べ物を飾ったりはします。」
今回は最終回ということで、お互いに記念写真を撮って終了となりました。3回の交流を通じて、お互いの地域の食べ物や伝統文化だけでなく、気候や学校生活の様子など色々な違いや共通点を見つける良い機会になったのではないでしょうか。オンラインでの交流は今回で一区切りとなりますが、今後はカードを送り合うなど、新たな交流の形を探していく予定です。能登とイフガオの児童達の素敵な縁が今後も続きますように。