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地域との研究活動:アーカイブ

井戸水・湧き水の利用に関する調査スタート

令和611日に発生した能登半島地震により甚大な被害が広域で発生し、地滑りなどにより道路が寸断され多数の集落が孤立してしまいました。そして、水道や電気など生活に欠かせないライフラインの寸断も多くの地域で発生しました。中でも地震による被害が大きかった奥能登の自治体や七尾市などで断水が長期化し、地震から3か月近く経過してもまだ解消されていない地域が沢山あります震災後の断水が長期化する中で小山研究員が井戸や湧き水など地域内の水源の利用に関する調査をスタートしました。地域の方へのインタビューや現地調査から、災害に強い地域づくりのための水利用のあり方を考えていく予定です 

都市生態系再生モデル都市(UNEP)キックオフイベント

金沢市は、2019年3月の国連総会で決議された国連生態系回復の10年(The UN Decade on Ecosystem Restoration)が進めるプロジェクト”Generation Restoration Project” において、今年、都市生態系再生モデル都市に認定された。このプロジェクトは、「国連生態系回復と生物多様性の世界的枠組みに関する10年」(特にターゲット12)の枠組みの中で、都市部における生態系回復を促進するために、政治的、技術的、財政的な課題に対処するための施策パッケージを実施することを目的としている。

このプロジェクトの中核をなすのは、2023年9月の選考で選ばれた8つのパイロット都市と11のモデル都市がサポートしあい、特にパイロット都市はネイチャーベースドソリューション(NbS)の実施規模を拡大するために支援する。

2023年12月13より、パイロット都市 とモデル都市の代表者、スポンサー、専門家がパリ(フランス)に集まり、3日間のキックオフミーティング/ワークショップを開催した。それぞれの都市の成功事例やプロジェクトプランを共有し合い、専門家も含めた形で議論が繰り広げられた。国連大学OUIKコーディネーターの富田揚子は金沢市を代表し参加し、金沢市内における都市自然保全や再生の例を共有した。特に用水や日本庭園などの歴史的・文化的景観を活用した生物多様性に関する取り組みや、SDGs未来都市にも採択された責任あるツーリズムの取り組みにフォーカスし、発表を行った。参加者からは「文化的遺産を継承したり、復元することで景観を保護し、それに伴い、都市自然や生物多様性が守られているのがユニークで地域の文化的アイデンティティーを示している」といったフィードバックを受けた。同じくモデル都市のトロントやシアトルは都市近郊の森林の保全活用、ボランティアの取り組みを紹介した。

 

 

 

 

 

 

このワークショップではパリ市の担当者によるパリ市内のガイドツアーがあり、セーヌ川沿いのJardins de l’Archipel des Berges de Seine Niki de Saint-Phalle(5 艘の係留荷船をつないで造った小さな公園)や、街中のコミュニティーガーデン、通学路や学校付近の道を歩行者天国にし、花壇や木を植えたエリアなどを訪問した。担当者は「数年前まではセーヌ川には3種類の魚しかいなかったが、今は数十種類の魚が生息する。それに伴い、パリ市内に住まう鳥の種類も増えてきた。川の環境を整えるため、上流の地域の農家に補助金を出し、農薬を使わない、オーガニック農業を進めたことが成功の一因だった。」と述べた。

 

【開催報告】観光とSDGs – 地域の食と食材から考える「持続可能な開発」

旅の主要な目的の一つとなる「食」。
石川県には、海と陸の豊かな自然が育む食材があります。そして、加賀地方には江戸時代に武家と庶民のそれぞれから発展した、また、能登地方にも厳しい自然と豊かな祭り文化の下で培われてきた、それぞれ独自の「食文化」があります。そのような「食」を楽しみに国内外から石川県を訪れる旅行者が大勢います。
このように魅力的な食文化がある一方で、その継承や生産者の後継者不足、フードロスなど、食にまつわるさまざまな課題が山積しています。
第3回目となった本セミナーでは、食をテーマに、料理人や料理研究家の方々からお話をお聞きして、より持続可能な観光を実現するための取り組みと課題について学びました。

地球全体にも影響を与える身近な食の問題

 はじめに国連大学IAS OUIKの津田祐也研究員から導入として、「食をめぐるツーリズムとSDGs」と題し、国内外の食に関わるツーリズムの事例を発表。「日本食」はユネスコの無形文化遺産に登録されていますが、ユネスコではSDGsのゴール2番、4番、12番に貢献すると言われているという話もありました。

 

 続いて、国連大学IAS OUIKの小山明子研究員から「食とSDGsのつながり&OUIKの取組紹介」と題した講義がありました。日本では6割以上の食料を輸入に頼っていることや、年間で646万トンもの食べ物が廃棄されていること、取り過ぎによって持続可能な魚類資源の割合がどんどん減ってきていること、多くの食品に使われているパームオイルを作るために熱帯雨林がどんどん伐採され、海外の豊かな生物多様性が失われているなど、食の問題と私たちの暮らしが密接につながっているという現状を紹介しました。

 一方、石川県にはSDGsに貢献できるいい部分もたくさんあると述べ、世界農業遺産「能登の里山里海」の事例を紹介。能登では地域内で食べ物を作ることができ、それをうまく活用していく知恵が残されており、これはSDGsにも大いに関係しているそうです。海や陸の豊かさはもちろん、遠くからたくさんの食材を運ばないことで、二酸化炭素の排出を抑え、気候変動の対策にも貢献しています。発酵など、たくさん取れたものを電力など使わずに無駄なく長期間保存できる伝統的な知恵の存在も忘れてはいけません。

 食べ物を育てて利用する知恵、無駄なく食べる知恵、そして感謝する心というのは、世界のさまざまな課題に対してもとても重要な知識です。こう言ったものを次世代の子供たちにも伝えていく、そして世界にも発信していくことは非常に重要だと述べました。

 国連大学IAS OUIKの取り組みとしては、能登の農業や自然、文化の豊かさを子供たちに伝えるため、『ごっつぉをつくりろう』という動画と絵本の教材を制作。また、このような知恵を持っている多くが高齢者であり、地域の知恵を残すべく、映像にしてYouTubeで配信しています。こちらから、ぜひご覧になってください。

ゲストスピーカーがそれぞれの事例を紹介

 株式会社こはく取締役で、料理研究家・フードコーディネーターの谷口直子さんは、インバウンドの体験型施設で料理を通じて、食文化にプラスして金沢の文化を伝えたり、地域に根ざした食文化を伝え残していく活動を大学生と一緒に取り組んだりしています。また、ご本人は近江町市場との関係が深く、食育の「親子近江町体験」の実施や、近江町市場の美味のお取り寄せECサイト「イチバのハコ」の運営を行い、市場の人たちと一緒に、金沢へ多くの人に足を運んでもらうきっかけづくりもしているそうです。

『ミシュランガイド北陸2021』にて、二つ星とグリーンスターを獲得し、地域食材の豊かさを伝える、金沢の「respiración (レスピラシオン)」の梅達郎シェフからは、魚の取りすぎ、農家の高齢化や後継者不足、里山では生態系を守る人がいなくなって少しずつ荒れ始めているといった課題を紹介していただきました。後継者がいなくなると食材が作られなくなるだけでなく、受け継がれてきた技術が失われ、さらにその土地の文化まで消え去ってしまうと述べました。そして、「料理人ができることとは?」と考え、同じ志を持つ石川県内の料理人とパートナーシップを組み、一般社団法NOTOFUE(ノトフュー)を立ち上げ、駆除対象となっていた種類のウニなど、未利用魚の活用をはじめ、能登の里山、里海の環境、資源を後世につなげる活動を始めているそうです。

能登イタリアンと発酵食の宿 ふらっと」のオーナシェフのベンジャミン・フラットさんと船下智香子ご夫妻からは、能登の食文化に関する事例紹介をしていただきました。魚を発酵させる食文化が1000年以上前からあり、温度管理も湿度管理もぜずに、発酵と熟成を自然の中で繰り返し、そして漬けた時よりももっとおいしくなっているという、「発酵はすごい知恵の塊」だと言います。米の副産物である糠を使うことは世界でも珍しく、おいしさもアップして栄養価も高まる良いこと尽くめの利用法と述べました。このような発酵食を次世代に使えることで、能登サステイナビリティに貢献できるのではないかと考えて、活動しているそうです。

 また、能登に発酵食が多く残っている理由にも言及し、1つは魚介類が豊富であること、2つ目が能登は交通が発達していなかったため、地産地消にならざるを得なかったこと、3つ目は暑い夏と寒い冬がきて、発酵と熟成を繰り返すことができる能登の気候、4つ目は食文化と伝統や祭りとが密接につながっていて、他の文化と一緒に料理も継承されてきたことという背景も紹介しました。そして、食文化を次世代につなげていくためには、地域の現状に即したサステイナブルツーリズムを促進していく必要がありますが、その中で、受け入れる住人たちの文化や伝統が持つ価値の認識をどのように高めていくかということが課題だと述べました。

パネルセッションでは、食と観光に関わる課題について掘り下げます

 ゲストスピーカーの4名と津田研究員により、先の事例をさらに広げて議論が行われました。
 谷口さんからは、国内外からの旅行者が増えている近江町市場をSDGsの観点から掘り下げてもらいました。300年の歴史がある市場で、店の人の知識に触れたり、旬の食材から季節を感じたりと、食文化を知る上でとてもわかりやすい場所でもあり、市民や旅行者が料理人と同じものを買うことができるのが特別だと言います。近江町市場の抱える課題としては、一番は後継者不足だそうで、また水曜日が定休日の鮮魚店が多く、そのため火曜日には廃棄するものが増えてしまうとも。谷口さんは、そういったものもECサイトで販売し、廃棄を減らすことに努めているそうです。また、あまり知られていませんが、金沢市では近江町市場から出る魚の残を集めて、肥料に加工する取り組みを以前から行っているそうで、その肥料で野菜を作って循環していることをもっと知ってほしいと述べました。また、そのような市場の循環の仕組みをもっと知ってもらうために「イチバのカゴプロジェクト」をスタートさせたとのことでした。


 また、フラットさんからは能登とご出身地のオーストラリアとの価値観の違いや、船下さんからは、能登の伝統的な技術を次の世代へ継承していくことの重要性や課題について、さらに詳しい事例を挙げて紹介していただきました。
 そして、梅さんからは、人の手によって里山や里海が管理されていることで地域の食材が提供されていることについて、改めて説明していただきました。
 その後、次世代への継承方法について、どのような方法が効果的かといった意見を交換し、参加者を2班に分けてワークショップでさらに意見交換を行って、セミナーは終了しました。

 今回ご登壇くださったパネリストの方々は皆さん、SDGsと観光について、食の分野からそれぞれ特徴のある活動をされています。お店や宿を利用して交流し、食とSDGsについてどう活動していけるか、学んでいただければ何よりです。

【開催報告】世界農業遺産国際会議2021

石川県の能登半島と新潟県の佐渡は、2011年に先進国として初めて世界農業遺産に認定された地域です。今年認定10周年という節目の年を迎えたことを記念し、国連大学サステイナビリティ高等研究所いしかわ・かなざわオペレーティングユニット(国連大学OUIK)は石川県、農林水産省、国連食糧農業機関(FAO)、能登地域GIAHS推進協議会と共に「世界農業遺産国際会議2021」を石川県七尾市にて開催しました。さらに国連大学OUIKは本会議のサイドイベントとしてGIAHSユースサミット 世界農業遺産を未来と世界へー佐渡と能登からつながろうーを11月26日に開催しました。

※世界農業遺産は現代に残る伝統的な農業、農法、土地利用や文化、その土地の自然や生物多様性を守り、次世代に継承することを目的に国連食糧農業機関(FAO)が、2002年に創設したプロジェクトです。

今回、3日間にわたり開催されたこの会議では、谷本正憲氏(石川県知事)などが登壇した基調講演をはじめ、ハイレベルセッションや様々な分科会を通して国内外の認定地域の代表や政策担当者、研究者などが、気候変動や生物多様性の保全などの世界的課題に関して議論しました。また、農業遺産地域間の連携を深め、共通課題に共に取り組んでいくための方策についても検討されました。

会議初日、渡辺綱男(国連大学OUIK)がモデレーターを務めた分科会2〈社会〉テーマ:「GIAHSの動的保全を担う人材の確保・育成」では、金田直之氏(能登GIAHS推進協議会)、麥島洋介氏(有限会社阿弥陀ヶ滝観光)、林浩昭氏(国東半島宇佐地域世界農業遺産推進協議会)、ユーラリー・ドゥルヌアン氏(フィリピンイフガオ州立大学)、ピエトロ・クラリチ氏(農業生産法人クラリチ)、パク・ヨノ氏(韓国農漁村公社・農村遺産協会)、が登壇し、コメンテーターは中村 浩二氏(金沢大学)が務めました。登壇者は各GIAHS地域の人材育成や保全活動について紹介し、意見交換を行いました。またイヴォーン・ユー(国連大学OUIK)は、GIAHS保全活動をさらに発展させるために、GIAHSのモニタリングと評価の実施と、国内外GIAHS間の連携強化が不可欠とコメントしました。

会議2日目のクロージングセッションでは「能登コミュニケ2021」が採択され、

①国内外の農業関係者や農業政策立案者との活動成果や情報の共有

②認定地の生態系や環境との調和

③地域資源を活用した新たな経済活動の創出

④気候変動や生物多様性などの世界的課題や国連の持続可能な開発目標(SDGs)への貢献

⑤開発途上国の候補地域支援

などを含めた8項目が発表されました。

クロージングセッションでは、国連大学OUIKが同日に開催したGIAHSユースサミットにて県内外のGIAHS地域の高校生が作成した「GIAHSユース宣言」も発表され、採択されました。

最後に谷本 正憲氏(石川県知事)、赤松 忠幸氏(農林水産省大臣官房審議官(兼 農村振興局))、遠藤 芳英氏(国連食糧農業機関(FAO)GIAHS事務局 GIAHSコーディネーター)、渡辺 綱男(国連大学OUIK所長)が会議参加者や関係者へ向けて感謝の意を表すとともに、今後の抱負を述べ、閉会のあいさつとしました。

 

国連大学OUIKが国際会議のポスターセッションにて掲示したポスターは以下から閲覧いただけます。

 

GIAHS Biodiversity WG Poster Jp Eng

Introduction of Technologies on Characteristic Analysis

OUIK_能登の里山里海映像制作‗ポスター

Education on GIAHS

【開催報告】GIAHSユースサミットとエクスカーション(世界農業遺産国際会議サイドイベント)

石川県七尾市にて開催された世界農業遺産国際会議のサイドイベントとして国連大学OUIKは11月26日に「GIAHSユースサミット世界農業遺産を未来と世界へー佐渡と能登からつながろうー」27日に「ユースサミット参加者向けのエクスカーション」を開催しました。

ユースサミット参加高校:石川県立飯田高等学校、石川県立鹿西高等学校、新潟県立佐渡総合高等学校、日本航空高等学校石川、宮崎県立五ヶ瀬中等教育学校(計40名)

ユースサミット参加大使国:セネガル、ブルキナファソ、ペルー

ファシリテーター:県内大学生の方や能登でインターン中の大学生

 

はじめに永井三岐子(国連大学OUIK)が開会挨拶、続いてGIAHSユースサミットシリーズ第1回、第2回の開催報告が行われました。

  • 第1回「実はよく知らない世界農業遺産」 - 小山明子(国連大学 OUIK)
  • 第2回「農村の未来の可能性を次世代と共に考え、切り拓いていくために」 - 飯森 翔太郎(若者農学研究会)

セッション1「私たちが伝えたい未来の世界農業遺産」では、4つのテーマ:①農業の生物多様性と里山里海の環境の保全 ②経済の活性化 ③文化の継承と発展 ④知識の継承と発信、に分かれ、グループディスカッションを行いました。学生たちは各テーマに関連する地域ごとの特色や活動例を紹介し合い、それらにどのような価値があり、なぜ未来に伝える必要があるのかを話し合いました。県内外から集まった初めて会う仲間たちとのセッションに、はじめは緊張している様子だった高校生たちも、お互いの地域についての理解を深め、だんだんと打ち解けていった様子でした。

セッション終盤ではディスカッション中に挙がった意見を元に、今後自分たちの地域のGIAHSを守り、地域文化を継承していくためのアクションプランを練り、「GIAHSユース宣言」としてまとめました。

 

 

 

 

 

 

ランチタイムでは石川県立鹿西高等学校家庭部が考案した「GIAHS体感弁当」を家庭部員のプレゼンテーションと共に楽しみました。このGIAHS弁当は「サミット参加者がGIAHSを体感できるように」と、鹿西高校家庭部の皆さんが心を込めて企画してくださったものです。能登GIAHS内で生産、採取された40種類以上もの食材が使用され、郷土料理のかぶら寿司や能登の海で採れた岩のりも一緒に振舞われました。セネガル駐日大使は、すべて地元の素材を使っあることや高校生が熱心に取り組んでいることに感心し、「君たちはGIAHSの大使だ」と称賛されいていました。

午後に開かれたセッション2「私たちが伝えたい未来の世界遺産を形にしよう」ではGIAHSに関心を有する国々の駐日大使も加わり、午前中に行われたセッション1の結果の発表と大使による発表が行われました。各グループの高校生代表が自分たちの地域のGIAHSの多元的な価値を未来へ伝えていくために、自分たちがどのような行動を起こしていきたいか、発表しました。そして、大人たちにはどういった協力をしてほしいか、熱量を持って伝えてくれました。

一方で、参加いただいた駐日大使からは、自分たちの国の自然や景観、農業、食文化や伝統文化といった地域の資産について紹介いただきました。発表の後、会場で質問するのは少し恥ずかしかったのか、高校生は個別に大使とコミュニケーションを取り各国のユースの活動、SDGsや気候変動への関心の有無などを尋ねるなどしていました。さらにこのセッション中に来場いただいた谷本正憲氏(石川県知事)からは、「今後、若い世代を中心としたGIAHSでの地域活動に期待している」と激励のコメントを頂きました。

 

イヴォーン・ユー(国連大学OUIK)がこのサミットの閉会の言葉を述べた後、一同は本会議のクロージングセッションにて「GIAHSユース宣言」を発表すべく、会場に向かいました。

各学校を代表した高校生5名がこの日行われたGIAHSユースサミットの報告と「GIAHSユース宣言」を発表すると会場からは大きな拍手が送られました。

 

翌日27日にはサミット参加者向けのエクスカーションツアーが能登DMC協力の元、開催されました。このツアーでは新潟県立佐渡総合高校と宮崎県立五ヶ瀬中等教育学校の生徒10名と引率の先生方が参加し、ユースサミットの最後に学生たちが掲げた「体験の機会を見つけ、GIAHSへの理解を深める」という約束を具体化しました。

このツアーはGIAHSの5つの基準である、1)食料と生活の安全、2)農業の生物多様性、3)地域と伝統的な知識体系、4)文化、価値体系、社会組織、4)景観と海景の特徴、を学生に説明するために、現場を訪問し、体験することを目的として構成されました。

一番目の目的地はのとの里山・里海ミュージアムです。ここでは能登の歴史、伝統文化、環境や生物多様性の特徴について概観しました。

続いて、同じく七尾市の三次水産牡蠣養殖場を訪れ、里海のくらしを体験しました。何十年も家族経営で牡蠣養殖業を営んでいる方の経験談を聞きながら、牡蠣に付着している岩やフジツボを取り除く作業を体験をしました。その後、昼食は近くの牡蠣料理専門店浜焼き能登風土に移動し、焼き牡蠣やカキフライなど水揚げしたばかりの新鮮な牡蠣を使った里海の味を堪能しました。

昼食の後は、志賀町の細川農園に立ち寄り、この時期の里山の恵みを利用した「能登志賀ころ柿」について学びました。この産業もまた、農村地域で深刻化している後継者問題を抱える産業の一つです。代表の細川氏は「農業遺産地域には、そこにしかないストーリーをもった産業や製品がたくさんある、是非若い皆さんにはこれから色々な経験をして、将来また自分たちの地域に戻ってきて、それらを生かした活動を行ってほしい」と語りました。

その後一同は「里山まるごとホテル」へ移動し、東京から能登に移り住み、地域の食材を使ったレストランを営むオーナーのお話を聞きました。高校生からは「私は地元の食材を使ったお店を学校のプロジェクトとしてやってみたい」など、具体的なアイデアや意見が交換されました。

最後に能登GIAHSの代表的景観の一つでもある輪島市の「白米千枚田」へ足を運んだ一同は、小さな田がびっしりと並び、日本海へと続く絶景を堪能し、帰途につきました。

帰りの車中では、この2日間の感想や発見を参加者で共有しました。学生たちは「地元の方々と触れ合う貴重な機会に恵まれ、GIAHSについての知識が深まった」、「GIAHS地域にとって一番重要なのは「人」であるとわかった。今後、地域に貢献できるようにこの経験を生かしたい」と述べ、エクスカーションは幕を閉じました。

【開催報告】シンポジウム「New Normal(ニューノーマル) 時代の農業遺産保全と価値の向上」

 国連大学サステイナビリティ高等研究所いしかわ・かなざわオペレーティング・ユニット(UNU-IAS OUIK)は、韓国農村振興庁(RDA)と共同で、2021年11月5日にシンポジウム「New Normal(ニューノーマル) 時代の世界農業遺産保全(GIAHS)の価値の向上」を開催しました。このイベントでは、COVID-19以降の「ニューノーマル」への移行を主なテーマとし、以下の2つを目的としました。

1)時代の変化に合わせてGIAHSを持続的に保全し、その価値を高める方法を模索する

2)世界的に重要なGIAHSの保全・管理に関するベストプラクティスと方向性を共有する

 RDAのテウン・ホ長官のはじめの言葉に続いて、UNU-IAS OUIKの渡辺綱男所長は、COVID-19のパンデミックによって人間と自然の共生がより一層重要となり、その実践地域としての役割を果たしていくGIAHS地域の可能性に注目が集まると期待し、本会議の議論の幕開けとしました。東京大学の八木信行教授は、人と環境が相互に依存し合い、共存することで繁栄する方法と関係性を明確に示すことが連食糧農業機関(FAO)のGIAHS申請審査時にも求められる重要な視点として強化されていると説明しました。GIAHSの価値を理解するために、UNU-IAS OUIKのイヴォーン・ユー博士とRDAのデヨン・ファン博士は、GIAHSの保全成果をモニタリング、評価することの重要性を強調しました。さらにUNU-IAS OUIKとRDAの共同研究である「GIAHSにおける特性分析と保全管理に関する技術の導入プロジェクト」で展開されている実用的な測定基準や指標を特定するための取り組みを共有しました。これらの発表を受け、韓国農林畜産食品部のアン・ジェロック氏は、農業コミュニティーの全体の暮らしを守り、環境保全対策を強化するために、GIAHSの現状維持に留まらず、多面的な価値の認識向上にも力を入れていくべきと話しました。

 続いて行われたプレゼンテーションとディスカッションでは、GIAHSが地域社会や人類にもたらす多面的な価値を「ニューノーマル」の時代にどのようにしてより広く認識してもらうかについて詳しく議論しました。RDAのミンチュル・ジョン博士は、最近韓国で実施されているGIAHSの参加型モニタリングプログラムを紹介し、モニタリングの重要性を改めて強調しました。林浩昭氏(国東半島宇佐GIAHS推進協議会会長)、高橋尚樹氏(大崎GIAHS推進協議会事務局長)、そして青山島の伝統的なクドゥルジャン灌漑棚田のコミュニティと密接に連携しているファン・キルシク氏(Myeonggso IMC研究員)は、それぞれのGIAHS地域での現在の実践と将来の計画について実例を挙げて話を進めました。特にこのパンデミックで大きな影響を受けた観光産業や商品販売を復活させることや、若い世代へのGIAHSシステムの教育、歴史の知識や文化的慣習の体系的な記録、金融投資を呼び込むインセンティブの創出などの重要性を強調しました。

 これらの発表を受けて、RDAのホン・ソクヨン博士と渡辺綱男博士は、若者をはじめとする従来とは異なるステークホルダーを巻き込んで、モニタリングを実用化することの重要性を指摘しました。これに対し、地球環境戦略研究機関(IGES)の斎藤修氏、パイチャイ大学のチェ・ジョンヒ氏、同志社大学の大和田順子氏からは、保全活動の評価と活用の方法として、日本のGIAHSが持続可能な開発目標(SDGs)の達成に向けて積極的に活動していることなどの事例が紹介されました。

このシンポジウム「ニューノーマル時代におけるGIAHSの保存と価値の強化」は、ZoomやYouTubeの韓国語、日本語のチャンネルを通じて、120人近い参加者が集まりました。

 最後に、パンデミックを乗り超えて「ニューノーマル」の時代においての持続可能性な社会の実現へ向けて、GIAHSが果たす人間社会と自然環境の共生と保全への貢献と役割を再認識し、日韓のGIAHS地域が共通する課題の解決のために協力を深めることを期待して閉会しました。

 イベントの様子は、RDAのYouTubeチャンネルで韓国語と日本語で生配信され、日本語はこちら、韓国語はこちらでご覧いただけます。また、すべてのプレゼンテーションを含むプログラムは、こちらからダウンロードできます。

 

 

【開催報告】SDGsカフェ# 19 金沢のパートナーシップ、どう進化している?

金沢市、金沢青年会議所、国連大学IASいしかわ・かなざわオペレーティング・ユニット(OUIK)の3者が、SDGs推進のためのプラットフォーム「IMAGINE KANAZAWA 2030」を立ち上げて2年半が経ちました。

現在、180を超える企業、団体、個人など、多様なみなさんにIMAGINE KANAZAWA 2030 パートナーズ会員になっていただき、勉強会や交流会を通じ、お互いの活動に対する学びを深めています。

*IMAGINE KANAZAWA 2030 パートナーズの概要と入会申し込みはこちら

今回は、金沢のパートナーシップがどんなふうに進化しているかということがテーマ。それぞれの枠を越えて、共有したビジョンの下で協力していく「コレクティブインパクト」の視点を交えながら、「パートナーシップって何?」を改めて考えました。

 

2030年理想のパートナーシップに向けて、個人の意識変化をさぐる

 2年前(2019年)の11月、「SDGsを進めていく上で新しいパートナーシップを考える」をテーマにSDGsカフェを開催。「金沢ミライシナリオ」ができた直後で、2030年の金沢を、「金沢の人全員がまちづくりを自分ごととして捉え、個々の力を活かして、自然に協力しあっている、そんなまちになっていること」と、金沢市企画調整課の笠間彩さんがIMAGINE(想像)しました。その時、話題提供してくださったのが、今回もお招きしている株式会社エンパブリック代表取締役の広石拓司さん(その時のレポートはこちら)でした。

 あれから2年、パートナーズ会員の中からは、フードドライブやアート、LGBTQなどさまざまなテーマでのプロジェクトが誕生し始め、笠間さんが思い描く2030年の姿へと着々と進化しています。

 さて、今回IMAGINEしてくださるのは金沢市立病院の薬剤師で、薬薬連携SDGs KANAZAWA代表の宇夛裕基(うだひろき)さん。1年前、OUIKの永井事務局長の講演からSDGsに関心を持ち、残薬課題解決のための連携を模索し始めたそうです。宇夛さんからは、パートナーシップによる参加者の心の変化などをさぐりつつ、金沢のミライの姿をIMAGINEしていただきました〈以下は発表の要旨〉。

──パートナーシップはSDGs17のゴールの一つで、すべてのゴールに共通する軸となる目標。そもそも、パートナーシップとは何か? 2つ以上の企業や団体などが、平等に、対等に手を取りあって、1つの目標に向かっていくというのが定義。これによって、さまざまなビジネスが動き始めています。しかし、団体に属している個人に目を向けてみると、なかには積極的ではない人もいるかもしれません。

 薬薬連携SDGs KANAZAWAとは、薬局や病院の薬剤師を中心に、医薬品に関わる人全てが対象の組織です。健康と福祉を守るために活動しているすべての人がパートナーとなることができ、実は医薬の業界では、多職種が手を組んでこのような新しい取り組みを行うことは、画期的なことでもあります。

 会則の前文では、「すべての事業はSDGs達成のため、社会問題の解決を目的とします」とうたい、現在、「コロナから子供を守る」、「残薬をゼロに」という2つのプロジェクトが進行中です。「残薬」とは家庭にある飲み残した薬のことで、年間100〜8,744億円もの残薬が発生しており、その多くが社会保険費(税金)で賄われていますから、国全体の問題と言えます。解決のために、一般社団法人コード・フォー・カナザワなどと連携して、アプリ開発を進めています。

 また、会則には「日本全国に活動が波及するよう、同志を育て、そのノウハウ、アイデア、資金、関係資産を提供し、SDGsへの取り組みを加速させていきます」と掲げ、2030年のゴール達成のために最速で日本中に波及すべく、全国で同じような団体を作っていくためのサポートも行いたいと考えています。

 さて、個人の意識がどのように変わっていったのか、まずは私の内的な意識変化を紹介します。1年前まではSDGsのことは何も知りませんでした。金沢ボランティア大学校観光コースで永井事務局長の講演を聴いたのがきっかけで、SDGsが身近な問題で自分ごとでもあることに気がつき、生活や仕事の中で、「自分に何ができるのか?」と問いかける、“モヤモヤ期”が始まりました。

 さらに、2021年1月にオンラインで開催された「北陸SDGs未来都市フォーラム」(レポートはこちら)で、広石さんの基調講演「SDGsをローカルイノベーションにつなげるために」を視聴し、SDGsの概念を地域に落とし込んで、事業や仕事にしていくことができることを知り、ワクワクしながら自分もやってみようと思うようになりました。そして、2カ月後にはとにかく知り合いを誘いまくってリモートで研修会を開催。「これからどういう未来を築こうか?」ということを探り、賛同してくれた11人が世話人になってくれました。このように私の場合、まずは「自分ごと」としてSDGsを捉えることができた後、“モヤモヤ期”、“ワクワク期”という意識の変化を経て、“活動期”へと入っていきました。

 一方で、世話人らの意識変化はどうだったのでしょうか。世話人らにとったアンケートによると、最初は引きずり込まれた感が強かったのですが、「理解が深まるにつれ、自分ごととして捉えることができ、参加意識が向上した」という声もあり、少しずつ積極的な意欲が上がってきていることがわかりました。世話人らは“モヤモヤ期”や“ワクワク期”という大事なステップを踏まずに、いきなり“活動期”に参加させられたため、最初は積極的な参加意欲につながっていなかったと考察しています。世話人たちも今後、“モヤモヤ期”や“ワクワク期”を経て、意欲が増していくのではないでしょうか。

 少しずつ意識が上がっていったという声があった一方で、「積極的に取り組みたいとは思うが、仕事と家のことで余裕がなく、今以上に積極的な活動をする自信がない」という声もありました。団体の中にはさまざまな背景を持っている人がいて、一緒に活動できない人もいます。しかし、そういう人たちの意見もしっかりと聞きながら活動を進めていくことが、本当のパートナーシップなのかなと思っています。

 2030年、私がIMAGINEする金沢は、個人の内的な意識変化も育み、パートナーシップを醸成していく、懐の深いまちです。──

 

 

薬を取り巻く課題をパートナーシップで解決する方法は、地域課題解決にも効く

 引き続き、金沢市のSDGsのアドバイザーもしている広石さんから、パートナーシップについて少し専門的な視点からのお話をしていただきました。実は広石さんは薬学部のご出身で、大学院まで薬学を勉強されていたそうです〈以下は発表の要旨〉。

──個人の頭の中で、「こんなことしたいな」と考えている人はたくさんいます。しかし、一人で考えているだけでは何も起きないので、それではもったいないと思います。とにかく自分の言葉で外に出していくこと、そして周りの人と話す機会を設けること、対話を深めていくことで、仲間ができます。活動をしていくうちに、新しい仕事の創出となり、仕事の広がりができ、新しい価値が生まれて、社会が変わる……。「私→私たち→社会」へとつながっていくこのプロセスを、「エンパブリック・サイクル」と呼んでいます。

 さて、パートナーシップの話をしているときによく登場するのが、地域看護の保健師らのヘルスプロモーション(WHOが提唱する人々が健康を管理し、より健康にすごせる可能性を模索する方法)に関する概念です。薬剤師や医師など専門知識を持つ人たちが、地域の人たち(患者=クライアント)を治してあげないといけないという考え方は、「コミュニティ・アズ・クライアント」と言いますが、これではヘルスプロモーションがうまくいかないということが、今までの蓄積からわかっています。そこで、地域が健康になるという目的は同じで、一緒に健康になっていく仲間を増やすという考え方の「コミュニティ・アズ・パートナー」という概念が出てきました。これを地域の課題解決に置き換えると、専門家が一方的に進めるのではなく、地域の情報収集からアセスメント、計画と、プロセス全体を住民と専門家が協働で行うということです。

 

 宇夛さんたちが活動のテーマにしている残薬問題に関する話題として、イギリスの王立薬剤師会が、なぜ患者は薬を飲まないか、コンプライアンスを守らない患者を調査したところ、そもそもコンプライアンスが間違っているのではないかということを発見しました。薬を飲んでいない患者も医師の前では、「薬を飲んでいる」と言い、実はきちんとコミュニケーションが取れていなかったのです。その解決策として、医療専門職と患者がパートナーシップにより対等の立場で話しあい、治療方法を見出す「コンコーダンス」と呼ぶ考え方が良いことがわかってきました。反対意見も含め、相手の意見も尊重して聞きあうこと。つまり、患者が薬を飲まないという権利も認めてあげるということです。さらに、両者の意見が相違する場合は患者に決定権を与えます。ただし、この共同意思決定を実施するには、患者にもパートナーとして参加するための知識が必要となります。

 この共同意思決定は、薬に限らず、地域づくりやSDGsにも応用することができ、専門職と住民による、一方通行でなく、継続的な対話を重ねるうちに、調和や相互理解ができるようになり、効果的に実行できる意思決定がなされ、住民主体のより良い生活が実現できるようになります。──

 

パートナーシップを進化させるのは一人ひとりの意思

 後半は、宇夛さん、広石さんとOUIKの永井事務局長、さらに会場の参加者も加わり、パートナーシップの理解を深めていきました。

 宇夛さんからは、「薬を飲まない権利、病気を治さない権利をもう少し認めてあげる風土、つまり患者の気持ちに共感してあげることで、結果として患者の意欲が増す」というご自身の経験を披露。広石さんは、「医療専門職の人は患者のことを知っているようで知らない。これは企業でも同じ」と述べ、顧客のことを自分たちは全く知らないのではないかと考えて取りかかっていかないと、サステイナビリティというのは進まないと提言しました。それを受け、永井からは、請われて企業などでSDGsのことを講演する際、「事前にいろいろ調べて、相手の立場になって話をすると、共感していただける」と経験を語りました。

「SDGsとは、本質的な内省を迫るものという見方もあり、ハマるところには広がる一方で、“バッジをつけたらSDGsだ”という部分もあって、二極化している」(永井)、「人の意識はそう簡単には変わらないが、関わる時間とともに意識が変わっていくことを示してくれた宇夛さんの発表を聞き、希望を感じた」(広石さん)、「先の薬を飲まない権利の話と同じで、参加を強制せず、やらない権利も認めてあげることが大事」(宇夛さん)など、SDGsに取り組む人の意識について、掘り下げていきます。

 企業などで、上から「SDGsをやれ!」と言われて取り組むより、何か解決したい課題があって、それをみんなで集まって話し合っていくうちに、「これってSDGsって言えるよね?」という流れの方がスムーズに話がまとまり、「プロセスをみんなで共有していくことが大事」だと永井が振り返ります。

 SDGsバッジに関して広石さんから面白いエピソードを紹介。ある日、バッジをつけて帰宅した父親に娘が、「家族が取り組んでいるSDGsについてレポートを書かないといけないのでお父さんの会社の話を聞かせて欲しい」と言われ、「もっとちゃんとやらないと」と思い立って、広石さんのセミナーを受講するようになった方がいたそうです。「こんなふうに何かにかこつけてでいいので、まずは考えて欲しい」と広石さん。

 金沢のSDGsでは、これからいろいろな企業や団体とのパートナーシップが生まれてくると思います。その時の上手な進め方を永井が広石さんに尋ねると、「人に教えることで自分自身も問い直して学ぶことができる。SDGsカフェのような場を作り続けることが大切」とアドバイスしました。

「今は理解してもらえない人も、サステイナビリティを当たり前に考える社会になれば、やがては味方になってくれるはず。いつかは誰もがパートナーになる、そう思えば人に優しくなれますし、そうなることを信じていくことが大事なのではないかと思います」と広石さんが述べ、久しぶりのリアルSDGsカフェは終了しました。

 

今回のSDGsカフェの会場となった「金沢未来のまち創造館」は、金沢市における新たな産業の創出と未来で活躍する人材の輩出を図る施設です。統合で廃校となった旧野町小学校校舎を利用し、登録すれば無料で使えるコワーキングスペースやここで開発されたメニューが味わえるカフェなどもあります。お気軽にお立ち寄りください。

 

当日のYouTubeで配信した動画はこちらからご視聴になれます。

【開催報告】SDGsカフェ# 18 木の文化都市・金沢の「木づかい」を考えよう!

国民1人当たり1年に1,000円が課税される森林環境税が2024年から始まりますが、前倒しで森林環境譲与税としてこのお金が自治体に配布されています。森林面積が6割を占める金沢市にとって、森林資源を未来のために整え直す、またとないチャンスと言えます。

造林事業が始まって50年が経ち、多くが収穫時期を迎えています。一方、まちづくりでは金澤町家のような古いものを守りつつ、新たな建築物への木材利用や地元産材の活用を促進する「木の文化都市」も始動しました。

森林とまちづくりが一環となった、木をめぐる循環型社会を構築するために、金沢に足りないものは? そして、ほかの都市にはない強みとは? 「金沢の未来のまちなみがこんな風だったらいいな」ということを専門家とともに議論しました。

木の文化都市・金沢に向けて、金沢中心市街地における木造建築の可能性

 木の文化都市を考える金沢会議委員も務める金沢工業大学の宮下智裕さんに、「木の文化都市・金沢」のミライの姿をIMAGINE(想像)していただきました〈以下は宮下さんの発表の要旨〉

──金沢SDGs「5つの方向性」の1つ、「古くて新しくて心地よいまち」に金沢がなれば素晴らしいと思い、そのための話をしたいと思います。

 金沢はそれなりの都市規模を持っていますが、一歩山手に入ると森林がずっとつながっていて、山、里、農作地、海という一連が、川の流域の中で育まれています。北陸の都市はだいたい同様ですが、これが美しいまちをつくっていく土台になっているのではないでしょうか。

 金沢は戦災に遭わなかったまちで、美しい建造物が中心市街地にも数多く残っています。住民と行政が一体となりながら、こういう環境をどうやって、後世に残していくかということも大きなテーマだと思います。

 日本では戦後、燃えない都市を作ることを目指して建築の不燃化を進めました。中心市街地の主要幹線道路沿いには延焼を止める防火建築帯をつくるため、新たに木造の建物が建てられないという状態が起こっています。

 金沢の商業の中心地が香林坊や片町に移ったことにより、もともとは金沢の目抜き通りだったはずの尾張町では大きな開発がなされず、さまざまな時代の面白い建物がたくさん残っています。また、部分的には開発もされているので、それらがミックスされたまちとして存在していることがとても魅力的です。

 尾張町のような、大都市の主要幹線道路沿いに、これだけの木造建築が残っているところは全国的にも珍しく、しかも7割以上が3階以下で、地割りも小さいものが多く、ヒューマンスケールな景観を有し、木造建築がよく似合います。さらに木造だけでなく、明治や大正、昭和初期といったモダニズムの建築なども残り、こういったものがミッスクされて、このまちの魅力がつくられています。さらに面白いのが、ここには他にはあまりない、薬、ろうそく、旗など、いわゆる伝統的な文化に関係するものを生業としている商店もたくさん残っていることです。住まう人の文化とともに建物が継承されていることにも、とても魅力を感じます。

 このような中で尾張町を、木を多く使った建物を増やして景観の魅力を高める、「木の文化都市」のモデルエリアにしていく動きがあります。大通りに面した木造建築は、一度壊れてしまうと同じものが建てられなくなっていましたが、今は技術が進歩して耐火木造という形で、木造の建物も建てられるようになってきています。

 ただ単に古い建物を保存していくだけでなく、ヒューマンスケールの町の雰囲気を残しつつ、耐火木造技術を用いてつくられる新しいまちを融合させていくには、尾張町は面白いエリア。日本中の都市が都心から木造を排除している中で、重要伝統的建造物群保存地区や「こまちなみ」など、都心に木造を多く残そうとしている金沢だからこそできる、魅力的な未来のまち並みができたら素晴らしいと思っています──。

 

金沢の森の今と、森林環境譲与税の使い道って?

 金沢の森の現状や森林環境譲与税の計画について、樹木医でもある金沢市役所農林水産局森林再生課の上田博文さんにお話しいただきました〈以下は上田さんの発表の要旨〉

──森林は地球温暖化防止や災害防止などから、国土や国民の命を守るために必要不可欠。しかし、担い手不足などの問題から、森林整備が進んでいません。そこで、2019年に「森林環境税及び森林環境譲与税に関する法律」が成立。森林整備などの地方財源の安定的な確保と、市町村が主体となった新たな森林管理システムの「森林経営管理制度」の実施が目的です。

 自治体に配分される森林環境譲与税は、2019年から段階的に入ってきていて、使用目的はそれぞれの地域の実情に応じて、弾力的に実施できます。広く一般から集められる税金なので、市の内部だけでなく、学問的な専門家や林業に携わっている方など、8名の委員によって活用策を議論していただき、10月11日に市長に提言書を提出しました(国連大学IAS OUIKの永井事務局長も委員の1人)

森林環境譲与税活用検討会提言書 「森からはじまる金沢のミライ」

 金沢市の面積の約60%(約28,000ha)が森林で、広葉樹の天然林が75%、スギやヒノキなど木材を生産するために植えた人工林が19%を占めます。金沢には市営造林が約2,000haもあり、「伐期」と言われる収穫できる大きさに育ったものも多いのですが、長伐期施業を行い、伐採をさらに40年伸ばしています。そのため、通常の森林サイクルの「植える→育てる→伐る→使う」の中で、「植える」、「伐る」ができていないため、金沢ではこの循環サイクルが滞っています。

 天然林が多い金沢では、人工林に限らず、森林環境譲与税を森林全般に活用できるようにと検討会が提言しています。ここでイメージされる循環サイクルは、従来のように同じところに矢印が戻るものではなく、森の生長と社会の変化に対応して、円の大きさを変えて、螺旋状に少しずつ上昇する新しい循環で、保全する森は天然林として別のサイクルを描き、多様な森の姿を次世代につなぐものとしています。

 このイメージを実現するためには、サイクルを動かしていく取り組みが継続的に必要で、基本理念と3つの将来像への提言につながっています。

 金沢の3つの将来像を実現するためには、次の3つのプロジェクトがあります。

○いのちの森プロジェクト → 将来像は「森と共生する金沢」(森が森であることを守る)

○くらしの森プロジェクト → 将来像は「木の文化都市・金沢」(森の恵みを活用する)

○こころの森プロジェクト → 将来像は「森の感性が息づく金沢」(森を楽しみ、森に学ぶ)

 3つのプロジェクトが個別の取り組みで終わらぬよう、提言では多面的、流動的に森と人をつなげる活動の必要性を解き、「森からはじまる金沢のミライ=森ミライしよう!!!」を合言葉に、みんなで発見する金沢の新しい森づくりを「森ミライ活動」として提案しています──。

 

未来のまちづくりのための森づくり。現代の木の文化都市に求められること

 金沢市のように、森林環境譲与税の使途計画に心や文化まで幅広く取り入れているところは、珍しいそうです。しかし、実際に森づくりとまちづくりの2つを1つの都市の中でうまく循環させるのは、大変難しいこと。そこで地域産材をうまく使い、建築もまちづくりもというプロジェクトをたくさん手がけているNPO法人サウンドウッズの安田哲也さんに、その循環のヒントになる話題提供をしていただきました〈以下は安田さんの発表の要旨〉

──兵庫県と大阪府に拠点を置き、いかにして森づくりの成果とまちづくりの成果を最大化して両立させるか、そのバランスをコーディネートする活動をしています。その取り組みを、3つのキーワードにして掲げています。

 森を管理して「育てる」。

 木をくらしに「活かす」(木のまちづくりなど)。

 森とまちを「つなぐ」(人材育成)。

 森と木に関わる人の輪づくりでは木材コーディネーター育成認定事業を行っています。

 ところで、今なぜ木材が注目されているのでしょうか? 木質資源は、“日本で身近に手に入る”、“使える形にするためのエネルギーが他のものと比べると軽微”、“短期間で再生可能である”という3つの側面が、化石資源より優れているからだと理解しています。50年、60年というサイクルで次の資源として使うことが可能であり、かつ温暖化効果ガスを吸収してくれるという大きな効果があり、木材はまさにSDGsな社会を支える資源であると言えます。

 

 人工林では、循環のサイクルを保ちながら使い続けることによって、木材の持つ優位性が保たれますが、日本の人工林は現在、2つの大きな問題を抱えています。

 1つは、戦後70年が過ぎ、主伐期を迎える人工林は増え続けるも、伐採されていないために、育った木を活用し、新たに若い森を作ることができていないこと。使い勝手のよいサイズの木が将来なくなってしまうことは、10年後、20年後に私たちのくらしに影響が出てくる可能性があります。

 また、木材の自給率は最低の時(2002年)には2割を切っていましたが、現在は4割まで回復している一方で、スギやヒノキの丸太の価格が低調なため、山元(山の持ち主)の収益が確保されていないことがもう1つの問題。次の森への投資ができず、木を伐った後の森を維持していくことができなくなりつつあります。林業が次の世代に継承されていくためには、山元の収益をどう確保していくかが重要です。

 

 太くなり過ぎた木はまちで使われていないという事実があります。それはなぜかというと、木材の製造や流通の中に、太い木を使うという仕組みが今までなかったため。せっかく大きくしても、誰も買ってくれないという残念な現実があります。

 そのことに対して私は、住宅よりもやや規模の大きな建築や、まちづくりなど公共性の高い建築物にこそ、そのような木材を使っていけるのではないかという可能性に期待しています──。

 

トークセッションで、引き続き未来の森とまちをつなげる話を掘り下げました

 

永井:安田さんが示した地元の木を資源として見える化した役場庁舎の事例は参考になると思いますが、金沢の尾張町でも、このようなやり方はできるのでしょうか?

宮下:石川県内にも頑張っている製材会社はありますが、全部県産材を使っているかというと話は別で、地産地消のシステムをもっと積極的にやっていく必要があると思います。その時に、山から木を下ろして終わりではなく、それがどういうものになるのかということも含めて、山元とまちのつくり手を密につなげることが、木の文化都市・金沢の今後の大きなテーマなのではないかと思っています。

上田:木材を使うひとつの方向性としては、市民が見てすぐにわかるものにするというのが必要なのではないかと思っています。また、子どもの時から森を身近に感じてもらえるような取り組みをすれば、未来に通じていくのではないかと思っています。

永井:参加者からは、「私たち自身が森の中に入って、森の豊かさを体で感じることも大切」という意義深いコメントをいただきました。最後に一言ずつ、参加者に向けてメッセージを。

上田:まずは「森ミライを一緒に始めましょう」ということをお伝えしたいです。

宮下:いろいろな分野の中で木をどう使っていくかということを考えてもらうと、私たちの身の回りに木を使ったものが広がり、結果として木の森を育てることになり、山を知ることにもなると思います。そういう意識を持って、いろいろな立場で知恵を出しあっていけたらと思っています。

安田:身近なところで木を使うことを大事にしたいなと改めて思いました。木造建築は、森は50年、60年かけてようやく、そして建築も100年サイクルで使い続けるという関係を考えさせてくれます。それは、まちの将来をしっかり考えて、魅力的でくらしやすいまちをつくっていくきっかけになるのではないでしょうか。

永井:今後も木のテーマの対話を続けていければいなと思っています。示唆に富むお話をありがとうございました。

 

 

今回のSDGsカフェの動画はこちらからご視聴ください!

【開催報告】韓国/日本の世界農業遺産(GIAHS)地域の「GIAHSモニタリングワークショップ」開催

UNU-IAS OUIKとRDAは、2018年より「農業遺産システムにおける特性分析と保全管理に関する手法開発」共同研究プロジェクトを実施し、韓国と日本の経験に基づき世界農業遺産(GIAHS)モニタリングのための指標とガイドライン開発のための研究を進めてきました。その一環として、UNU-IAS OUIKとRDAは、試案となるGIAHSモニタリングの基準と指標を開発し、日韓のGIAHS地域関係者とそれらについて協議するためのワークショップを、2021年10月6日に韓国GIAHS地域、10月13日に日本GIAHS地域向けに開催し、日韓すべてのGIAHS地域からの行政担当者と関係者がご参加いただきました。

ワークショップでは、本研究がまとめた基準と指標についてその実現可能性を検討し、モニタリングの実施に直面する課題についてご意見をいただきました。さらにデータ収集とモニタリングの結果の有効的な活用、そしてGIAHSと持続可能な開発目標SDGsとの関連性について議論を深めました。

 

参加者が活発に意見を交わし、主に下記のとおり認識を共有しました。

GIAHSのモニタリングは、主要な基本原則に基づいて行う必要があり、主に次のような原則のもとで実施するとよいと考えます。1)モニタリングの価値と目的を明確に定義し、データ収集の意義も明確にすることです。2)GIAHS関係者に負担をかけることなく重要な変化を追跡するために、より広い目的とGIAHSに特化した目標設定のバランスをとることです。 3)GIAHSのすべての要素を検証する難しさ、システム自体の複雑さとモニタリングの実施サイクル間に生じるギャップを考慮した現実的な基準と指標を設定することです。4)第三者による評価や参加型モニタリングのための地域住民の能力開発を含む、モニタリング活動のための適切な人員配置と資金提供を確保することです。5)モニタリング結果を共有するための戦略的方法を施策し、それらの方法を適切に活用しながら、新たな可能性や戦略的方向性を見つけ出し、行動計画を改善することです。

また、モニタリング指標は、適用可能で、実行可能で、関連性があるものにすることです。各自の地域実情に応じなら、GIAHS地域の全体的なニーズ、環境、文化的慣行の多様性、プライバシーや物理的要因によるデータ収集の困難に適応する標準と指標の設定が必要です。定量化できないデータは、GIAHSに対する住民の知識、態度、認識や、地域団体の活動を把握するためのアンケート調査などで補完することができます。モニタリングの実施方法と設計、持続可能な開発目標(SDGs)とGIAHSの保全との結びつきなど、GIAHSモニタリングに関する担当者や地域関係者向けの技術的研修はGIAHS地域の能力を向上させるのに役立ちます。具体的には、認知度が高いSDGsは、GIAHSに対する一般の認識を高め、社会、環境、文化の持続可能性に貢献するGIAHSのポテンシャルを理解、強化するためのプラットフォームとして活用できます。

上記のご意見を踏まえ、本研究は今年度内に(GIAHS)モニタリングのための指標とガイドラインにまとめることを目指します。また、以上の議論をさらに深めるために、UNU-IAS OUIKとRDAは、2021年11月5日(金)14:00から17:00に「New Normal 時代の農業遺産保全と価値の向上」と題した国際シンポジウムを開催します。詳しくはこちらをご覧ください。

【開催報告】第1回「実はよく知らない世界農業遺産」GIAHSユースサミット世界農業遺産を未来と世界へ ―佐渡と能登からつながろうー

2021年10月16日(土)にGIAHSユースサミットシリーズ(全3回)の第1回目がオンラインで開催されました。第1回目は国連大学サステイナビリティ高等研究所いしかわ・かなざわオペレーティング・ユニット(UNU-IAS OUIK)が主催し、佐渡市および新潟大学佐渡自然共生科学センター コミュニティデザイン室に協力頂きました。今年世界農業遺産(GIAHS)認定10周年を同時に迎える石川県能登地域と新潟県佐渡に住むユース(主に高校生)、そして宮崎県高千穂GIAHSの高校生など、約40人のユースと約15人の学校関係者や自治体担当者の大人が参加しました。

まず永井事務局長(UNU-IAS OUIK)よりユースサミットの開催趣旨の説明がありました。「世界農業遺産の価値って何だろう?」という切り口で、ユースの皆さんと正解探しではなく、世界農業遺産のこれからの未来を色々なことをやりながら一緒に作っていく会にしていきたいとの話がありました。

続いて、「世界農業遺産を知ろう」というタイトルで、イヴォン・ユー研究員(UNU-IAS OUIK)からGIAHSとは何か、その目的、そしてどのような地域が認定されているのかなどのレクチャーがありました。SDGs(持続可能な開発目標)や気候変動などの世界的な課題へGIAHSが貢献している点が近年注目されているという話もあり、GIAHS認定地域に住んでいながらも、なかなかこれまで知ることがなかった自分の住んでいる地域の価値や強みを知るきっかけになったのではないでしょうか。

次に、石川県の能登高等学校から「みさのとプロジェクト~半島革命P.P.~」というタイトルで発表がありました。能登半島と愛媛県佐田岬半島が半島同士という繋がりで能登高校と愛媛県立三崎高校が交流をスタートし、お互いの地域を元気にすることを目的として、相手地域で栽培されている農作物などを活用した商品開発と販売を行ったことが紹介されました。三崎高校では能登半島のブルーベリーと佐田岬半島の特産品のすももを使ったスムージーを作り地元の道の駅で販売されたこと、そして、能登高校では愛媛県伊方町のだいたいを使ったマーマレードとだいだいパンを作り、能登高祭で販売されたことなどの話があり、今後さらに商品の共同開発や販売活動を通して地域に活気を生み出していきたいという思いを語ってくれました。

続いて宮崎県の五ヶ瀬中等教育学校からは、「宮崎県立五ヶ瀬中等教育学校とGIAHS「高千穂郷・椎葉山地域」」というタイトルで発表がありました。五ヶ瀬中等教育学校が国内初の中等教育学校であること、そしてフォレストピア探求と呼ばれる総合的探究の時間を活用し1~3年生(中学1~3年生にあたる)の3年間で高千穂GIAHSについて様々な角度から学習し、4~6年生で課題研究をするカリキュラムで自分の住んでいる地域について学んでいることなどの紹介がありました。自分たちの住んでいる地域にはそこにしかないものが沢山あり、それがこの地域特有の強みになると思うと話してくれました。

後半はユースだけの交流会が開催され、ブレイクアウトルームで少人数のグループに分かれ、「GIAHS(世界農業遺産)について自分の趣味や取り組んでいること、重なったことは?」や「GIAHSにないもので自分が加えたいものは?」というトピックで意見交換をしました。初めて会う他地域の高校生・大学生同士で緊張している様子も少し見られましたが、「私もマーマレードを作っている。半島同士で交流しているのがいいなと思った。自分の学校でも他の地域と繋がって何か一緒にできたらいいと思う。」という意見や、「GIAHS地域全体のゆるキャラがいたらいいのでは?」「映画を作ったらいいのでは?」というようなユニークな意見も色々と出ていました。

今回の企画の面白いところは、ここで終わりではなく、次回、そしてその次へとシリーズで続くというところです。第2回目は佐渡GIAHSでのハイブリッドのユースサミットです。そして、第3回目(11月)には全員ではないですが、佐渡と高千穂GIAHSからも何人かのユースが実際に能登を訪れ、対面でユースサミットに参加してもらえる予定です。今回のユースサミットをきっかけに新たな繋がりが生まれ、ユースのアイデアで何か面白いことが始まるかもしれませんね。

GIAHSユースサミットシリーズ第2回目、第3回目の概要についてはこちらをご参照ください!
https://ouik.unu.edu/events/4797

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