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【開催報告】GIAHSユースサミットとエクスカーション(世界農業遺産国際会議サイドイベント)

日時 / Date : 2021/11/26-27
場所 / Place : 石川県七尾市、他

石川県七尾市にて開催された世界農業遺産国際会議のサイドイベントとして国連大学OUIKは11月26日に「GIAHSユースサミット世界農業遺産を未来と世界へー佐渡と能登からつながろうー」27日に「ユースサミット参加者向けのエクスカーション」を開催しました。

ユースサミット参加高校:石川県立飯田高等学校、石川県立鹿西高等学校、新潟県立佐渡総合高等学校、日本航空高等学校石川、宮崎県立五ヶ瀬中等教育学校(計40名)

ユースサミット参加大使国:セネガル、ブルキナファソ、ペルー

ファシリテーター:県内大学生の方や能登でインターン中の大学生

 

はじめに永井三岐子(国連大学OUIK)が開会挨拶、続いてGIAHSユースサミットシリーズ第1回、第2回の開催報告が行われました。

  • 第1回「実はよく知らない世界農業遺産」 - 小山明子(国連大学 OUIK)
  • 第2回「農村の未来の可能性を次世代と共に考え、切り拓いていくために」 - 飯森 翔太郎(若者農学研究会)

セッション1「私たちが伝えたい未来の世界農業遺産」では、4つのテーマ:①農業の生物多様性と里山里海の環境の保全 ②経済の活性化 ③文化の継承と発展 ④知識の継承と発信、に分かれ、グループディスカッションを行いました。学生たちは各テーマに関連する地域ごとの特色や活動例を紹介し合い、それらにどのような価値があり、なぜ未来に伝える必要があるのかを話し合いました。県内外から集まった初めて会う仲間たちとのセッションに、はじめは緊張している様子だった高校生たちも、お互いの地域についての理解を深め、だんだんと打ち解けていった様子でした。

セッション終盤ではディスカッション中に挙がった意見を元に、今後自分たちの地域のGIAHSを守り、地域文化を継承していくためのアクションプランを練り、「GIAHSユース宣言」としてまとめました。

 

 

 

 

 

 

ランチタイムでは石川県立鹿西高等学校家庭部が考案した「GIAHS体感弁当」を家庭部員のプレゼンテーションと共に楽しみました。このGIAHS弁当は「サミット参加者がGIAHSを体感できるように」と、鹿西高校家庭部の皆さんが心を込めて企画してくださったものです。能登GIAHS内で生産、採取された40種類以上もの食材が使用され、郷土料理のかぶら寿司や能登の海で採れた岩のりも一緒に振舞われました。セネガル駐日大使は、すべて地元の素材を使っあることや高校生が熱心に取り組んでいることに感心し、「君たちはGIAHSの大使だ」と称賛されいていました。

午後に開かれたセッション2「私たちが伝えたい未来の世界遺産を形にしよう」ではGIAHSに関心を有する国々の駐日大使も加わり、午前中に行われたセッション1の結果の発表と大使による発表が行われました。各グループの高校生代表が自分たちの地域のGIAHSの多元的な価値を未来へ伝えていくために、自分たちがどのような行動を起こしていきたいか、発表しました。そして、大人たちにはどういった協力をしてほしいか、熱量を持って伝えてくれました。

一方で、参加いただいた駐日大使からは、自分たちの国の自然や景観、農業、食文化や伝統文化といった地域の資産について紹介いただきました。発表の後、会場で質問するのは少し恥ずかしかったのか、高校生は個別に大使とコミュニケーションを取り各国のユースの活動、SDGsや気候変動への関心の有無などを尋ねるなどしていました。さらにこのセッション中に来場いただいた谷本正憲氏(石川県知事)からは、「今後、若い世代を中心としたGIAHSでの地域活動に期待している」と激励のコメントを頂きました。

 

イヴォーン・ユー(国連大学OUIK)がこのサミットの閉会の言葉を述べた後、一同は本会議のクロージングセッションにて「GIAHSユース宣言」を発表すべく、会場に向かいました。

各学校を代表した高校生5名がこの日行われたGIAHSユースサミットの報告と「GIAHSユース宣言」を発表すると会場からは大きな拍手が送られました。

 

翌日27日にはサミット参加者向けのエクスカーションツアーが能登DMC協力の元、開催されました。このツアーでは新潟県立佐渡総合高校と宮崎県立五ヶ瀬中等教育学校の生徒10名と引率の先生方が参加し、ユースサミットの最後に学生たちが掲げた「体験の機会を見つけ、GIAHSへの理解を深める」という約束を具体化しました。

このツアーはGIAHSの5つの基準である、1)食料と生活の安全、2)農業の生物多様性、3)地域と伝統的な知識体系、4)文化、価値体系、社会組織、4)景観と海景の特徴、を学生に説明するために、現場を訪問し、体験することを目的として構成されました。

一番目の目的地はのとの里山・里海ミュージアムです。ここでは能登の歴史、伝統文化、環境や生物多様性の特徴について概観しました。

続いて、同じく七尾市の三次水産牡蠣養殖場を訪れ、里海のくらしを体験しました。何十年も家族経営で牡蠣養殖業を営んでいる方の経験談を聞きながら、牡蠣に付着している岩やフジツボを取り除く作業を体験をしました。その後、昼食は近くの牡蠣料理専門店浜焼き能登風土に移動し、焼き牡蠣やカキフライなど水揚げしたばかりの新鮮な牡蠣を使った里海の味を堪能しました。

昼食の後は、志賀町の細川農園に立ち寄り、この時期の里山の恵みを利用した「能登志賀ころ柿」について学びました。この産業もまた、農村地域で深刻化している後継者問題を抱える産業の一つです。代表の細川氏は「農業遺産地域には、そこにしかないストーリーをもった産業や製品がたくさんある、是非若い皆さんにはこれから色々な経験をして、将来また自分たちの地域に戻ってきて、それらを生かした活動を行ってほしい」と語りました。

その後一同は「里山まるごとホテル」へ移動し、東京から能登に移り住み、地域の食材を使ったレストランを営むオーナーのお話を聞きました。高校生からは「私は地元の食材を使ったお店を学校のプロジェクトとしてやってみたい」など、具体的なアイデアや意見が交換されました。

最後に能登GIAHSの代表的景観の一つでもある輪島市の「白米千枚田」へ足を運んだ一同は、小さな田がびっしりと並び、日本海へと続く絶景を堪能し、帰途につきました。

帰りの車中では、この2日間の感想や発見を参加者で共有しました。学生たちは「地元の方々と触れ合う貴重な機会に恵まれ、GIAHSについての知識が深まった」、「GIAHS地域にとって一番重要なのは「人」であるとわかった。今後、地域に貢献できるようにこの経験を生かしたい」と述べ、エクスカーションは幕を閉じました。

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