第2回目の能登×イフガオ国際交流プログラムは11月26日(木)に行われました。
第1回目のレポート・このプログラムの背景はこちらから。
今回のテーマは「食文化」、フィリピンのイフガオと日本の能登の食べ物とではどのような違いがあるのでしょう。今回は事前学習として、それぞれの地域でお米を使った伝統的なお菓子の作り方を紹介するビデオを撮影し、交換しました。イフガオの児童たちはビデオの中でライスケーキ作りを紹介し、能登の児童たちは、かき餅作りを説明しました。
日本のお餅の作り方は知っている上戸小学校の児童たちですが、伝統衣装を着て、見慣れない大きな葉っぱを使いながらお餅を作るイフガオの皆さん姿に、興味津々の様子でした。ビデオを見た後、上戸小学校の皆さんはグループに分かれて、ビデオを見た感想やこの後の交流で質問したい内容を話合いました。
それぞれ撮影したビデオに加えて、能登の食文化と自然・農業の繋がりを紹介した動画「ごっつぉをつくろう」を事前に共有し、能登の皆さんは日本語版を、イフガオの皆さんは英語版をそれぞれ視聴しました。動画では山菜採りや海藻採り、魚釣りなど、能登の里山里海で営まれている様々な活動が紹介されていますが、上戸小学校のみんなはまだ体験したことがないものがほとんどだったようですが、「キノコ採りは、ばあちゃんとしたことがある!」「野菜は作ったことある!」と教えてくれた児童も何人かいました。能登ではまだまだ里山里海の恵みを生かした暮らしが続けられていますが、実際にそれらを家庭で自ら体験する機会は、生活スタイルの変化や家族構成の変化などにより減ってきているのかもしれません。けれども、なぜか味噌作りはクラスの全員が体験したことがあるとのこと。理由を聞くと、学校の授業の一環で体験しているそうです。学校教育の一環で地域の事を知り、体験する機会を設けていることの重要性を改めて感じる機会となりました。今回のかき餅作りも、児童たちにとって貴重な体験になったのではないでしょうか?
事前学習の後、オンライン会議システムを使って2校を繋ぎ、待ちに待った2回目の交流がスタートしました。はじめにイフガオのキアガン中央小学校の皆さんに一人一つずつ、イフガオで採れた野菜やフルーツを紹介していただきました。
ココナッツやペッチャイ(写真左、フィリピンのチンゲン菜のような野菜)、サヨーテ(写真真ん中、はやとうり)、カラマンシー(写真右、四季柑)など日本ではあまり見かけない食べ物ばかりです。「これはビタミンが豊富で体にいいです」「甘くておいしいので好きです」など、皆さんそれぞれ、よく食べる好きな食材を紹介してくれたようでした。
上戸小学校からイフガオの皆さんに向けて、紹介していただいた食べ物やビデオで見たライスケーキについてたくさん質問が出ました。
上戸小児童「なぜライスケーキ(お餅)を作るときバナナの葉っぱを使うのですか?」
イフガオ児童「アルミホイルが今ないのでバナナの葉っぱを使います。イフガオでは昔からバナナの葉っぱを使うのが伝統です。バナナの葉っぱは、一枚一枚がとても大きいのでいろいろな用途に使えますし、環境にも優しいです」
上戸小児童「果物や野菜はどうやって食べますか?生ですか?それとも料理しますか?」
イフガオ児童「ジュースやシェイクにして食べます」「砂糖を混ぜてジュースにします」「野菜は蒸したり、炒めたりして食べます」「そのまま皮をむいて食べます」
上戸小児童「ライスケーキ(お餅)を作るとき、どうして伝統的な衣装を着ていたのですか?」
イフガオ児童「伝統的なお菓子を作るときは伝統的な衣装を着るのが習わしです」
次に上戸小学校の皆さんが日本、そして珠洲の食についてパネルを使い紹介しました。
はじめに握り寿司やお祭りやお祝いの時に作る押し寿司、珠洲で栽培されている野菜(だいこん・白菜・かぶ・トマト・人参など)について紹介しました。大浜大豆という地域独特の大豆については「この大豆は畔大豆とも呼ばれていて普通の大豆よりも大きいです。タンパク質が多く含まれていて身体にいいです。たくさんの料理に使われていて、豆腐や味噌を作るととてもおいしいです」と詳しく紹介しました。上戸小学校では3,4年生の時に学校で大浜大豆を栽培するようです。感想として「実際に育ててみると難しく、たくさんは収穫できなかった」と語りました。さらに金時草やえびすカボチャなど、地元の野菜の紹介もしました。
「金時草は酢の物や天ぷらにして食べるとおいしいです。お米と混ぜて料理すると葉っぱから紫色が染み出て、色がきれいです。食物繊維やカリウム、カルシウム、ビタミンも豊富に含まれていて栄養価も高いです」
「えびすカボチャは収穫後、県外にも出荷されてとても人気です。とても甘いので煮物やコロッケ、お菓子などに多く使われています。珠洲ではカボチャが熟して甘くなるまで待って収穫するのでとてもおいしいです」
さらに能登では秋にたくさん作られる干し柿についても説明しました。今年、上戸小学校の1、2年生が、200個もの干し柿を作ったそうです。
イフガオから上戸小学校の皆さんにもたくさん質問が寄せられました。
イフガオ児童「お寿司を海苔で巻きますか?」
上戸小児童「はい、海苔で巻くお寿司と巻かないお寿司があります」
イフガオ児童「柿はそのまま生でも食べますか?それはリンゴみないな味ですか?」
上戸小児童「生でも食べます。甘くておいしいですがリンゴとはちょっと違う味がします」
イフガオ児童「イフガオでは柿はとても高いです。能登ではどうですか?」
上戸小児童「能登では柿は高くないです。庭に柿の木があります」
イフガオ児童「柿は一年中食べられるフルーツですか?それともある季節だけですか?」
上戸小児童「柿が採れるのは秋だけです」
初めて見る食材に皆さんは興味津々の様子でした。フィリピンのイフガオと日本の能登、同じアジアにある国・地域なのに気候や文化が違うことから、採れる野菜やフルーツ、そして調理方法も全く違います。実際に食べることはできませんでしたが、お互いにたくさん質問し合ってどんな味か、どんなふうに食べるのか、想像がついたことと思います。
最後にイフガオ、キアガン中央小学校のジェニファー先生よりコメントを頂きました。
「いろいろな種類の食べ物を紹介してくれてありがとうございました。上戸小学校の皆さんがどんな食べ物を食べて生活しているのかがよくわかりました。イフガオでは5年生くらいにならないと調理実習はしませんが、上戸小学校では1、2年生から実習をしていて素晴らしい取り組みだと思いました。さらに能登ではフルーツの食べ方もいろいろあり、面白いと思いました。イフガオのライスケーキについて知ってもらえてうれしいです。このお菓子はThanksgiving (感謝祭・収穫祭)などで昔からよく食べている伝統食です。お餅はモチモチしていてお互いにくっつくことから、家族の繋がりを表現している縁起物としてイフガオでは食べられています。」
上戸小学校からは児童ひとりひとりが一言ずつコメントしました。
「イフガオの食べ物を知れてよかったです。ありがとうございます」
「イフガオのいろいろな種類のフルーツについて学べてよかったです」
「ライスケーキ(お餅)の作り方が能登とイフガオでは違って面白かったです」
「イフガオのライスケーキを日本でも作ってみたいです」
「日本とイフガオでは違う食べ物がたくさんあることがわかりました」
「お餅を作るときにイフガオではココナッツを混ぜていてびっくりしました」
などなど、上戸小学校の皆さんにとってもイフガオの食文化は驚きと新しい発見の連続だったようです。
次回はこの交流プログラムの最終回となります。
最終回のテーマは「伝統文化」。主に地域のお祭り文化について紹介し、実際に歌や踊りを披露する予定です。