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ホタル調査 in 菊川

7月1日金曜日に、国連大学 IAS OUIKは、菊川公民館と共催で金沢市内の幸町、および菊川にて市民参加型のホタル生息調査ツアーを実施しました。昨年も開催されたこのホタル調査イベントはOUIKのフアン研究員が進める、SUNプロジェクト(持続可能な都市自然プロジェクト)の一環として開催しました。鞍月用水沿い、用水付近の庭園を訪れ、都市自然を楽しみつつ、ホタルの生態を調査しました。

はじめに菊川公民館に集まった参加者はOUIKのフアン研究員と津田研究員から金沢の都市自然やそれを利用した持続可能な観光への取り組みについての説明を受けました。フアン研究員は金沢にはグリーンインフラという自然を活用したインフラの仕組みが多く存在すること、それらの一部である用水や庭園を都市自然として、そして文化として保全する必要性、さらに保全に向けた活動を紹介しました。津田研究員は、これらの金沢固有の資源を様々なステークホルダーがパートナーシップを組んで維持管理し、さらに観光業を交えた持続可能な形で保全するための協働モデルについて紹介しました。

その後、金沢ホタルの会会長・石川ホタルの会事務局長の新村光秀さんに「ホタルの不思議」について講義をいただきました。新村さんは金沢市役所にて里山や農業、林業の活性化に関する業務を行う傍ら、ホタルに関する活動を40年近く行なってきたそうです。昭和32年に子供会と協力し「ホタル調査」を開始し、現在に至るまでこの活動は続いています。三十数年間もこのような調査が行われている金沢のケースは珍しいですそうです。

※以下、講義の内容

ホタルの名前の由来について

松明の火の粉や人魂のイメージから命名されたとする説があります。「火」のことを「ほ」と読んでいた時代があり、「ほがたれる」→「ほたる」となりました。そのほか「流れ星」がホタルの名前の由来となったとする説もあります。

ホタルの種類について

世界に2000種もいるホタル、日本には暖かいところを主に50種、石川県には7種生息しています。日本ではホタル=水辺のイメージがありますが、ホタルのほとんどは幼虫の時、土の上で過ごす陸生だそうです。しかし、日本で有名なゲンジホタルとヘイケホタルは幼虫が水の中で過ごす、実はとても珍しい種類のホタルです。

ホタルはみんな光るの?

日本に生息する50種ものホタルで成虫が光るのは4種のみ、さらに卵段階から生涯に渡り光るのはゲンジホタルとヘイケホタルのみです。

ゲンジとヘイケの違いについて

見た目、発生時期、飛び方が異なりま、ゲンジのオスの大きさは1.5cm、メスは約2cmにもなる一方、ヘイケは1cm弱です。模様の特徴として背中の模様がゲンジは十時形していてヘイケは縦筋模様をしています。またゲンジ6月上旬、ヘイケは7月中旬から発生します。発生時期は場所によっても異なりますが、温暖化の影響により、全体的に出現の時期が早くなってきています。ゲンジは2秒間隔で光を発しながら飛びます。一方、ヘイケはゲンジより短期的な間隔で光を発し、低空を飛びます。

オス・メスの違い

オスは光りながら飛び回り、メスは一点に留まっています。飛び回るオスに対し、メスが信号を送り、オスがそれを受け入れると結婚に至ります。

ホタルの生息に必要なこと

夜暗いこと、日中日陰となる草木があること、水がきれいであること、石や砂、土があること、エサ(カワニナ)がいることが重要です。

ホタルの生息数の変化について

ゲンジは下水道の整備により、川の水質が改善し生息地点は微増しています。一方、生息エリアの異なるヘイケは耕作放棄地、除草剤の利用の増加により、全国的に生息地が減少しています。金沢市に残る、江戸時代に作られた用水は石積みの用水です。これらには石と石の間に隙間があり、隙間は草が生え、生き物が隠れることができるスペースとなります。これは生き物が生息しやすい環境です。そのため、市内でもホタルが観察できます。

ホタルが住みやすい環境があること、ホタルが住んでいることは都市自然が豊かであるという事。そのため、地域の方々と協力して、ホタルの保護活動を行うことが重要です。

いざ、ホタルを観察へ

講義のあと、一同はホタルマップを手に町内を散策しました。

いつも何も注意せずに歩いている通りでも、目を凝らすとそこには用水があり、ホタルが飛んでいます。こんなに近くに住んでいるのに、今までホタルを見た事はなかった」といった声も多く上がりました。また、ホタルが生息しているのは用水だけではありません。用水の水を引き入れた庭園内の池でもたくさんのホタルを発見することができました。

参加者はそれぞれのホタル観察ポイントで何匹ホタルを発見できたかを調査シートに書き込み、提出して頂きました。

ホタルを通して、夏の夜のせせらぎを楽しみ、金沢の都市自然についても学ぶ、今回のような活動を通して、今後もより多くの人々に、都市自然や生物多様性の重要さを知ってもらいたいと思います。

ホタルの生態や金沢市のホタル生息調査の歴史について詳しくは「金沢ホタルマップ30年のあゆみ」もご参照ください。

 

 

 

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