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イヴォーン・ユー研究員からのメッセージ

2022/3/18

今月末で9年半の国連大学サステイナビリティ高等研究所での任期を終えるにあたり、ここで能登での研究生活を生涯忘れることのない実り多いものにしてくれた友人、同僚、石川県民の皆さんに感謝の気持ちを表したいと思います。

初めて能登半島を訪れたときのことを思い出します。2011年の夏、「能登の里山里海」は日本で最初の世界重要農業遺産(GIAHS)に指定されたばかりでした。私は当時、東京大学大学院の修士課程の夏休みを利用して、国連大学OUIKでインターンをしていました。里山と里海が近いことに興味を持ち、その素朴な風景、魅力的な建築物、美しい工芸品に魅了されました。もちろん、美味しい料理や温かいおもてなしも、私の心を一瞬で捉えたことは言うまでもありません。

その時は、まさか自分が能登を研究フィールドにするという素晴らしい機会に恵まれるとは思ってもみませんでした。卒業後、2012年に国連大学高等研究所東京事務所に入所し、研究チームとともに日本におけるGIAHSの普及に努め、以来、すべての日本のGIAHSの指定申請を技術的に支援しきました。2013年からは、日本や海外でGIAHSに携わった経験を生かし、国連大学OUIKのチームと緊密に連携して、能登の人々の生活や暮らしに役立つ政策研究を行うようになりました。東京に住み、東京を拠点に活動している私が、能登のために何ができるのか、能登への理解は表面的なものになるのではないか、という不安もありました。しかし、能登を訪れたとき、目にした光景や話しかけてくれた人々を思い出しながら、研究活動に励みました。能登に滞在中は車で移動することもありましたが、なるべく地名を覚えるために路線バスで移動しました。農家、漁師、旅館の主人、住民、能登のあらゆる分野の人々が、私のような見ず知らずの研究者に率直な意見を述べ、知識を教えてくれたことにとても感謝しています。

私は、このような能登の豊かな知恵とストーリーをもっと多くの人に知ってもらいたいと思いました。一方、住民からは「世界農業遺産の認定後、里山の保全は活発に行われているが、里海保全にはどう貢献したらいいのかわからない」という声も多く届きました。そこで2015年にOUIKは「能登の里海ムーブメント」をスタートし、2015年から2017年にかけて、七尾市、穴水町、珠洲市、能登町、羽咋市、輪島市で里海に関して学びを深めるためのセミナーシリーズで実施し、専門家や地域の関係者の皆さんと里海に関するさまざまなテーマについて学び、議論しました。海苔、伝統漁業、貝類、里川、ブルーツーリズムから海女さんまで、さまざまなテーマを扱いました。しかし、これらのテーマは能登の里海の驚くべき豊かさと多様性の表面に触れたことに過ぎませんでした。

 

 

 

 

 

 

2018年からこの「里海ムーブメント」は、石川県や日本を超えた発信活動に力を入れました。2020年から2021年にかけては、COVID-19の感染拡大にもかかわらず、「里海の保全から考えるSDG14の達成」をテーマに、能登の里海がSDGs14 「海の豊かさ」の達成へのつながりを探る「能登の里海ヴェビナー」の新シリーズを開催しました。この活動にご協力いただいた専門家、講演者、関係者の皆様に心から感謝いたします。現在、国内外の多くの研究者が「里海」と能登を結びつけて考え始めていることを誇りに思い、この関心がさらに高まることを願っています。

私のような研究者は、知識や経験を共有する人がいなければ、何も伝えることができません。長年、能登や石川県でお世話になり、本当にありがたく思っています。石川県外に住む外国人の私がGIAHSに貢献することを許していただき、ありがとうございます。能登は私の心の中で常に特別な場所であり、能登のGIAHSの生涯のサポーターであり続けることでしょう。「能登はやさしや土までも」の本当の意味を体験させてくれてありがとうございました。心から感謝しています。

 

 

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