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日本庭園と都市自然の生物多様性との関係を調べています

 先日、長町武家屋敷跡にある千田家庭園で生き物調査が行われました。

千田家庭園(金沢市指定名勝・非公開)

 この庭園は兼六園を整備した加賀藩13代藩主前田斉泰に仕えた主人が明治時代に造営したもの。池泉回遊式の庭園には屋敷の横を流れる大野庄用水から取り入れた水が流れています。用水を介して外とつながっているため、生息する魚や水生昆虫など種類が多く、夏には鮎が泳ぎ、夜はホタルも舞うそうです。

庭木についた虫や石の下にいる虫など、庭全体をくまなく調査

 さて、城下町として発展してきた金沢には、数多くの見事な日本庭園があります。都市に自然景観を再現し、私たちに癒しを提供してくれる日本庭園には、自然景観だけでなく、実際の自然の営みも組み込まれていて、都市の中に生物多様性をもたらしてくれる存在といえます。そしてその環境は人が手を入れることで維持されてきました。しかし、中には所有者の高齢化などで維持管理が難しくなっているところも少なくありません。

池の中で捕獲されたウキゴリ。他にもアブラハヤやドンコなども

 2019年に始まったSUNプロジェクト(Sustainable Urban Nature Project/持続可能な都市自然プロジェクト)では、国連大学IAS OUIKのフアン研究員が中心となって、今年から3年計画で用水と日本庭園が都市自然における生物多様性にどのような役割を果たしているのかを、金沢市内にある数カ所の庭園で調査しています。今回の調査もその一環で、千田家庭園の調査は5月、7月に続き、3回目。さらに11月に4回目の調査を行う予定です。調査方法としては捕獲調査および環境DNAを実施しています。環境DNA分析で使用する2リットルの水を各庭園内の池と取水する用水のあわせて数地点から採水しています。

細かく調べるとたくさんの生き物がることがわかります

 さらに、コモンズとして庭園を位置づけ、清掃作業を市民や旅行者に体験してもらうツアーの試行も始めています。参加者からは日本庭園の魅力がより深く知れ、身近に感じられると評判です。

 今後も金沢の庭園を取り巻く新しい動きを、随時紹介していきますので、お楽しみに。

*SUNプロジェクトの詳細は下記をご覧ください。
https://ouik.unu.edu/news/3307

*フアン研究員の責任編集で国連大学IAS OUIKより出版された『生物多様性シリーズ5 金沢の庭園がつなぐ人と自然』は下記からダウンロードしてご覧になれます。
https://ouik.unu.edu/wp-content/uploads/Booklet5-Restoring-Kinship-with-Nature-through-Japanese-Garden.pdf

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