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OUIK 生物文化多様性シリーズ#5 金沢の庭園がつなぐ人と自然  ー持続可能なコモンズへの挑戦ー

金沢の日本庭園の活用方法を防災、観光、景観など多面的なアプローチから解説すると共に、持続可能な都市と生態系保全に向けたアイデアを提唱しています。

【開催報告】 SDGsカフェ#3 「今、求められる教育−映画『Most Likely to Succeed』 上映会とワークショップ−」

今年4月から始まりました「SDGsカフェ」。
さまざまな方に参加していただき、コーヒーでも飲みながら、2030年の金沢を考えてもらおうというものです。
その第3回では、「今、求められる教育」をテーマに、学校教育を問い直すキュメンタリー映画『Most Likely to Succeed』を鑑賞し、会場の皆さんと対話をしました。

 

未来の学び方について考えさせてくれる映画

藤岡 慎二さん
北陸大学地域連携センター センター長・経済経営学部マネジメント学科教授。株式会社Prima Pinguino 代表取締役

まずは国連大学 サステイナビリティ高等研究所 いしかわ・かなざわオペレーティング・ユニット(UNU-IAS OUIK)事務局長の永井から、SDGsカフェの趣旨説明と、今回、2030年の金沢をIMAGINEしてくださる藤岡慎二さん(北陸大学経済経営学部教授、地域連携センター長)の紹介がありました。

さて、上映する映画に出てくるHigh Tech Highというチャータースクール(特定の目的をもって設立される学校)について簡単にご紹介。
この学校は2010年の開校した米国のカリフォルニア州にある公立校で、小学校、中学校、高校があります。
学んだことはテストではなく文化祭で評価され、詰め込み式の受験偏重型教育とは違い、学生が主体的に深く学び、失敗や成功を通じて人間的にも成長できるそうです。

未来型教育を研究・実践しているHigh Tech Highの21世紀型の授業スタイルの実際を、この映画は克明にルポしています。

◎映画の詳しい情報は下記のサイトをご覧ください。
 FUTUREEDU TOKYO

 

世の中は変わっても教育は120年以上変わっていない

上映時間は約80分

米国の教育カリキュラムは、大量生産を推し進めていこうとした1892年に制定されたもの。GDPが伸びれば、国民所得も伸びた20世紀にはマッチしたものでしたが、1990年代後半からの急速な技術の進歩により、多くの仕事が奪われ、もはや大学を卒業したら安定した職に就けるという時代ではなくなりました。

世界の経済が激変した中で学校教育の改革は遅れています。これは日本に似たような状況と言えるでしょう。

この先、「より創造力の高い仕事だけが生き残っていく時代となる」、そう考えると、今の教育システムで十分なのか?という疑問が生じてくるでしょう。
その答えを導くヒントがこの映画の中にはたくさんありそうです。

 

映画が媒体となって、日本の教育の現状を考え合う

観終わってすぐの意見交換。みなさん熱い!

この映画を観ると、今までの学校教育の概念とのギャップを感じて、疑問や不安、あるいは気づきや確信など、さまざまな思いが浮かんできます。

映画を観終わってすぐ、そんな熱い想いを隣の人と語り合い、そしてティーブレイクを挟んで、今度は4〜5人でグループとなり、ワークショップが始まりました。

この映画は、観て終わりではなく、当事者である学生やその親、教師をはじめ、さまざまな立場の人が意見を交えあうことが重要なのです。

コーヒーやお茶などを用意

藤岡さんからは、「これはアメリカの学校の話であり、急いで日本で取り入れるのも変な話。日本には日本のいいもの(keep)もあれば、問題(problem)もある。そして取り込むべきと思うこと(try)もある。それをみんなで考えるワークショップにしたい」と述べ、一人ひとりが思うことを付箋に書き、keep、problem、tryと3分割された模造紙に貼っていくことになりました。

今回、さまざまな世代が集まり、いろいろな意見が出ましたが、「keep」には礼儀正しさなど日本人らしさに関係する意見が多く、また「problem」では、子どもの個性を伸ばせていないなど、いまの教育が抱えている問題とリンクした意見が多く見受けられました。

 

日本の地方は世界の“課題最先端地”。ここが変われば世界も変えられる

ワークショップの様子

このワークショップをファシリテートする藤岡さんは、教育改革による地域創生で数々の実績をお持ちの方。
高校魅力化プロジェクト」のきっかけとなった、隠岐島前高校が起こした奇跡の仕掛け人でもあります。その一つの高校から始まったことが、今では全国の地域に広がっているそうです(石川県でも「能登高校魅力化プロジェクト」が始まっています)。

藤岡さんによれば、少子高齢化など、日本は世界の「課題先進国」であり、地方はさらにその先を進んでいる最先端地だと言います。
そんな地方で生活や仕事をしている人たちの意見を高校生たちが聞き、そして一緒に挑戦していけるプロジェクト型学習ができたら、「それはもう、間違いなく世界最先端の教育」だと強調します。

若い人の参加が目立った

付箋を貼りながら意見を述べていく

 

 

 

 

 

 

 

いまの学校教育って・・・。批判するだけでは何も変わらない

このように、日本でもさまざまな教育改革が起こり始めていますが、その全てに当てはまる共通項があるそうです。
それは、「学校の先生に全て授業を丸投げしないこと」。
親や地域の人たちが、みんなで相談しながらみんなで育てているということです。
「今の学校は・・・」と、ただ批判するだけでは、改革は始まりません。周りの人たちがどう参画していけるかということがキーとなります。

2030年の社会をIMAGINEしてみたときに、今の教育制度で大人になった子ども達が、その社会でどんな活躍をしているだろうか? まずは一人ひとりがその姿を想像してみることから、いろいろなことが始まりそうですね。

隠岐島前高校の奇跡が全国へ

 

庭園クリーニングワークショップ@心蓮社

2019年7月4日、卯辰山山麓寺院群に位置する心蓮社(金沢市指定名勝)で、庭園クリーニングワークショップが実施されました。フアン(OUIK研究員)が率先して始めたこのプロジェクトに、アイーダ・ママードウァさん(金沢大学国際機構特任准教授)、飯田義彦さん(金沢大学環日本海域環境研究センター連携研究員)が加わり、共催でイベントを開催しました。

今回は、金沢大学に短期留学に来ているロシアのカザン連邦大学の留学生14名が参加しました。

開催当日は、ひがし茶屋街を散策しながら、金沢の文化や歴史などを学び、その後に心蓮社で庭園の清掃とお茶体験を行いました。

庭園クリーニングワークショップでの一日の様子を、ご報告したいと思います。

金沢について知る

まず初めに、街中にある地図を見ながら、

・金沢の人々の生活や文化に深く関わっている浅野川、犀川の二つの川について 

・金沢の三寺院群について

・金沢の交通網について

など、金沢の街の地形や文化、歴史などの説明を聞きました。

 

 

 

 

 

 

東山ひがし茶屋街を散策

続いて、重要伝統的建造物群保存地区ひがし茶屋街を訪れ、建築物や、金沢の伝統的な食文化、工芸品などについての説明を聞きながら、散策しました。

 

 

 

 

 

 

宇多須神社では、夏越の大祓(なごしのおおはらえ)という神事が行われており、茅の輪をくぐって参拝しました。参拝後、留学生たちはおみくじを引いて、とても楽しんでいるようでした。

茅の輪くぐり

おみくじを引いて楽しんでいる様子卯辰山山麓寺院群〝心の道″を歩く

ひがし茶屋街から心蓮社へは、〝心の道″を通って行きました。〝心の道″は細い小路になっており、とても静かでした。

 

 

 

 

 

 

 

 

心蓮社 

心蓮社に着くとまずは、到着を待っていてくれた小島住職が心蓮社の歴史などについて教えてくれました。

 

 

 

 

 

 

心蓮社が現在の地に移ってきたのは1637年頃であり、そのときに庭園が造られたとのことです。庭園は江戸時代初期に作庭された築山池泉式書院庭園で、当時の寺院庭園として貴重なことから、金沢市指定名勝に指定されているそうです。

心蓮社庭園

小島住職は留学生に向けて、「日本滞在中に金沢、そして日本の文化を知り、その背後にある思想なども理解していただければと思います」と優しく語りかけていました。

留学生に語りかける小島住職

 

 

 

 

 

 

 

さて、ここから庭園の清掃です。

まずは、清掃についての指導を受けてから、作業に入っていきました。

 

 

 

 

 

 

 

 

水の音やカエルの鳴き声を聞きながら、全員で落ち葉拾いを行いました。気づくと、無心になって清掃していました。庭園が綺麗になっていくと同時に、自分の心も整っていくような感覚がしました。 

 

 

 

 

 

 

庭園を清掃していると、緑が美しい苔や、キノコ、カエル、小さな草花など沢山の生物と出会いました。庭園は見た目が美しいと同時に、多様な生物の生息地としても大きな役割を果たしていると実感しました。

                    

 

 

 

 

 

お茶体験

庭園を清掃した後は、お茶体験をしました。

茶道の先生がお点前を披露して下さり、和菓子とお茶をいただきました。留学生の皆さんも正座をして、真剣に先生のお点前を拝見していました。

茶道に興味のある留学生三人は、実際にお抹茶を点てる体験をしました。とても緊張した面持ちで取り組んでいました。

 

 

 

 

 

 

自分たちが清掃した後の美しい庭園を眺めながら、幸せなひと時を過ごしました。

庭クリーニングワークショップの魅力

今回の庭園クリーニングワークショップの後、留学生に感想を伺ったところ、「庭園の清掃をしながら、庭園の造りなどをじっくりと眺めることができ、庭園の持つ素晴らしさを知ることができた」と話してくれました。

このような活動に参加することで、庭園のことが好きになったり、自然と私たちの暮らしとの関わりを考えるきっかけになると、改めて感じました。

また、庭園を眺めながらお茶をいただく時間は、自然と文化との繋がりを感じることができるひと時だと思いました。

 

OUIKでは今後も引き続き、庭園クリーニングワークショップを行っていく予定ですので、

ご興味のある方はぜひご参加ください。

 

報告:成嶋 里香(OUIKインターン)

 

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