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国際シンポジウムの先掛けとして、都市代表者が金沢市で集まり、都市自然再生の解決策を議論

2025年5月20日、金沢市のしいのき迎賓館にて、都市の自然再生に関する国際ワークショップが開催されました。本イベントは、UNU-IAS OUIKと金沢市の共催により行われ、都市生態系再生国際シンポジウムin 金沢 「金沢から考える 都市の緑と文化、人々のつながり」の先掛けとして開催されました。約20名の参加者には、キスム(ケニア)、イロイロ(フィリピン)、コーチ(インド)、クリチバ(ブラジル)、イスタンブール(トルコ)、パリ(フランス)、トロント(カナダ)、シアトル(米国)、揚州(中国)、金沢(日本)など各国の都市代表や、ICLEIアフリカ、UNEPなどのパートナーも参加しました。

午前のセッション「都市の自然再生における市民参画」(Community Engagement in Urban Nature Restoration) では、市民を巻き込んだ都市生態系の再生に成功している事例が共有されました。金沢は、1987年から始まったホタルの生息地保存を目的とした長年の取り組みと、ホタルの年次観賞会について紹介しました。キスムは、コミュニティー主導の対話、市民による樹木植樹、廃棄物管理などの活動を紹介。イスタンブールは、スポーツや市民科学を通じた生態系の再生と参加促進の取り組みを共有しました。シアトルは、政治的関心が限定的である中でも、若者の参加を促す生態系プロジェクトや環境教育、雇用創出を中心した取り組みを強調しました。

グループディスカッションでは、参加者は市民参画の主要な課題として、資金不足、公衆や行政の気候変動や生態系再生に対する認識不足、多様な年齢層の参加の難しさを指摘しました。一方で、生物多様性への関心の高まりや、保全に関連した雇用の新たな機会、コミュニティーの参画拡大の可能性も前向きな傾向として挙げられました。

午後のセッション「文化と持続可能な観光のための都市の自然利用」(Urban Nature Utilization for Cultural and Sustainable Tourism)では、観光振興と環境保全の両立に向けた戦略について議論されました。金沢は、観光客の流入管理や歴史的庭園の保護に関する戦略を紹介し、揚州は、持続可能な観光を確保するために生態系サービスを評価・監視する総生態系産物(GEP)の活用例を紹介。コーチは、水路や運河の再生、伝統的ルートの復元、電動水上メトロの導入による都市洪水対策などの取り組みを共有しました。

プレゼンテーション後には、アクセス、文化的アイデンティティ、生物多様性、環境教育などのテーマについてグループ討議が行われました。コロナ後の観光管理のための事前登録システムの導入、エコツーリズムの推進、地域の物語を活用した持続可能な観光の支援策などについて様々なアイデア出しを行いました。また、地震後の復興に向けて、コミュニティースペースや遊び場を通じて社会的結びつきを促進する新しいアプローチや、伝統的な庭園や地域の記憶を取り入れた生態系の再生の重要性も議論されました。保護区域やスマートパーク設計の必要性も強調されました。

ワークショップは、兼六園にてガイド付き見学で締めくくられました。これにより、参加者は文化遺産と生態系の再生が都市環境においてどのように成功裏に融合できるかを具体的に理解することができました。

これらのワークショップは相互学習を促進し、参加者間の交流を深めるとともに、5月22日に予定されている国際シンポジウムに向けた重要な議論の場を提供しました。

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