令和6年度第2回能登GIAHS生物多様性ワーキンググループ(WG)の会議が、2024年12月12日(木)の午後、七尾市役所で開催されました。会議には、専門家や自治体の担当者、関係機関のメンバーが参加し、能登地域の生物多様性モニタリング活動と今後の方針について活発な議論が行われました。会議は、オンライン参加を含めて27名が出席しました。
まず始めに今年度の状況について共有し合いました。生物多様性のモニタリング活動としては、震災と豪雨の影響により、観察会の実施が危ぶまれましたが、七尾市で4校、志賀町で1団体、珠洲市では9校で18回の観察会が継続して行われました。その他、専門家メンバーからはトキの餌場の調査や、隆起したエリアで生物調査や、海底地形、藻場の調査などを実施していることが報告されました。安全性の懸念や講師のスケジュールにより開催が難しい場合もあったため、観察会に適した安全な場所の把握や講師の確保などの必要性が共有されました。さらに今回ご参加頂いたオブザーバーの方も交えて、今後の連携の可能性について意見交換が行われました。
そして、里山と里海の生き物に関する新しい教材とポスターが完成し、今後地域の小学生や市民との生物多様性のモニタリング活動で使用され、ポスターも今後希望する学校へ配布されることが共有されました。10月初旬に予定されていた町野地区での震災後の調査は、豪雨が発生し中止となりましたが、今後豪雨の影響も含めた調査の実施に向けて、準備を進めていくことが確認されました。
来年度は、5年ごとに改定される世界農業遺産保全計画の最終年度であり、5年に一度の専門委員会の審査や保全計画の見直しに向けて、WGで取り組んでいくべき内容が議論されました。生物多様性のモニタリングの仕組みや体制について今後も議論を深めていく必要があることが確認されました。
会議の最後に、環境省が東北の震災後に立ち上げた「しおかぜ自然環境ログ」の取組が紹介されました。能登地域においても、今後は環境省の取組や学会、地域外の研究者とも連携し、震災や豪雨の影響を把握しながら、地域の復興に向けた協力の可能性を探っていく展望が示されました。 次回のWGは2025年3月に予定されています。