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能登:アーカイブ

ごっつぉ草紙 Red data cook book

2018年、国連大学OUIKでは「世界農業遺産(GIAHS)能登の里山里海」の価値を次世代に伝えるため、教育絵本「ごっつぉをつくろう」を制作しました。この本は季節ごとに様々な地域の食材を使いながら能登の祭りごっつぉ(ご馳走)を作っていく物語です。「食」を通じて能登の農業や生き物、文化の理解を深めることを目的としています。

2019年、このその絵本を元に輪島市で「地域に根ざした学びの場・まるやま組」では地域のご馳走の食材をあつめながら自然や文化について学ぶモデル授業「三井のごっつぉproject」を輪島市立三井小学校の児童を対象に行いました。

この「ごっつぉ草紙 Red data cook book」は一年を通して行ったこの教育活動の記録です。さらに授業の中では紹介できなかった地域に残る郷土料理や食材など「ふるさとの味」を季節ごとに紹介しています。

 

発行   2020年10月16日 World Food Day

制作   能登地域GIAHS推進協議会

協力   輪島市立三井小学校、輪島市三井公民館、市ノ坂集落、輪島エコ自然農、能登SDGsラボ、能登里山里海SDGsマイスタープログラム

企画・編集・デザイン・写真  萩のゆき(萩野アトリエ、まるやま組)
萩野紀一郎(富山大学芸術文化学部、まるやま組)

モニタリング・解説  伊藤浩二(岐阜大学、能登SDGsラボ連携研究員、まるやま組)

発行   国連大学サスティナビリティ高等研究所 いしかわ・かなざわオペレーティング・ユニット(UNU-IAS OUIK)

 

アジア生物文化多様性国際会議開催一周年記念国際フォーラムシリーズ議事録〔電子版〕

2016年10月、石川県七尾市で開催された第1回アジア生物文化多様性国際会議から1年後、石川宣言の実施を推進するため、2回シリーズの国際フォーラムをが開催されました。

 

シリーズ第一回(2017年10月4日)

生物文化多様性とSATOYAMA -自然共生社会を目指す世界各国の取り組みを知る-

 

シリーズ第二回(2017年10月15日)

生物文化多様性を次世代が敬称する為に-東アジアの連携を考える-

 

能登生物多様性研究会の発足

能登の里山里海がFAOにより世界農業遺産(GIAHS)に認定されてから5年の節目を迎えようとしています。OUIKではそれに伴うアクションプランの改定作業やモニタリング作業の支援などを行ってきました。

中でも、4市5町にわたる能登地域で行われている生物多様性モニタリングの活動は、各市町や各種民間団体が独自に行っている生き物調査が中心であり、能登地域全体として統一されたモニタリング手法や生物多様性に関する情報発信や地域の方々と共有するしくみはまだ開発されていません。この現状を受けて、OUIKと金沢大学里山里海プロジェクトが中心となり、能登の生物多様性モニタリングや関連活動を通じて能登GIAHSに貢献するための生物多様性研究会を設立しました。メンバーには地域で生物多様性保全や環境教育に取り組んでいる民間団体の方々、能登の関連する研究機関の方々に参加いただいています。

1月23日には、OUIKがオブザーバーとして参加している、能登GIAHS活用実行委員会と能登GIAHS推進協議会の場で同会の発足を報告しました。今後は推進協議会の生き物しらべや関連する事業と連携しつつ、能登GIAHSとして豊かな生物多様性の保全とモニタリング、そして発信に貢献してゆきます。

バイオームイベント in 七尾(ななおSDGsスイッチ!)

2022年10月1日に七尾市内でスマホアプリ「バイオーム」を使った生きもの調査が「ななおSDGsスイッチ!」の主催で、北陸電力(株)、(株)バイオーム、能登GIAHS推進協議会、七尾市たかしな地区活性化協議会が共催する形で、実施されました。

国連大学も能登GIAHS推進協議会の活動を支援しており、同協議会内の能登GIAHS生物多様性ワーキンググループのメンバーが企画段階から支援を行い、イベント当日はワーキンググループの専門家メンバーである野村進也さん(いしかわ自然学校インストラクター)が講師を務め、現地では他のワーキンググループのメンバー、国連大学の小山明子研究員、木下靖子さん・岸岡智也さん(金沢大学)も活動をサポートしました。

当日は、天候にも恵まれ、雲一つない青空の下、80名の参加者と、30名の関係者が集まりました。

主催者の方、そして地域の代表の方からの挨拶の後、小山研究員からアプリの使い方と生き物調査の流れ、そして10月末までに能登エリアで10種の生き物を見つけるという事がバイオームのクエストとして今回設定されていることなどの説明を行いました。

次に、野村さんから今日見つかりそうな生き物や、注意すべき生き物、対処方法などの説明がありました。蜂や蛇を見つけた時にどうするのか、というクイズ形式の質問に大人も迷う場面もあり、野外活動の基礎知識として大切な事が共有されました。

いよいよ二つのグループに分かれて生き物採集スタートです。1つ目のグループはまずグラウンド脇の水路とその周辺で生き物を探し、もう一つのグループは集落の田んぼの横の水路とその周辺で生き物を探しました。

何かいるかな?真剣な様子

トンボを捕まえるぞ!

レアな生き物いるかな?

 

 

 

 

 

 

 

途中で2つのグループで場所を交代して、最後にグラウンドに戻ったら、それぞれの場所で集まった生き物を同じような生き物ごとに分ける時間です。動きの速い生き物に戸惑いながらも、少しずつコツをつかんで子供たちも自分で上手に分けていました。準備ができたら早速アプリでそれぞれ投稿してみました。正しくAI判定されたかな?

アプリで投稿してみよう!

最後に野村さんから見つかった生き物について解説をしてもらいました。水路ではメダカやドジョウ、エビ、カエル、水生昆虫、貝類など、色んな生き物が見つかっていました。そしてトンボやバッタなどの昆虫だけでなく、カナヘビなんかも見つかっていました。生き物達にとって、田んぼの環境は少しずつ変わってきてしまってきてはいるというお話しもありましたが、それでもこれだけ沢山の生き物がまだこの辺りにいるということが分かって良かったです。

生き物の解説

赤とんぼ

ケースの中で脱皮までしていたカナヘビ

 

 

 

ドジョウ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、最後には参加してくださった皆さまに、生物多様性ワーキンググループで選んだ能登の里山里海の様子を知るのに重要な生き物を紹介する下敷きが参加特典として配布され、10月末までに特にこれらの生き物をバイオームで報告して欲しいという事が伝えられました。

何よりも、子供だけでなく、参加したお父さんお母さんも心から楽しんで生き物を探し・観察している様子が印象的でした!このイベントをきっかけに、生き物や自然に興味を持ってくれる子供や大人が1人でも増えたら嬉しい限りです。クエスト期間は10月いっぱい続きますので、ぜひぜひ生き物の情報を投稿してもらえたらと思います。

 

生物多様性ワーキンググループの教材などについては、ワーキンググループのホームページもぜひご覧ください。

OUIK 生物文化多様性シリーズ#4 「地図から学ぶ北陸の里山里海のみかた」

OUIK初のマップブックとして、北陸地方の里山里海の現状や変化、多様な見方を地図から学ぶ教材を発刊しました。北陸地方(石川、福井、富山、新潟、岐阜)のスケール、石川県のスケール、七尾湾のスケールといったマルチスケールでの地図情報をまとめています。(PDF:95MB)

関連ページ(Collections at UNU)  http://collections.unu.edu/view/UNU:6540

OUIK 生物文化多様性シリーズ#3「能登の里海ムーブメントー海と暮らす知恵を伝えていく」

2015年度からOUIKが能登GIAHSを構成する市町と開催してきた里海シリーズ講座の内容をまとめたものです。海を利用してきた地域に伝わる知恵、それらを守り、現在の社会環境に合わせて活用していく取組みをまとめています。

【開催報告】里山川海のつながりを考える勉強会・アカテガ二の産卵観察会   

2022年828日に、「のと海洋ふれあいセンター」に協力頂き、能登の里山と里海、そしてそれをつなぐ川や沿岸域の役割などについて学び考える勉強会と、里山と里海をつなぐ代表的な生き物であるアカテガ二の産卵の観察会を開催しました。 

里山川海のつながりやアカテガ二に関心がある地域の研究者や教育・自然体験に携わっている方など15名の方が現地で参加しました。 

里山と里海のつながりをもっと良いものにしていくには? 

 

国連大学IAS OUIK所長 渡辺綱男 

まずは国連大学OUIK所長の渡辺綱男から勉強会開催に当たって挨拶がありました。生物多様性国際条約の今後10年の目標が議論されている中、自然をもっとよい状態に回復させていくネイチャーポジティブが注目をあびています。アカテガニの観察を通して、能登の里山と川と海のつながりをもっとよいものにしていくことを考えるきっかけとなればと述べました。そして、北海道の知床半島と釧路湿原を事例に、地域で目指す姿を共有して一丸となって活動し少しずつ実現していくことの大切さについて触れました。 

 

 

能登半島における₋里山と里海のつながり

 

石川県立大学特任教授 柳井清治氏

続いて、石川県立大学の柳井清治先生から能登半島の里山と里海のつながりについてアカテガニの生態を事例に講義いただきました。アカテガニは特徴的な生活史を持っています。冬から春にかけて土の中で冬眠し、20度を超える夏から秋にかけて陸上で活動し、水中で脱皮、ふ化したばかりの幼生(ゾエア)を海に放つという陸と海を行き来する生活を送っています。また、河口沿岸域では、放たれたゾエアがたくさんの魚の餌となり、水域の生態系を支えていることが分かっています。 

 

 

その後、ゾエアは海で成長し陸上に戻ってきますが、隠れ家として水際に植物が存在する場所が必要となります。しかし、堤防などで森と海が分断され、良好な生息場が消滅していることなどから、能登半島でも生息数が減少しているそうです。最後に、森のエネルギーを海へと運搬するアカテガニが住める環境を整えることは、生態系回復につながる重要な方向性の一つとなるではないかとお話をいただきました。 

 

ヤツメウナギで考える海と川と色んなつながり 

 

のと海洋ふれあいセンター 荒川裕亮氏

次に、のと海洋ふれあいセンターの荒川裕亮さんから、ヤツメウナギの生態を事例としたに、海、川、山のつながりについてご紹介いただきました。ヤツメウナギの一種であるカワヤツメは、川で産卵し、川で成長したのちに海を回遊して、また川に戻ってくるというサケと同じ遡河回遊性の生活史を持っています。カワヤツメは環境を良くする「エコロジカルエンジニア」としての役割も担っていて、幼生時には土の中に潜り、低酸素状態の土の状態を良くすることに貢献しているうです。また、川を遡上し川で息絶えることで海の栄養を川と森へ運ぶ役割も担っています。 

 

しかし、堰堤などの構造物が障害となって川上できないことも一因となり、能登半島でもかつては栄えたカワヤツメの漁業文化が衰退しています。またヤリタナゴやカワシンジュガイなどのヤツメウナギに依存した種も減少しているとのことでした最後に、カワヤツメのような種に着目して、生物間のつながりや人とのつながりを学び、それを起点に、地域で目指すべきゴールや問題を考えていくのは有効なのではないかと提言いただきました。  

自然と人のより良い関係づくりを目指して 

 

TABITAIKENネット 越石あきこ氏

最後に、TABITAIKENネットの自然体験コーディネーターである越石あきこさんから、自然と人とのより良い関係づくりのための自然体験活動の事例を紹介いただきました。遠洋漁業のまちで育った越石さんは、高校生の時の教師の「漁師が海を汚している」という言葉に衝撃を覚えたそうです。そして、金子みすゞの詩「大漁」に出会い、生き物はすべて他の生き物に支えられて生きていることを忘れてはいけないと思いながら活動しているそうです。 

 

 

 

2000年にアカテガニの神秘的な生態を知り、参加者にも紹介したいと思い、観察会を企画。自然の中で生き物の時間を感じ、参加者と感動発見する喜びを分かち合いたいと考え、それ以来、観察会を継続しているそうです。また、「いしかわ自然学校」では自然体験の企画運営が出来る人材の育成者として、体験学習の手法に基づき、体験したことを振り返り、気づきや学びを深める体験活動を指導してきました。同時に、安全管理の観点から海での体験活動が少なかった状況下でためのと海洋ふれあいセンターと協力して、海での体験活動を増やしてきたそうです。 

 越石さんは、今後は、教育分野を観光と交えて、楽しく体験できるツアーを広げていきたいと考えているそうです。そんな中で、今年8月、のと海洋ふれあいセンターと協力アカテガニ観察のモニターツアーも実施しました命の神秘さや食物網を学び、また元漁業者の森の手入れの話を聞いて、森と海のつながりを実感できる体験を提供できるよう努めています。参加者からは、自然は全部繋がっていて色々なところが連携して関わり合い成り立っている、能登の魅力を再発見したなどの好評を得たそうです。知的好奇心を満たす質の高い体験を提供していくために、いろいろな方と協力しながら今後も続けていきたいとお話しがありされていました。  

ワークショップで意見交換 

3つのグループに分かれて、講義で聞いた内容や自らの経験などを踏まえて「里山川海のつながりを回復するには?」というテーマで、話し合いをしました。まず、今どんな課題があるのか意見を出し合い、そしてそれらの課題を解決していくためのアイデアを出し合いました。  

課題は?解決策は?それぞれの考えを共有

各グループでの話し合いの後には、出てきた意見をまとめ、全体で発表してもらいました。 

 課題としては、人工的な構造物が作られた目的や機能がよく分からない、つながりについて学ぶ機会が少ない、地域の食文化が失われつつある、問題意識を持っている人が少ない、などが挙げられました。 

そして、解決策としては、遊び場を復活させる」、「ワークショップやイベント、体験活動の場をつくる」、「すでに関連する取組を頑張っているところを応援する」、「年配の人の知恵から学ぶ」、「そもそもなぜ現在の森林や河川の状況になったのか理由を明らかにして、共通の理解をもつ、などなど、すでに現場でさまざまな活動に関わっている方が多く参加してくださったからこそのアイデアが沢山出ました。発表の中で、今日をスタートとして、能登の里山川海のつながりを考える取組が今後も続くとよいですね、という話も出ました。 

グループ発表

 能登の里山川海の魅力、課題、そしてその背景を学び、解決策を考える場づくり、そしてより多くの人に伝えていく工夫というのが求められている気がします。今後も関係機関や今回参加してくださったような地域の方々と協力し、そのような取組を進めていけたらと思います。 

 アカテガ二の産卵観察 

日が暮れて当たりが暗くなってきた頃、一同は海辺へ向かいました。満月のこの日はアカテガニが、森から海へ移動し産卵するタイミングです。アカテガニは7月〜9月の大潮・満月の頃に多く 産卵するので、この回が今年最後の観察のチャンスかもしれません。目的地へ向かう途中から、道にはたくさんのアカテガニが発見されました。お腹に卵をたくさん抱えたメス、大きな体のオス、道路を渡って反対側の海へ向かっています。 

海へと移動中のメス

お腹には沢山の卵が!

 

 

 

 

 

 

 

真っ赤な大きなハサミを持つオス

船乗り場へ続く芝生の上にもたくさんのアカテガニがいました。ライトを当てられると一瞬止まったり、また動き出したり、ゆっくりと慎重に水辺へ向かっています。 

水中で放仔し幼生(ゾエア)が水の中を漂う場面も観察することができました。 

柳井先生曰く、この日産卵したアカテガニはいつもよりは少なかったとのことです。それでも多くのアカテガニを観察でき、一同、大満足の観察会となりました。  

放仔するメスと放たれた幼生(ゾエア)(写真提供:岸岡智也)

生き物との出会いを楽しみ、共有する

 参加者からは「また是非参加したい。里海と里山のつながりがよく理解できたし、アカテガニが住みやすい環境を作ることは能登に住む人々の暮らしにもメリットがある」など、意見をいただきました。 

 

生きもの調査 in 能登島

2022年5月24日、能登島小学校5年生の皆さんと、長崎町の岩礁海岸にて里海の生物多様性について知ってもらうための生きもの調査を行いました。国連大学も活動を支援している能登GIAHS生物多様性ワーキンググループと七尾市で企画・準備を進め、ワーキンググループの専門家メンバーである坂井恵一さん(金沢大学環日本海域環境研究センター)に講師をお願いしました。現地では他のワーキンググループのメンバー、国連大学の小山明子研究員、柳井清治さん(石川県立大学)、木下靖子さん(金沢大学)、源内伸秀さん(能登島の里ながさき)
に加え、国連大学の富田揚子と小林秀輝さん(金沢大学)も活動をサポートしました。

はじめに坂井さんのお話を聞きながら、今日のスケジュールを確認しました。「里海で発見できる生きものを知っていますか?」という質問に対して、児童たちは「タイ」、「フグ」と色々な生きものを挙げていました。坂井さんが「今から行く海岸にはたくさんの生きものがいます。同じ種類のものを沢山採集するのではなく、いろいろな種類の生きものを採集して、観察してみましょう。」と説明しました。

 

 

 

 

 

 

 

 

一同はマリンブーツに着替え、箱メガネと採集した生きものを入れるバケツを持って海岸に移動しました。岩場の浅瀬にて生きもの観察の開始です。
小さな石ころのように見えるものも、近くで見てみると貝だったり、水の中を箱メガネで見てみると、小さなエビや魚がたくさん泳いでいたりと、次から次へと色々な生きものを見つける児童たち。
「魚はいっぱいおるけど、早くて捕まえれん」、「貝がおるけど、岩にくっついとって取れん」と、苦戦しながらも、後で種判別するため、グループで協力して、なるべく多くの種類の生きものを採集しました。

 

 

 

 

 

 

たくさんの生きものを入れたバケツを持って、次は種判別の時間です。講師の先生のお話を聞きながら、同じ種類の生きものをバットの上でまとめました。ワーキンググループのメンバーで作成した里海の生きものの下敷きを見ながら「この貝、同じに見えるけどちょっと違う」、「これヤドカリかな?」と児童たちは観察し、種類が判別したものをワークシートに書き込みました。講師の先生からも「石畳みたいな柄がある貝はイシダタミっていう貝やぞ」、「細長い、たくさん見つかった貝がウミニナの仲間です」と説明を受けました。シロウミウシという小さくてプニプニした生きものが、珍しかったのか児童たちは興味津々で観察していました。「3、4cmほどの小さくて可愛らしいシロウミウシがこれで大体大人のサイズなんだよ」と聞いて驚いた様子の児童たちでした。

最後はスマートフォンのアプリ(Biome)を使って、生きものの名前調べと情報投稿も体験しました。「ムラサキウニ」や「クモヒトデ」などの種類が判別できました。

国連大学では世界農業遺産「能登の里山里海」活用した持続可能な未来へ向けての教育活動をサポートしています。身近な生きものに触れ、観察したり、地域の方のお話を聞く、このような機会は能登の自然、伝統、文化を次世代に継承するための第一歩と考えています。今回の生きもの調査を経て、児童たちがより一層、自分達が住む地域に興味を持ち、今後もさまざまな活動を通して理解を深めてくれることに期待しています。

【開催報告】GIAHSユースサミットとエクスカーション(世界農業遺産国際会議サイドイベント)

石川県七尾市にて開催された世界農業遺産国際会議のサイドイベントとして国連大学OUIKは11月26日に「GIAHSユースサミット世界農業遺産を未来と世界へー佐渡と能登からつながろうー」27日に「ユースサミット参加者向けのエクスカーション」を開催しました。

ユースサミット参加高校:石川県立飯田高等学校、石川県立鹿西高等学校、新潟県立佐渡総合高等学校、日本航空高等学校石川、宮崎県立五ヶ瀬中等教育学校(計40名)

ユースサミット参加大使国:セネガル、ブルキナファソ、ペルー

ファシリテーター:県内大学生の方や能登でインターン中の大学生

 

はじめに永井三岐子(国連大学OUIK)が開会挨拶、続いてGIAHSユースサミットシリーズ第1回、第2回の開催報告が行われました。

  • 第1回「実はよく知らない世界農業遺産」 - 小山明子(国連大学 OUIK)
  • 第2回「農村の未来の可能性を次世代と共に考え、切り拓いていくために」 - 飯森 翔太郎(若者農学研究会)

セッション1「私たちが伝えたい未来の世界農業遺産」では、4つのテーマ:①農業の生物多様性と里山里海の環境の保全 ②経済の活性化 ③文化の継承と発展 ④知識の継承と発信、に分かれ、グループディスカッションを行いました。学生たちは各テーマに関連する地域ごとの特色や活動例を紹介し合い、それらにどのような価値があり、なぜ未来に伝える必要があるのかを話し合いました。県内外から集まった初めて会う仲間たちとのセッションに、はじめは緊張している様子だった高校生たちも、お互いの地域についての理解を深め、だんだんと打ち解けていった様子でした。

セッション終盤ではディスカッション中に挙がった意見を元に、今後自分たちの地域のGIAHSを守り、地域文化を継承していくためのアクションプランを練り、「GIAHSユース宣言」としてまとめました。

 

 

 

 

 

 

ランチタイムでは石川県立鹿西高等学校家庭部が考案した「GIAHS体感弁当」を家庭部員のプレゼンテーションと共に楽しみました。このGIAHS弁当は「サミット参加者がGIAHSを体感できるように」と、鹿西高校家庭部の皆さんが心を込めて企画してくださったものです。能登GIAHS内で生産、採取された40種類以上もの食材が使用され、郷土料理のかぶら寿司や能登の海で採れた岩のりも一緒に振舞われました。セネガル駐日大使は、すべて地元の素材を使っあることや高校生が熱心に取り組んでいることに感心し、「君たちはGIAHSの大使だ」と称賛されいていました。

午後に開かれたセッション2「私たちが伝えたい未来の世界遺産を形にしよう」ではGIAHSに関心を有する国々の駐日大使も加わり、午前中に行われたセッション1の結果の発表と大使による発表が行われました。各グループの高校生代表が自分たちの地域のGIAHSの多元的な価値を未来へ伝えていくために、自分たちがどのような行動を起こしていきたいか、発表しました。そして、大人たちにはどういった協力をしてほしいか、熱量を持って伝えてくれました。

一方で、参加いただいた駐日大使からは、自分たちの国の自然や景観、農業、食文化や伝統文化といった地域の資産について紹介いただきました。発表の後、会場で質問するのは少し恥ずかしかったのか、高校生は個別に大使とコミュニケーションを取り各国のユースの活動、SDGsや気候変動への関心の有無などを尋ねるなどしていました。さらにこのセッション中に来場いただいた谷本正憲氏(石川県知事)からは、「今後、若い世代を中心としたGIAHSでの地域活動に期待している」と激励のコメントを頂きました。

 

イヴォーン・ユー(国連大学OUIK)がこのサミットの閉会の言葉を述べた後、一同は本会議のクロージングセッションにて「GIAHSユース宣言」を発表すべく、会場に向かいました。

各学校を代表した高校生5名がこの日行われたGIAHSユースサミットの報告と「GIAHSユース宣言」を発表すると会場からは大きな拍手が送られました。

 

翌日27日にはサミット参加者向けのエクスカーションツアーが能登DMC協力の元、開催されました。このツアーでは新潟県立佐渡総合高校と宮崎県立五ヶ瀬中等教育学校の生徒10名と引率の先生方が参加し、ユースサミットの最後に学生たちが掲げた「体験の機会を見つけ、GIAHSへの理解を深める」という約束を具体化しました。

このツアーはGIAHSの5つの基準である、1)食料と生活の安全、2)農業の生物多様性、3)地域と伝統的な知識体系、4)文化、価値体系、社会組織、4)景観と海景の特徴、を学生に説明するために、現場を訪問し、体験することを目的として構成されました。

一番目の目的地はのとの里山・里海ミュージアムです。ここでは能登の歴史、伝統文化、環境や生物多様性の特徴について概観しました。

 

 

 

 

 

 

続いて、同じく七尾市の三次水産牡蠣養殖場を訪れ、里海のくらしを体験しました。何十年も家族経営で牡蠣養殖業を営んでいる方の経験談を聞きながら、牡蠣に付着している岩やフジツボを取り除く作業を体験をしました。その後、昼食は近くの牡蠣料理専門店浜焼き能登風土に移動し、焼き牡蠣やカキフライなど水揚げしたばかりの新鮮な牡蠣を使った里海の味を堪能しました。

昼食の後は、志賀町の細川農園に立ち寄り、この時期の里山の恵みを利用した「能登志賀ころ柿」について学びました。この産業もまた、農村地域で深刻化している後継者問題を抱える産業の一つです。代表の細川氏は「農業遺産地域には、そこにしかないストーリーをもった産業や製品がたくさんある、是非若い皆さんにはこれから色々な経験をして、将来また自分たちの地域に戻ってきて、それらを生かした活動を行ってほしい」と語りました。

 

その後一同は「里山まるごとホテル」へ移動し、東京から能登に移り住み、地域の食材を使ったレストランを営むオーナーのお話を聞きました。高校生からは「私は地元の食材を使ったお店を学校のプロジェクトとしてやってみたい」など、具体的なアイデアや意見が交換されました。

 

 

 

 

 

 

 

最後に能登GIAHSの代表的景観の一つでもある輪島市の「白米千枚田」へ足を運んだ一同は、小さな田がびっしりと並び、日本海へと続く絶景を堪能し、帰途につきました。

帰りの車中では、この2日間の感想や発見を参加者で共有しました。学生たちは「地元の方々と触れ合う貴重な機会に恵まれ、GIAHSについての知識が深まった」、「GIAHS地域にとって一番重要なのは「人」であるとわかった。今後、地域に貢献できるようにこの経験を生かしたい」と述べ、エクスカーションは幕を閉じました。

 

 

【開催報告】世界農業遺産国際会議2021

石川県の能登半島と新潟県の佐渡は、2011年に先進国として初めて世界農業遺産に認定された地域です。今年認定10周年という節目の年を迎えたことを記念し、国連大学サステイナビリティ高等研究所いしかわ・かなざわオペレーティングユニット(国連大学OUIK)は石川県、農林水産省、国連食糧農業機関(FAO)、能登地域GIAHS推進協議会と共に「世界農業遺産国際会議2021」を石川県七尾市にて開催しました。さらに国連大学OUIKは本会議のサイドイベントとしてGIAHSユースサミット 世界農業遺産を未来と世界へー佐渡と能登からつながろうーを11月26日に開催しました。

※世界農業遺産は現代に残る伝統的な農業、農法、土地利用や文化、その土地の自然や生物多様性を守り、次世代に継承することを目的に国連食糧農業機関(FAO)が、2002年に創設したプロジェクトです。

今回、3日間にわたり開催されたこの会議では、谷本正憲氏(石川県知事)などが登壇した基調講演をはじめ、ハイレベルセッションや様々な分科会を通して国内外の認定地域の代表や政策担当者、研究者などが、気候変動や生物多様性の保全などの世界的課題に関して議論しました。また、農業遺産地域間の連携を深め、共通課題に共に取り組んでいくための方策についても検討されました。

会議初日、渡辺綱男(国連大学OUIK)がモデレーターを務めた分科会2〈社会〉テーマ:「GIAHSの動的保全を担う人材の確保・育成」では、金田直之氏(能登GIAHS推進協議会)、麥島洋介氏(有限会社阿弥陀ヶ滝観光)、林浩昭氏(国東半島宇佐地域世界農業遺産推進協議会)、ユーラリー・ドゥルヌアン氏(フィリピンイフガオ州立大学)、ピエトロ・クラリチ氏(農業生産法人クラリチ)、パク・ヨノ氏(韓国農漁村公社・農村遺産協会)、が登壇し、コメンテーターは中村 浩二氏(金沢大学)が務めました。登壇者は各GIAHS地域の人材育成や保全活動について紹介し、意見交換を行いました。またイヴォーン・ユー(国連大学OUIK)は、GIAHS保全活動をさらに発展させるために、GIAHSのモニタリングと評価の実施と、国内外GIAHS間の連携強化が不可欠とコメントしました。

会議2日目のクロージングセッションでは「能登コミュニケ2021」が採択され、

①国内外の農業関係者や農業政策立案者との活動成果や情報の共有

②認定地の生態系や環境との調和

③地域資源を活用した新たな経済活動の創出

④気候変動や生物多様性などの世界的課題や国連の持続可能な開発目標(SDGs)への貢献

⑤開発途上国の候補地域支援

などを含めた8項目が発表されました。

クロージングセッションでは、国連大学OUIKが同日に開催したGIAHSユースサミットにて県内外のGIAHS地域の高校生が作成した「GIAHSユース宣言」も発表され、採択されました。

最後に谷本 正憲氏(石川県知事)、赤松 忠幸氏(農林水産省大臣官房審議官(兼 農村振興局))、遠藤 芳英氏(国連食糧農業機関(FAO)GIAHS事務局 GIAHSコーディネーター)、渡辺 綱男(国連大学OUIK所長)が会議参加者や関係者へ向けて感謝の意を表すとともに、今後の抱負を述べ、閉会のあいさつとしました。

 

国連大学OUIKが国際会議のポスターセッションにて掲示したポスターは以下から閲覧いただけます。

 

GIAHS Biodiversity WG Poster Jp Eng

Introduction of Technologies on Characteristic Analysis

OUIK_能登の里山里海映像制作‗ポスター

Education on GIAHS

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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