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【イベント告知】観光とSDGs – 2030年の金沢の文化と観光を考えよう –

★このイベントは、オンライン配信(Zoom)で開催します。参加をご希望の方は以下のURLから事前登録をお願いいたします。

オンライン参加申し込み:https://unu-edu.zoom.us/webinar/register/WN_VfVrZMmpRPCWR_mohuEgKA

文化の力を借りて、持続可能で包摂的な観光と地域づくりを実現していくには、どのように行動していくのが良いでしょうか。

2015年に採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」(2030アジェンダ)とその貢献を測定する「持続可能な開発目標」(SDGs)は、あらゆる人、地球、そして繁栄のための行動と平和を目指し、コレクティブアクションを促しています。「文化」は、あらゆる人と人の社会を構成する重要な要素であるものの、SDGsの中で目標として明確に位置付けられていません。一方で、「2030アジェンダ」を進める原動力としての役割、そして個別の文化活動ごとでSDGsとのつながりは指摘されています。一例として、多様な文化を尊重しつつ、創造的な文化活動を促進し、多様な方の文化活動への参画を促していくことは、「持続可能な観光」につながり、そのうえで「2030アジェンダ」、持続可能な地域づくりが実現されていきます。

本セミナーでは、「2030アジェンダ」が目指すトランスフォーメーション(変容)を実現するために、「文化」が持つ力と貢献を振り返り、特に、「文化」と、それに伴う観光の文脈で「地域」で具体的にどのように取り組みを進められるか、確認します。そして、多様な「文化」が息づく金沢において、金沢が目指す「地域」と「来訪者」が持続可能で包摂的な地域を「共創」していくような、2030年の金沢の「文化」と「観光」のあり方を、どのように具体的に想像して実行していくことができるのか、考えていきます。

 

日時2022年12月19日(月)18:00-19:30

開催場所:オンライン開催(Zoom 。

参加者:制限無し。事前登録制。こちらのリンクからお申し込み下さい。

プログラム 

(敬称略)

司会進行:UNU-IAS OUIK プログラムアソシエイト 冨田揚子

18:00 開会

18:00- 18:10 導入「持続可能な社会に向けた文化と観光がなす循環に向けて」(仮)

UNU-IAS OUIK 研究員 津田祐也

18:10 – 18:25 講義「地域における文化・創造産業の持続可能な発展とSDGsへの貢献」(仮)

国際連合教育科学文化機関(UNESCO) 文化局 文化的表現の多様性の保護及び促進に関する条約 事業ステークホルダーユニット長 吉田礼子

18:25-18:35 講義「海外旅行客のサステイナビリティ意識」(仮)

To be Named

18:35-19:05 事例紹介「持続可能な地域のための文化活動と観光」

九谷光仙窯 利岡光一郎

kanazaWAZA研究所 澤田雅美

金沢21世紀美術館 吉備久美子

19:05-19:30パネルディスカッション(Q&A含む)

「持続可能で包摂的な地域が共創される、金沢の文化と観光の2030年を考えよう」

モデレーター:UNU-IAS OUIK 研究員 津田祐也

パネリスト:九谷光仙窯 利岡光一郎、kanazaWAZA 澤田雅美、金沢21世紀美術館 吉備久美子

19:30 閉会の挨拶

UNU-IAS OUIK 所長 渡辺綱男

 

主催 国連大学サステイナビリティ高等研究所いしかわ・かなざわオペレーティング・ユニット(UNU-IAS OUIK)、IMAGINE KANAZAWA 2030推進会議

後援

 

 

登壇者プロフィール

 

津田祐也

国連大学サステイナビリティ高等研究所
いしかわ・かなざわオペレーティング・ユニット
研究員

石川県金沢市まちづくりの中でSDGs推進や持続可能な観光推進の政策支援や研究に携わる。前職では建設コンサルタント会社にて、途上国、特に東南アジアのインフラ開発・ODAなど国際開発分野での営業や事務に従事。その後、マンチェスター大学国際開発研究所にて国際開発学(グローバリゼーション・貿易・産業)修士号取得。UNESCO世界遺産センター「世界遺産と持続可能な観光」プログラムにてインターンを経験後、2021年1月より現職。東京大学文学部歴史文化学科、同大学院人文社会系研究科形象文化コース(考古学専門分野)修了。石川県かほく市出身。
 
 

吉田礼子

国際連合教育科学文化機関(UNESCO)
文化局 文化的表現の多様性の保護及び促進に関する条約
事業ステークホルダーユニット長
 
創造産業における規制枠組みを発展させ、参加型政策モニタリング、政策助言、ピアラーニングを進めるための国レベルの能力強化を行うプロジェクトを監督し、ステークホルダーを動員するための行動を管理している。以前は、日本万国博覧会への国連参加の準備のためのコーディネーター、アフリカ地域オフィサー、無形文化遺産保護条約広報オフィサー、タンザニアダルエスサラームのユネスコ事務所オフィサー(出向)を歴任。カナダのマギル大学より人類学学士・修士、および教育学博士号取得。
 
 

中川聡美

トリップアドバイザー
アカウントエグゼクティブ

国内外の旅行会社、海外DMOを経て2021年に世界最大の旅行口コミサイト「トリップアドバイザー」入社。現在は日本のディスティネーション・マーケティング担当として、主にインバウンドプロジェクトに関わり、海外から国内各地方への旅行者誘客を目的としたマーケティングとプロモーションを支援している。
 
 
 

利岡光一郎

九谷焼窯元 九谷光仙窯
5代目/代表

1980年金沢市生まれ。筑波大学芸術学群卒業後、2007年から九谷光仙窯の代表となる。皇族や総理大臣も来窯し、またアートアクアリウムやvisvimなどの依頼も手掛けている。また2021年にIKIプロジェクト実行委員会を設立し、工芸のみならず金沢の文化を地域の青年が楽しむ企画を実施している。金沢大学理工学域非常勤講師。

 

澤田雅美

kanazaWAZA研究所
代表

10代〜海外へ多数渡航し、多数の文化、民族に触れ、その特徴を紐解く感覚を磨く。2000年、世界の品を扱う店舗を開業、2007年オリエンタルスタジオを主宰、2018年には「地域文化をエンターテイメントで発信」するクリエイティブ集団のkanazaWAZA研究所を立ち上げ、多数のプロジェクトを運営している。2019年〜郷土文化をエンタメ化した『珠洲エキゾ盆』、歴史を地域アーティストが繋ぐ『珠姫の物語』、地域課題をアートで解決する『TAKETOKI』など。人々の楽しむエネルギーを地域の力に変換し、「まちづくり」に人々を巻き込んでいる。

 

吉備久美子

金沢21世紀美術館
エデュケーター

英国エセックス大学大学院修了。2003年金沢21世紀美術館建設事務局へ入局し、2004年より現職。金沢市内で学ぶ小・中学生約4万人を開館記念展へ招待する学校連携事業を経て、2006年からは小学校4年生を毎年招待する「ミュージアム・クルーズ」を担当。2018年に「誰にとっても来館しやすい、楽しい美術館はどんな場所?」をテーマに掲げ、ろう者とともに作品鑑賞会や映画上映会などを実施。現在開催中の福祉実験ユニット・ヘラルボニーによる「lab.5 ROUTINE RECORDS」展を担当。

 

OUIK 生物文化多様性シリーズ#5 金沢の庭園がつなぐ人と自然  ー持続可能なコモンズへの挑戦ー

金沢の日本庭園の活用方法を防災、観光、景観など多面的なアプローチから解説すると共に、持続可能な都市と生態系保全に向けたアイデアを提唱しています。

国連持続可能な開発目標に向けた 青年キャパシティ・ビルデン グ・ワークショップ

日時 / Date : 2016/07/15 13:00 -17:00
場所 / Place : 金沢大学中央図書館 オープンスタディオ 2階

国連大学サステイナビリティ高等研究所と金沢大学留学生センターは、日本で学ぶ留学生によるSDGsワークショップを開催します。このワークショップは、7月11日から14日まで行われる、金沢市を中心としたSDGs達成のためのフィールドワークの報告会を兼ねています。金沢大学留学生センターに在籍する留学生、国連大学サステイナビリティ高等研究所のアカデミックプログラムの修士、博士課程で学ぶ留学生が「創造都市・金沢」を建築、エネルギー、教育、自然資源管理などの側面から議論します。

SDGsに興味がある皆様のご参加をおまちしております。言語は英語のみとなります。 ご登録は ryukou@adm.kanazawa-u.ac.jp まで氏名、御所属を記載のうえお送りください。

OUIK 生物文化多様性シリーズ#4 「地図から学ぶ北陸の里山里海のみかた」

OUIK初のマップブックとして、北陸地方の里山里海の現状や変化、多様な見方を地図から学ぶ教材を発刊しました。北陸地方(石川、福井、富山、新潟、岐阜)のスケール、石川県のスケール、七尾湾のスケールといったマルチスケールでの地図情報をまとめています。(PDF:95MB)

関連ページ(Collections at UNU)  http://collections.unu.edu/view/UNU:6540

ホタル調査 in 菊川

7月1日金曜日に、国連大学 IAS OUIKは、菊川公民館と共催で金沢市内の幸町、および菊川にて市民参加型のホタル生息調査ツアーを実施しました。昨年も開催されたこのホタル調査イベントはOUIKのフアン研究員が進める、SUNプロジェクト(持続可能な都市自然プロジェクト)の一環として開催しました。鞍月用水沿い、用水付近の庭園を訪れ、都市自然を楽しみつつ、ホタルの生態を調査しました。

はじめに菊川公民館に集まった参加者はOUIKのフアン研究員と津田研究員から金沢の都市自然やそれを利用した持続可能な観光への取り組みについての説明を受けました。フアン研究員は金沢にはグリーンインフラという自然を活用したインフラの仕組みが多く存在すること、それらの一部である用水や庭園を都市自然として、そして文化として保全する必要性、さらに保全に向けた活動を紹介しました。津田研究員は、これらの金沢固有の資源を様々なステークホルダーがパートナーシップを組んで維持管理し、さらに観光業を交えた持続可能な形で保全するための協働モデルについて紹介しました。

その後、金沢ホタルの会会長・石川ホタルの会事務局長の新村光秀さんに「ホタルの不思議」について講義をいただきました。新村さんは金沢市役所にて里山や農業、林業の活性化に関する業務を行う傍ら、ホタルに関する活動を40年近く行なってきたそうです。昭和32年に子供会と協力し「ホタル調査」を開始し、現在に至るまでこの活動は続いています。三十数年間もこのような調査が行われている金沢のケースは珍しいですそうです。

※以下、講義の内容

ホタルの名前の由来について

松明の火の粉や人魂のイメージから命名されたとする説があります。「火」のことを「ほ」と読んでいた時代があり、「ほがたれる」→「ほたる」となりました。そのほか「流れ星」がホタルの名前の由来となったとする説もあります。

ホタルの種類について

世界に2000種もいるホタル、日本には暖かいところを主に50種、石川県には7種生息しています。日本ではホタル=水辺のイメージがありますが、ホタルのほとんどは幼虫の時、土の上で過ごす陸生だそうです。しかし、日本で有名なゲンジホタルとヘイケホタルは幼虫が水の中で過ごす、実はとても珍しい種類のホタルです。

ホタルはみんな光るの?

日本に生息する50種ものホタルで成虫が光るのは4種のみ、さらに卵段階から生涯に渡り光るのはゲンジホタルとヘイケホタルのみです。

 

 

 

ゲンジとヘイケの違いについて

見た目、発生時期、飛び方が異なりま、ゲンジのオスの大きさは1.5cm、メスは約2cmにもなる一方、ヘイケは1cm弱です。模様の特徴として背中の模様がゲンジは十時形していてヘイケは縦筋模様をしています。またゲンジ6月上旬、ヘイケは7月中旬から発生します。発生時期は場所によっても異なりますが、温暖化の影響により、全体的に出現の時期が早くなってきています。ゲンジは2秒間隔で光を発しながら飛びます。一方、ヘイケはゲンジより短期的な間隔で光を発し、低空を飛びます。

オス・メスの違い

オスは光りながら飛び回り、メスは一点に留まっています。飛び回るオスに対し、メスが信号を送り、オスがそれを受け入れると結婚に至ります。

ホタルの生息に必要なこと

夜暗いこと、日中日陰となる草木があること、水がきれいであること、石や砂、土があること、エサ(カワニナ)がいることが重要です。

ホタルの生息数の変化について

ゲンジは下水道の整備により、川の水質が改善し生息地点は微増しています。一方、生息エリアの異なるヘイケは耕作放棄地、除草剤の利用の増加により、全国的に生息地が減少しています。金沢市に残る、江戸時代に作られた用水は石積みの用水です。これらには石と石の間に隙間があり、隙間は草が生え、生き物が隠れることができるスペースとなります。これは生き物が生息しやすい環境です。そのため、市内でもホタルが観察できます。

ホタルが住みやすい環境があること、ホタルが住んでいることは都市自然が豊かであるという事。そのため、地域の方々と協力して、ホタルの保護活動を行うことが重要です。

いざ、ホタルを観察へ

講義のあと、一同はホタルマップを手に町内を散策しました。

 

 

 

 

 

 

いつも何も注意せずに歩いている通りでも、目を凝らすとそこには用水があり、ホタルが飛んでいます。こんなに近くに住んでいるのに、今までホタルを見た事はなかった」といった声も多く上がりました。また、ホタルが生息しているのは用水だけではありません。用水の水を引き入れた庭園内の池でもたくさんのホタルを発見することができました。

参加者はそれぞれのホタル観察ポイントで何匹ホタルを発見できたかを調査シートに書き込み、提出して頂きました。

ホタルを通して、夏の夜のせせらぎを楽しみ、金沢の都市自然についても学ぶ、今回のような活動を通して、今後もより多くの人々に、都市自然や生物多様性の重要さを知ってもらいたいと思います。

ホタルの生態や金沢市のホタル生息調査の歴史について詳しくは「金沢ホタルマップ30年のあゆみ」もご参照ください。

 

 

 

IMAGINE KANAZAWA 2030 パートナーズ交流会 #10(2022年3月25日)の開催

IMAGINE KANAZAWA 2030パートナーズの第10回目の交流会が2022年3月25日に開催されました。時間が経ってしまいましたが、こちらで報告いたします。2022年度最後の交流会は、COVID-19も落ち着き、久々に会場にて開催できました。今回の交流会では、以下の団体の方がピッチプレゼンを行いました。

●発表団体
1)花王グループカスタマーマーケティング株式会社
Kirei Lifestyle Planの実現
2)株式会社こみんぐる
地域社会の持続可能な発展に貢献する宿泊業のあり方

花王グループカスタマーマーケティング株式会社さんは本交流会では2回目のご登壇です。花王グループは生活者向けのコンシューマープロダクツ事業や産業界向けのケミカル事業を行うなど、様々な商品を生み出し続けています。ESG戦略としてKirei Lifesytle Planを掲げ、社会コミュニケーション部門を設置。多様なコミュニティーとの積極的なコミュニケーションを行い、環境、健康、衛生、多様性の観点から社会貢献活動を行っています。生活者の身近なところから貢献すべく、啓発講座を行い、持続可能なライフスタイルを送りたいという思いや行動に応えることを目指しています。

株式会社こみんぐるさんは、100年後も、家族で暮らしたい金沢をつくることを目指し、金沢市旧市街地を中心に24棟の宿泊施設を運営する「旅音」事業を展開しています。「旅音」を旅行者と金沢のきっかけを生むための事業として捉え、金沢ファンを世界中に作ることを目指しています。宿泊施設として、金沢の木造の歴史的建造物である「町家」を活用し、金沢市の景観保全にも貢献している事業ですが、その町家の運営物件数を増やしていきたいと考えているそうです。

また、自然環境に負荷をかけない取り組みを進めていきたいと考えているとのこと。特に、アメニティの素材や備品、それに伴うゴミの取り扱いなどに配慮しつつ、宿泊者のより良い体験を維持し、満足度を保つための方法について検討中とのことです。

IMAGINE KANAZAWA 2030パートナーズは、2021年度は合計8回の交流会を開催し、延べ22団体がプレゼンテーションを行い、243名が参加しました。交流会では、参加者同士の対話を通してつながりが生まれ、参加者の抱える課題が解決へと向かい、SDGs達成に貢献するというオープンイノベーションが起こっています。交流会に参加した団体同士がつながり、いくつかのプロジェクトも動き出しました。

パートナーズ交流会は2022年度はよりパワーアップして開催していく予定です。課題を抱えている団体、地域の社会課題に取り組み、ビジネスを拡大したい団体、またネットワークを形成したい団体はふるってご参加ください。

IMAGINE KANAZAWA 2030 パートナーズ交流会 #8&9(2022年1月27日&2月26日)の開催

金沢市でのSDGs推進に向けて、多くの方のアイディアが集まって完成した金沢ミライシナリオ。その実践に向けて、チャレンジしていることや困りごとを持ち込み、対話を通して新しいプロジェクトを育てていくIMAGINE KANAZAWA 2030パートナーズ交流会が、1月と2月に開催されました。本年度も気づけば7回目、通算で9回目の開催となりました。COVID-19の影響もあり、残念ながらオンラインでしたが、感染拡大傾向が収まりましたら、また対面で開催して、アイディアが広がっていくと良いなと思います。

今回の交流会#8&9では、以下の団体の方がピッチプレゼンを行いました。

●交流会#8発表団体
1)一般社団法人PADAYON
「開発途上国の課題」と「地方の課題」を同時に解決するプロジェクトについて
2)E.N.N. Co., Ltd.
空き家・空きビル対策
3)北陸ESD推進コンソーシアム
院内学級の子ども達に体験を!

●交流会#9発表団体
ヴィスト株式会社
生活困窮者の就労支援について

また、交流会#9では、これまでの1年間のパートナーズ交流会活動を振り返り、交流会がより発展するにはどうしたら良いか、議論も行いました。

今回も各団体のユニークで先導的な取り組みについて、深くお話を聞くことが出来、新しいパートナーシップやプロジェクトのきっかけとなるような交流も生まれていました。

 

各団体からは次のような団体の活動内容やチャレンジしていることをお話いただきました。

一般社団法人PADAYONさんは、社会的投資の手法の1つであるインパクト投資を活用してフィリピンと日本の社会的課題を目指して活動しているソーシャルスタートアップ。団体名のPadayonはフィリピンの現地の言葉で「一緒にやろう」を意味していて、一緒に活動を進める中で「プロセスを楽しめるまちづくり・人づくり」の考え方を大切にしています。

フィリピン出身のご家族とのつながりの中で、フィリピンのミドル世代の働く場所が見つからないという就労問題に直面します。そこで、地元金沢に貢献しつつ、フィリピンの方が能力を発揮できる場が生まれるような共存共栄の社会投資のエコシステム形成を目指すようになりました。そして、SDGs貢献や海外販路拡大、人材不足解消を目指したい金沢の企業と提携して、フィリピンで小規模店向けの貸店舗スペースを投資運営するインパクト投資事業を行い、現地の方に就労と学びの機会を提供するという仕組みを考え、実証を進めています。この仕組みは一つの例で、金沢の企業とフィリピン側の実際のマッチングのあり方は個別にご相談しているとのことでした。投資事業のほかにも食べ物をフィリピンに直接支援する寄付事業も行っているそうです。

 

E.N.N. Co., Ltd.さんは、建築設計事務所としてのビジネスを核としつつ、空間を見つけ、企画・創造し、空間の使い方を実践して広め、「まち・都市」をつくっていくソーシャルデザインの会社です。金沢でも空き家、空きビルが増え続け、社会課題となっている中で、注意喚起したいとのことで、登壇いただきました。

欧米諸国と比較して、新築住宅市場が著しく優位の日本では、毎年100万戸程度の住宅が新築されています。一方で、人口は増えないため、空き家や空きビルもそのまま横流しで増加している傾向にあります。金沢市では金澤町家といった昭和25年以前に建てられた木造建築物の保全と活用が進められていますが、壊されて毎年少しずつ数が減り、そして、空き家や空きビルも増えて、まちなみが壊れていっています。建物撤去による二酸化炭素排出も懸念されます。問題解決のために、E.N.N. Co., Ltd.さんの「古ビル調査室」と「木造たてもの調査室」では、身近な中古ビルや木造建築物の調査を行うサービスを提供しているそうです。

 

交流会#8の最後は、北陸ESD推進コンソーシアムさん。北陸ESD推進コンソーシアムさんは、2014年に金沢大学が事務局となって設立されました。SDGsの達成のためにESD(持続可能な開発のための教育)を進めていくことを目的としています。今回は、金沢大学付属病院内学級の子どもたちの院外教育活動についてお話いただきました。

金沢大学付属病院内学級の子どもたちは長期入院を必要としていて、感染症対策などの観点から外へ出ることが出来ない子どもも多い状況です。そのため、野外活動や自然観察など、屋外での活動を通して色々なことに触れて学ぶことが困難でした。しかし、撮影機器や通信機器の性能が上がり、安価に利用できるようになったことから、遠隔地からも天体観望を楽しむことも可能になりました。そこで、北陸ESD推進コンソーシアムさんは、2021年に、金沢市キゴ山ふれあい研修センター星の会と協力のうえ、子どもたちが院内からも楽しめるよう、オンライン天体観望を複数回行いました。今後は、子どもたちのニーズに応えて、天体観望以外にも美術館や博物館見学、社会見学や自然観察にも広げていきたいとのことでした。

 

交流会#9ではヴィスト株式会社さんがご登壇。「あらゆる人に働く希望を、心豊かなStoryを」を経営理念として、障害がある方など、働きづらさを感じている方への就労支援を行っています。ピッチプレゼンでは生活困窮者等の就労支援について取り組みの内容や課題を共有いただきました。ヴィスト株式会社さんは、金沢市からの委託事業である令和3年度生活困窮者等就労準備支援事業を通して、「生活保護受給者」と「生活困窮者」が日常、社会、そして仕事の場に参加していけるよう促す支援を行ってきました。金沢市には「生活保護受給者」は約4,000人、そして「生活困窮者」はおよそその10倍の人数にのぼるそうで、昨今はCOVID-19の影響で更に増えてきているそうです。

ヴィスト株式会社さんは、支援の1つとして、社会の中で自立して生活していけるよう、対人スキル向上を促し、自己肯定感向上につなげるために就労体験やボランティアの機会を提供しています。しかし、受け入れ先として協力してくれる団体を確保するのが難しい場合もあるそうです。ボランティア実施の際には、活動がスムーズに進むよう、ヴィスト株式会社さんのスタッフも同行するそうで、協力してくださる団体を募集しているとのことでした。

 

交流会#8と#9でも多様な団体から多様な課題を共有いただきました。金沢市の状況について勉強になるとともに、話題がきっかけとなって新しいアイディアや交流も生まれていました。IMAGINE KANAZAWA 2030 パートナーズ交流会の場をきっかけに、更にパートナーシップの輪が広がり、新しいプロジェクトが生まれていくと嬉しいです。

 

【開催報告】SDGsカフェ# 19 金沢のパートナーシップ、どう進化している?

「2020年2月以来のリアル開催です」と挨拶するOUIKの永井事務局長

金沢市、金沢青年会議所、国連大学IASいしかわ・かなざわオペレーティング・ユニット(OUIK)の3者が、SDGs推進のためのプラットフォーム「IMAGINE KANAZAWA 2030」を立ち上げて2年半が経ちました。

現在、180を超える企業、団体、個人など、多様なみなさんにIMAGINE KANAZAWA 2030 パートナーズ会員になっていただき、勉強会や交流会を通じ、お互いの活動に対する学びを深めています。

*IMAGINE KANAZAWA 2030 パートナーズの概要と入会申し込みはこちら

今回は、金沢のパートナーシップがどんなふうに進化しているかということがテーマ。それぞれの枠を越えて、共有したビジョンの下で協力していく「コレクティブインパクト」の視点を交えながら、「パートナーシップって何?」を改めて考えました。

 

2030年理想のパートナーシップに向けて、個人の意識変化をさぐる

 2年前(2019年)の11月、「SDGsを進めていく上で新しいパートナーシップを考える」をテーマにSDGsカフェを開催。「金沢ミライシナリオ」ができた直後で、2030年の金沢を、「金沢の人全員がまちづくりを自分ごととして捉え、個々の力を活かして、自然に協力しあっている、そんなまちになっていること」と、金沢市企画調整課の笠間彩さんがIMAGINE(想像)しました。その時、話題提供してくださったのが、今回もお招きしている株式会社エンパブリック代表取締役の広石拓司さん(その時のレポートはこちら)でした。

 あれから2年、パートナーズ会員の中からは、フードドライブやアート、LGBTQなどさまざまなテーマでのプロジェクトが誕生し始め、笠間さんが思い描く2030年の姿へと着々と進化しています。

宇夛裕基氏○薬薬連携SDGs KANAZAWA代表、石川県病院薬剤師会理事、博士(薬学)

 さて、今回IMAGINEしてくださるのは金沢市立病院の薬剤師で、薬薬連携SDGs KANAZAWA代表の宇夛裕基(うだひろき)さん。1年前、OUIKの永井事務局長の講演からSDGsに関心を持ち、残薬課題解決のための連携を模索し始めたそうです。宇夛さんからは、パートナーシップによる参加者の心の変化などをさぐりつつ、金沢のミライの姿をIMAGINEしていただきました〈以下は発表の要旨〉。

 

──パートナーシップはSDGs17のゴールの一つで、すべてのゴールに共通する軸となる目標。そもそも、パートナーシップとは何か? 2つ以上の企業や団体などが、平等に、対等に手を取りあって、1つの目標に向かっていくというのが定義。これによって、さまざまなビジネスが動き始めています。しかし、団体に属している個人に目を向けてみると、なかには積極的ではない人もいるかもしれません。

 薬薬連携SDGs KANAZAWAとは、薬局や病院の薬剤師を中心に、医薬品に関わる人全てが対象の組織です。健康と福祉を守るために活動しているすべての人がパートナーとなることができ、実は医薬の業界では、多職種が手を組んでこのような新しい取り組みを行うことは、画期的なことでもあります。

 会則の前文では、「すべての事業はSDGs達成のため、社会問題の解決を目的とします」とうたい、現在、「コロナから子供を守る」、「残薬をゼロに」という2つのプロジェクトが進行中です。「残薬」とは家庭にある飲み残した薬のことで、年間100〜8,744億円もの残薬が発生しており、その多くが社会保険費(税金)で賄われていますから、国全体の問題と言えます。解決のために、一般社団法人コード・フォー・カナザワなどと連携して、アプリ開発を進めています。

 また、会則には「日本全国に活動が波及するよう、同志を育て、そのノウハウ、アイデア、資金、関係資産を提供し、SDGsへの取り組みを加速させていきます」と掲げ、2030年のゴール達成のために最速で日本中に波及すべく、全国で同じような団体を作っていくためのサポートも行いたいと考えています。

 さて、個人の意識がどのように変わっていったのか、まずは私の内的な意識変化を紹介します。1年前まではSDGsのことは何も知りませんでした。金沢ボランティア大学校観光コースで永井事務局長の講演を聴いたのがきっかけで、SDGsが身近な問題で自分ごとでもあることに気がつき、生活や仕事の中で、「自分に何ができるのか?」と問いかける、“モヤモヤ期”が始まりました。

 さらに、2021年1月にオンラインで開催された「北陸SDGs未来都市フォーラム」(レポートはこちら)で、広石さんの基調講演「SDGsをローカルイノベーションにつなげるために」を視聴し、SDGsの概念を地域に落とし込んで、事業や仕事にしていくことができることを知り、ワクワクしながら自分もやってみようと思うようになりました。そして、2カ月後にはとにかく知り合いを誘いまくってリモートで研修会を開催。「これからどういう未来を築こうか?」ということを探り、賛同してくれた11人が世話人になってくれました。このように私の場合、まずは「自分ごと」としてSDGsを捉えることができた後、“モヤモヤ期”、“ワクワク期”という意識の変化を経て、“活動期”へと入っていきました。

 一方で、世話人らの意識変化はどうだったのでしょうか。世話人らにとったアンケートによると、最初は引きずり込まれた感が強かったのですが、「理解が深まるにつれ、自分ごととして捉えることができ、参加意識が向上した」という声もあり、少しずつ積極的な意欲が上がってきていることがわかりました。世話人らは“モヤモヤ期”や“ワクワク期”という大事なステップを踏まずに、いきなり“活動期”に参加させられたため、最初は積極的な参加意欲につながっていなかったと考察しています。世話人たちも今後、“モヤモヤ期”や“ワクワク期”を経て、意欲が増していくのではないでしょうか。

 少しずつ意識が上がっていったという声があった一方で、「積極的に取り組みたいとは思うが、仕事と家のことで余裕がなく、今以上に積極的な活動をする自信がない」という声もありました。団体の中にはさまざまな背景を持っている人がいて、一緒に活動できない人もいます。しかし、そういう人たちの意見もしっかりと聞きながら活動を進めていくことが、本当のパートナーシップなのかなと思っています。

 2030年、私がIMAGINEする金沢は、個人の内的な意識変化も育み、パートナーシップを醸成していく、懐の深いまちです。──

 

薬を取り巻く課題をパートナーシップで解決する方法は、地域課題解決にも効く

広石拓司氏○株式会社エンパブリック代表取締役

 引き続き、金沢市のSDGsのアドバイザーもしている広石さんから、パートナーシップについて少し専門的な視点からのお話をしていただきました。実は広石さんは薬学部のご出身で、大学院まで薬学を勉強されていたそうです〈以下は発表の要旨〉。

 

──個人の頭の中で、「こんなことしたいな」と考えている人はたくさんいます。しかし、一人で考えているだけでは何も起きないので、それではもったいないと思います。とにかく自分の言葉で外に出していくこと、そして周りの人と話す機会を設けること、対話を深めていくことで、仲間ができます。活動をしていくうちに、新しい仕事の創出となり、仕事の広がりができ、新しい価値が生まれて、社会が変わる……。「私→私たち→社会」へとつながっていくこのプロセスを、「エンパブリック・サイクル」と呼んでいます。

 さて、パートナーシップの話をしているときによく登場するのが、地域看護の保健師らのヘルスプロモーション(WHOが提唱する人々が健康を管理し、より健康にすごせる可能性を模索する方法)に関する概念です。薬剤師や医師など専門知識を持つ人たちが、地域の人たち(患者=クライアント)を治してあげないといけないという考え方は、「コミュニティ・アズ・クライアント」と言いますが、これではヘルスプロモーションがうまくいかないということが、今までの蓄積からわかっています。そこで、地域が健康になるという目的は同じで、一緒に健康になっていく仲間を増やすという考え方の「コミュニティ・アズ・パートナー」という概念が出てきました。これを地域の課題解決に置き換えると、専門家が一方的に進めるのではなく、地域の情報収集からアセスメント、計画と、プロセス全体を住民と専門家が協働で行うということです。

 宇夛さんたちが活動のテーマにしている残薬問題に関する話題として、イギリスの王立薬剤師会が、なぜ患者は薬を飲まないか、コンプライアンスを守らない患者を調査したところ、そもそもコンプライアンスが間違っているのではないかということを発見しました。薬を飲んでいない患者も医師の前では、「薬を飲んでいる」と言い、実はきちんとコミュニケーションが取れていなかったのです。その解決策として、医療専門職と患者がパートナーシップにより対等の立場で話しあい、治療方法を見出す「コンコーダンス」と呼ぶ考え方が良いことがわかってきました。反対意見も含め、相手の意見も尊重して聞きあうこと。つまり、患者が薬を飲まないという権利も認めてあげるということです。さらに、両者の意見が相違する場合は患者に決定権を与えます。ただし、この共同意思決定を実施するには、患者にもパートナーとして参加するための知識が必要となります。

 この共同意思決定は、薬に限らず、地域づくりやSDGsにも応用することができ、専門職と住民による、一方通行でなく、継続的な対話を重ねるうちに、調和や相互理解ができるようになり、効果的に実行できる意思決定がなされ、住民主体のより良い生活が実現できるようになります。──

 

パートナーシップを進化させるのは一人ひとりの意思

 後半は、宇夛さん、広石さんとOUIKの永井事務局長、さらに会場の参加者も加わり、パートナーシップの理解を深めていきました。

 宇夛さんからは、「薬を飲まない権利、病気を治さない権利をもう少し認めてあげる風土、つまり患者の気持ちに共感してあげることで、結果として患者の意欲が増す」というご自身の経験を披露。広石さんは、「医療専門職の人は患者のことを知っているようで知らない。これは企業でも同じ」と述べ、顧客のことを自分たちは全く知らないのではないかと考えて取りかかっていかないと、サステイナビリティというのは進まないと提言しました。それを受け、永井からは、請われて企業などでSDGsのことを講演する際、「事前にいろいろ調べて、相手の立場になって話をすると、共感していただける」と経験を語りました。

「SDGsとは、本質的な内省を迫るものという見方もあり、ハマるところには広がる一方で、“バッジをつけたらSDGsだ”という部分もあって、二極化している」(永井)、「人の意識はそう簡単には変わらないが、関わる時間とともに意識が変わっていくことを示してくれた宇夛さんの発表を聞き、希望を感じた」(広石さん)、「先の薬を飲まない権利の話と同じで、参加を強制せず、やらない権利も認めてあげることが大事」(宇夛さん)など、SDGsに取り組む人の意識について、掘り下げていきます。

 企業などで、上から「SDGsをやれ!」と言われて取り組むより、何か解決したい課題があって、それをみんなで集まって話し合っていくうちに、「これってSDGsって言えるよね?」という流れの方がスムーズに話がまとまり、「プロセスをみんなで共有していくことが大事」だと永井が振り返ります。

 SDGsバッジに関して広石さんから面白いエピソードを紹介。ある日、バッジをつけて帰宅した父親に娘が、「家族が取り組んでいるSDGsについてレポートを書かないといけないのでお父さんの会社の話を聞かせて欲しい」と言われ、「もっとちゃんとやらないと」と思い立って、広石さんのセミナーを受講するようになった方がいたそうです。「こんなふうに何かにかこつけてでいいので、まずは考えて欲しい」と広石さん。

 金沢のSDGsでは、これからいろいろな企業や団体とのパートナーシップが生まれてくると思います。その時の上手な進め方を永井が広石さんに尋ねると、「人に教えることで自分自身も問い直して学ぶことができる。SDGsカフェのような場を作り続けることが大切」とアドバイスしました。

「今は理解してもらえない人も、サステイナビリティを当たり前に考える社会になれば、やがては味方になってくれるはず。いつかは誰もがパートナーになる、そう思えば人に優しくなれますし、そうなることを信じていくことが大事なのではないかと思います」と広石さんが述べ、久しぶりのリアルSDGsカフェは終了しました。

 

今回のSDGsカフェの会場となった「金沢未来のまち創造館」は、金沢市における新たな産業の創出と未来で活躍する人材の輩出を図る施設です。統合で廃校となった旧野町小学校校舎を利用し、登録すれば無料で使えるコワーキングスペースやここで開発されたメニューが味わえるカフェなどもあります。お気軽にお立ち寄りください。

当日のYouTubeで配信した動画はこちらからご視聴になれます。

【開催報告】SDGsカフェ# 18 木の文化都市・金沢の「木づかい」を考えよう!

国民1人当たり1年に1,000円が課税される森林環境税が2024年から始まりますが、前倒しで森林環境譲与税としてこのお金が自治体に配布されています。森林面積が6割を占める金沢市にとって、森林資源を未来のために整え直す、またとないチャンスと言えます。

造林事業が始まって50年が経ち、多くが収穫時期を迎えています。一方、まちづくりでは金澤町家のような古いものを守りつつ、新たな建築物への木材利用や地元産材の活用を促進する「木の文化都市」も始動しました。

森林とまちづくりが一環となった、木をめぐる循環型社会を構築するために、金沢に足りないものは? そして、ほかの都市にはない強みとは? 「金沢の未来のまちなみがこんな風だったらいいな」ということを専門家とともに議論しました。

木の文化都市・金沢のシンボルでもある金沢駅の鼓門

木の文化都市・金沢に向けて、金沢中心市街地における木造建築の可能性

 木の文化都市を考える金沢会議委員も務める金沢工業大学の宮下智裕さんに、「木の文化都市・金沢」のミライの姿をIMAGINE(想像)していただきました〈以下は宮下さんの発表の要旨〉

金沢工業大学環境・建築学部建築学科准教 宮下智裕氏

──金沢SDGs「5つの方向性」の1つ、「古くて新しくて心地よいまち」に金沢がなれば素晴らしいと思い、そのための話をしたいと思います。

 金沢はそれなりの都市規模を持っていますが、一歩山手に入ると森林がずっとつながっていて、山、里、農作地、海という一連が、川の流域の中で育まれています。北陸の都市はだいたい同様ですが、これが美しいまちをつくっていく土台になっているのではないでしょうか。

 金沢は戦災に遭わなかったまちで、美しい建造物が中心市街地にも数多く残っています。住民と行政が一体となりながら、こういう環境をどうやって、後世に残していくかということも大きなテーマだと思います。

 日本では戦後、燃えない都市を作ることを目指して建築の不燃化を進めました。中心市街地の主要幹線道路沿いには延焼を止める防火建築帯をつくるため、新たに木造の建物が建てられないという状態が起こっています。

 金沢の商業の中心地が香林坊や片町に移ったことにより、もともとは金沢の目抜き通りだったはずの尾張町では大きな開発がなされず、さまざまな時代の面白い建物がたくさん残っています。また、部分的には開発もされているので、それらがミックスされたまちとして存在していることがとても魅力的です。

 尾張町のような、大都市の主要幹線道路沿いに、これだけの木造建築が残っているところは全国的にも珍しく、しかも7割以上が3階以下で、地割りも小さいものが多く、ヒューマンスケールな景観を有し、木造建築がよく似合います。さらに木造だけでなく、明治や大正、昭和初期といったモダニズムの建築なども残り、こういったものがミッスクされて、このまちの魅力がつくられています。さらに面白いのが、ここには他にはあまりない、薬、ろうそく、旗など、いわゆる伝統的な文化に関係するものを生業としている商店もたくさん残っていることです。住まう人の文化とともに建物が継承されていることにも、とても魅力を感じます。

 このような中で尾張町を、木を多く使った建物を増やして景観の魅力を高める、「木の文化都市」のモデルエリアにしていく動きがあります。大通りに面した木造建築は、一度壊れてしまうと同じものが建てられなくなっていましたが、今は技術が進歩して耐火木造という形で、木造の建物も建てられるようになってきています。

尾張町の大通りから一歩入ると木造の建物が軒を連ねる

 ただ単に古い建物を保存していくだけでなく、ヒューマンスケールの町の雰囲気を残しつつ、耐火木造技術を用いてつくられる新しいまちを融合させていくには、尾張町は面白いエリア。日本中の都市が都心から木造を排除している中で、重要伝統的建造物群保存地区や「こまちなみ」など、都心に木造を多く残そうとしている金沢だからこそできる、魅力的な未来のまち並みができたら素晴らしいと思っています──。

 

金沢の森の今と、森林環境譲与税の使い道って?

 金沢の森の現状や森林環境譲与税の計画について、樹木医でもある金沢市役所農林水産局森林再生課の上田博文さんにお話しいただきました〈以下は上田さんの発表の要旨〉

金沢市役所農林水産局森林再生課担当課長補佐 上田博文氏

──森林は地球温暖化防止や災害防止などから、国土や国民の命を守るために必要不可欠。しかし、担い手不足などの問題から、森林整備が進んでいません。そこで、2019年に「森林環境税及び森林環境譲与税に関する法律」が成立。森林整備などの地方財源の安定的な確保と、市町村が主体となった新たな森林管理システムの「森林経営管理制度」の実施が目的です。

 自治体に配分される森林環境譲与税は、2019年から段階的に入ってきていて、使用目的はそれぞれの地域の実情に応じて、弾力的に実施できます。広く一般から集められる税金なので、市の内部だけでなく、学問的な専門家や林業に携わっている方など、8名の委員によって活用策を議論していただき、10月11日に市長に提言書を提出しました(国連大学IAS OUIKの永井事務局長も委員の1人)

森林環境譲与税活用検討会提言書 「森からはじまる金沢のミライ」

森林環境譲与税活用検討会提言書「森からはじまる金沢のミライ」

 金沢市の面積の約60%(約28,000ha)が森林で、広葉樹の天然林が75%、スギやヒノキなど木材を生産するために植えた人工林が19%を占めます。金沢には市営造林が約2,000haもあり、「伐期」と言われる収穫できる大きさに育ったものも多いのですが、長伐期施業を行い、伐採をさらに40年伸ばしています。そのため、通常の森林サイクルの「植える→育てる→伐る→使う」の中で、「植える」、「伐る」ができていないため、金沢ではこの循環サイクルが滞っています。

 天然林が多い金沢では、人工林に限らず、森林環境譲与税を森林全般に活用できるようにと検討会が提言しています。ここでイメージされる循環サイクルは、従来のように同じところに矢印が戻るものではなく、森の生長と社会の変化に対応して、円の大きさを変えて、螺旋状に少しずつ上昇する新しい循環で、保全する森は天然林として別のサイクルを描き、多様な森の姿を次世代につなぐものとしています。

 このイメージを実現するためには、サイクルを動かしていく取り組みが継続的に必要で、基本理念と3つの将来像への提言につながっています。

 金沢の3つの将来像を実現するためには、次の3つのプロジェクトがあります。

○いのちの森プロジェクト → 将来像は「森と共生する金沢」(森が森であることを守る)

○くらしの森プロジェクト → 将来像は「木の文化都市・金沢」(森の恵みを活用する)

○こころの森プロジェクト → 将来像は「森の感性が息づく金沢」(森を楽しみ、森に学ぶ)

 3つのプロジェクトが個別の取り組みで終わらぬよう、提言では多面的、流動的に森と人をつなげる活動の必要性を解き、「森からはじまる金沢のミライ=森ミライしよう!!!」を合言葉に、みんなで発見する金沢の新しい森づくりを「森ミライ活動」として提案しています──。

 

未来のまちづくりのための森づくり。現代の木の文化都市に求められること

 金沢市のように、森林環境譲与税の使途計画に心や文化まで幅広く取り入れているところは、珍しいそうです。しかし、実際に森づくりとまちづくりの2つを1つの都市の中でうまく循環させるのは、大変難しいこと。そこで地域産材をうまく使い、建築もまちづくりもというプロジェクトをたくさん手がけているNPO法人サウンドウッズの安田哲也さんに、その循環のヒントになる話題提供をしていただきました〈以下は安田さんの発表の要旨〉

NPO法人サウンドウッズ代表理事 安田哲也氏

──兵庫県と大阪府に拠点を置き、いかにして森づくりの成果とまちづくりの成果を最大化して両立させるか、そのバランスをコーディネートする活動をしています。その取り組みを、3つのキーワードにして掲げています。

 森を管理して「育てる」。

 木をくらしに「活かす」(木のまちづくりなど)。

 森とまちを「つなぐ」(人材育成)。

 森と木に関わる人の輪づくりでは木材コーディネーター育成認定事業を行っています。

 ところで、今なぜ木材が注目されているのでしょうか? 木質資源は、“日本で身近に手に入る”、“使える形にするためのエネルギーが他のものと比べると軽微”、“短期間で再生可能である”という3つの側面が、化石資源より優れているからだと理解しています。50年、60年というサイクルで次の資源として使うことが可能であり、かつ温暖化効果ガスを吸収してくれるという大きな効果があり、木材はまさにSDGsな社会を支える資源であると言えます。

 人工林では、循環のサイクルを保ちながら使い続けることによって、木材の持つ優位性が保たれますが、日本の人工林は現在、2つの大きな問題を抱えています。

 1つは、戦後70年が過ぎ、主伐期を迎える人工林は増え続けるも、伐採されていないために、育った木を活用し、新たに若い森を作ることができていないこと。使い勝手のよいサイズの木が将来なくなってしまうことは、10年後、20年後に私たちのくらしに影響が出てくる可能性があります。

 また、木材の自給率は最低の時(2002年)には2割を切っていましたが、現在は4割まで回復している一方で、スギやヒノキの丸太の価格が低調なため、山元(山の持ち主)の収益が確保されていないことがもう1つの問題。次の森への投資ができず、木を伐った後の森を維持していくことができなくなりつつあります。林業が次の世代に継承されていくためには、山元の収益をどう確保していくかが重要です。

 太くなり過ぎた木はまちで使われていないという事実があります。それはなぜかというと、木材の製造や流通の中に、太い木を使うという仕組みが今までなかったため。せっかく大きくしても、誰も買ってくれないという残念な現実があります。

 そのことに対して私は、住宅よりもやや規模の大きな建築や、まちづくりなど公共性の高い建築物にこそ、そのような木材を使っていけるのではないかという可能性に期待しています──。

 

トークセッションで、引き続き未来の森とまちをつなげる話を掘り下げました

永井:安田さんが示した地元の木を資源として見える化した役場庁舎の事例は参考になると思いますが、金沢の尾張町でも、このようなやり方はできるのでしょうか?

宮下:石川県内にも頑張っている製材会社はありますが、全部県産材を使っているかというと話は別で、地産地消のシステムをもっと積極的にやっていく必要があると思います。その時に、山から木を下ろして終わりではなく、それがどういうものになるのかということも含めて、山元とまちのつくり手を密につなげることが、木の文化都市・金沢の今後の大きなテーマなのではないかと思っています。

上田:木材を使うひとつの方向性としては、市民が見てすぐにわかるものにするというのが必要なのではないかと思っています。また、子どもの時から森を身近に感じてもらえるような取り組みをすれば、未来に通じていくのではないかと思っています。

永井:参加者からは、「私たち自身が森の中に入って、森の豊かさを体で感じることも大切」という意義深いコメントをいただきました。最後に一言ずつ、参加者に向けてメッセージを。

上田:まずは「森ミライを一緒に始めましょう」ということをお伝えしたいです。

宮下:いろいろな分野の中で木をどう使っていくかということを考えてもらうと、私たちの身の回りに木を使ったものが広がり、結果として木の森を育てることになり、山を知ることにもなると思います。そういう意識を持って、いろいろな立場で知恵を出しあっていけたらと思っています。

安田:身近なところで木を使うことを大事にしたいなと改めて思いました。木造建築は、森は50年、60年かけてようやく、そして建築も100年サイクルで使い続けるという関係を考えさせてくれます。それは、まちの将来をしっかり考えて、魅力的でくらしやすいまちをつくっていくきっかけになるのではないでしょうか。

永井:今後も木のテーマの対話を続けていければいなと思っています。示唆に富むお話をありがとうございました。

 

卯辰山見晴らし台から眺める金沢市街。大通りに面して高いビルが並んでいる

 

今回のSDGsカフェの動画はこちらからご視聴ください!

IMAGINE KANAZAWA 2030 パートナーズ 交流会#7(2021年12月18日)の開催

金沢ミライシナリオをパートナーシップで実践するためのプラットフォームであるIMAGINE KANAZAWA 2030パートナーズ20211210日現在、170を超える企業、団体、個人が会員登録されています。パートナーズでは、毎月1回、パートナーズ交流会という会員間の対話の場を設けています。会員のみなさんがチャレンジしていることや困っていることを持ち寄り、それを起点にディスカッションを行い、会員間や様々な団体との協働を通した課題の解決と金沢ミライシナリオの実現を目指しています。

先日1218日に2021年度第5回目、合計第7回目となるパートナーズ交流会を金沢市で開催しました。今回は、薬薬連携SDGs KANAZAWA、ツエーゲン金沢、特定非営利活動法人ニットの3団体がピッチプレゼンを行い、課題を共有しました。20人を超える方々が参加しました。

薬薬連携SDGs KANAZAWAさんは、薬剤師など医薬品の使用に関わる方々が集まり、薬薬連携を通したSDGs達成に向けて取り組んでいる団体です。薬局など患者さんの薬を準備する場では、日々、多くのプラスチックゴミが排出されています。多くは包装ゴミで、プラスチックの種類はポリエチレン、ポリプロピレンほか、様々です。世界中でプラスチックゴミが問題になっている中、薬薬連携SDGs KANAZAWAさんでも、職場の状況を省みて、何か解決策がないか検討しています。例えば、ポリエステル繊維などの繊維としてリサイクルし、衣類などに出来ないかと考えています。そして、その売上を途上国支援のために寄付を行えないかと考えています。資源リサイクル分野に詳しい方の協力を得て、プラスチックゴミの問題解決を実現していきたいとのことです。

金沢をホームタウンとするJリーグのサッカークラブツエーゲン金沢さん。Jリーグは、スポーツ文化の醸成を目指すとともに、サッカーを通して地域を豊かにしていくことを理念として掲げています。それを背景に、ツエーゲン金沢さんもシャレン活動(社会連携活動)の強化を進めています。これまではJクラブ側から地域に出て活動する機会が多かったのですが、地域の他の団体にJクラブを使ってもらい、お互いの強みを活かしながら地域に貢献する取り組みを増やそうとしています。例えば、本年は明治安田生命保険相互会社やいしかわフードバンク・ネットとともにフードドライブ活動を行いました。ツエーゲン金沢さんは、地域と人と連携して新しいことがどんどん生み出される挑戦の文化が地域の伝統として根付くことをクラブ理念としています。そういった意味でも、色々な団体の方の地域活動にツエーゲン金沢さんの強みを活用して欲しいと考えています。

最後に、特定非営利活動法人ニットさんから、認知症になっても安心して暮らしていける社会を目指していくうえでの課題や、認知症患者とその支援団体が抱える課題について共有いただきました。特定非営利活動法人ニットさんは認知症患者の暮らしを支えるサービスを提供している組織です。高齢者の認知症有病率が高い中、このまま高齢化社会が進むと、2050年には10人に1人が認知症患者になると予測されています。また、認知症患者は様々なことで生活に不便を感じています。家族構成が変化して独居世帯や高齢者夫婦世帯が増え、またコミュニティの形が変わる中で、これまでと同じ形で家族やコミュニティで支えていく仕組みではうまくいかないことも生まれています。認知症の方も安心できる「持続可能な」社会であるにはどうすれば良いか、お互いに支え合える社会になるためにはどうすれば良いか、考えていく必要があります。

一方で、認知症患者への誤解や偏見も多く、差別的な発言や何気無い発言がご本人や周囲の人の自信を失わせ、暮らしにくさに繋がっていることも課題となっています。また、認知症患者の生活を支える介護保健サービスについても、待遇が悪いことや社会的評価が低いことなどが原因となり、若者を中心に介護職員への成り手が不足しています。仕事観や価値観の転換が必要となっています。特定非営利活動法人ニットさんとしては、これら課題を解決していくためのヒントやアドバイスが欲しいとのことでした。

ピッチプレゼンの後は、3グループに別れてグループディスカッションを行いました。各団体の状況についてより詳しく伺い、そして、解決のためにアイディアを共有したり、議論したりしました。薬薬連携SDGs KANAZAWAさんのグループでは、プラスチックボトルをどうやったら減らせるか、そしてどう有効活用できるか議論し、そして、製薬会社と連携していくことやプラチック繊維をボランティアユニフォームや建築資材、そして市の有料ゴミ袋に活用するなどのアイディアが生まれました。ツエーゲン金沢さんのグループでは、ツエーゲン金沢さんの幅広い活動内容、そして、いろんな場面で連携できるポテンシャルの高さを学ぶことができました。また、プロスポーツは強くないといけない中で、地域と連携が進むことでファンも増え、チーム力強化につながるのではとの意見も上がりました。

特定非営利活動法人ニットさんのグループでは、家族や地域も認知症患者の介護の現場の理解が進んでいない問題があり、その中で取り巻く環境や課題について知ることが出来たことが大きな一歩であったことを確認しました。そして、介護の現場とそれを知りたい若者や社会をどのようにつなぐか、そのニーズを探っていく必要性についても確認できました。各グループともたくさんのアイディアが共有されていました。パートナーズの交流の場から、また新しい連携が生まれて、協働プロジェクトが進み、金沢ミライシナリオの実現に向かっていけると幸いです。

IMAGINE KANAZAWA 2030パートナーズでは会員を随時募集しているほか、交流会でピッチプレゼンしたい企業、団体、個人の方も募集しています。ぜひみなさまのミライを作るアイデアを聞かせてください。

また、IMAGINE KANAZAWA 2030は、金沢独自のSDGsの目標である「金沢ミライシナリオ」と「持続可能な観光振興」の達成度を測る指標の検討を進めています。この度、その指標案をIMAGINE KANAZAWA 2030のHPで公開しました。20211231日まで、金沢市民のみなさまの幅広いご意見を募集していますので、ぜひアイディアのご投稿をお願いいたします。

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