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能登:アーカイブ

アジア生物文化多様性国際会議開催一周年記念国際フォーラムシリーズ議事録〔電子版〕

2016年10月、石川県七尾市で開催された第1回アジア生物文化多様性国際会議から1年後、石川宣言の実施を推進するため、2回シリーズの国際フォーラムをが開催されました。

 

シリーズ第一回(2017年10月4日)

生物文化多様性とSATOYAMA -自然共生社会を目指す世界各国の取り組みを知る-

 

シリーズ第二回(2017年10月15日)

生物文化多様性を次世代が敬称する為に-東アジアの連携を考える-

 

『SDGs三井のごっつぉproject』最終回 田の神様祭り

奥能登にはアエノコトと呼ばれる祭りがあります。「アエ=饗」の「コト=祭り」という意味で一年のお米の収穫を感謝して、毎年12月5日に田の神様を家へお迎えします。神様を風呂やご馳走でおもてなしをして春まで休んでいただきます。翌年2月9日には同じようにおもてなしをして豊作を祈願して田んぼへ送り出す行事です。

三井町ではアエノ͡コトではなく、古くから田の神様祭りと呼びそれぞれに家でお祭りされていましたが、近年過疎高齢化などで稲作に携わる人も減り執り行う家も減ってきました。そこで三井地区の区長会を中心に田の神様祭りを次世代に継承するために保存会を作り、三井町漆原にある茅葺き民家旧福島邸で公民館行事として行われています。

毎年三井小学校の子供達も太鼓や踊りで田の神様祭りに参加しています。この一年間は「SDGs三井のごっつぉプロジェクト」でご馳走の材料集めを体験してきたので、4,5,6年生12名が参加して一緒にお供えさせていただけることになりました。

まずは放課後バスで会場に到着しました。曇り空に雨交じりの能登の冬らしい天気となりました。山形公民館長さんはいつもと違って裃姿です。田の神様をお迎えするので正装されているのです。ゴテと呼ばれ一家の家長の役割を果たされます。

 

 

 

 

 

 

みんなで田んぼに向かいます。田の神様がいらっしゃるところには榊が建てられています。蓑や菅笠の衣装の集落の方もいます。昔は今のようなレインコートやビニールの傘がないので稲わらやスゲの草などで編んだ雨具です。

ゴテの手に持たれる松と栗の枝は「依り代」と呼ばれます。神様がそこへ依りついてお運びするためのもので、神様は田んぼの端で「待ってると来る」から転じて「松と栗」を掲げています。

田の神様は稲穂で目をついて失明されたということなので、家へご案内する道中も「段差がございます」や「右へ曲がります」など声掛けをします。ゴテはあたかも田の神様がそこにいるかのように振る舞うので不思議な光景に見えます。

家にたどり着くと「田の神様がおかえりやぞ!お迎えせ−よ!」と家のものに声をかけます。茅葺き屋根の玄関から囲炉裏のそばに入られます。寒い外からいらしたのでまずは暖かい甘酒を差し上げます。神様の大好物だそうです。

続いてゴテはお風呂の湯加減を見て、田の神様をお風呂へご案内します。恭しく榊をお風呂のお湯につけている様子も面白いですね。

 

お風呂で暖まられたら次はご馳走です。座敷には田の神様ご夫婦二人分の御膳が設えられています。二股の大根、御膳には一升枡にあふれんばかりの赤飯、煮しめにはわらびゼンマイ、大根、人参、こんにゃく、油揚げ。あいまぜという青大豆の打ち豆と大根や人参を炒り付けたおかずもあります。冷蔵庫もなく肉や魚が今のように手に入らなかった昔は打ち豆は貴重なタンパク源でした。そして立派な尾頭付きの鯛、大きなおはぎ。お汁に漬物。稲作は力仕事で大変なのでたくさん食べてくださいという意味が込められています。

 

 

 

 

 

輪島塗の御膳は赤く美しくご馳走が映えます。大切にしまってあったものを一つ一つ洗ってきれいにして盛り付けてあります。器の裏には家ごとの屋号を示す印が書かれています。冠婚葬祭などの時はお互い貸し借りするので目印になります。太いお箸は栗の木で、栗は一ヶ月に一寸成長するので一年間で一尺二寸(36.36cm)の長さにします。

お米を選別するときに使う箕という道具には畑で採れた野菜が盛られます。白菜人参カボチャなど色とりどりです。沢山実って嬉しい気持ちになりますね。

ゴテが食べ物を一つ一つ説明します。

子供達も田の神様のご馳走がデザインされた手ぬぐいの上に一人一人がゴテになった気分で自分のご馳走をのせました。

前列の6年生5人が代表してご挨拶をします。

「田の神様、これは5月にまるやまで集めたわらびの塩漬けでございます。」

枯れたススキの間から顔をのぞかせたわらび。赤ちゃんの手のような形にほやほやした毛が生えていましたね。集落のばあちゃんたちに習ってわらで縛って樽に入れてから半年ほどでぺったんこになりました。クンクン匂いを嗅いで臭いと言っている子もいました。

「田の神様、これは7月に珠洲で作ったあごだしでございます。」

羽の生えた魚を初めてみたり触ったり。包丁を手にさばいて串を打って炭火で焼きました。包丁を叩いて作る鍛冶屋さん、穴を掘って珪藻土でコンロを作る工場にも見学に行きました。あごだしはいい出汁が出るので煮しめも美味しくなるでしょう。

「田の神様、これは10月にまるやまで拾って干した勝栗でございます。」

しば栗ひろいはみんな必死で頑張りましたね。生のままかじっても甘かったですね。その場で茹でて針と糸でネックレスみたいに糸を通しました。蛇の皮の鱗を数えたり、絶滅危惧種のゲンゴロウやミズオオバコという花も見られましたね。

みんなで「どうもありがとうございました!」

それから権現太鼓の演奏をみんなで披露しました。

田の神様も今年はきっと三井小学校の子供達の用意したごっつぉを喜んで召し上がったことでしょう。神様だけでなく、来賓の方々や保存会の方がたも子供達が来てくれて賑やかで嬉しそうでした。

田の神様のお食事が終わられたら春まで神棚に上がって休まれます。

上座には大きな米俵が横たわっています。中には籾が入っています。籾とはみんながいつも食べているお米に殻がついたものです。生きているタネです。来年またこのタネを蒔いて米作りの一年が始まるのです。この籾こそ田の神様。

 

 

 

 

 

神様が休まれている間、家族は喧嘩をしてはいけないそうです。みんな仲良く心を合わせて、田畑を耕し、暮らしの糧を得ていかなければ生きていけないような能登の自然の厳しさが背景にあったのかもしれません。

今この様な家族やコミュニティと共にある農業が環境や地域づくりでも生き物やなど自然自然資源や食や伝統文化なども守れる重要な形だと再評価されてもいます。(家族農業の10年 )

 

いつでも、なんでもお金で買える今の時代ですが、自然の恵みを得る喜び、そこから自分の手で作る楽しさ、それを選ぶ選択肢が三井のような里山にはたくさん残っています。小学生のような感受性豊かな時期に五感で、地域の自然や土地に根ざした知恵に触れることができるように大人たちが環境を整えることが大事です。「三井のごっつぉ」を食べて世界へ飛び出し、誇りを持って自分を表現できるような子供達を私たちは送り出したいと願っています。

報告:萩のゆき(まるやま組)

国連大学OUIKでは「世界農業遺産(GIAHS)能登の里山里海」を利用した持続可能な未来へ向けての教育活動をサポートしています。一言で「能登の里山里海」と言っても地域によって異なる様々な伝統文化がありますが、三井小学校のような活動が能登の他の地域でも行われ、里海、里山間で交流が生まれるようなプラットフォーム作りを進めていきたいと思います。さて、次回はどんな「ごっつぉ」を作るのでしょうか?「SDGs三井のごっつぉproject」は通年のプログラムとして続きます。

企画・実行:萩野アトリエ/まるやま組 萩のゆき、萩野紀一郎(富山大学 芸術文化学部 准教授)協力:国連大学OUIK

能登生物多様性研究会の発足

能登の里山里海がFAOにより世界農業遺産(GIAHS)に認定されてから5年の節目を迎えようとしています。OUIKではそれに伴うアクションプランの改定作業やモニタリング作業の支援などを行ってきました。

中でも、4市5町にわたる能登地域で行われている生物多様性モニタリングの活動は、各市町や各種民間団体が独自に行っている生き物調査が中心であり、能登地域全体として統一されたモニタリング手法や生物多様性に関する情報発信や地域の方々と共有するしくみはまだ開発されていません。この現状を受けて、OUIKと金沢大学里山里海プロジェクトが中心となり、能登の生物多様性モニタリングや関連活動を通じて能登GIAHSに貢献するための生物多様性研究会を設立しました。メンバーには地域で生物多様性保全や環境教育に取り組んでいる民間団体の方々、能登の関連する研究機関の方々に参加いただいています。

1月23日には、OUIKがオブザーバーとして参加している、能登GIAHS活用実行委員会と能登GIAHS推進協議会の場で同会の発足を報告しました。今後は推進協議会の生き物しらべや関連する事業と連携しつつ、能登GIAHSとして豊かな生物多様性の保全とモニタリング、そして発信に貢献してゆきます。

『SDGs三井のごっつぉproject』第7回 

2019年5月に始まった「SDGs三井のごっつぉproject」では輪島市三井を中心に能登の「ごっつぉ(ごちそう)」を巡るフィールド学習を行ってきました。今回、11月26日に行われた第7回目はまとめの回として世界の食に関する問題を学んだり、いろいろな国の食を味わったり、春にみんなで作ったワラビの塩漬けの塩抜き作業をする回になりました。

はじめに「今、世界が面している食に関する問題」についてSDGsの視点で国連大学OUIKの富田から紹介がありました。「17個あるSDGsのゴールのうち、「食」に関係してくるゴールはどれかな?」という問いかけに「2番(飢餓をゼロに)食べ物のマークあるけど飢餓ってなんだろう?」「14(海の豊かさを守ろう)とか15(陸の豊かさを守ろう)も関係するね。魚も食べるし」「6(安全な水とトイレを世界中に)もじゃない?水飲むし、水ないと畑もできんし」「農業とかは16(気候変動に具体的な対策を)にも関係するんじゃない?」と、とてもたくさんの意見が出ました。生徒たちはSDGsを通してグローバルなスケールで物事を考えたり、ゴールと問題を関連付けることが出来るようになり、SDGsの理解をさらに深めているようでした。

次に日本に住んでいるとなかなか聞くことがない「飢餓問題」について国連WFPのハンガーマップを見ながら考えてみました。「アフリカが深刻」「日本は全然大丈夫だね」と生徒たちは自分たちのテーブルに置かれた地球儀を使いながら場所を確認していました。現在地球上では8億2,100万人、約9人に1人が「栄養不足」であるという調査結果が出ています。SDGsのゴール2でもある「飢餓をなくそう」は途上国特有の問題と捉えられがちです。しかし気候変動や先進国の経済活動が飢餓問題の要因となっていることもあり、先進国に住む私たちちも真剣に向き合うべき問題です。

更に関連した話題として食品ロスの問題や未来の農業にも目を向けてみました。テクノロジーが食品の流通や農業そのものを効率化する一方、2017年に国連は2019年~2028年を国連「家族農業の10年」と定め、食料生産おいて主要な農業形態である家族農園の更なる活性化を図っています。話を聞きながら「残さず食べてるよ!」「家でも畑しとるよ」と話す生徒たちもちらほら。皆さんなりに食品にまつわる問題に向き合っているようです。

 

 

 

 

 

 

次に世界の食卓を覗いてみました。「地球の食卓―世界24か国の家族のごはん」(著者=ピーター・メンツェル+フェイス・ダルージオ)に掲載されている、さまざまな国や地域の「ひと家族における1週間分の食料」の写真を見ながら、気づいたことを発表しました。「パンがたくさんある、パンが主食かな?」「野菜が多いけど肉が全然ない」「家族が多い!来ている服も全然日本と違う」など、たくさんの発見がありました。国や地域によって食料の種類や量、家族の雰囲気が様々で、見たことのない食材も沢山あったようです。私たちの食卓に乗っている食材も世界の他の地域に住む人にとっては不思議な食材なのかもしれません。

次に萩野さんより5月にみんなで作った「ワラビの塩漬け」の塩抜きについて教えてもらいました。山菜を茹でたり、塩抜きをするときは銅鍋を使うのが昔から伝わる知恵だそうですが、どうしてでしょう?萩野さんによると銅鍋を使うと銅イオンが葉緑素(クロロフィル)とくっつき、食材の変色を防げるそうです。不思議ですね!

 

 

 

 

 

 

 

 

しばらく使っていないと銅鍋には緑青(錆)がつきます。この授業ではは同じ銅で出来た10円玉を使って緑青取りを行ってみました。準備したのは酢と塩。これらを混ぜて磨くだけで綺麗な輝きを取り戻します。つやつやになった10円玉、日常生活にもいろいろな化学が隠れていて面白いですね。

綺麗に塩抜きできたこのワラビの塩漬けは、12月5日の「あえのこと」にて神様にお供えする予定です。

最後は「能登空港発 世界一周ごっつぉツアー」ということで鈴木さんのブルキナファソ料理「トー」、OUIKインターンのフェリックスさんのスイスの「ロシュティ(Rösti)」OUIK富田のイギリス/オーストラリア料理「ベジマイト」を食べるツアーを行いました。まずはブルキナファソの「トー」。これはヒエやトウモロコシなどの粉をお湯で練ったお餅のようなものに、ソースをかけて食べるもので、今回はトマトを使ったシチューのようなソースをかけました。現地ではとてもよく食べられている料理だそうです。次はスイスのジャガイモ料理、「ロシュティ」です。細く切ったジャガイモをプライパンで焼いたもので、ソーセージなどの付け合わせとして食べることが多いようです。見た目はお好み焼きに少し似ていますが表面がカリカリしてとてもおいしいです。今回はスイスの代表的なチーズの1つ、「グリュイエールチーズ」も試食しました。最後はイギリスやオーストラリアで親しまれている「ベジマイト」をトーストに塗ったものです。チョコレートみたいに見えますがしょっぱく、発酵した独特の臭いがあります。現地ではよく朝食などで食べられているそうです。

ブルキナファソの「トー」

スイスの「ロシュティ」

イギリス/オーストラリアの「ベジマイト」

 

 

 

 

 

 

 

 

はじめて食べる料理に生徒たちも大興奮です。ベジマイトは想像と全く違う味がしたらしく、かなりてこずっていたようでしたが、トーとロシュティに至ってはみんなおいしそうに食べていました。住んでいる地域や環境、文化が違うとそこで食べられている「ごっつぉ(ごちそう)」も多種多様です。最後にまるやま組の萩野さんは「今やいろいろな地域の料理がどこにいても食べられる時代となりましたが、自分たちが育った地域の「ごっつぉ」の味を忘れないでほしい」と話しました。

報告:国連大学OUIK

国連大学OUIKでは「世界農業遺産(GIAHS)能登の里山里海」を利用した持続可能な未来へ向けての教育活動をサポートしています。一言で「能登の里山里海」と言っても地域によって異なる様々な伝統文化がありますが、三井小学校のような活動が能登の他の地域でも行われ、里海、里山間で交流が生まれるようなプラットフォーム作りを進めていきたいと思います。さて、次回はどんな「ごっつぉ」を作るのでしょうか?「SDGs三井のごっつぉproject」は通年のプログラムとして続きます。

企画・実行:萩野アトリエ/まるやま組 萩のゆき、萩野紀一郎(富山大学 芸術文化学部 准教授)協力:国連大学OUIK

【イベント報告】 能登の里海セミナー「里海の保全から考えるSDG14の達成-海洋汚染問題を考える-」

2015年から国連大学OUIKは石川県の世界農業遺産「能登の里山里海」(以下「能登GIAHS」)における里海の保全や生業に関する啓発活動を「能登の里海ムーブメント」として行ってきました。今年はこの活動の一環として、「里海セミナー」を計4回開催する予定です。

 2020年6月6日にオンライン開催された2020年度第1回目は「里海の保全から考えるSDG14の達成-海洋汚染問題を考える-」をテーマとし、SDG14「海の豊かさを守ろう」の10個の目標から、SDG14.1「2025年までに、陸上活動による海洋堆積物や富栄養化をはじめ、あらゆる種類の海洋汚染を防止し、大幅に減少させる。」について学びを深める回となりました。 

「里海」という視点をもって海洋問題と向き合う

 開催に先立ち、主催を代表して国連大学OUIK事務局長の永井三岐子がこのセミナーの様々な可能性について語りました。沿岸生態系の資源から恩恵を受けて暮らす人々は世界に30億人いると言われており、人々の生業と自然が共生する沿岸地域を表す「里海」という視点を用いて海洋汚染問題と向き合うことはとても重要だそうです。さらに「SDGs14、そして科学的な知見を用いて地方から全国に向けてオンラインで発信できることは非常に意義のあることだと思います」と挨拶を述べました。

【イヴォーン・ユー(国連大学 OUIK研究員)】

 続いてこのセミナーの紹介として「能登の里海ムーブメントとSDG14について」と題し、国連大学OUIK研究員イヴォーン・ユーより発表がありました。

 2011年「能登の里山里海」として能登地域がGIAHS認定され、農業と関わりの深い「里山」の保全・活用活動が盛んに行われるようになったそうです。一方、2012年に行った「里海里山の保全活動に関する調査」では「里海」という観念の認識がまだ低く、「どのような活動を通して里海の豊かな伝統や自然を守っていけるのか、イメージしにくいという」という意見がでました。

 そこで国連大学OUIKでは「里海」という観念の理解を広げるため、地域の知名度の向上のため、そして里海を生業の場としている地域の人々の生活を向上させるための活動を「里海ムーブメント」と名付け2015年にスタートしました。国内外での発信、地域での保全活動のサポートも積極的に行い、計8回行われたセミナーでは七尾市の藻場や穴水湾の伝統漁法、珠洲市の貝類など、さまざまなテーマを取り上げ、東京や国際会議の場でも能登の里海について発信してきました。これらの活動は能登地方を里海研究・保全の拠点として活用の幅を広げることにもつながっています。

海洋汚染の様々な要因

 「海洋汚染」と一言でいっても、原因は多様です。近年話題になっているプラスチックゴミ問題の他に、産業化学物質や畜産の排出物や日常生活用品の化学物質などの陸上からの流出も汚染源となります。また、海上での油の流出や、浮遊する漁具が魚を獲り続ける幽霊漁具なども見逃せない問題です。こうしたさまざまな要因が、海洋の生態系に悪影響を及ぼしています。プラスチックゴミの問題に至っては「2025年には魚3トンにつき、1トンのプラスチック、そしてこのままいくと2050年には魚よりもプラスチックが多くなる」という予想がEUから出ています。

持続可能な海洋のためのイノベーション

 6月8日は世界海洋デー、今年のテーマは「持続可能な海洋のためのイノベーション」です。「海洋ゴミを減らすことも増やさないようにすることも大事だが、そのゴミを再利用することも考えるべき段階に来ている」とイヴォーンさんは語ります。さらに海外のイノベーション事例として海洋ゴミ100%で作られたサングラスやスポーツ用品についても紹介しました。「イノベーション(技術革新)は再利用製品の開発だけにとどまらず、教育などの知識的改革にも適応されるべき」と述べました。

 

【道田豊(東京大学大気海洋研究所教授)】

 次に「海洋プラスチックをめぐる課題と研究の展望」と題し、東京大学大気海洋研究所の道田豊教授よりお話いただきました。

 道田さんの専門分野は海洋物理学、主に海洋表面付近の流れと構造の変動を研究しており、その延長で漂流するプラスチックゴミについての調査も行っているそうです。2019年からは東京大学と日本財団の連携により海洋ごみ対策プロジェクトを開始し、海洋プラスチックゴミ(主に5mm以下のマイクロプラスチック)に関わる実態把握、生体影響、そしてゴミの発生フローの解明と削減・管理方策を研究しています。

そもそもどんなふうにゴミが海洋に流れてくる?

 これまで人間が生産してきたプラスチックの全量は実に象14億頭分、中華人民共和国の人口が大体13-4億なので、人口が全員象の重さになったイメージだそうです。大量生産しているプラスチックの中には使用後、リサイクルされるもの、再利用されるもの、焼却処分されるものがあり、残りのごく一部(5%以下)が残念ながら海に流れ出ているそうです。5%と聞くと少なく感じますが、全体量が多いのでこの5%は決して小さな数ではないです。その多くは東南アジア諸国から流れ出ており、早急な対策が望まれているそうです。(日本は年間2万トン流出)

 これらが何処から発生してどうやって海に流れるのかという「プラスチックのマテリアルフロー」も明確になってきており、それに基づいた削減・管理方策を検討しているそうです。「(ゴミが)川を介して海に流出していることはほぼ確実、では川に流れる前の段階でどう抑られるか?それは制度を作ったり、社会的行動変容を促すことを考える必要があり、社会科学分野の専門家とも協力し、検討している」と述べました。

マイクロプラスチック

 マイクロプラスチックと言われているものには2種あり、もともの小さかったもの(レジンペレットやマイクロビーズ)と、海に流れ出た後、波に揉まれたり、紫外線の影響を受け、長い間かけて微粒子状になったものがあります。このマイクロプラスチックはまだまだわかっていないことが多く、道田教授の研究ではまずこれらが「何処から来て何処に行くのか?」という実態把握から進めているそうです。現在は「小さくなったプラスチックはプランクトンや魚の糞などにくっつき海底に沈んでいく」という仮説を証明するために調査研究が行われているそうです。

生態系への影響

 プラスチックという物質はPCB(ポリ塩化ビフェニル)等の化学物質が吸着しやすく、それらを飲み込む生物(魚や貝)への生体影響も懸念されています。これらの影響を把握するため、綺麗な海岸の生物とプラスチックゴミが多くある海岸の生物を比べ、体内の化学物質の量の違いなどを調査しているそうです。

 人体への影響についても未解明な点が多く、はっきりと影響があるとは言い切れないそうです。初期段階の研究として「マイクロプラスチックは体内に吸収されるか否か、そしてどのように体内に吸収されるのか」について培養した細胞のモデルを用いて研究しているそうです。「おそらく小さいプラスチックは吸収される、しかし生体に悪影響があるかどうかはまた別の問題。プラスチックは安定した物質で簡単には分解されない、そのまま体内を巡っているだけでは影響が出ない可能性もあるが、例えば免疫細胞などが反応し医学的影響を及ぼす可能性も否定できない」と道田氏は語ります。

 科学的に極めてハードルが高いこれらの問題の解明には長い時間がかかると言われています。しかし放っておくと取り返しがつかなくなるため、解決にはプラスチックの再利用やリサイクルはもちろん、全体量を減らす努力が必要です。道田さんの研究では2021年後半に政策提言ができるよう、取り組んでいるそうです。

【浦田慎(一般社団法人能登里海教育研究所主幹研究員)】

 続いて一般社団法人能登里海教育研究所主幹研究員の浦田慎さんより、「子供たちの海の学びを考える・能登里海教育研究所の環境教育」と題して活動紹介を行っていただきました。

 能登町の小木にある能登里海教育研究所は2015年に日本財団や能登町からの支援で設立されました。主な活動としては海洋教育に関する研究と学校での海の学びを支援する活動です。

なぜ海洋教育が必要か?

 日本という国は非常に地理的にも文化的にも海との関わりが非常に深く、法律でも「海洋に関する国民の理解の推進」が定められており、海洋問題に関しても海の側に住む人だけではなく、山の方に住む人も等しく学ぶことが推奨されているそうです。さらに「海」は自然環境と自分たちの暮らしや産業との結びつきを学ぶために活用しやすく、子どもたちにとっても興味関心を引く学びの場となっているそうです。浦田さんは「子どもたちが自ら興味を示し、自分で調べてみるといった主体的・対話的で深い学びが柱となっています」と海洋教育の方向性を語りました。

社会と連携した学校教育

 地域で活躍する漁師さんや専門家の方に実際に授業でお話しいただく、見せていただく、というのは海洋教育において非常に効果的な手法です。しかし、このような出前授業を行う場合は外部協力者(ゲストティーチャー)と学校教員の、それぞれの狙いを事前に確かめておく必要があるそうです。能登里海教育研究所は子どもたちの目標に応じた理解を優先する学校側と、自分の経験や知識をより多く伝えたい協力者の間に入り、授業をコーディネートする役目も果たしています。

海洋ゴミの教育

 これまでの海洋教育では、汚れた海のショッキングな写真を見るところから始まり、当事者意識を持たせ、行動を考えるという順で進められることが多かったそうです。しかし、この方法では「海が汚いところだ」というネガティブなイメージだけが残ってしまう可能性があります。さらに「海にとても親しみを感じる」と答えている若者が年々減ってきている中、「そもそも親しみを感じない場所のゴミ問題を解決しようと思うのか、懸念を感じている」と浦田さんは語ります。

 これらのことを踏まえて、最近は「海を守る」ことを教える前に「海に親しむ、知る」ことを優先する段階的な教育プランが多くの学校でも採用されているそうです。

 小木小学校では1-2年生の時はゴミ問題には触れず、海の生き物や海藻と触れ合い、観察や飼育を経験し、海に対する愛情を深めることを目標としています。その後3年生になると初めて海岸でゴミ拾いを行い、地域内で啓発活動を行うそうです。さらに高学年になると自分が疑問に思ったことについて調査・実験を通し、ゲストティーチャーと共にゴミ問題についてさらに理解を深めていきます。

 最後に「子どもたちから『なんでこんなに頑張ってもゴミが減らないの』と聞かれると非常に答えづらい。大人たちからも解決事例を示していくことも大事」と述べました。

 

 パネルディスカッションは「SDG14.1海洋汚染軽減の目標達成に私たちのできること」について輪島の海女漁保存振興会海女の早瀬千春さんも加わり、イヴォーン研究員がモデレーター役を努めました。

【早瀬千春(輪島の海女漁保存振興会海女)】

 輪島で30年以上海女として活動している早瀬さんは小さい時から海に親しんできたそうです。季節ごとに操業するエリアが変わる海女業を通して、広い範囲で長年能登の海を見てきた中、様々な変化を目の当たりにしてきたそうです。「昔の海と今の海では確実に変化が見られる。21歳の娘も海女デビューしたこともあり、海洋汚染問題についてはとても懸念している」と述べました。早瀬さんが感じている具体的な環境の変化としては水温の上昇や透明度の低下、磯焼けがあります。「磯は海の中の畑。磯が焼けてしまうとサザエやアワビの主食である海藻が育たない。昔の海の環境に戻すのは難しいかもしれないが、次の世代のためにも人間の手で壊した環境は人間の手で戻す努力をしないと」と述べました。

海に潜って漁を行う早瀬さん

 海女さんや漁師さんは海洋ゴミ問題にも日常的に直面しています。流れてきた漁具などが船のスクリューに絡まったり、海女さんの足に絡まったりして、危険な目に合ったこともあるそうです。「漁具は漁師の財産、故意に捨てることはないと思うが、それが流れてくることで被害を被るのも漁師さん。なんらかの形でこれらのゴミがお金になる仕組みができればゴミの回収自体も仕事として成り立ち、理想の形だ」とイヴォーン研究員は述べました。

 続いて新型コロナの影響からくるプラスチックの使用量の増加について道田さんにお話しを伺いました。「プラスチックを減らすのは大前提だが、例えばプラスチック製品がない医療は考えられないという事実がある。これを認めた上で知恵を絞り、上手に使うということに尽きる」と述べました。

 浦田さんは「プラスチックだから悪だと感情的に決めつけるのではなく、科学的な根拠を用いて正しく学習し、判断するスキルを子どもたちに持って欲しい」とコメントしました。早瀬さんも「捨てない努力と作らない努力、そして一人ひとりの心がけが大切である。大人も責任を持って行動するべき」と考えを述べました。

【Q&A】

 続いて質疑応答では「そもそもなぜ海洋にプラスチックが流れ出てしまうのか?リサイクルにもエネルギーが必要なのでゴミと一緒に燃やしてしまえばいいのではないでしょうか?」という質問に道田さんにお答えいただきました。ヨーロッパでは一般的な埋め立て処理や日本で行われているサーマルリカバリー処理*など、さまざまなプラスチックゴミ処理方法については専門家の間でも議論が分かれるそうです。「いろいろな要素が絡んでくるので、全部一緒に燃やしてしまう方法よりも分別して処理するという手段を日本は取るのがいいのでは」と道田氏は述べました。*ゴミを焼却して得た熱エネルギーを回収し、再利用する処理法

 最後にパネリストの3名から、皆さんへのお願いとしてコメントをいただきました。早瀬さんは「ゴミを減らす、ゴミを持って帰る、ゴミを作らない努力を心がけてほしい。海の環境悪化は明白であり、自分たちが理解を深め、変わらなくてはいけない。海に従事している私達海女とか漁師にしか出来ないコトがあるはず。海の中のゴミを収集する事や底引き網で深い所のゴミをさらうコトとか出来る。これについては、補助金とかあれば、海女も海掃除の日を何日か出来るはず」、浦田さんは「もっと多くの方に教育現場でのご協力をお願いしたい。海の素晴らしさが伝われば子どもたちの意識も高まると思う」、道田さんは「研究者として科学的根拠に基づいて議論できる世の中を作るために努力したい。皆さんには『私一人がやっても』と思わず、自分がやっている努力の意義を認識して、地道でも、できることからやって欲しい」と語りました。

 

 閉会の挨拶では国連大学OUIK所長の渡辺綱男が今日の議論を振り返ると共に「里海と関わって暮らしている方々の経験や想いを私たちみんなで共有し、一人ひとりの行動につなげていくことが海の豊かさを守ってく中でとても大事なのでは」と述べました。さらに来年からは「国連海洋科学の10年」が始まることもあり、「国連大学OUIKとしてもこの里海セミナーなどを通していろいろなテーマで海の豊かさを守るための活動を皆様と続けていきたい」と述べました。

 

セミナーの動画もご覧いただけます。

※セミナー中に対応できなかった質問に対する答えは下のファイルをご確認ください。

 

世界農業遺産国際貢献プログラムとの共同スタディツアー2019

第2回目となるいしかわ世界農業遺産国際貢献プログラムとの共同スタディツアーが開催されました。このプログラムは石川県が主に開発途上国を対象に、世界農業遺産認定の支援や、地域振興に向けた能力開発研修を実施することで、持続可能な発展に貢献するプログラムです。 

第1回目の去年と同様に石川県、国連大学サステイナビリティ高等研究所(UNU-IAS)学術プログラム、国連大学いしかわ・かなざわオペレーティング・ユニット(OUIK)が能登をフィールドに共同企画・開催し、国連大学、金沢大学、名古屋大学、東北大学、東京農業大学の留学生からなる世界13か国総勢17名が3日間にわたり能登地方を訪問し、里山里海を活用した地域振興の取り組みを学びました。 

1日目、最初の訪問先は輪島市で「土地に根ざしたくらし」をテーマに様々な活動を行う「まるやま組」です 

まるやま組の代表である萩野さんご夫婦は東京やアメリカでの暮らしを経て、ここ輪島に移住してきました。建築家である萩野紀一郎さんとデザイナーである萩のゆきさんは地域の人たちとつながりながら、里山での暮らしをテーマに一般の方を対象にしたワークショップや小学校との共同教育プログラムを開催しています。 

 

地域に古くから残る伝統的な文化や農法を持続可能な形で次世代に伝えていくことが里山の生物文化多様性を守ることにつながると萩野さんは言います。 

昼食をはさみ午後の訪問先「いしかわ農業ボランティア」の現場に向かいました。石川県では農村でのボランティア活動を希望する個人や企業、団体の方々を「農村役立ち隊」、ボランティアの受け入れを希望する集落を「受け入れ隊」として登録し、マッチングすることで協働活動を推進しています。 

 

 

 

 

 

 

この日は金沢市内から茅葺屋根に使うススキを刈り取るボランティアの方々が参加していました。「受け入れ隊」の西山 茂男さん(みい里山百笑の会にお話を聞いてみると「昔はこの集落全部の家が茅葺屋根だった、今年は自分の家の屋根の手入れ、来年はあなたの家の屋根、という風に自然に協力関係ができていたが、近年の人口減少で担い手が減った結果、茅葺屋根の建物も残り2件まで減ってしまった。このようにボランティアの人たちの助けも借りてどうにかこの2件を残して行きたい。」と語りました。 

能登地域には古くから「結(ゆい)の精神」と呼ばれる集落の住民総出で助け合い、協力し合う相互扶助の精神あり、茅葺屋根は減ってしまったものの現在も農作業や草むしりなどを協力して行うそうです。ポーランドからの留学生は「自分の家のことだけではなく、集落一帯をコミュニティーとしてとらえ、協力しあうことは素晴らしい文化だと思う。」とコメントしました。 

1日目、最後の訪問先は穴水町の牡蠣の養殖場です。 

 

 

 

 

 

 

七尾湾に面するこの地域では穏やかで栄養分も多い内海を利用し、牡蠣の養殖が盛んに行われています。12月から5月はマガキ、夏の間は岩ガキがこの地域から全国に出荷されます。 

牡蠣の養殖業を営む松村さんに養殖技術や近年のインターネットなどを利用した出荷システムについて学びました。その後、ボートに乗せてもらい実際の養殖現場を見学させていただきました。マガキは12月ごろから出荷が始まるため、まだ十分成長しきっていませんでしたが、初めて見る牡蠣の養殖現場に留学生たちは興味津々でした。 

穴水に移住し、漁業と養殖業を行う齊藤さんにもお話を伺いました。シーズンオフの時期でも安定した収入を得るために牡蠣の養殖業のみならず、それ以外の漁業行う傍ら、夫婦でレストランを経営しているそうです。「1年を通して忙しいが、自然豊かなこの土地で自分の好きなことを職業にできることを幸せに思う。」と語りました。目の前の海から上げた牡蠣をその場で食せるこのレストランを目当てに遠くから足を運ぶ方も近年増えているようです。 

 

 

2日目の朝は能登町の「木の駅プロジェクト」について学びました。 

 

 

 

 

 

 

日本では人口減少や高齢化による人材不足、そして木材の輸入自由化に伴う林業の衰退により、近年放置される森林が増えています。一度手を加えた森林はその後も管理が必要ですが間伐をはじめとする森林の整備はとても手間がかかる割に採算が取れないこともあり、森林の荒廃が目立つようになりました。手入れが行き届いていない森林は台風の被害を受けたり大雨等による土砂災害も起こしやすくなると共に二酸化炭素を吸収する働きも低下するそうです

このように問題が山積みとなっている森林整備の現状を地域経済の活性化と組み合わせた形で解決すべく立ち上がったのがこの「木の駅プロジェクト」です。これは山林所有者が間伐材や林地残材など、利用価値の少ない木材を「木の駅」に出荷すると地元の商店などで使える地域通貨と交換できるシステムです。これは全国に広がりつつあるプロジェクトで収集された木材はチップや薪などの用途として販売されるそうです。 

能登町には現在木の駅が2つあるそうですが、そのうちの1つを見に行きました。この日はたまたま木材が買い取られた直後だったのかほとんど見当たりませんでした。真ん中にポツリと置いてある郵便ポストの中には記録用紙が入っており、木材を持ってきた人が量や大きさ、そして連絡先を書き込む仕組みになっています。その後、管理者が用紙をチェックしたのち地域通貨と交換する案内が届くそうです。 

 

木の駅を後にした一行は、春蘭の里へ向かい、多田さんと共に里山にキノコ採りに行きました。 

 

 

 

 

 

 

手入れが行き届いている多田さんが所有する森林では春には山菜が、秋になるとたくさんのキノコが採れるそうです。食べられるものと食べられないものがあり、中には判断が難しいものも多くあります。多田さんにチェックしてもらいながら、たくさんのキノコが採れました。この後、春蘭の里に戻り、多田さんのご自宅で調理してお昼ご飯と一緒に食べることにしました。 

能登町に位置する春蘭の里は集落全体に農家民泊施設が40数件あり、里山のリアルな暮らしが体験できる場所です。多田さんの家の宿泊施設となっており、前日はイタリアからの観光客が宿泊して行ったそうです。 

 

 

 

 

 

 

多田さんの自宅での昼食は輪島塗の漆器でい頂く、里山の恵が詰まった野菜中心の食事です。収穫したキノコも美味しくいただきました。 

午後は輪島市に戻り、仁行和紙を訪問しました。ここで昔ながらの方法で和紙を作っている遠見和之さんに和紙の作り方や、ここで作られている和紙の特徴をお話頂きました。和紙の原材料となるのは楮(こうぞ)呼ばれる植物で近くの森林から採取しているそうです。工房の側にもたくさん自生していました。この皮の部分を剥いで蒸し、煮込み、細かくすることで和紙の元になる白い繊維質ができます。 

 

 

 

 

 

 

遠見さんにお手本を見せてもらい、学生の皆さんも紙漉を体験しました。簡単そうに見えて均等な厚さにするために素早く手を動かすのがとても難しいそうです。お好みで植物や貝殻を入れてオリジナル和紙を作ることも可能だそうです。 

 

 

 

 

 

 

遠見さんの代で3代目になるこの工房は遠見さんのご祖父様が中国で紙漉の技術を学んで来てから続いているようです。近年では壁紙や名刺、お酒などのラベルに使用するための注文も増えているそうです。

 

最終日の3日目の朝は輪島の朝市を見学しました。その後、能登空港の会議室で金沢大学能登学舎の伊藤浩二さん(特任准教授)により、能登里山里海SDGsマイスタープログラムについての講義を受けました。このプログラムは少子高齢化が進む能登地域にて里山里海の自然資源を活かし、能登の明日を担う「若手人材」を育てる人材開発プログラムです。修了生と連携し講義プログラムを組むため研究内容も様々で幅広い分野の知識を学べます。 

 

午後は学生たちの最終発表とディスカッションセッションが行われました。このアカデミックプログラムはUNUIASのTrans-disciplinary and Graduate Research Seminar(TGRS)という共同演習のコマとして実施しているものでUNU-IAS斎藤修教授と共に学生たちは「高齢化と人口減少」をメインテーマに掲げ、「教育」「持続可能な生業」「ツーリズム」といった3つのサブテーマに分かれ、3か月前から事前研究を行ってきました。

今回の発表では事前研究の内容に過去3日間で得られた能登里山地域に関する洞察と課題に対応するための戦略やアイデアを付け加えて発表しました。 交流人口を増やすためのアイデアや留学生や学生に能登で活動してもらうため大学との共同プログラム、更にエコツーリズムに関するプロモーション戦略など、たくさんの意見が出ました。地元との関係者の方々にもディスカッションに参加して頂き、3時間にわたり活発に意見交換を行いました。今後はこれらのアイデアを具体的に形にしていくために学生たちは研究を続けていく予定です。 

【開催報告】シンポジウム「いしかわ・かなざわから発信する生物多様性10年のあゆみ 〜 持続可能な次の10年に向けて 〜」

2010年に愛知県で開催された生物多様性第10回締約国会合(COP10)では、生物多様性を守っていくための愛知目標が採択されました。そして2011〜2020年を「国連生物多様性の10年(United Nations Decade on Biodiversity)」と定めて、愛知目標の達成を目指してきました。
2020年はこの10年の節目の年であり、「国際生物多様性の日」である5月22日を記念し、「国連生物多様性の10年」のキックオフシンポジウムが開催された石川県での10年の活動を総括し、次の10年に向け、生物多様性とどのように向き合い持続可能な地域を作っていくかを考えるシンポジウムを主催しました。

※新型コロナウイルス禍の中、本シンポジウムはオンラインで開催しました。

 

この10年を総括し、次の10年を考える

UNU-IAS所長・山口しのぶ

開催に先立ちまして、主催を代表して国連大学サステイナビリティ高等研究所(UNU-IAS)・所長の山口しのぶより、国連大学サステイナビリティ高等研究所いしかわ・かなざわオペレーティング・ユニット(UNU-IAS OUIK)の今までの取り組みや成果について紹介。「この10年間の活動を地域から総括し、またこれからの10年を見据えた持続可能な社会のあり方について発信できることは大変意味深いことだと考えます」と、開会の挨拶がありました。

共催の環境省、石川県、金沢市からはメッセージをいただきました。

環境省大臣政務官・八木哲也氏

環境省大臣政務官・八木哲也氏からは、「石川、金沢における活動を総括し、次の10年を考えるイベントが開催されることは、生物多様性に関する活動を将来につなげていくことで大変意義深いもの」と述べ、「世界は新型コロナウイルスという危機に直面していますが、この危機に加え、生物多様性や気候変動の危機に対処していくための解決の鍵は自然との共生を実現していく中にあると考えています。これらの危機を克服していくために社会のあり方を見直し、自然と共生する持続可能な社会に変革していくことが求められています。本日のシンポジウムが自然と共生する持続可能な社会のこれからの形、生物多様性との向き合い方について、参加者の皆様方とイメージを共有し、新たな活動の展開につながるきっかけとなることを祈念しています」と述べました。

石川県知事・谷本正憲氏からは、石川県の国際社会での認知度向上や、国際交流の推進が図られてきたことに、UNU-IAS OUIKが大きく貢献してきたことを評価するとともに、「今後とも生物文化多様性の保全や持続可能な地域社会の発展に向けた石川県の取り組みを世界へ発信していくためにご協力をお願いしたい」というメッセージをいただきました。

金沢市長・山野之義氏からは、2016年に策定された、金沢版生物多様性戦略についてと、また四季折々に豊かな金沢の自然環境が伝統文化を育んでいることの紹介があり、これを次の世代へと引き継いでいく義務であるとのメッセージをいただきました。

 

基調講演
生物多様性の10年—これまでの10年これからの10年

基調講演は、公益財団法人 地球環境戦略研究機関 理事長の武内和彦氏にお願いしました。

武内和彦/公益財団法人地球環境戦略研究機関(IGES)理事長・国連大学上級客員教授・東京大学未来ビジョン研究センター特任教授

「オンラインのシンポジウムを開催するということで、新しい社会における交流のあり方につながればいいなと思っています」と、まずは抱負を述べられ、生物多様性のこれまでの10年の総括と、これから先の10年はどんなことを考えていけばいいのかについて、講演していただきました。
COP10で採択された「愛知目標」を踏まえて、日本の生物多様性国家戦略の見直しの最中に東日本大震災が発生。恵みであると同時に脅威でもある日本の自然に対し、感謝と畏敬の心で接することを認識したそうです。今回の新型コロナウイルスの発生についても、自然環境の破壊と無関係ではないという専門家の話を交えながら、自然との共生ということに立ち返って、これからの人と自然のあり方を考えていく必要性を強調しました。

2019年5月に、「生物多様性及び生態系サービスに関する政府間科学―政策プラットフォーム(IPBES)」から公表された生物多様性に関する報告は、「世界中で約100万種が絶滅の危機に瀕している」という、非常にセンセーショナルな数字で広く知られるようになりましたが、この報告書が言いたかった、もう一つの大事なメッセージを紹介しました。
それは、「このままでは自然保護と自然の持続可能な利用に関する目標は達成されないが、経済・社会・政治・科学技術の横断的な変革により、2030年以降の目標を達成できる可能性がある」とあり、「社会変革を促進する緊急かつ協調的な努力により、自然を保全、再生、自足的に利用しながら同時に国際的な社会目標を達成できる」とあることです。
「こういうポジティブなメッセージも含まれていることをぜひご理解いただければと思います」と述べました。

愛知目標達成に向けた現在の進捗状況は、順調に進んでいるものは少なく、一番うまくいっているのが「保護地域の拡大」で、うまくいっていないものは、「生息地の破壊」、「過剰な資源の利用」、「化学汚染」など。「外来種」はうまくいっているものもあればいっていないものもあるそうです。

SDGsのゴール達成に必要なトランスフォーマティブ・チェンジ

SDGs(持続可能な開発目標)で生物多様性と直接関係があるのは「海の豊かさを守ろう」「陸の豊かさを守ろう」ですが、生物多様性は人の健康とも密接な関係があります。SDGsの目標に対して生物多様性の議論がどのように進んでいるかと言うと、うまくいっている例は残念ながらほとんどないと言います。これまでの自然を守る、自然を活用するということに重点が置かれていた生物多様性の議論から、もっと広く社会や経済や、あるいはさまざまな環境問題につながっていくことを見据え、論点を変えていくことが必要であり、これが愛知目標に続く新しい目標のひとつの視点になりつつあるそうです。
このような議論は、世界でも盛んに行われていますが、そこで共通して使われている言葉があるそうです。トランスフォーマティブ・チェンジ(transformative change)と言い、翻訳すると「社会変革」です。
つまり、今の社会を単純に改善していくだけでは、高い目標に到達することはできず、到達させるためには、社会を大きく変えるような、そういう試みが必要であるということです。

地球規模の持続可能性に向けた「社会変革」は、具体的にどうやって展開していくかが重要であり、IPBESの報告書の中では、さまざまなステークホルダーが一体となってこの問題に取り組んでいく、そのための新しい共通の場が必要とあります。そのような人たちが一緒になって今の問題を解決するために、現在の状況に対して入り込み、変革を進めていくことが重要だと言います。
SDGs、気候変動、生物多様性、防災について(災害リスクの軽減)、それらをバラバラに考えていくのではなく、みんな合わせて考えていく──多様な取り組みを相乗的に進めていくことが重要だと言い、その中には、新型コロナウィルス後の人の健康と生物多様性のあり方の再考が含まれるのではないかと述べました。

ポスト2020年 2020年以降の目標

UNU-IASが行った取り組みとして、今後とも発展させていかなければいけないものとして、「生物多様性の持続的な利用」を挙げました。「SATOYAMAイニシアティブ」は、この持続的な利用に資する非常に有効な取り組みであると、生物多様性条約でも認識、評価されているそうです。
保護区以外の空間で人と自然がお互い手を携えるお互いに良い状態を作る、時には自然からさまざまな問題も投げかけられますが、それを人はうまく受け止められるような仕組みを作っていく──こういうものとして「SATOYAMAイニシアティブ」がさらに発展できればいいと期待を述べました。

石川、金沢の取り組みについて、世界農業遺産の取り組みと「SATOYAMAイニシアティブ」の取り組みは、同じことを違う側面で語っているので、これらを統合していくことも重要と思っているそうです。
最後に、「石川県で生物の豊かさのみならず、地域の文化的多様性も活用し、そしてSDGsに取り組んでいくというのが、これから期待される石川、金沢での取り組みではないだろうかと思います」と述べ、締め括りました。

 

事例紹介
能登の里山里海と生物多様性

小山明子/国連大学サステイナビリティ高等研究所いしかわ・かなざわオペレーティング・ユニット 研究員・珠洲市の能登SDGsラボ連携研究員

続いて、UNU-IAS OUIK 研究員の小山明子から、能登島の取り組み事例を紹介しました。小山は5年ほど前に能登に活動の拠点を移し、2016年からは国連大学の能登の世界農業遺産関連業務に当たっています。
まず、能登の里山や里海の恵みは古くから人々に活用され、人の手が加わることによって多様な環境が生み出され、生物多様性が高くなっているということを解説。こういった人と自然の豊かなつながりがあることが認められて、能登半島は世界農業遺産に認定されたと述べました。

能登島での生物多様性に関係する具体的な取り組み事例として、長崎地区での「能登島自然の里ながさき」の活動を紹介。2009年に石川県が選定した先駆的里山保全地区の一つに長崎地区が選ばれて、これをきっかけに、「生物多様性の保護と生業を創出し、自然と人が共生する地域づくりを目指す」ことを目標とした「能登島自然の里ながさき」の活動が始まったそうです。

この地域の絶滅危惧種の植物調査を頻繁に行い、島内には石川県の絶滅危惧種120~130種が存在することがわかり、能登島固有植物2種も見つかりました。
調査だけでなく、ビオトープづくりなどによる保護活動も行われていて、植物や両生類、鳥類などが生活できる環境を守っています。

里山里海の資源の持続的な活用

保全と生業づくりを一体化させた取り組みを行っており、その一つが、この地区で昭和に途絶えてしまっていた塩作りを復活させ、里山の木材を燃料に、里海の海水を使った塩の製造と販売です。
もう一つが、繁茂しすぎると地面を覆ってしまい、他の植物を育たなくさせるウラジロの採取で、これを年末のしめ飾り用として、年間約3万枚を出荷しているそうです。

これからの10年については、これまで行われてきた生物多様性調査・保護・モニタリングの継続であり、一番大切なのはフィールドの生き物が育っていける環境維持だと言います。イノシシなど新たな脅威もあり、その対策を練っていく必要もあると述べました。
さらに能登島の若手移住者などが中心になって進めている「能登島まあそいブランド」との連携や、能登里山里海マイスターの修了生などの既存ネットワークとの連携も深めながら、新たな価値を生み出し、活動の持続性を高めることの重要性について言及しました。


「世界的には生物多様性の損失、気候変動、食の安全などさまざまな課題があります。でも、どんな課題もこういった長崎のような地域レベルの一つ一つの取組なしには解決できません。そういった取り組みをいろんな方たちと協力しながら支援していくことが、ますます重要になってくると思います。UNU-IAS OUIKが地域に根差した国連機関であることを生かして、地域のネットワーク化、そして世界で同じような課題を抱えている地域が他にもあるので、そういったところと情報共有の場などを作っていくことが非常に重要になってくると思います」(小山研究員)

 

ビジネスセクターの
生物多様性の10年と、これから

藤田香/日経BP 日経ESG シニアエディター&日経ESG経営フォーラムプロデューサー(富山県魚津市生まれ)

続いて、日経BP 日経ESGシニアエディターで、日経ESG 経営フォーラムプロデューサーの藤田香氏から、ビジネスセクター(ビジネス部門)からこの10年を振り返り、この先の展望をお話しいただきました。
ビジネスセクターでも2010年をきっかけに、本業での生物多様性への参画が盛んに進むようになってきたという藤田氏。経団連の生物多様性アンケートで2009年と2019年を比較すると、経営方針に「生物多様性の保全」や「持続可能な利用」という言葉をどれくらい織り込んでいるかという質問では、「生物多様性の保全」が39% → 75%、「持続可能な利用」が32% → 62%と、生物多様性への取り組みを行う企業が大きく増えていることを紹介。
直接、生物多様性という言葉は出てこなくても、言葉を変えて生物多様性という概念が浸透してきた印象があると述べ、それはこの10年間に、いろいろな社会的要請があったからだと言及しました。

2012年のリオ+20で「自然資本宣言」を金融機関で出したりなど、先進的な大企業はこのようなことに取り組んでいかないといけないということが認識されるようになり、SDGsが登場したのと同じ、2015年くらいからは「持続可能な調達」が重要視されるようなったそうです。2016年、東京五輪の持続可能な調達コードが出始め、企業がいろいろ取り組みを本格的に始めています。
さらに、この10年の大きな流れの柱として、ESG投資家の動きがあり、2016年頃からは森林や水産資源などの評価を始めているそうです。2019年のG7では生物多様性憲章も採択されました。
生物多様性だったり、自然資本だったり、SDGsだったり、持続可能な調達だったりと、言葉を変えながらも、この概念は着実に広がってきたと思っていると述べました。
また、東京五輪の「持続可能な調達」基準では、生物多様性と人権に配慮した調達を挙げています。そして、生物多様性と切り離せないのが、原材料を調達してくる地元の人々、あるいはサプライチェーンの途中段階で生産している人々の人権配慮であることを強調しました。
「持続可能な調達方針」や「目標」を策定し、「人権デューデリジェンス」を実施する企業も、ここ1〜2年で少しずつ増えてきているそうです。SDGsは生物多様性・自然資本経営に関わる部分が大きいと付け加えます。

さらにESG投資の伸びがあり、この3年くらいの特徴として、投資家の格付けが生物多様性分野に広がってきたと言います。投資家による協働エンゲージメントでは、たとえばパーム油のことを投資家から企業は聞かれるようになり、「ちゃんと対応してますか?」と投資家から問われることで、企業にとってはその分野をより頑張らないといけないと背中を押されることになるそうです。
ESG経営の重要な柱の1つに、持続可能な調達や生物多様性を入れている「花王」では、生物多様性の具体的な活動例の中に、「生物多様性の負荷を下げるための技術開発(イノベーション)でパーム油代替するような原材料を開発する」というものもあって、企業の本気度が伝わってきました。

都市と地方をつなぐのは、生物多様性・自然資本

サプライチェーンからの要請は、下流(販売する側など)から上流(原材料のある地方)に行くだけでなく、逆に上流側から、「里山・里海という豊かな自然資本がある、そしてスキルや知恵を持った豊かな人的資本がある」というふうに、ぜひ使って欲しいし、「こういうアイデアはどうですか?」ということを仕掛けて行くこともできます。「それをつなぐのがまさに、自然とか生物多様性だと思っています」と述べました。
SDGsでの変革は、都市と地方がオープン・イノベーションでいろいろな新しいアイデアや仕組みを出して、変革を生み出せるいいチャンスなのではないかと言います。

さて、里山里海の資源を生かし、地域課題解決に取り組む時、SDGsという世界共通言語を使うと、刺さりやすいそうです。その例として、環境保全農業を実施している「金澤美人れんこん」を挙げて紹介がありました。
従来ならば「生物多様性に配慮したれんこんです」だけだったものが、作り方で生産効率をあげたり、IoTを活用して、働きかた改革も実現している特徴があることから、SDGsならば、2番とか8番とか14番とか15番にも貢献していると説明できます。生物多様性+SDGsにより、世界の誰にでもこの取り組みを発信しやすくなるというわけです。
「そういう意味でうまい具合に、地域の取り組みを生物多様性とSDGsという言葉を使ってPRを行い、仲間を見つけていくというのも、これからより重要になっていくのかなと思っています」と、話を結びました。

 

パネルセッション
「この10年を振り返り、今後の10年について語る」

道家哲平氏/国際自然保護連合日本委員会(IUCN-J)事務局長、鳥居敏男氏/環境省 自然環境局長、イヴォーン・ユー/UNU-IAS OUIK研究員に、先に発表を終えた藤田香氏を加え、渡辺綱男/UNU-IAS OUIK 所長をモデレーターに、パネルセッションを行いました。

まずは、藤田氏以外の3人にそれぞれの視点から、今までの10年を振り返って評価してもらい、そして今後の方向について述べていただきました。

●市民団体、市民社会の視点から 道家哲平氏

道家哲平/国際自然保護連合日本委員会(IUCN-J)事務局長

愛知ターゲット達成に向けて2011年に発足した「にじゅうまるプロジェクト」という取り組みを紹介。愛知ターゲットの生物多様性のことを学び、自分たちがどんな取り組みで貢献できるかを宣言し、みんなで行動するもの。全国729の団体が1054のアクション宣言を行なっているそうです。
10年間を振り返るキーワードを改めて考えると、「良い取り組みは生まれたが不十分」、「世界と地域の連動と、切り離し」の2つがあると言います。後者については、世界の良い影響を受けましたが、悪い影響も受けたので、良いものを受け入れ、悪いものを切り離す力が必要だと解説。
次の10年の方向性としては、自然の分野からSDGs達成を行う中で、「知る」「守る」「回復する」「投資する」「人と自然をつなぎなおす」の5つのアクションの入り口をつくり、世界中で、あらゆる関係者が取り組むことで、社会変革(トランスフォーマティブ・チェンジ)を起こしていく、今そのようなことを話し合っているとのことです。

●国の政策、立案という立場から 鳥居敏男氏

鳥居敏男/環境省 自然環境局長

「2010年から10年、自然の猛威を思い知らされたり、昨今の新型コロナウィルスの影響もあり、人と自然の関わり方をもう一回考えないといけない事態が起こっているということに、何か因果を感じます」と述べ、SATOYAMAイニシアティブなどの流れをふり返りました。
また、今年の秋に開催される予定の生物多様性条約第15回締約国会議(CBD COP15、中国雲南省昆明にて開催。ただし延期される可能性が大)の「ポスト2020生物多様性枠組にむけての作業部会」で、日本のポジションから提案した事柄を紹介しました。
具体的に「日本の経験・知見からの貢献」として、SATOYAMAイニシアティブ、気候変動対策との連携、グローバル経済(持続可能なサプライチェーン構築)、非意図的に侵入する外来種への対処についてを挙げました。それぞれに関わりがある事柄であり、その取り組みにより、SDGsの達成に貢献していく、あるいは環境だけでなく、社会・経済の課題に統合的に対処して言い、トランスフォーマティブ・チェンジを目指していくことが重要と考えていると述べました。

●国際機関という立場から イヴォーン・ユー

イヴォーン・ユー/UNU-IAS OUIK研究員

「私のように生物多様性を研究する生物学者でない人が増えていることや、COP10以降に生物多様性という言葉を初めて聞き、関心を持つようになった人もたくさんいるのではないかと思っていて、そういう意味でこの10年間はすごく大きな進歩でした」と最初に述べ、現在とこれからのことを中心に話しました。
2020年は生物多様性のスーパーイヤーと呼ばれ、新しい機会と解決法をみんなで生み出して、未来に向けていくという、大きな未来志向を持つ年と紹介。COP15のテーマは「生態文明」。人と環境の関わりに着目してほしい、ということで文化的な多様性も注目するべきではないかというメッセージが込められているとのこと。
私たちの持続可能な社会の土台、SDGsの土台となるのが自然資本。生物多様性は自然資本に関するSDGsの4つのゴールをつなぐ重要なものであり、それぞれの健全性を示す指標になると言います。
IPBESの生物多様性及び自然に関する多様な価値を示しながら、今までは生物多様性、あるいは自然の価値を考えた場合、どうしても環境保全、あるいは経済活動にどうつなぐ、どう活かす、というような経済か環境かというふうに考えていましたが、これからの10年は、もっと多様な価値をまず皆さんに認識していただきたいと述べました。
あらゆる分野、産業、社会レベルにおいても、生物多様性の多面的な価値がみんなに理解されやすい「共通語」、あるいは「共通価値」を見つけ出すことが大事ではないか、そういう活動によって、生物多様性喪失を食い止めることができればと考えているそうです。
「今年の生物多様性の日のテーマの通り、解決の鍵は自然の中にありますが、それらの鍵を探し出せるかは私たち人間だけです。そして皆さん一人ひとりが解決者になれるかもしれません。皆さんにもそういうふうに考えていただき、一緒に頑張りたいと思います」と述べました。

活動を前に進めていくためのポイントとは?

「現場を見ると、かけがえのない自然が開発によって失われているということをまだまだ見受けます。現場で活動している人たちの視点に立って、生物多様性やSDGsをどう結びつけて、活動を前に進めて行けばいいのか、その点について4人の方に大切なポイントやヒントをお話しいただきたいと思います」(渡辺所長)

「地域には豊かな生物多様性とその使い方を知っている人材と、場合によっては廃校になった学校など、都会にはないリソースがいっぱいあります。そのリソースを使って、生物多様性SDGsビジネスみたいなもののアイデアをどんどん出していくのがいいのではないかと思っています。時には奇妙キテレツなアイデアでも、『私こんなこと考えているんだけど、他に誰か一緒にやってくれませんか?』と、まさにオープンイノベーションでいろいろな人とパートナーシップで進めることがポイント。新しい考え方とか、それこそトランスフォーマティブ・チェンジができるのではないかと思っています」(藤田氏)

「藤田さんの意見に賛成で、そういう連携・協力を進めていく時に大事かなと考えているのが、いろんな分野の人たちと取り組みをしている時のポイントは、生物多様性の分野の側からは、『これはダメなんだよ』とか、『これは注意してほしい』とか、やって欲しくないことを明らかにしておくことです。ネガティブな部分も事前に出すことによって、それを避けつつ、どうやって協力ってが進められるだろうかということが考えられると思います」(道家さん)

「今回のコロナ感染症も、生物多様性への人の影響、あるいは気候変動が進むことで感染症のリスクも高まっているわけですから、それに対処していかなければいけません。その際の一つのキーワードが、自立分散の地域づくり。地域の特性に応じて、あるいはその地域は何を求めているのかをしっかり分析した上で、そこにある、自然や人的資源は何かを把握します。そして生物多様性の観点からだけで解決策を探るのではなく、社会経済の観点から、健康とか教育とか、いろいろな視点も入れて、一石二鳥、三鳥の解決策を考えていくことがポイントです。それはSDGsの達成にもつながっていくことだと思います」(鳥居氏)

「まずは地域の皆さんがもっている自然と生物多様性の価値を認識することです。能登には世界農業遺産に認定された、世界が認めている農業システムがあるにもかかわらず、いまいちよく理解されてません。もっと自分の地域で持っていることを積極的に知ることがとても大事かなと思います」(イヴォーン研究員)

厳しい状況下で活動を進めていく皆さんへ

渡辺綱男/UNU-IAS OUIK

「国連生物多様性の10年ということで10年間、石川・金沢もいろいろなことを頑張ってきたし、全国各地でも活動が進められています。一方で、大きな自然災害であったり、新型コロナウィルスだったり、いろいろな厳しい状況も続いています。その中で私たちは、自然とどう付き合って、どう共生していけばいいのか、どんな気持ちでどんな姿勢で、活動を前に進めていけばいいのかということを、このシンポジウムの参加者の皆さんもそれぞれ悩みながら考えていると思います。最後に、そういう参加者の皆さんへ、パネリストの方々から、一言ずつメッセージをいただければと思います」(渡辺所長)

「一人一人が鍵を探し出す、解決者となれるのだということをぜひ思ってほしいです。大袈裟なことではなく、皆さんの身近な生活の中の行動、例えば食べ物を選ぶ際にも生物多様性のことを意識してもらうことが大事。皆さんなりの発想を生かして解決者になってください」(イヴォーン研究員)

「3.11の時もそうでしたが、今回のコロナは、都会は水も食料もエネルギーも、地方に依存していて何も自給できていないことを改めて認識する出来事でした。一方で、地方で残っているものを都会へ届ける、売れ残ったものを譲り合うといったようなサイトができたり、新しい発想が出てくるいいきっかけにもなっています。地方で子育てをしながら仕事をするという、今までのライフスタイルがガラリと変わるような時代がこれからくるのかなと思っています。新しい発想、まさにSDGs的な、課題についてみんなで知恵を出して解決していこうとするチャンスだと思いますので、都市の人も地方の人も、このチャンスをいろいろ考え、確認してもらいたいというのがひとつと、日本の自然資本をちゃんともっと使っていくこと、自給率を上げていくことをしっかりとやっていくいい機会にしてほしいと思っています」(藤田氏)

「生物多様性条約のソリューション(解決策)とはパズルみたいなもの。みんなが持ち寄ったアイデア、取り組み、イノベーション、そういったものを組み合わせていくことによって、解決策が生まれていくような形になっています。そういうものを考えていこうというのが今回の生物多様性の日のテーマであり、ポストコロナを考えた上でも同じことが言えます。誰も100点の答えは持っていませんが、それぞれがものやアイデアを出しあって、みんなで100点を作り上げていく、そういった問題解決に向けた臨み方というのがこれから本当に大事になってくると思っています」(道家さん)

「今回のコロナで我々の暮らしも変わってくる兆しが感じられます。たとえばテレワークみたいに、都会で仕事をしなくてもいいというのが増えてくると思います。自然豊かな里地里山で暮らして、そこの資源をうまく地産地消で活用しながら、持続可能な社会を作っていくという一つのきっかけにしていくということで、ぜひ、トランスフォーマティブ・チェンジを進めていければというふうに思っています。みんなで知恵を出し合いましょう」(鳥居さん)

「武内先生が最初にお話しされたトランスフォーマティブ・チェンジなしには前には進めない、それを実現していくためにも、いろんな分野の連携であったり、それを支えていく、今まで以上に幅が広くて、今まで以上に柔軟なパートナーシップを作っていくことが大事だということを、今日のシンポジウムで皆さんから伝えていただけたと思います。UNU-IAS OUIKもこうしたテーマについて、国際的な議論と現場の一つひとつの取り組みをつないでいく橋渡し役となり、これからも皆さんと一緒に活動を進めていきたいと思います」と、渡辺所長が述べて、パネルセッションは終了しました。

中村浩二/石川県立自然史資料館館長

最後に、石川県立自然史資料館館長の中村浩二氏より、「今日聞いた話を基に、どれだけ自分たちができているか、モニタリングして評価していくことが大事」と、閉会のお言葉をいただき、約280名というたくさんの方にご参加いただきました今回のシンポジウムは幕を閉じました。

 

 

 

 

★事務局からのお知らせ

・このシンポジウムは後援の国連生物多様性の10年日本委員会せいかリレーイベントとしても開催されました。国連生物多様性の10年日本委員会では生物多様性のためにできる5つのアクション(たべよう、ふれよう、つたえよう、まもろう、えらぼう)から自分のできることを宣言するMY行動宣言を推進しています。是非、皆さんも登録してみてください。

・5/22は国際生物多様性の日、そして2020年は愛知目標と国連生物多様性の10年の最終年でもあります。これらを記念して、生物多様性条約事務局エリザベス・マルマ・ムレマ暫定事務局長から日本の皆さんに向けてメッセージが届きました。(日本語訳は仮訳です)

 

・シンポジウム中、対応できなかった質問の回答は下の添付ファイルをご確認ください。

OUIK 生物文化多様性シリーズ#4 「地図から学ぶ北陸の里山里海のみかた」

OUIK初のマップブックとして、北陸地方の里山里海の現状や変化、多様な見方を地図から学ぶ教材を発刊しました。北陸地方(石川、福井、富山、新潟、岐阜)のスケール、石川県のスケール、七尾湾のスケールといったマルチスケールでの地図情報をまとめています。(PDF:95MB)

関連ページ(Collections at UNU)  http://collections.unu.edu/view/UNU:6540

OUIK 生物文化多様性シリーズ#3「能登の里海ムーブメントー海と暮らす知恵を伝えていく」

2015年度からOUIKが能登GIAHSを構成する市町と開催してきた里海シリーズ講座の内容をまとめたものです。海を利用してきた地域に伝わる知恵、それらを守り、現在の社会環境に合わせて活用していく取組みをまとめています。

『SDGs三井のごっつぉproject』第3回あごだしを作りの回-後半-

※前半の記事はコチラから

遠足の後半のプランはこの2つです

・あごだし作り体験で魚を焼くときに使用した、珪藻土(けいそうど)七輪コンロのできる様子を見学

・あごだし作り体験で魚をさばいたときに使用した、包丁のできる様子を見学

珪藻土七輪コンロができあがるまで

珪藻土七輪コンロのできる様子を見学しに、能登燃焼器工業株式会社を訪れました。

職人の舟場さんから、「珪藻土って何だと思う?!」と質問を受けると、「土です!」と子供たちが元気よく答えました。

「珪藻土とは、珪藻という水の中にいる小さい植物性プランクトンが死に、その殻が積み重なって化石化した土のことだよ。この地域の山の中を切り出すと珪藻土が出てくるということは、大昔この地域は海の底だったということが分かるよ。」と説明する舟場さん。子供たちは、「へ~」と少し驚いた様子でした。

「実際に、そこにある珪藻土の塊を触っていいよ」と言われると、「なんだか粘土みたい!」「柔らかい~」子供たちは初めて触る珪藻土の触感を楽しんでいました。

 

 

 

 

 

舟場さん曰く、この辺りでは珪藻土を使って七輪コンロを作り、輪島の地域では輪島塗を作るときに珪藻土を使用しているとのことです。地域によって、珪藻土の使われ方は様々であると分かりました。

続いて、実際に珪藻土を切り出してくる山の穴の入り口まで連れて行ってもらいました。

穴の入り口の前に来ると、「涼しい!!」「天然クーラーだ!!」「音がすごく響くよ!」(穴に向かって、あーーーっ!!と叫んでみる)子供たちは穴の中の様子に興味深々でした。穴の中は、夏は涼しく、冬は暖かいという特徴があるそうです。

職人は、ノミを持って穴の中に入り、珪藻土を切り出します。珠洲では昔から、珪藻土七輪コンロを作ってきた歴史があるので、山の中を探すと沢山の穴が見つかるとのことです。

先ほどの作業場へ戻ってくると、舟場さんが珪藻土の中から出てきたサメの化石を見せてくれました。「えっ!化石が出るの?!」「何が出るの!?」「たくさんでるの?!」「ここの方が近いし、福井行かないでここで発掘しようかな!」子供たちはとても嬉しそうに声をあげていました。

実際に珪藻土から出てきたサメの歯

「これまで切り出してきた珪藻土の中には、気づかずに見過ごした化石もあると思う」と舟場さんが言うと、「え~もったいない!」子供たちは、化石にとても興味があるようでした。

 

 

 

 

続いて、山の中から切り出してきた珪藻土の塊を七輪の形に形成していく加工場へ連れて行ってもらいました。加工場へ向かう途中で、焼き上げた後の珪藻土を目にすることができました。「実際に持ってみてもいいよ」と言われると、「え!!こんなに軽いの!?」「なんだか色が白っぽい!」子供たちは驚いた様子でした。(珪藻土は焼き上げると水分が抜け、塊だったころの約半分の重さになるそうです。)

加工場では、職人さんたちが道具を使って、珪藻土の塊を七輪の形に加工していました。子供たちも実際に、珪藻土の塊を削る作業を体験しました。「なにか、化石出てこないかなぁ(わくわく)」「チョコレートみたい!」「俺もやりたい!」子供たちはとても盛り上がっていました。

-削るときのポイントー

・少しずつ削ること

・薄く薄く削ること

・力を入れすぎると削るのが難しいから、力を入れすぎずに削ること

舟場さんからアドバイスを受けながら、子供たちは夢中になって珪藻土を削っていました。

加工場で珪藻土の塊を七輪の形に加工した後は、焼きの作業があります。二晩かけて珪藻土で出来た専用の窯で焼き上げるそうです。燃料は薪を使用し、窯の中の温度は800℃まで上がるそうです。

焼きの作業後は、仕上げの作業に入り、最終的に珪藻土の七輪コンロが出来上がるとのことです。珠洲の珪藻土は形成性に富み、多孔質(表面にちいさい穴があいている性質)で、優れた断熱性(熱効率)を有することなどから、長年人々の火のある暮らしを支えてきたとのことです。

 

 

 

 

包丁ができあがるまで

続いて、午前中のあごだし作り体験で魚をさばくときに使用した包丁のできる様子を見学しに、ふくべ鍛冶工場を訪れました。

移動の車中で、「ふくべ鍛冶工場には沢山の刃物が置いてあるので、皆さん気を付けて作業場を歩くようにしてください」と言われていた子供たちは、少し慎重な足取りで工場の中へと進みました。

子供たちが到着すると、ふくべ鍛冶4代目の千場さんが待っていてくださりました。

まず初めに千場さんから、「鍛冶屋って何だと思う?!」と質問を受けると、「刀をつくる!」と子供たちが答えました。

千場さんから、鍛冶屋は三種類に分類することができると教えてもらいました。

  • 刀鍛冶
  • 専門鍛冶
  • 野鍛冶-包丁や農具、漁具などを扱う鍛冶屋

ふくべ鍛冶は③野鍛冶に属し、能登の農業、漁業と共に歩んできた鍛冶屋であるとのことです。農法に適した道具を作っていくのが野鍛冶であり、用途に合わせてひとつひとつ丁寧に製造、修理を行っているそうです。

今回は、イカ割き包丁(イカを割くための細い包丁)が出来上がるまでを千場さんに実演して頂きました。窯の中は1200℃まで温度が上がり、その中に材料(鋼を鉄でサンドした包丁の原型)を入れるところから実演がスタートしました。

実演では、

窯の中で熱した材料を取り出す→機械で叩いて形を整える→ハンマーで叩いて形を整える→また窯の中に戻す

という作業を繰り返し行っていきました。

 

 

子供たちは、1200℃の熱い窯の側で汗をかきながら一生懸命に作業している千場さんの姿を、一瞬も目を離さずに見ていました。

千場さんが熱い窯の中から熱した刃物を取り出し、子供たちに見せると、「こんなに距離があるのに暑い・・。(干場さんの方が刃に近いから)」「すごーい」子供たちは刃物の熱さや、鋭さに驚いていました。

実演をしながら千場さんが、「ハンマーで叩く際に出てくる、カサブタのようなものは、鉄の中の不純物(サビの一種)が出てきているんだよ。」と教えてくれました。繰り返し叩くことで不純物を出し、純度の高い丈夫な刃物が出来上がるそうです。

また、ふくべ鍛冶で使用する窯の燃料は松炭を使用しているとのことです。松炭は繊細な温度調整ができ、火が付きやすく、刃が溶けにくく、刃物作りに適しているそうです。しかし、現在では手に入りづらく、とても貴重であるとのことです。

実演がすべて終わると、最初は長方形だった材料が、先の尖った刃物の形へと変形していました。

子供たちからは、「おぉ~」「包丁みたい」と声があがっていました。

千場さん曰く、通常は一時間ほど作業を繰り返し、その後に柄の部分と刃を合体させて包丁が完成するそうです。柄の部分と刃が合体したときに、丁度よいバランスが取れるようにすることが大切であるとのことでした。

 

-子供たちの感想-

・何回も同じ作業を繰り返していてすごいと思った

・包丁の作り方が分かった

・こんなに時間をかけて、包丁ができあがると思わなかった

・あちらにある機械はなんですか?→包丁を削る道具だよ(千場さん)

 

最後に、ふくべ鍛冶のお店を訪問し、実際に包丁が売られているところを見せていただきました。

お店には、様々な用途で使用できる包丁や、農業、漁業で使用する道具などが沢山販売されていました。千場さんが道具の使用方法などを教えてくださり、子供たちは真剣に耳を傾けていました。

 

 

 

 

 

遠足の後半(珪藻土七輪コンロ作りの見学、包丁作りの見学)を通して子供たちは、美味しい「ごっつぉ」ができあがるまでには、新鮮な食材だけでなく、様々な道具が使用されていることを改めて学べたのではないでしょうか。伝統的な技術で道具作りをしている人たちの、ひとつひとつの丁寧な手作業や、情熱によって素晴らしい道具が完成するということも、実際に道具を作る現場を見学させていただき、理解できたのではないかと思います。

私も三井小学校の皆さんの遠足に参加させていただき、とても勉強になりました。

ありがとうございました。

 

報告:OUIKインターン 成嶋 里香

 

国連大学OUIKでは「世界農業遺産(GIAHS)能登の里山里海」を利用した持続可能な未来へ向けての教育活動をサポートしています。

一言で「能登の里山里海」と言っても地域によって異なる様々な伝統文化がありますが、三井小学校のような活動が能登の他の地域でも行われ、里海、里山間で交流が生まれるようなプラットフォーム作りを進めていきたいと思います。

さて、次回はどんな「ごっつぉ」を作るのでしょうか?

「SDGs三井のごっつぉproject」は通年のプログラムとして続きます。

 

企画・実行:萩野アトリエ/まるやま組 萩のゆき、萩野紀一郎(富山大学 芸術文化学部 准教授)

協力:国連大学OUIK

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