OUIK > 催し事 > 【開催報告】能登里山里海トーク5@ 国連大学東京本部

催し事Events

【開催報告】能登里山里海トーク5@ 国連大学東京本部

日時 / Date : 2026年3月28日 / 28 March 2026

2026年3月28日(土)、国連大学本部1階アネックス・テラスにて「能登里山里海トーク5」を開催しました。第5回となる今回は、七尾市能登島を舞台に、農業や祭りを通じて地域の営みに内外から関わってきたお2人をお迎えし、火祭りをはじめとする「祭り文化」が、地域の暮らしの中でどんな役割を果たしてきたのか議論しました。

ゲストスピーカー:高橋正浩さん(能登島みらい株式会社)、酒井可奈子さん(七尾市地域おこし協力隊)、小山明子(国連大学OUIK)

はじめに小山研究員より、世界農業遺産に認定されている能登の里山里海と、2024年の震災と豪雨について説明がありました。また、能登島では人・自然・季節の関係性の中で文化や景観が形成されてきた一方、高齢化や人口減少により、こうしたつながりを維持することが難しくなっている現状が指摘されました。

酒井さんからは、震災により第1次産業が大きな影響を受け、被災者が自宅を離れて生活する状況となったことで、畑や海との距離が生じたことが共有されました。その中で、地域外から継続的に関わる人の存在が重要であり、外部の視点を通じて地域の魅力が再認識されることが、復旧に向けた力にもつながると述べました。

高橋さんは、能登島「向田の火祭り」について、かつて各家庭で行われてきた柴刈りや藁づくりといった生活の営みが、祭りの中に取り込まれてきたとを紹介しました。一方で、現在では生活のためではなく、祭りを維持するために藁を用意するなど、祭りと暮らしの関係性が変化してきていることを指摘しました。こうした里山里海の営みが失われることは、能登島の歴史や記憶の喪失にもつながりかねないとして、その継承に取り組んでいきたいと述べました。

登壇者による対話では、祭りが日常の営みの延長にあるものであり、山や海に人の手が入ることが生態系や地域文化の維持にもつながってきたことが共有されました。一方で、担い手の減少により、祭りや里山の営みをどのように継承していくかが課題として挙げられました。その中で、祭りを支える関わり方の形も変化しており、外部の人も参加しやすくなってきていることが指摘されました。また、祭りには多くの暗黙知が含まれており、それらを丁寧に共有していくことが関係人口の拡大にもつながる可能性があることが示されました。

小山研究員は、能登には井戸水の活用や山菜・魚介、発酵文化など、自然と共に暮らす中で培われてきた知恵が多く存在しており、人と人とのつながりが災害時の支えにもなっている可能性を指摘しました。

最後に、モデレーターの富田(国連大学OUIK)から、祭りは農業や漁業などの暮らしの営みの中で育まれてきた知識や関係性と深く結びついていることが指摘されました。石川県では例えば、雪解け水を生かした農業や、多様な魚食文化など、自然とともに形成されてきた暮らしが文化として受け継がれています。こうした日々の営みの知恵は、持続可能な社会を考える上でも示唆を与える可能性があることが共有され、イベントを締めくくりました。

Pick up

Banner:Conference