6月8日は国連が定める「世界海洋デーWorld Oceans Day」。国連大学サスティナビリティ高等研究所いしかわ・かなざわオペレーティング・ユニット(UNU-IAS OUIK)は「世界海洋デーWorld Oceans Day」を記念して、6月8日にウェビナー「私たちが望む里海! –海洋研究における女性科学者の声」を開催しました。今回のウェビナーは、日本を拠点に里海の研究に取り組んでいる多国籍の女性研究者4名が集まり、初めて女性だけの講演者でのウェビナーを開催しました。
海洋は私たちの生活の源であり、地球上のあらゆる生命と人類の生計を支えています。今年2021年の「世界海洋デーWorld Oceans Day」のテーマは「海 – 私たちの生活と生計」です。また、今年は、「持続可能な開発のための国連海洋科学の10年(2021年から2030年)UN Decade of Ocean Science for Sustainable Development (2021 to 2030)」の開始年とも重なる重要な年です。この海洋科学の10年では、世界中が協力して、海洋科学が海洋生態系と社会により大きな利益をもたらすことを確固とするような協調的枠組みを構築してゆくことが期待されています。そのため、このウェビナーでは、とりわけ社会科学や沿岸景観に焦点を当てつつ、海洋に関する幅広い専門領域と全般的な理解に着目し、国連海洋科学の10年が呼びかける「私たちが望む海洋に必要な科学 – The Science We Need For The Ocean We Want」について考えてみました。
このウェビナーは、UNU-IAS OUIK永井三岐子事務局長のファシリテーションで、まずはUNU-IAS OUIKイヴォーン・ユー研究員から海洋が直面する課題について紹介がありました。イヴォーン・ユー研究員は海洋を守るために、海洋科学がより上手く情報を発信し、必要な行動を理解して即座に行動を取っていかなければならないことを強調しつつ、海洋の課題に関する全般的で確固とした知識を得るために社会科学が海洋研究に統合される必要性を指摘します。
イヴォーン・ユー研究員からの紹介に続き、3名のパネリスト、Dr Piera Biondi、豊島淳子氏、Ms Alana Bonziから沿岸景観、沿岸域における生物多様性、そして関連する生業の保全に関する研究事例や自身の活動経験について紹介がありました。続くパネルディスカッションでは、研究や社会活動を行う女性ならではの経験や視点について3名のパネリストから言及があります。海洋科学や海洋保全、また水産業や里海の生計を支援する職種において、非常に優秀な女性や知識が豊富で優れた技術を持つ女性に会う機会が多々ある一方で、女性の活躍をより目にみえるようにし、声が届くようにしていく必要があることに気づきました。最後に、自然科学と社会科学をより統合させたアプローチ、沿岸生態系の保全へのより一層の注目、そして、この国連海洋科学の10年の中でより多くの人々が海洋のために行動を取ることが進むことを期待して、このウェビナーは幕を閉じました。
英語で行われたこのウェビナーの詳細レポートを英語でお読みいただけます。