これまで農村部では、人々は地域の気候、地形、生態系に根ざした知恵によって生態系サービスを享受しながら、里山里海のような重層的な自然環境を形成してきました。近年、生活様式の近代化、都市への人口流出、人口高齢化などにより、自然と人間を繋いでいた伝統的な文化が急速に失われつつあります。その一方で、観光資源、精神的豊かさなどを求め里山的環境を求める交流人口の拡大など、人の移動や経済活動と地域の自然と文化は、複雑に相互に影響を与え始めています。
OUIKでは、自然と人間の文化を一体的に捉え、保存、活用しながら持続可能な地域づくりをすすめる「生物文化多様性」というコンセプトを提唱し、2016年10月の第一回アジア生物文化多様性国際会議の開催以来、SATOYAMA イニシアティブ国際パートナーシップ(2017年10月4日)とは自然共生社会の構築への生物文化多様性の貢献、そしてIUCN日本委員会(2017年10月14日)とは生物文化多様性の重要性の次世代への継承、などさまざまなパートナーと多様な角度から議論を重ねてきました。
今回は、東京大学国際高等研究所サスティナビリティ学連携研究機構(IR3S)、ストックホルムレジリエンスセンター(SRC)とともに生物文化多様性の視点から金沢市周辺の中山間地、金沢市街地の景観の移り変わりを人の動きを軸に考える国際会議を開催いたします。今回、海外からの有識者20人あまりが金沢周辺の里山景観と人の営みや動きとの関係を考えるwalking workshop という企画を東原集落にお邪魔して開催します。金沢周辺の中山間地域の生物文化多様性と人々の暮らしのつながりが、どのように海外の研究者には映るのでしょうか。そういった視点もご紹介しながら、金沢、国内、および海外の様々な事例をもとに、人の移動と生物文化多様性の関係から新しい都市の未来について話し合います。お申し込みはページ下のボタンより登録をお願いします。
主催:東京大学国際高等研究所サスティナビリティ学連携研究機構(IR3S)、ストックホルムレジリエンスセンター(SRC)、国連大学サステイナビリティ高等研究所いしかわ・かなざわオペレーティング・ユニット(UNU-IAS OUIK)
後援:金沢市
言語:日英同時通訳
プログラム
14:00 – 14:10 主催者挨拶 東京大学国際高等研究所サスティナビリティ学連携研究機構 教授 福士謙介
14:10 – 14:15 開会挨拶 金沢市環境局長
14:15 – 14:30 基調講演1「自然や文化と調和した持続可能でレジリエン
14:30 – 14:45 基調講演2 「人の流れと持続可能な発展・平和のための生物文化的視点」ストックホルムレジリエンスセンター (SRC)教授 トーマス・エルクインスト
14:45-15:00 基調講演3 「金沢を取り巻く生物文化多様性」 石川県立大学生物資源環境学部教授 柳井清冶
15:00 – 15:20 休憩
15:20 – 16:50 事例発表とパネルディスカッション
モデレーター:渡辺綱男(UNU-IAS OUIK所長)
パネリスト:中野真理子 自然史資料館副館長 「金沢城公園の自然の移り変わり」
Juan Pastor Ivars (UNU-IAS OUIK) 「生物文化多様性による新しいコモンズの創出」
マリア・テンゴ (ストックホルムレジリエンスセンター 博士)
ミッシェル・コックス (ロード大学 文化人類学博士)
ヘザー・マクミラン(米国林野局 博士)
17:00 閉会