小松市の南東部に位置する日用町は、先人から代々受け継がれた多様な苔むす庭、銘木「日用杉」林、トンボが飛び交う小川と田園、古民家という日本の美しい自然と文化を残し、全国農村景観百選にも選ばれている。
この日用町の苔庭は、多様な苔(蘚苔類(せんたいるい))が見られる日本有数の苔庭として、国内はもとより海外からも高い評価を得ており、北陸の風土、山間の谷筋に沿った地形に加え、杉林を間伐することで、地表に日向、半日陰、日陰の環境が生じ、それぞれの環境に適応して多用な苔が生育している。専門家の調査では、48種類の蘚苔類が確認されており、日本蘚苔類学会も開催された。
この美しい苔庭が形成されたのは、昔より個々の庭に落ちている落ち葉や枯れ枝をかまどや風呂、いろりなどの燃料として集める日々の掃除と苔の生育に適した自然環境が重なることで形成されてきたと考えられている。
現在は、「日用苔の里」の自然・文化・景観の維持再生を、住民組織である「日用苔の里整備推進協議会」と有志による「一般社団法人 叡智の杜」が協力して取り組んでいる。
この日用苔の里の自然・文化・景観の維持再生を、住民組織である日用苔の里整備推進協議会に加え、国内外の人々が集い、叡智を持ち寄ることで実現していく「叡智の杜プロジェクト」がスタートした。
「叡智の杜プロジェクト」は、苔の里をはじめとする日本を象徴する自然と共生する文化を感じながら、叡智を探求できる場所として、国内外からの来訪者を受け入れるための体制構築と景観整備を行い、地域資源を持続的に活用しながら、自然と文化を継承していく場取り組みを行っていくことになっており、今後様々な展開が期待できる拠点となるだろう。