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【開催報告】SDGsカフェ# 14 もったいないがないまちに向けてエネルギーの「地産地消」を考える

日時 / Date : 2020/10/13
場所 / Place : オンライン

新鮮でおいしいし、地元を応援したいという気持ちもあって、積極的に地元産の野菜を買うという方も多いでしょう。
では、電気はどうでしょうか?

SDGsゴール7では「エネルギーをクリーンにそしてみんなに」という目標が掲げられています。化石燃料由来ではなくて、再生可能エネルギーを選んだ方がよいのはわかっていても、具体的なアクションはなかなか取りにくいものではないでしょうか。

今回は金沢、あるいはもう少しひろげて北陸での地域で使うエネルギーの地産地消について考えます。エネルギーのもったいないがないまち、そして気候変動というグローバル課題に貢献できるまち金沢の実現に向けて、2030年をIMAGINEしてくださったのは、石川で太陽光、風力発電所を市民出資で立ち上げ活動している金沢市民発電所の永原伸一郎さん。
そしておひさま進歩エネルギー株式会社の谷口彰さんから、市民共同発電所の国内外の先進事例をアイデア提供として紹介してくださいました。

金沢で着実に動き始めているSDGs

UNU-IAS OUIK事務局長・永井三岐子

 まずは国連大学サステイナビリティ高等研究所いしかわ・かなざわオペレーティング・ユニット(UNU-IAS OUIK)の永井事務局長から、今までの13回+番外編1のSDGsカフェの振り返りと、SDGsのおさらいを。

 内閣府SDGs推進本部が2018年からSDGs未来都市認定を開始し、今年は金沢市もSDGs未来都市に認定されました。そして、持続可能な観光を行っていくことがモデル事業に採択されたことを紹介。

 また、IMAGINE KANAZAWA 2030では、金沢ミライシナリオをパートナーシップで実践する、パートナー会員を募集していることもご案内しました。企業、NPOやサークルなどの団体、個人の方などどなたでもご入会いただけますので、ご興味があれば、まずは下記をご覧ください。

IMAGINE KANAZAWA 2030パートナーズ

2030年の金沢をIMAGINE
「市民の力で持続可能な社会へ!」〜金沢市民発電所の取り組みから〜

持続可能なエネルギーを市民の手でつくる意義とは

金沢市民発電所代表社員・永原伸一郎さん

 

 金沢SDGsには「5つの方向性」があります。その2、「“もったいない”がないまち 環境への負荷を少なくし 資源循環型社会をつくる」が今回のSDGsカフェのテーマとなります。まずは、合同会社金沢市民発電所代表社員の永原伸一郎さんに、どのような活動をしてきたかということと、永原さんが想像する2030年の金沢についてお話をしていただきました。

「市民発電所」とは聞き慣れない言葉かもしれません。地域エネルギーの地産地消と自立を目指し、市民や地域コニュニティが、再生可能エネルギー事業に出資し、建設・運営を行う取り組みのことです。福島原発事故および2012年7月から再生可能エネルギー固定価格買取制度(FIT)が施行されたことで大きく広がりました。永原さんたちは石川県で最初にこの取り組みをはじめました。

 永原さんは2003年から3年間、金沢まちづくり市民研究機構の環境グループに所属し、2005年には環境グループで、風力発電の割合が世界一のデンマークへ視察に行きました。 デンマークは発電の50%以上が風力で、日によっては100%以上となり、輸出もしている風力大国です。そして特徴的なのは、風車の80%以上が地元の共同組合(つまり地域の人)が所有していること。大企業がほとんどを所有している日本とは全く違っているそうです。

 デンマークでの視察が転機となり、帰国後、メンバーは政策提言だけではなく、実際に自分たちも何かをやりたいと思うようになったそうで、2006年にNPO法人市民環境プロジェクトを設立しました。そして、2010年には北陸初の市民風車「のとりん」をつくることができました。しかし、2006年に建設が決まった翌年に能登半島沖地震が起こり、そのあともリーマンショックがあったり、野鳥の通り道となるので移動を余儀なくされたり、ほかにもいろいろあったそうですが、なんとか完成にこぎつけることができました。建設費約5億円のうちの約3億円を405人の市民出資者でまかなったそうです。

のとりんは高さは110m、定格出力は1980kw、約1000世帯分の電力を発電

環境と経済を両立させて、持続可能となる市民発電所

「環境に優しいまちづくりには住民の意識の変革が必要だと考えています」と述べる永原さん。市民の手によって発電する“市民風車”という仕組みはすばらしいものだと勉強で学んでいましたが、のとりんによってそのことを実感できたといいます。

 のとりんをつくった当時は、自然エネルギーに対しての意識・関心が低く、出資者もほとんどが県外でした。また、金沢から離れていて、地元・門前町の人とのコミュニケーション不足だったことも課題だと言います。そういった中で、今度は金沢周辺でもぜひやりたいと思うようになったそうです。

 2011年に東日本大震災が発生して、国民の目が変わり、金融機関の見方もガラリと変わり、のとりんへの取材が殺到しました。その翌年には、再生可能エネルギー固定価格買取制度(FIT)が始まり、これにより市民発電所の取り組みにも大きくはずみがつきました。

 2012年度、「保育所等に市民発電所をつくろう」と金沢市環境政策課が行政提案を行い、受諾団体に応募して受諾。そこで、市民出資の太陽光発電事業等を行うために合同会社金沢市民発電所が設立されました。金沢市内の公立を除く全保育園・幼稚園134園に太陽光発電の設置に関するアンケートを送り、81園という高い割合で回答があり、現地見学や園長・理事長と交渉を開始。しかし、アンケートでは好印象だったにもかかわらず、実際に交渉に入るとさまざまな問題が出てきて難航。1年半が経ち諦めかけていたところ、2014年ようやく2つの園に市民発電所をつくることができました。

 翌年、2015年には保育園・幼稚園はもう無理なので、介護福祉施設に設置をしました。この時は2回めでしたので少し余裕ができ、エネルギーの地産地消だけでなく、食の地産地消もやろうということになり、地域環境保全に取り組む農業生産者の地元農産物や加工品が配当として選択できるようになりました。

 さらに2016年にはかほく市民発電所をつくりました。この時は固定価格が27円の時代で採算が悪く、「やるつもりはなかった」と永原さんは振り返ります。しかし、かほく市の元公務員の方から、かほく市にとってもこの上ない取り組みだと熱烈なラブコールを受け、行うことにしたそうです。1口20万円で、100口を募集。契約期間は15年で目標分配利回りは2.0%。農産物での現物分配も選択可とし、さらに、抽選で出資者の中から毎年1人に、ルビーロマン1房をプレゼントしているそうです。さらに、かほく市に通勤・通学・在住の方にかほく市商工会が発行している共通商品券を毎年贈与し、地域経済の循環に弾みをつける取り組みも実施しています。また、地域連携協定を締結して災害時には設置している地域に電力供給を行います。

「市民発電所は地域に役に立つ、親しまれる事が大事だと思います」と永原さん。

かほく市民発電所

家庭では電気の自給自足があたり前となる2030年

 太陽光以外に木質バイオマスにも取り組んでいるといいます。石川県、特に金沢は放棄竹林が増えており、これを地産地消の木質バイオマスのエネルギーとして利用できないか、関係者を集めて策定委員会を開催。竹チップを温浴施設のボイラーで燃やす実験を実施しました。その結果、竹チップと廃材チップの混合比を工夫すれば、既存のボイラーでも問題なく燃焼することが確認できました。この成果は日本エネルギー学会でも発表しているそうです。

 2030年の金沢は、ZEH(ゼロエネルギーハウス)が普及して、災害に強く、環境にやさしいまちになっているのではないかとIMAGINEする永原さん。ZEH(ゼッチ)とは発電量が1次エネルギーよりも多い住宅のことで、電力の自給自足が可能になるといわれているそうです。大規模災害が起こり、停電した場合でも電気の使用が可能で、実際、2018年の北海道胆振東部地震のブラックアウト時も、ZEHに住んでいて停電に気づかなかった人もいたそうです。省エネ性能が高く、太陽光発電を活用するZEHは、温室効果ガスの削減効果がとても大きく、環境負荷を小さくできます。

「私が環境に取り組む最大の目的は地球温暖化防止ですので、これは非常に期待できますし、これから一気に普及するのではないかと思っています」と述べて、発表を締めくくりました。

 

話題提供
再生可能エネルギーで地産地消 〜地域をエネルギーで豊かに〜

北陸の電気は地産地消率で全国No.1

おひさま進歩エネルギー株式会社の取締役・谷口彰さん

 全国に約800カ所ある市民共同発電所のうち、その半数を運営しているおひさま進歩エネルギー株式会社の谷口彰さんから話題提供として、市民共同発電所の海外での先進事例や、実際に運営していく上での苦労話なども踏まえつつ、再生可能エネルギーについてお話をしていただきました。谷口さんは、金沢に2年半ほど滞在して、金沢市民発電所の協力をしたこともあり、金沢ともゆかりのある方です。

 まずは全体的な話を。2018年度の国内の自然エネルギーの比率は17.5%となっています。太陽光発電がFITで非常に伸び、大規模水力を抜いています。ただし、太陽光や風力は24時間発電しているものではなく変動します。一方で、バイオマスや地熱、小水力は同じ自然エネルギーでも24時間安定した電気を供給することができるのです。しかし、自然エネルギーの比率が増加しているといっても、石炭やLNG、石油といった化石燃料による発電が全体の4分の3以上を占めているのが実情です。

 続いて北陸の自然エネルギーについて紹介がありました。自然エネルギーの率は全国よりも高く、30%を超えています。その理由は豊富な水資源を利用した水力発電によるものです。再エネ比率は高く、地産地消率も全国トップという北陸の電気は一見エコに思えますが、実はCO2排出も多いそうです。それは全国に比べると石炭火力発電の比率が高いためで、CO2の排出係数を伸してしまっています。石炭からのシフトで、さらに地産地消でエコな電気への転換を考えていく必要がありそうです。

 さらに海外での状況の紹介がありました。世界で自然ネルギーの比率は、電気、交通、熱の3つの用途別の分野に分けてみると、熱分野が半分を占めていることがわかり、その熱の1割にしか自然エネルギーが使われていません。エネルギー全体で見ると自然エネルギーが占める割合はまだ少ないと言えそうです。

 その一方で変動する自然エネルギーの割合が50%を超える国もあります。中にはデンマークのサムソ島のように自然と共生するエネルギーが地域に全て揃い、エネルギー自給率が100%を超えているところも。スウェーデンのルンドエナジーという会社ではバイオマス燃料を中心とした温水による熱供給を行っており、地区の50%に達しているそうです。

「日本にも木質エネルギーなどが豊富にあるため、このようなことを為していけると考えています」と谷口さんは言います。

 再エネ先進諸国の一つ、ドイツの再エネ発電設備への投資主体を見ると、個人が一番多く、その次が農家、さらに中小企業など、8割以上が地域につながる主体であり、実際に伸びている先進諸国の事例を見ると、市民の力が再エネ省エネの裾野を広げるのに必須だということがわかります。

 地域の個人から始まってできた市民共同発電所など、省エネ・再エネに人がどのような動機で協力しているかというと、地域課題解決や地球温暖化防止もありますが、やはり経済効果というのが大きな柱として存在しています。問題解決をするといっても、発電所をつくるためには初期投資が大きく、お金が成り立たないとなかなか難しいという状況があります。

 

飯田市には市民が出資する発電所があちこちに

 飯田市は長野県南端の市で、年間日照時間約2,000時間という日照時間に恵まれた地域です(全国平均が1,900時間程度、金沢は1,800時間程度)。市民ファンドを使って太陽光を中心としている市民共同発電所が400カ所以上もあります。もともとはNPO法人が寄付を募って市民共同発電所を1カ所つくったときに、飯田市が環境省の「環境と経済の好循環モデル事業」の補助金をとったのがきっかけでした。このモデル事業を地域で実際にやっていくプレイヤーがなかなかおらず、結局、おひさま進歩エネルギーという会社を立ち上げて、この事業の委託を受けることになりました。

 市民出資のおひさまファンドによる太陽光発電事業の仕組みは、地域を中心に全国の人々からおひさま進歩エネルギーが出資を受けて、そのお金をもとに、屋根に太陽光発電パネルを設置していくというもの。発電した電気は保育園や公民館などの施設に直接供給して販売するという、現地供給の事業をモデル化したものです。おひさま進歩エネルギーは電気代で回収して、それを出資者にお返ししています。事業開始からはすでに15年程度経っていて、最初のファンドは昨年、15年間で完済。こういった事業がきちんと回ることを立証しています。このことは、20年の長期契約や22円/kWhの買取契約など、飯田市が前例にとらわれない行政決断をしたことで、事業性が保てて、ファンドも募集することができているのです。

 市民の意思で飯田市を中心に長野県内や全国に設置された太陽光発電所の規模は、419カ所で、9,089.5kW。メガソーラーの場合、1カ所で1MW(1,000kW)とか10MW(10,000kW)の発電をしていますが、これは9MWを400カ所以上に分けて発電していることになります。1カ所平均20kW程度のサイズで設置をしているから、屋根から直接施設に電気を供給でき、非常時ももちろんそれを使うことができるということになります。

 さて、これによって地域経済が実際に活性化できたのでしょうか? 2030年までのおひさま進歩エネルギー事業による地域経済付加価値の累計ポテンシャルの予測を研究した立命館大学等の分析データを見ると、年間17.7億円の経済付加価値が出ているそうです。

 こういったことを1つのステップとして、飯田市では地域住民が主体となって、地縁団体(地域の地区など)がこういった事業をできるようにする「地域環境権」を条例で定め、その事業も行われているそうです。

「地域住民を中心にせず、利益中心で考えると、どうしても地域に害を及ぼしてしまうようなものができてしまいがちです。地域に役立つエネルギーを地域のみんなでつくっていくということ、それを条例等で行政と一緒になってやっていけるのが、非常に大きな一歩になっているのかなと思います。市民の力で、エネルギーを変え、未来を変えていきたいと思っています」と述べて、発表は終了しました。

 

参加者の質問に答えつつ、盛り上がりをみせたトークセッション

 お二人の発表を受け、永井事務局長がモデレータを務めてトークセッションとなりました(以下敬称略)。

永井:永原さんへお聞きしたいのですが、永原さんは谷口さんが発表してくださった市民発電を金沢で初めてやったということですが、1000世帯相当の発電した電力は北陸電力に売っているという理解でよろしいのでしょうか?

永原:全てを北陸電力に売っています。自分で消費するよりも売ったほうが高く売れるということと、もうひとつは「のとりん」の場合、自家消費に適した安定して大量に電気を使う場所が近くにないためです。

永井:発電と送電を分けて考える必要があると思いますが、おひさま進歩エネルギーの場合、400カ所以上で9MWを発電という話でしたが、これらは基本的に発電した近くの場所で使っているということになりますか?

谷口:そうなりますね。送電網には特別高圧(特高)と、その下の高圧(6600V)や低圧(200V)を送電するのでは全くシステムが異なっていまして、私たちがつくっているのは高圧と低圧の分野であり、それは変電所内の近隣で使われています。

永井:市民発電をした場合、一般電気事業者(北陸電力や中部電力など)との関係はどうなのでしょうか? その辺りの利害関係といいますか、ここが一番エネルギーの政策で難しいところなのではないでしょうか。

永原:私たちのところは非常に発電量が小さいですから、ライバルでもなんでもなく、お互いが売ったり買ったりという、お客様同士の関係となります。

永井:たとえばすべての家がZEHになった場合、電力会社のビジネスモデルはどうなるのでしょうか?

永原:家庭用は3割だけです。産業用の7割については、ゼロエネルギーなどはなかなか難しいので、すべての家がZEHになっても、産業用は残ることになります。

谷口:産業用のところには発電も入るので、家庭それぞれが賄っていければ、発電側の1次エネルギーということでは削減ができ、それは大きいです。

永井:私のオフィスがあるビル(公共施設)にはソーラーパネルが設置されていますが、ここで発電されたものはこのビルの中で消費されています。一方、飯田市の場合は公共施設でもそこで使わないのに発電する場所として20年間貸してくれています。金沢市や石川県ではこのような政策はないのでしょうか?

永原:屋根を貸して発電することを「屋根貸し」といいますが、石川県や県内市町の公共施設で屋根貸し事業をしているところはありません。自然エネルギー普及ということで、学校の屋根などにソーラーパネルは置かれてますけれど。

谷口:おそらく公共施設に置かれているものは自家消費のためのものだと思います。公共施設が付けると通常の単価の2倍以上がかかっています。基本的にそれは補助金でまかなうことになって、補助金でまかなっているものは自家消費となります。

永井:金沢市でも都市部となると、建物の上に建てるという発想がないと、なかなかまとまった発電量にいかないなと思いますが、そういう政策というのは飯田市にはありますが、金沢市にはないということでしょうか?

永原:民間なら自分たちでやっているところはありますが、県内の行政ではそういうのはないですね。ちなみに長野県や新潟県では行政が積極的に屋根貸しをしています。

谷口:屋根を貸してビジネスをさせるということが、行政の政策上はなかなか通らない状況があります。また、行政が自ら自家消費のために投資をするという形となると、初期費用が高くなります。屋根全体につけるような規模になるととても直接には予算化できませんので、そのためにも民間とパートナーシップを組むモデルづくりが必要だと思います。

永井:飯田市の事例で質問が来ています。飯田市ではFITが終了してもこの価格で買い取っていただけるのでしょうか。また、ソーラーパネルの耐用年数が過ぎたものはどうしているのでしょうか?

谷口:飯田市の方はもともと20年間で契約していますが、FITが始まる前からやっている事業につきましてFITは関係ありません。ただ、サイズによっては余剰の買取制度が利用できたりするものも一部あります。FIT前の買取価格というのは当時の電力価格とトントンくらいでしたが、長い目で見た持続可能性というのもありますし、地域経済循環というのも、防災も、CO2削減もあって、行政が判断したということです。飯田市の場合、地域経済循環が柱にあり、その理由としては地理的な環境も大きいと思います。他の都市との交流がなかなかしにくいという中で、経済をきちんと地域の中で潤していくというのが生きる術ともいえます。

 また、20年間経ってもパネルは問題なく使えまして、使えるものであれば無償譲渡してそのまま自家消費の太陽光という形で使っていただくことになっています。もちろん契約終了で撤去を希望される場合は、撤去してどこかに再設置するというモデルも考えています。

永井:パネル自体の寿命はどのくらいでしょうか?

谷口:今は非常に性能も良くなってきていますので、全体的には30年は持つといわれています。

永井:100%石川で生まれた再生可能エネルギーを契約したいのですがどうすればよいでしょうかという参加者からの質問が来ています。

永原:私の知る限り、石川県100%という新電力はないですが、全国ではやっているところはあります。

永井:このウェビナーのテーマである再生可能エネルギーの地産地消を実現するような契約は今すぐにはできないけれども、県外の100%再生可能エネルギーのプランはあるということですね。

谷口:ぜひ永原さんのところがそういう新電力会社になるように皆さんが応援してくださればいいですね。飯田市ではそういう形で、飯田まちづくり電力株式会社という会社を立ち上げています。野菜と同じように再エネでつくられた電気も地域で循環させていこうというもので、送電は中部電力の送配電会社に頼っていますが、つくることと地域で使うことの入口と出口をしっかり回していくことをめざして、進み出しています。

永井:電力会社は送電だけで、売るのはあくまでも飯田まちづくり電力ということで、電気も回り、お金も回るということですね。そして今は石川にはその仕組がないということ。再エネで発電した電気を電力会社に売って、石炭火力で発電された電気とも混ざって、でもちょっと安く供給されているという状況なのですね。

 このような新電力の会社を設立する際、一般電気事業者との関係はどうなりますか?

谷口さん:中部電力の小売の会社とはバッティングしますが、地域課題を解決するために共同してやっていくことがいいという考えを持ち合わせていて、長野県伊那市では中部電力も地域電力として入っています。ただ、出資はするけど運用は地域の会社に任せるという立ち位置をとり、共存共栄の道を双方で模索しているような状況です。

 

締めくくりは、金沢市が抱えている再エネに関する問題を議論

ほかにもごみ発電や太陽光や風力の自然環境などへの影響に関する議論も行いました。

 

永井:最後に金沢ならではの質問を。金沢市は全国でも唯一市営の水力発電所を持っています。それを民間に売却することになっていて、背景としては赤字のガス事業と一緒に黒字の水力発電事業を民間に売るということですが、反対の意見も多く、私自身も疑問符があります。サスティナビリティという観点から、お二人はこのことについてどう思われますか。

永原:唯一市営の水力発電ということでとても自慢に思っていますし、金沢市民にとっては誇りではないでしょうか。金沢の水力発電は1kW6円ちょっとで売っていますが、10円以上で売っているところもあって、少しでも値上げをすれば大きな黒字になるものを、なんで民間に売るのかなという思いもありますが、経営が誰になっても、水力発電というものをきちっと長く運営してくれることが重要だと思います。目先の利益にとらわれずに、大切に運用してほしいということしかいえないなと思います。

谷口:自治体が水力発電をやっているということは地域の誇りではないかと思っています。そこに地域が持っている地産地消の再エネがあって、それをどういうふうに維持しながら経営していくかというところかと思います。誰が持つかということもありますが、どういう理念でそれを経営していくのかというところも非常に大事だと思っていまして、例えば海外では地域の市民や会社が出資するという動きもあります。日本でもそういった動きというのは少しずつ起ころうとしていますので、ぜひ、そういう地域のものとして経営していけるような動きも取り入れて、進めてもらえたらいいなと思います。ただし、経営が続かなければ持続可能ではありません。市民共同発電所も持続可能にしていくためには、組織自体も持続可能にしていく必要があります。

永井:あっという間に時間が来てしまいました。エネルギーの地産地消というのでは、CO2を出さないという意味の物理的な地産地消、そして経済を回していくという意味の地産地消と、この2つの意味から貴重な事例とお話が聞けたと思います。本日はありがとうございました。

 

【登壇者プロフィール】

永原 伸一郎(ながはら しんいちろう)

(同)金沢市民発電所代表社員、(特非)市民環境プロジェクト副代表理事

1999年に(株)PFU退社、独立。2006年に仲間と一緒にNPO法人市民  環境プロジェクト設立、2013年には金沢市民発電所を設立して代表社員就任。これまで石川県内で市民風車1基と太陽光市民発電所4基の建設に携わる。

 

 

谷口 彰(たにぐち あきら)

おひさま進歩エネルギー㈱取締役

2004年名古屋大学大学院環境学研究科卒。地域自然エネルギー会社の先駆けであるおひさま進歩エネルギー株式会社の取締役ほか、2つの市民エネルギー会社で役員を務める。『おひさまファンド』などの市民出資事業や全国のエネルギー地産地消モデルの実現に尽力。自社著『みんなの力で自然エネルギーを』、京都大学経済学部の諸富先生監修『エネルギーの世界を変える。22人の仕事』『再生可能エネルギー開発にかかわる関連法規と実務ハンドブック』等で執筆。

 

 

 

 

 

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