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【開催報告】SDGsカフェ#5 「2030年 こんな会社があったら働きたい! −社会に求められる企業経営の姿とは−」

日時 / Date : 2019/7/26
場所 / Place : 学生のまち交流館

今回は金沢イクボス企業同盟の「金沢版働き方改革普及プロジェクト サマーセミナ−2019」と合同での開催となりました。

 

「イクボス」をご存知でしょうか?

「職場で共に働く部下やスタッフのワークライフバランスを考え、その人のキャリアと人生を応援する。組織の業績や結果も出しつつ、自らも仕事と私生活を楽しむことができる上司のことをイクボスという」と、司会を務める金沢イクボス企業同盟の安江さんが教えてくださいました。

また、SDGsの理念や、17の全てのゴールが私たちの暮らしとつながっていること、こういった世界の動きと連動して、金沢では「金沢SDGs−IMAGINE KANAZAWA 2030−」を今年3月から発足させ、5つの方向性を導き出して推進していることも紹介されました。

ちなみに、今日のセミナーは、その方向性4番目の「働きがいも、生きがいも得られるまち」をテーマにしたSDGsカフェとなります。

主催者を代表して、金沢市の村山卓副市長から、「働き方改革の先端企業・サイボウズの取り組みを伺いながら、目先にある課題だけでなく、10年後の企業のあり方について考える手がかりにしていただければと思う」とご挨拶

*金沢イクボス企業同盟では、趣旨に賛同した企業が集まって、勉強会や御互いに切磋琢磨しながら、学びあっています(セミナー開催現在、85社が参加)。
詳しくは金沢イクボス企業同盟のHPをご覧ください。
https://ikuboss-kanazawa.com

 

2030年の自身の働いている姿を2人の大学生にイマジンしていただきました

一人目の中西辰慶(たつよし)さんは、東京都台東区出身の金沢大学2年生。
そしてもう一人の戸上玲央さんは金沢市出身の明治大学4年生。立場は異なりますが金沢市に縁があるお2人です。

 

2030年「コスパがいい仕事をしたい!」
中西辰慶さんの場合

楽をしていい給料をもらおうというのではなく、結果として幸福度が高いことを「コスパがいい」とするのが中西さんの考え方。自分の時間が確保できて、学んだり、成長を感じたりできることが「コスパの良さ」で、その先にあるのが自己実現だと話します。

「2030年がどうなっているのか正直わからない」という中西さんは、ネットで検索して社会的な状況を把握し、超高齢化社会となっている日本を想像しました。周辺のアジア諸国が発展していく中で、日本だけは人口が減少して衰退していく−−。その一方で、早晩人口減少に転じる諸外国にとって、日本の取り組みはモデルケースとして注目を浴びているのではないかとも。

自分たち世代は100歳までは生きそうだと推測し、80歳まで仕事を続けていくことを考えているそうです。その場合、若い時に吸収してきた知識だけでは太刀打ちできなくなるだろうから、20年後くらいに、改めて学びなおす時間が必要になるはずだと言います。

2030年には、週休3日制になっているのではないだろうか? そして3日のうち、1日は休養、2日は教養に当てる・・・。新しいスキルに習得していくためにも、週休3日に対応していく企業の柔軟性が欲しいと感じているそうです。
また、仕事を離れ学び直ししたい時も、企業はそれを後押ししてくれ、戻ってくることができる制度や仕組みが整っていて欲しいとも。

今の学生はプライベートの充実を一番にあげますが、趣味だけでなく、家族との時間や、地域社会への貢献を通じて、自己実現することを大事に思っているそうです。

 

2030年「地域の稼ぐ力向上支援をしたい!」
戸上玲央さん

これからの中核都市の発展を担っていける、そのモデルケースとなり得る金沢市や石川県で、魅力的な新事業の創出やそれを軌道に乗せること、つまり稼ぐ力を作り出すことに関わっていたいという戸上さん。

会社は残業がなく、職種に縛られない働き方ができると良いと述べ、育児の携わり方は家庭によって違うから、さまざまな選択肢の中から、自分に合った育児方法が選択できる企業に籍を置きたいと言います。

東京で成功したビジネスモデルを地方に持ってきてもその縮小版となるだけ。独自のビジネスモデルを作り、さらに若者を惹きつけるために、充分な収入を稼げるものにしていかないといけないと考えます。「稼げるシステムに昇華させていくことは、東京への若者流出を防ぐためにも重要となってくる」と話します。合わせて、既存事業は個人の生産性を高めて、稼ぐ力の増強を図っていくことも必要だと付け加えました。

魅力的な新事業が生まれる土壌を作ること、それは企業だけでは難しく、産官学などの連携も必要。各セクターとのつながりや調整力を発揮し、アイデアを形にして軌道に乗せるための実務力も持ち合わせるようになりたいと考えているそうです。

2030年、地域の「稼ぐ力」の向上支援を仕事にしたいという戸上さん。そのための人間力、実務力をこの先の10年で身に着ける必要があると言います。

冷静に、しかもプラス思考で2030年を想像しているお二人。とっても意識の高い発表に、会場の多くが感心しきりでした。

 

「給料が低くても人気のある会社になるには?」
サイボウズの野水克也さんより話題提供

働きがいのある会社ランキングで6年連続ランクインするなど、働き方改革をやっている人たちの間では知らない人はいないサイボウズ株式会社で、社長室フェローをされている野水克也さんからは、2人の学生の発表を受けての話題提供として、サイボウズが就職したい企業のトップクラスになった理由を説明していただきました。

サイボウズとは企業向けのグループウェアのソフトを作っている会社です。給料はIT業界の中でも全く高くないそうですが、学生からの人気はとても高いのです。

*サイボウズ株式会社 https://cybozu.co.jp

野水さん曰く、「40年ほど前、40億人と教わった世界の人口」も、あと数年後には80億人になります。しかし日本の人口はそれほど増えていません。GDPも世界の伸びに比べると日本はわずかで、日本市場は相対的に小さくなっていると言えます。
「世界が変わっていく中、日本だけは変わらずに30年を過ごしてきました。この事実を企業の皆さんはあまりわかっていません。しかし、学生たちは世界の今を学んできていますから、よくわかっています。ここに大きなギャップがあって、学生たちが入りたいと思う会社は大きく様変わりをしていますが、企業は発想の転換ができていません」

これからの企業は、環境の上に成り立ち、多様性を担保していないといけないし、その上で、儲けるというビジネスモデルをつくっていかないと成り立たないというのがSDGs的な企業のあり方。社会からはそういうSDGs的な企業が求められていますが、それは学生も同じだと言います。
「社会貢献をしていかないとこの世界は持たない、年金もキビシイとか、学生たちは先行きをわかっていますから、そういう企業を探し始めているのです。きれいごとではありません」
そして、家庭を持ってからの生活の厳しさを考えると、共稼ぎを考えます。「女性の社会進出」ではなく、「男性がどれだけ女性を支援できるか?」という風に変わり、夫婦そろって安心して定年まで働けるから、公務員が人気なのだと付け加えます。

サイボウズでは「100人いたら100通りの働き方がある」と言っています。「一生の間に自分で働き方を決めながら、キャリアプランを作れます」という風にしたところ、就職希望者が押し寄せてくるようになったそうです。再学習は各自に任せ、そのための環境は提供しているそうです。
「本業で、副業で、地域コミュニティで、家族に、友達にと、たくさんの人や環境が支えてくれるのであれば、会社にちょっと変なことがあっても倒れることはありません。残業しないで早く帰って地域コミュニティに参加することは、会社にとって良いこと。だって会社から自立してくれるのですから」

社員の一生を保証することを会社に求めることは「もう幻想だ」とも言います。
「多くの学生たちは、自分でスキルを身に付けたいと思っています。そのスキルをつけるための手段をどれだけ認めてもらえるのか? それだけの新しいビジネスの方向をやってくれるかどうかが働きたい基準の一番。これをできない会社が多すぎるということになります」
IT技術を使うなどして、早く若手を育てている会社は若者の定着率が良いそうです。そして下働きなんてもってのほかだと言います。

働き方を自分で決めたい人たちがたくさんいる今、それに応えることで人を集めることができると述べました。

 

2030年、働き方、生き方ということをテーマにトークセッション

金沢イクボス企業同盟事務局で計画情報研究所の須田さんをコーディネイターに、野水さんと中西さん、戸上さんと、さらには会場からの質問も交えてもう少しテーマの深掘りをしていきました。参考になる意見がたくさん出ましたので、ちょっと長くなりますが、一部をダイジェストでお届けします。

〔会場からの質問1〕

40代あたりで一旦再勉強する働き方を話していたが、子供のことなどで一番その年代はお金を稼がないといけないと思うが、その辺はどう思うか?

〔回答:中西さん〕

30代までにある程度貯金が必要。なので、年功序列で若い人は給料が安いということでは成り立たない。夫婦でどっちかが学び直したいと思った時はフォローしあえる、いろいろの夫婦共稼ぎの形が必要。

〔回答:野水さん〕

会社を辞めてアメリカにMBAを取りに行く時代ではなくなった。30代後半に働く速度を半分に落として、残りの半分は勉強に当てる。何を学ぶかは20代のうちから自分でちゃんと考えておかないといけないと思う。40台後半では遅い。40代前半までに学び直しをやっておくべき。

〔会場からの質問2〕

仕事は現場での作業。もう数年もすれば自動化が進む今が過渡期。そんな中で働く人たちが魅力を持てる働き方について、具体的なヒントを。

〔回答:野水さん〕

自動化について興味を持つこと。本来、総務は仕事の量をこなした方が評価されるが、サイボウズでは評価されない。仕事のやり方を変えた人が評価をされる。今の仕事をこなしながらも自動化について勉強をしていくこと。

〔戸上さんから野水さんへ質問〕

学生が就職で意識することは?

〔野水さん〕

面接の中で出てきたことに対する質問はほとんどない。ボクらが言っていることを盲目的に信じている。わからなかったらちゃんと質問できる力をつけていくことが必要。
もう一つは好奇心。自分の好奇心をどう持ち続けるか? これが人生で一番大事。長生きする人としない人の差はほぼ好奇心の差。好奇心さえあれば人は生き続けられる。その好奇心を持ち続けることを心の中で思うように。

〔中西さんから野水さんへ質問〕

自分は誰かの役に立った、社会の役に立ったと思えた時に働きがいを感じるが、働きがいについてどう思うか?

〔野水さん〕

今は世間から評価されることに喜びを覚えることが主流となっている。学生たちは上司ではなく、違うところで評価されたいという欲が必ずある。企業はそれを満たすように誘導してあげるべき。

〔須田さんから野水さんへ質問〕

売り上げ、事業の継続性で悩まれている方もいらっしゃると思うがどう考えるか? どういうところから取り組んでいけば変わっていけるか?

〔野水さん〕

昔は借金できる方がいい会社と言われていた。今は逆。不動産とか余計なものは買わず、キャッシュフローだけで処理をする方がいい。理由は売り上げを保たなくてもいいから。人件費だけなら、休んで働かない分、売り上げを落としても構わない。
また、売り上げを上げる方法を人に依存してもいけない。人ではなく、仕組みで売り上げを保つ。会社のブランド力を高めるなど、誰が抜けても売り上げが保てるようビジネスモデルを作る。

〔須田さんから野水さんへ質問〕

80歳まで働く時代。持続可能ということを個人も企業も意識していくことが大事。金沢SDGsの4つ目「誰もが生涯にわたって学びや活躍できる社会風土をつくる」
その社会風土をつくるところで企業・個人が意識して取り組んでいくことは?

〔野水さん〕

昔は売り上げが上がる会社がいい会社だった。どこかのセミナー会場で「もう一回、日本が強くなってGNPを3倍にして、世界のトップに立つためにはどうしたらいいか?」と質問されたことがある。ボクは「あきらめなさい」と言った。それは無理。ボクらのライバルはグーグルとかアマゾンとかになるけど、絶対に勝てる気がしない。
でも、日本が生き残る道はある。世界で一番尊敬される国になること。そのために直さないといけないことはいっぱいあるが、どれも直せそうな気がする。そして金沢が観光都市としてどうやって発展してくか考えた場合、日本中で一番尊敬される都市になれば勝てる。
さらに会社も周りから尊敬されるようになれば、助けてもらえたり、いろいろなものが得られたりする。どうやったら尊敬される会社になれるかを考えればいい。

〔須田さんから中西さん・戸上さんへ質問〕

こんな会社だったら働きたいと思うことを。

〔中西さん〕

個人の好奇心に対して企業も興味を持っていて、外から世界から尊敬される会社。

〔戸上さん〕

自分は働いている人に人徳を求めてしまう。仕事ができるかできないかがいちばんの指標になる。この人についていきたいなと思う人が溢れている会社に居たい。

〔須田さんから野水さんへ質問〕

今日の副題にある「社会に求められる企業経営の姿とは」について、改めてお聞きしたい。

〔野水さん〕

近江商人の三方よし「売り手よし、買い手よし、世間よし」と同じ。自分、お客さん、社会がいいということ。金沢や石川のためになって、お客さんのためになって、自分のためにもなるということ。それを延々と続けていけば、それは社会に求められる企業となる。

 

2030年、自分は? 会社は?
まずは、今日からできることをしよう

限られた時間でしたが、それぞれグループ分けされた中で、学生から2030年にこんな会社で働きたいということ、社会人からは自分は、自分の会社は2030年にはこうなっているという話をディスカッションした後、今回の話を聞いて、自分が今日から取り組もうと思っていることを付箋に書いていただきました。

この「SDGsカフェ」では、話題にしたテーマを「自分ごとにして帰る」ということがあり、さまざまな人の意見を聞きながら、自分の気持ちを確かめて書き留めること、この作業は毎回のお約束となっています。

最後に野水さんからは、「出世した人間が幸せに死ねるわけじゃない。死ぬときに幸せな自分ってなんだろう?と考えて、働き方、生き方を見直すべき」と、アドバイスがあり、閉会となりました。

学生と社会人が、2030年の金沢を想像しつつ、意見を交えるというなかなかない機会。
参加された皆さんは、きっと新しい発見や気づきを得ることができたのではないでしょうか。

参加者全員で記念撮影。たくさんのご参加、誠にありがとうございました

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