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【開催報告】 SDGsカフェ#2 「Civic Techと誰も取り残さない情報アクセス」

2019年3月23日に、金沢市、金沢青年会議所(JC金沢)、国連大学サステイナビリティ高等研究所いしかわ・かなざわオペレーティング・ユニット(OUIK)の三者でSDGsを推進していく宣言を行いました。

*金沢SDGsの詳細は、当サイトの【開催報告】SDGsダイアローグシリーズ最終回・総括シンポジウム「地域の未来をSDGsでカタチにしよう」をご覧ください。

これを受け、4月からSDGsの勉強会やセミナーなどを開催しています。名づけて「SDGsカフェ」。

2030年の金沢を決めるのは市民であり、いろいろな人に参加していただき、2030年の金沢を考えてもらう(IMAGINEしてもらう)場です。

カフェということで、飲み物やお菓子も用意され、緩やかな雰囲気のなか、誰でも気軽に参加でき、コーヒーなどを飲みながら、登壇者と来場者が気軽に意見を交わせるリアルコミュニケーションの場です。

その第2回目となる今回は、先日行われた統一地方選挙で、候補者の政策などをもっとわかりやすく、簡単に知ることはできないかということを発端に、誰も取り残さない情報アクセスについて、話し合ってみました。

 

統一地方選挙で情報のあり方を考えた

須田 麻佑子さん
認定NPO法人フローレンス所属。金沢でリモートワークを行っている

まず、2030年の金沢をIMAGINEする人(話題提供する人)として、認定NPO法人フローレンスの須田麻佑子さんに登壇していただきました。

須田さんは、先日の金沢市議選に立候補した候補者本人が発信しているSNSやブログなどをリストアップして「市議会議員候補者のHP・SNSまとめ」という記事をブログにアップしました。

その記事は、候補者の詳しい情報が届かず、「誰に投票したらいいのだろうか?」と、モヤモヤしていた有権者の間で、「これは助かる!」と評判となりました。

 

現状に愕然としてしまった

須田さんは、候補者43人分もあるから、まとめるのには相当時間がかかると覚悟して取り掛かりましたが、作業は短時間で終わったそうです。

HPやSNSを何もしていない、あるいは、あっても前回の当選のお礼で更新が終わっている人・・・など、機能していない候補者が多く、その状況に驚いたそうです。

「これを許しているのは市民なのではないか?」と須田さんは言い、自分たちの意思を反映しているか否かを、投票によって意思表示をするのが選挙なのに、それを判断する情報が得られない(得られにくい)ことは問題だと述べました。

情報アクセビリティー(利用しやすさ)に問題があるから、「争点がわからない」、「自分たちには関係ない」、「自分の1票で変わる気がしない」などと、いろいろな感情が重なって、それが投票率の低さにつながっているのではないかとも。

 

2030年の金沢のIMAGINE(金沢はどうあってほしいか)とは?

「テクノロジー(情報技術)の恩恵をすべての市民が受けられる」、「テクノロジーからアウトリーチ(出前・出張サービス)の仕組みづくりができる」、「社会課題解決のための資源を供給しあう」、そんな2030年の様子を、ご自身が取り組まれている子育ての現場を例にとって紹介しました。

そして、最近では、市民の声を集めるアプリも登場(*)しているので、そのようなツールも使って市民の声を集め、それを元に政策が作られる街の姿をIMAGINEしてくださいました。

PoliPoliIssuesなど

 

このIMAGINEを実現するためにできることは?

その答えをいろいろと持っているエキスパートの福島健一郎さんと、堤敦朗さんからもプレゼンテーションを行っていただきました。

まず、福島さんからは、テクノロジーを使い、選挙などに関する情報のアクセスの方法として、現状どのようなものがあるのか、国内外の具体的な事例を紹介してくださいました。

意外と知られていませんが、実は日本でもいろいろあるそうです。

代表的な2例をここでも紹介します。

  • ラポールジャパン http://rapportjapan.info 政治資金がどう使われているかを可視化しているサイト。民主主義のコストを可視化
  • 国会議員白書 https://kokkai.sugawarataku.net 国会議員が、議会でどんな発言をしたかがまとめられている

 

福島健一郎さん
Code for Kanazawa 代表、内閣官房情報通信技術(IT)総合戦略室のオープンデータ伝道師、株式会社アイパブリッシング代表取締役

使い勝手はさておき、一人一人の国会議員が普段どんな政治活動をしているのかは、このようにその気になればネット上で見られる環境になってきています。

オープンデータとして議事録が公開されていれば、地方でもこれを実現することは可能だと言います。

今後、これを発展させるためにはどうすればいいのでしょうか?

「資金をみんなで出し合ってでも、政治をわかりやすくするツールを作っていくことが必要なのかも」と福島さんは述べました。

ネットやSNSなどを活用すれば、若者たちの選挙離れにも歯止めがかけられるかも知れません。そのためにも、テクノロジーを使って、政治を分かりやすく見せることは、ますます重要となってくるでしょう。

 

全ての人に情報を届けるということ

堤 敦朗 さん
金沢大学准教授、EMPOWER Project KANAZAWA主宰。世界保健機関 (WHO)技術専門官などを歴任

金沢という46万人の都市では、情報を共有するためにテクノロジーが絶対必要。しかしそれを高齢者にいきなりやらせることは無理。また、目の見えない人や耳が聞こえない人もいらっしゃいます。そういう方のことも考えた情報アクセビリティーについて、堤さんからお話いただきました。

今まで、災害が起こればベーシック・ヒューマン・ニーズさえ満たされれば、あとは我慢するという範疇でした。しかし今は、生き方とか人間の尊厳とか、人権的側面からも考えなくてはいけません。アクセビリティーというのも非常に重要な人権です。

東日本大震災で障害のある方の死亡率は2倍、多いところで4倍だったとも。何故ならば、情報が行き届かなかったからでした。

情報というのは出せばみんながアクセスできるわけではありません。とりあえずホームページに載せて情報を出したことで満足してしまうことも多くないでしょうか。

「情報を欲している人がいかにそこに簡単にアクセスできるのか? その配慮をしなければ情報を出す価値はほとんどない」と、堤さんは言います。

アクセビリティーというのは、そこにあればいいといのではなく、必要な人がそこにアクセスできるルートを確保し、その方法を明示していなければなりません。

誰も取り残さないためには、誰もがその情報にアクセスできるようにしなければいけないということですね。

 

2030年への熱い思いを語り合う

3人のプレゼンテーションが終了し、後半は来場の皆さんも巻き込んで、活発な意見交換が始まりました。

障害者の政策などを考える会議なのに、日本では障害者が参加してその情報を得る(手話の同時通訳などが用意されていない)ことがよくあるとか、テクノロジーは特別なものではなくなりつつあるが、自分ごととして考えようとする人はまだ少ないとか、地方自治体のオープンデータ化はなぜ進まないのかなど、今回のテーマに関連することの質疑応答や意見交換が、積極的に行われました。

最後に、来場された皆さんが今日インプットできたことや、アウトプットしたいこと、さらには、テクノロジーを使ってやりたいと思っていることや、あったらいいなと思うことを、2030年をちょっとだけ意識しつつ、それぞれのテーブルに置かれたふせんに書いてもらいました。

さまざまな意見をいただきましたが、2030年に向けて、このままではいけないということは、ほとんどの皆さんが感じたことのようです。

来場者の意見をまとめたものは、下記の「IMAGINE KANAZAWA 2030」Facebookページで見ることができます。
https://www.facebook.com/kanazawa.sdgs/

それにしても皆さん、本日のテーマに大いには刺激を受けたようで、書き終わった後も、あちらこちらで盛んに議論を続けていました。

このように、どなたでも気軽にご参加いただけるカフェです。
今後、さまざまなテーマを扱う予定ですので、まずは興味のあるテーマから、ご来場をお待ちしています。

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