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【開催報告】都市の生態系サービスを将来へつなぐ庭園クリーニングワークショップ

日時 / Date : 2018/06/24
場所 / Place : Kanazawa, Higashi-yama
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6月24日、金沢市の卯辰山山麓寺院群で、Juan Pastor Ivars(ファン・パストール・イヴァールス)研究員の呼びかけで始まった「心の道歩き・心蓮社(しんれんしゃ)庭園清掃」のワークショップを実施しました(主催/国連大学サステイナビリティ高等研究所 いしかわ・かなざわオペレーティング・ユニット 協力/心蓮社、金沢市)。
昨年から始まり6回目となる今回は、定員20人を大幅に超える30名近くの参加があって大盛況でした。

池のほとりにはモリアオガエルの卵塊が

池のほとりにはモリアオガエルの卵塊が

美しいスギゴケ

美しいスギゴケ


 

 

 

 

 

 

管理が行き届かない日本庭園が増えている

都市部にあって生物多様性を生み出し、住人に癒しをはじめ多くの生態系サービスを提供してくれるのが日本庭園。このワークショップは金沢市に多く残されている日本庭園を将来にわたって維持管理していくことができるシステムを構築するプロジェクトの一環として開催されました。本来、庭園の管理はその所有者が行うべきものですが、所有者も高齢化が進み、手入れが行き届かなくなるところが年々増えています。清掃を行うことは庭園の美しさや都市景観を取り戻すだけでなく、生態系を保ち、生物多様性を維持していくためにも重要なのです。

京都の日本庭園を研究して博士号を取得したJuan(ファン)研究員は、金沢市の文化財指定を受けている日本庭園を保全するため、留学生、外国人観光客、地域住民などに清掃を手伝ってもらい、その代わりに庭園を眺めながらの茶会や、庭園を様々な視点から学ぶワークショップを開催しています。回を重ねて参加者も増え、新しい庭園管理のシステムとして着実にその成果が見えるようになってきました。

自分で手を入れることができる貴重な機会

当日は、ひがし茶屋街のすぐ近くにある宇多須神社に集合して、卯辰山山麓寺院群を縫うように進む「心の道」を歩き、周辺の空き家や空き地の状況など中心市街地の空洞化や急激な観光地化による影響の実情を見学、寺院群のお寺を拝観したりしながら、心蓮社へと向かいました。

空き家と空き地を確認

空き家と空き地を確認

心の道をそぞろ歩く

心の道をそぞろ歩く

蓮昌寺の境内にて

蓮昌寺の境内にて

全性寺の仁王門

全性寺の仁王門

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

心蓮社の庭園は江戸時代初期に作庭され、中央に池泉が掘られ、背後には築山を有する「築山池泉式」の書院庭園で、金沢市指定保存樹林も借景に取り入れています。

まずは住職から庭の歴史の説明を受け、さらに造園の専門家から庭園の管理についてのレクチャーを受け、いよいよ清掃活動に入ります。今回は築山、池、正面の苔の部分と3班に分かれて行われました。一見、きれいに見える庭ですが、池の底にはたくさんの落ち葉が積もり、ヘドロのようになっています。それを掻き出すのは重労働で多くの人手が必要。ここでは若い大学生や留学生が大活躍していました。築山やその奥の墓地の清掃は範囲が広くて大変。でも、今回は参加者が多かったため手分けして見る見るきれいになっていきました。

清掃前の庭園

清掃前の庭園

池の底の清掃に汗する学生

池の底の清掃に汗する学生

 

 

 

 

 

 

 

池の正面の苔に覆われた部分は、スギゴケなど数種類の苔が繁茂して実に美しい佇まい。しかしその苔を丹念にはがすと下からは戸室石の見事な敷石が姿を現しました。玉石を敷き詰めた「霰零(あられこぼ)し」と呼ばれる園路も先のワークショップでこうやって整備し直されました。ここでは発掘作業のような慎重さが要求され、造園の知識がないとうかつには手が出せませんが、このワークショップには著名な造園家の方々も参加しているので安心。庭のスペシャリストにいろいろ教わりながら庭を触るなんてめったにできない体験です。清掃作業終了後は、庭を眺めながら和菓子と飲み物でくつろぎ、茶道体験や今日の振り返りなどを行いました。

楽しく、持続できる日本庭園の管理

参加者は、県内大学生や地元の方、県内在住の外国人、金沢市役所など。参加動機は日本庭園が好きだったり、心の道を歩いてみたかったり、なかには「スペイン人のJuanさんが日本庭園を整備している姿に感動して」などさまざま。

貴重な庭園を手入れできることに興味を覚え、実際に参加してみて庭園への親近感が深まったという方もいました。Juan研究員自身も、庭園の池に足を踏み入れたのはここが初めてだったそうで、その時の興奮は今でも忘れられないと言います。一方、このような多くの参加者がいることで庭園の所有者は自分の庭園の価値を再認識します。

苔をはがすと敷石が現れる

苔をはがすと敷石が現れる

見事によみがえった霰零し

見事によみがえった霰零し

みんなの力できれいになった

みんなの力できれいになった

だいぶすっきりした池の周り

だいぶすっきりした池の周り

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Juan研究員は、このワークショップを「エコツーリズム」へと発展させ、観光客や障碍者にも参加できるようにし、新しい庭園の管理システムとして定着させたいと考えています。SDGsのゴール11「住み続けられるまちづくりを」×ゴール15「陸の豊かさも守ろう」×ゴール17「パートナーシップで目標を達成しよう」と連動しながら、これからの持続可能な庭園共同管理のモデルとして引き続き活動を広げていきます。

Juan Pastor Ivarsさん

Juan Pastor Ivars 研究員

留学生に茶道体験をしてもらう

留学生に茶道体験をしてもらう

 

 

 

 

 

 

 

8月には金沢市二俣町の本泉寺でも同様のワークショップを開催する予定です。ご興味がある方は、ぜひ参加ください。

最後はみんなで記念撮影。お疲れさまでした

最後はみんなで記念撮影。お疲れさまでした

 

 

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