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【開催報告】SDGsカフェ#7 「気候変動危機、金沢のアクションをみんなで考える」

今回は、台風19号の被害が続いている中、もっとも関心の高い話題ともいえる気候変動をテーマに、地球の未来をリデザインする会と共催で、IMAGINE KANAZAWA 2030 SDGsカフェ第7回を開催しました。募集50名を上回る63名の参加があり、このテーマの関心の高さを改めて感じました。

地球の未来をリデザインする会の代表・奥圭奈子さんから、2030年の金沢をイマジンしてもらい、金沢大学河内幾帆(こうちいくほ)さんによる話題提供と、後半は金沢エコライフくらぶ代表の青海万里子さんも加わって、気候変動に対して、“市民一人ひとりは何ができるのか?”を話し合いました。

*は関連するページのリンクです。

地球規模のことを、金沢で考えるのが今回のテーマ

まずは国連大学OUIK事務局長の永井から、SDGsやこのカフェの趣旨を説明し、いま金沢で何が起こっているのかを紹介。
「環境のことも、人権のことも、子供のことも、全部を包括的に、全世界で一緒に考えようというのがSDGs。これはとても革新的です」と、永井は強調しました。

続いて、地球の未来をリデザインする会・代表の奥圭奈子さんから、2030年の金沢をイマジンしてもらいました。
この会は発足してからまだわずか50日ほどですが、金沢21世紀美術館で大きなイベントを開催するなど、注目されています。

「私なんかが、前に立ってもいいのでしょうか?」と謙遜する奥さんは、金沢でご主人と一緒に宿泊施設を経営する2児の母。気候変動については、海外の学生のムーブメントなどを見聞きするうちに、“自分も何かしないといけないと思うけど、どうすればいいのか?”と、モヤモヤしていたそうです。
そのような時に、同じような思いを持っている人たちと、とにかくつながろうと立ち上げたのがこの会で、だから会には専門家は誰もいないそうです。

地球の未来をリデザインする会・代表の奥圭奈子さん

“SDGsも気候変動も、どこかの国で起こっていることと捉えられてしまうと本当に遠くなってしまう。自分たちのこととしてなかなか置き換えられない。置き換えられないから実際の行動に移せないのではないか?”と感じ、「あなたと地球はつながっている」をキャッチコピーに行動を起こしているそうです。
そんな奥さんも、今回の台風の影響で宿泊キャンセルが出て、この“つながり”を痛感されたと言います。

「子供が『大きくなったら消防士になりたい!』と言うんですが、この子が大きくなったら、気候が今とは大きく違っているのではないか? そんなことをすぐに考えてしまいます。未来を否応なしに見させられる存在が近くにいるということはすごく大きい。春になったらお花が咲いて、初夏になったら新緑がきれいになってと、いま子供たちと一緒に体験できる当たり前のことを、子供たちが親になった時でも体験できる金沢であって欲しいです」(奥さん)

そのために“いまどう動くか?”ということを考えて、子供と一緒に話もされているそうです。

ゴア氏から学んだ環境問題に立ち向かう術を共有

気候変動とか、温暖化とか、規模が大きく、専門性が高いこともあって、“毎日の生活にどうやって落とし込めばいいのか?”と悩む問題ではないでしょうか?
金沢大学で環境問題を教える河内幾帆さんから、その答えのヒントにもなる話題提供がありました。
河内さんは、元アメリカ副大統領・アル・ゴア氏が東京で開催した、気候変動問題について学ぶトレーニングプログラム「Climate Reality Leadership Corps Training」に参加したばかり。そこで学んだ気候変動の今を、ゴア氏の心揺さぶられるメッセージとともに、会場と共有しました。

ゴア氏といえば、気候変動の影響が見られなかった30年前から、その問題について啓発活動を行ってきた人。アカデミー賞を受賞したドキュメンタリー映画『不都合な真実』に主演し、ノーベル平和賞を受賞しています。

今回のプログラムの目的は、コミュニティで気候変動に関する啓発活動を行う上で、必要な能力を身に着けること。具体的には、気候変動に関する正しい知識と現状、世界的な取り組み、課題を学び、その情報を「社会にどうやって伝えていくのか?」という方法を教えるもの。
そのスキルを身につけた河内さんは、今回のテーマの話題提供にこの上ない方でした。

その様子をダイジェストで、この記事を読まれている皆さんとも共有したいと思います。

金沢大学の河内幾帆さん

さて、気候変動を語るにあたって、答えないといけない3つの質問があるそうです。

1.変化が必要か?
2.変化が可能なのか?
3.その変化を起こすのか?

ということだそうです。

まずは、温室効果ガスの一番大きな発生源は化石燃料を燃やすことなどといった、気候変動のことをおさらいしました。2016年の日本でのある調査で、「気候変動は人為的なものである」という見解に懐疑的な人がまだ多いということが紹介されました。
しかし実際、過去に遡って気温とCO2濃度との関係を示す図を見ると、その間にシンクロがあるのが分かります。また、年々暑くなってきたと感じるようになり、「記録的な猛暑」というのを毎年聞くようになってきているということからも、この関係は間違いないものと思わざるを得ないでしょう。

しかも、大気温の上昇以上に深刻なのが、海水温の上昇です。大気中に集まった熱は90%が海に吸収されます。海水温が上がると何が起こるか?
日本で影響が懸念されるのは台風が発生しやすくなり、巨大化すること。
台風19号で箱根に起こったような1日の降水量が1000ミリを超えるような大豪雨が、これから頻繁に起こるようになるという可能性を示唆しました。

ということで、質問1の「変化が必要か?」の答えは、「必要だ」となります。そして、私たちが存続していくためになすべきことは、「今の段階で温度上昇を食い止めること」なのです。

温室効果ガス削減はお金がかかるという話も聞きますが、「温室効果ガスの排出は世界経済に対する最大の脅威だ」とも言われているそうです。

 

では、質問2の「変化が可能か?」について、河内さんからは「解決策がある」と聞いて、ちょっとホッとしました。

その手段とは、自然エネルギー(再生可能エネルギー)への転換だと言います。今のエネルギーは世界的に80%が化石燃料によって保たれていて、20%は自然エネルギーに転換しているそうです。風力発電の能力は飛躍的に向上していて、太陽光発電のコストも大きく下がってきていて、自然エネルギーで全ての電力需要をまかなうことが技術的に可能となりつつあります。
ヨーロッパでは新しく作る発電所に関してはほとんどが自然エネルギーとなり、国内の電力需要を上回る量を自然エネルギーで発電できる国もあるそうです。

しかし、未だ多くを占めるのが石炭火力発電である理由として、その補助金の多さが挙げられ、それでも、世界各国の銀行は自然エネルギーの方へ投資を回すようになりつつあり、今後は、世界的に石炭火力発電への比重は下がっていくと予測されているそうです。

一方、日本でも再生可能エネルギーへの投資は増え始めているそうです。日本は気候変動対策を原子力発電で進めていこうとしてきましたが、東日本大震災でそれが社会的に受け入れられない状況となり、石炭など化石燃料の方にスイッチしてしまいました。
火力発電は比率が高いだけでなく、さらに増やしていく可能性があるようです。そして、発展途上国に石炭火力発電所の設置を国際援助としても行っていて、その援助額は世界で2位に上るそうです。

いま石炭火力発電から手を引くとなると、今まで投資した分が無駄となり、多くの人が“気候変動は人為的なものではないのでないか?”と思っている状況で、この投資を無駄にして、自然エネルギーに転換することに、“社会的な合意が得られるかどうか?” ということが大きなネックとする考えもあるそうです。
そのためにも重要なのが「今の状況を正しく理解すること」だと、河内さんは強調します。

このように変化することは十分に可能なのですが、質問3の「その変化を起こすのか?」は、それぞれの国、そしてそれぞれの一人ひとりが、みんなで考えないといけない問題なのです(まさしく今回のSDGsカフェのテーマ)。

リーダーシッププログラムのクロージングでは、ゴア氏の言葉が会場に集まった約800人の心を一つにしたそうで、そのメッセージを紹介しましょう。

“私たちは、いまの子供達に、将来次の2つの質問のどちらかをされるでしょう。

1つ目は、「どうしてまだ間に合ったときに何もしてくれなかったの?」

2つ目は、「どうやって、あんなすごいことを成し遂げることができたの!?」

私は、世界がこれから化石燃料の使用を0にするというゴールを達成して、気候変動の悪化を我々の世代でくいとめ、彼らが2つ目の質問をしてくれることを心の底から願っています。そしてその答えとして「それは、2019年10月に東京に日本中から集まった800人が一致団結して、協力して日本社会を変える原動力になったからだ」と答えたいと心から思っています“(アル・ゴア氏の言葉より)

10年後、「学生から『どうやってCO2の削減をやったんですか?』と聞かれたい」と語る河内さんは、「そのためにいま私が出来ることをしたいと思っています」と述べました。

 

多くの人が危機感を抱いている今が、そのスタートとなるか

河内さんの話を受けて、ここからは地域で何ができるのかということを、金沢エコライフくらぶ代表・青海万里子さんにも加わっていただき、会場も一体となって、議論が深まりました。

金沢エコライフくらぶ

 

金沢エコライフくらぶ代表・青海万里子さん

1992年にブラジルで開催された地球サミットをきっかけにして、以来ずっと環境問題に関わってきた青海さんは、“気候変動の関心の波は今まで何度か来たが、日本人はすぐに熱が下がってしまい、これが大きなうねりを作るきっかけになるところまでつながっていない”と、振り返ります。

今回の台風で、その影響をリアルに感じている人は多く、これがライフスタイルを変えることができるきっかけとなるのではないかと考えているそうです。

「一人ひとりでやるだけでなく、大きなチームで取り組まないと行けないこと。いろんな動きが一つにつながっていくためにどうしたらいいのか? 皆さんからお知恵をいただきたいです」(青海さん)

「使うエネルギーを再生可能エネルギーに変えることがいちばんの手段ではないでしょうか。10年後に、『なんで何もしてくれなかったの?』と言われるより、『実はSDGsカフェというすごいカフェがあって、そこから始まったらしい』って言われたいですよね。そのためには地域の温室効果ガスの排出量をモニタリングして、みんなで下げていく必要があるのではないでしょうか?」(永井)

国連大学サステイナビリティ高等研究所いしかわ・かなざわオペレーティング・ユニット  事務局長 永井三岐子

「金沢市では2013年度を基準年として、2020年に12%削減、2030年に28%(国は26%)削減を目指しています。現在、2016年までの数値をホームページでも公開していますが、現在は横ばいといった感じで推移しています。また、再生可能エネルギーの発電割合(金沢市ではエネルギー自給率という)は概ね8%です」(会場にいた金沢市環境政策課の担当)

金沢市の温室効果ガス排出量(2016年度確報値)

さらに、地域で再生可能エネルギーによって発電した電気を買えるようになればいいということや、省エネを実践すれば確実に二酸化炭素の排出量が減らせるということを、会場にいらした環境カウンセラーの方も交えて、情報を共有していきました。
地域には専門的な知識を持った環境カウンセラーがいて、省エネに関する相談に応じてくれますから活用しない手はないという話も。

*省エネについては、クールチョイス(環境省)が参考になります

*金沢市では節電エコポイント事業を行っていて、削減率に応じてポイントが付与されます(令和元年度の募集は11月15日まで)

 

SDGsに重要な役割を果たすのが企業。その参加を促進したい

企業の活動についても話が上がり、「地元の企業と一般消費者とが一緒になってワークショップをする機会をセットして欲しい」という要望が会場から上がりました。

「SDGsはCSRの一環で“寄付します”ではなく、利益が出るからやりますという企業が入ってきてくれないと成り立ちません」(永井)

「私たちは日々、どこのメーカーから買うか、どこのお店から買うかを、その会社がどういう活動をして、どういう考え方を持っているのかを知った上で、するようにします。これは投票活動と同じ。私たちが日々投票したくなるような会社やお店が地域にたくさんあれば嬉しいし、そういう地域っていいですよね」(奥さん)

「海外では若者が行動を起こしているのに、日本では広まらないのは、“自分さえ良ければ良い”“自分一人が何かしても変わらない”とみんなが思っているから。10年後に“世界がこんなになってしまった”と嘆くのではなく、“自分は変えることができる”と思える子供たちを育てていきたい」(会場にいらした教育関係の方)

 

10年後、これ以上の気候変動は望まない。そのために変える

また、会場からは「社会的な合意がなされるためにはどうすればいいの? 時間がないと思いますが」という質問が出ました。

「焦らず、急がば回れで一つずつ積み上げて、賛同を得ていく動きにする、今はSNSなど、情報発信力がすごいから、昔よりは簡単にできます」(青海さん)

「気候変動に関して、いま皆さんが不安感を持っていて、何かをしたいと思っています。周りの身近な人の行動を見て波及していくから、“自分だけ省エネしてもしょうがない”と思わず、“自分の行動が他の人に影響を与えるんだ”という意識でやっていけばいい。社会の25%がやり始めると、周りもやり始めます。そこまでじっくり頑張ってやりましょう」(河内さん)

会場では、皆さんがそれぞれの立場から、10年後を見据え、今できることを考え始めたようです。そんなみなさんの想いを、付箋に書き留めていただきました。

そして、「エネルギーの話は大きすぎて個人の力は弱いように思われるかもしれませんが、変えていきましょう!」という永井の呼びかけに大きな拍手をいただき、終了しました。

さて、このSDGsカフェも回を重ねるごとに、会場と一体となって白熱した議論が交わされるようになりました。少しずつSDGsへの関心や理解が深まっていることを感じます。

金沢の2030年がどうなるのかは、一人ひとりの行動にかかっています。ぜひ、お気軽にこのカフェで一緒に考えてみませんか?

*SDGsカフェの最新情報は、IMAGINE KANAZAWA 2030(Facebookページ)をご覧ください。

*地球温暖化に関することをもっと知りたい方におすすめ!
 国立環境研究所地球環境研究センターの「ココが知りたい地球温暖化」
 Q&A形式で研究者がわかりやすく、しかも詳しく一般的な素朴な疑問に答えています。

【開催報告】SDGsカフェ#6 「文化のまちづくり」

今回は、金沢らしいSDGsへの取り組み方を考える上で、欠かすことができない「文化のまちづくり」をテーマに、認定NPO法人趣都金澤の理事長・浦淳さんを迎えて、金沢らしい文化を使ったまちづくりについてお話いただきました。後半は国連大学OUIKの永井事務局長との対談によって、金沢らしい文化について意見を交わし、さらに会場も交えて、文化にとどまらず、SDGsの進むべき方向性について深い議論がなされました。

文化でまちづくりをしながら、金沢をIMAGINE

まずは事務局長の永井からSDGsとIMAGINE KANAZAWAの取り組みやSDGsミーティングやSDGsカフェの説明がありました。

趣都金澤は、令和元年の「金沢市文化活動賞」を受賞。折しもこの日はその授賞式があったそうで、授賞式の興奮冷めやらぬ浦さんに、さっそく金沢をIMAGINEしていただきました。

講演の冒頭、浦さん自身が最近診断されたという痛風とSDGsとの関係をユーモアたっぷりに紹介し、会場の笑いを誘い、和やかなムードに。

石川県が輩出した二人の偉人、鈴木大拙と西田幾多郎が残した言葉の中で、浦さんが好きなものを紹介しました。
鈴木大拙の自由に関する表現から、西洋では「束縛からの自由」だが、東洋的な自由は「自らなしていく」とする、自由の考え方の東西の違いには、興味をひかれた人も多かったのではないでしょうか。
「鈴木大拙館」(金沢市/設計:谷口吉生)、「西田幾多郎記念哲学館」(かほく市/設計:安藤忠雄)とも、「素晴らしい建築なのでぜひ行って欲しい」と、建築が専門の浦さんらしいアピールも。

金沢のまちづくりに新しい風を吹き込む工芸建築

趣都金澤とは、市民参画型によって文化でまちをつくっていこうという活動を行っている。2007年の設立当時は、行政や各種団体がまちづくりを行い、市民参画型というのは新しかったそうです。

*認定NPO法人趣都金澤についてはこちら

文化でまちをつくっていこうとした場合、その評価は計量的にはできず、文化についてある程度理解がないと、市民がそれを評価もできず、まちづくりの方向性について合意形成ができないのではないかと感じていました。

浦さんは会員とともにまちづくり学びながら、そのような感覚を養い、地域でまちづくりを行うディレクターをつくっていきたいと考えているそうです。

2018年秋には、金沢21世紀美術館で「『工芸×建築』の可能性を探る工芸建築展」を開催。さらに、2020年春にドイツ・ベルリンの「フンボルトフォーラム」内のベルリン国立アジア美術館に常設展示される「ゆらぎの茶室」を、工芸作家らと制作中です。

また、2016年からは金沢21世紀工芸祭を開催しています。工芸と食の催し「趣膳食彩」や、点在する町家を会場とした回遊型展示「工芸回廊」をはじめ、5つのメインコンテンツで、工芸を通じて金沢の魅力を発信しています。今年で4回目となり、金沢での秋の恒例イベントとして定着しました。

日本の工芸は世界的に見ても、緻密で伝統的にもさまざまな技法が残っていて、表現としても素晴らしいものがあるそうです。世界に売っていける可能性があるアートコンテンツとして、日本の工芸は、かなり注目されているそうです。

北陸や金沢が日本の工芸の中心となる

さて、2020年には日本海側初の国立美術館となる、国立工芸館が石川金沢に移転してきます。約1900点という日本の名だたる工芸が北陸・金沢にやってくることや、2020年には石川県で「国際工芸サミット」という大きなイベントも開催されることなど、北陸と金沢の工芸が今おかれている熱い状況を語りました。

「小松や金沢などの工芸は内発的に持続可能な形でやっていける可能性がある。高岡や福井の越前、鯖江とかでも、若い人が中心となって内発的な工芸祭もやっている。そういうものをつなげていくのもいい。工芸館がくることで、日本を見渡した工芸拠点を作れたらいいと思う。そして金沢はぜひ、北陸の中心として工芸のマーケットを作っていったらいい」と、期待を述べました。

 

自然との共生から自然との対峙へ。時代の変化がSDGsを生んだ

続いて世界各国の都市の、夜景写真を見せ、夜景だとどれも似たような感じで、驚くほど都市の平準化が進んでいることを示しました。
産業革命以前は、人と自然が共生しながらある種の理屈を持っていた時代でした。しかし、それが今は、人と自然が対峙しながら理屈がない無理な時代になっていると述べ、「だから今、SDGsがあるのではないか」と説明しました。そして、もう一度その中に、“理屈を入れていく”、“編集していく”といったことが大事だと付け加えました。

SDGsの17のゴールでまちづくりのことをストレートにいっているのは、「11.住み続けられるまちづくりを」の1つだけ。「もっとあってもいいと思う。そもそもデベロップメントとサステイナビリティを一緒にするのが難しい」と言う浦さんからは、「その地域ならでは文化にもっと寄せてみるのもいいのでは?」との意見が出ました。

 

後半は浦さんと永井によるトークライブ。まずは金沢らしい文化を見つめ直す

金沢の産業には内発的なものが多く、結果として残っているニッチトップがいっぱいあります。その中には、前田家が投資を行ってきたストックも多く含まれます。
一方、全国を見渡してみると、日本海側にはそういったストックがいっぱい残っているはずなのに、「それがうまく生かされていない気がする」と言う浦さん。それらを顕在化するキーワードが「内発」であり、そのことを一番理解しているのがそこに住む人ではないか・・・、そのような話から議論が深まっていきました。

また、メインストリームでない人が変えたいと思っていることもたくさんあると、永井から話が切り出され、「例えば、国際会議に芸妓が来てお酌をするとか、旦那衆が文化を作ってきた金沢らしい側面でもありますが、グローバルスタンダードと照らしてみて、それはどうなのでしょう?」と、疑問を提示。
「金沢だからとりあえず芸妓を呼べばいいという考え方ならば、それは想像力の欠如。ある意味、文化的発想から一番遠いこと。これは“伝えて統(す)べる”伝統も同じ。新しく創造されたものもいっぱいあり、その中から統べられて何かが残っていく、これじゃなくちゃいけない」(浦さん)「創造性、その場その場をちゃんと考えてやっているのであれば、『何か理由があるのだろう・・・』と納得できますが、考えもしないで『こうしておけばいいや』というところに縛られている金沢の文化というのも、たくさんありますよね」(永井)

それぞれが心地いい場所を作るために、まちづくりをはじめ、金沢で文化から変えることはできないものか、そんな話につながります。

話題はSDGsのあり方へと進む

「SDGsのゴールの目標。平準化、結果にこだわると、『数字を出せばいいのでしょう?』みたいになるのではないでしょうか?」(永井)。

SDGsみたいにガーってきたものは、往々にして残らないものがある。残すためには多少の疑問を持ったりすることも大事。地域や環境にあわせ少し軌道修正したり、付け加えたりしながら多様なゴールを考えることは、SDGsという理念の持続性に繋がると思う」(浦さん)

「食品会社だからと、『世界の飢餓をなくすために貢献しています』とか、SDGsでラベリングだけしている企業も残念ながらあります。SDGsの根底をうまく共有して、結果の出方は金沢の場合は文化によるかもしれないし、他の町はそうじゃないかもしれないが、表層的なものではなく、SDGsのコアなところの価値の共有ができたらいいですね」(永井)

「SDGsは一人ひとりの中にある、地域の中にあるもので、それを無理やり1個にまとめようとしているから難しいのではないか。17の目標から何を自分の方に呼び込んで行くか、それで足したり引いたりしていく上で別に生まれたりするものっていうのがあって、そこの議論が大事だと思う」(浦さん)。

 

会場を巻き込んで、SDGsに対するさまざまな思いが交錯

SDGsについて、会場からも貴重な意見がたくさん出ました。ここでは、そのいくつかをかいつまんで紹介します。

「SDGsは、みんなが変わっていかないといけないが、今までやってきたことを今まで通りにやりたいと思う伝統主義的な人には、それができなくなると思われるのではないか?」

「子供が学校でSDGsを習ってきた。先生は子供たちに議論もさせずに、正しいこととして教えていたが、『これでゴールしたら本当に幸せなの?』って疑問を持たないのは思考停止だと思う。誰かが違うって多面的に意見を言わないと本当のゴールは見えないのではないか?」

「文化はストーリーではなく、ナラティブ的に脈々と答えもなく受け継がれてきたもの。自分の町会でも誰も理由もわからずに祭りが続いている。こういうナラティブ的な文化のあり方が、金沢でのSDGsには必要な気がする。合理性とか生産性とか数値化とかからかけ離れたところにあるのが文化」

「極限の貧困とか自分たちの知らない現実があることはわかった。それに対して目標が誤っているとは思わないが、これらは教えることではなくて感じ取るものではないかと思う。学校では先生が教えることよりも、自分たちで答えを出すという教育に変わってきている。そのためにも自分たちはもっと現実を知るべきだと感じた」

「金沢で知らず知らずに受け継がれているもの。そういうものだという一つの型が文化を生んでいる。基本的に人間が育つ文化だし、子供のうちから引き継がれてきたもので、体に蓄えられた大事なもの。それが金沢だから継続しているが、周辺の山間部では少子高齢化でできなくなっている。それまで持っていたものがサステイナブルで無くなること。これは、世界中で起こってきている。自然環境や戦争で自分を育ててくれた土地から離れないといけなくなるなど、そういうことが起こり過ぎているからSDGsという話が出てきた。サステイナブルな環境が金沢にあるということならそれを大事にしないといけない」

最後に永井からは、「SDGsはISOのようにやり方を変えるのではなく、自分の在り方を変えようというもの。SDGsはこのように学び続けて対話しながら、想像を創造につなげいていくことが大切なのではないかと思う。今日ここで出た話から、多少なりとも何か持って帰っていただければ嬉しいです。素晴らしい場をみなさんと共有できたことに感謝します」と述べ、閉会となりました。

日本庭園ワークショップをSDGs観光ツアーに

OUIKのJuan Pastor Ivars 研究員が、金沢の緑や街並みをみんなで守っていくために考案した日本庭園ワークショップを、観光ツアーのコンテンツとして企画しました。

この試みは、2020年のSDGs未来都市に金沢市が認定され、テーマとなる「責任ある観光」を推進するため催行した金沢SDGs体感モデルツアーの一つに庭園ワークショップを組み込んだものです。金沢の大切な文化的要素である日本庭園を、グリーンインフラとして生物多様性保全、ヒートアイランド現象の緩和など、その隠れた機能を学び、さらにお茶会や庭園清掃を通じて日本庭園の価値を体感するというものです。

日本庭園を学びのプラットフォームとして地域内外の人が集うことで、ご高齢の個人オーナーには負担が難しくなってしまった日頃の維持管理に様々な人が関わり、新しい形の維持管理体制が作れないかというのが、このワークショップの重要な狙いでもあります。今回はそこに、金沢をもっと深く知りたい観光客にも参加してもらえたら、そして金沢の日本庭園を守っていくことに世界中の人が参加してもらえるような観光モデルが作れたら、という Juan研究員の願いを具現化しました。

ツアーは東山の茶屋街近くの卯辰山山麓寺院群をぬうように通るこころの道の散策から始まります。参加者はインバウンドツアーガイドなど、様々な観光客のニーズを知り尽くしたプロの方々。観光客から圧倒的に人気があるのがその地域の住民との交流があるプログラムだそうです。市民が行き交う路地裏をJuan研究員の解説を聴きながら進み、目的地の永久寺さんに到着。

古くは前田家の公式の祈祷所で、250年以上の歴史をもつ永久寺。このお寺の管理を任されている本郷さんから、お寺の歴史やお庭の管理に関する課題を学んだ後は、早速お庭に出て清掃の開始。春先の庭には外来種のリュウキンカが蔓延ってその駆除が中心となります。

お庭には大きな槻もあり、円周を計測し金沢市の保存樹に登録できないか、という調査にも参加者に協力してもらいました。

こういった作業は決して観光客が携われないのでとてもワクワクしたとフィードバックがありました。小一時間の清掃作業で10以上のゴミ袋がいっぱいになるほどの雑草を駆除できました。作業の後は、金沢棒茶とお菓子を味わいながら、今回のワークショップの観光プログラムとしての評価について意見交換を行いました。

「観光客はその地域が好きだから訪れるので、その地域の市民との交流やその地域がよくなっていくことに貢献できることを探してしている。」「今回のツアーは金沢の文化歴史を深く知る学びを提供しているのでとても価値がある」「SDGsについて深く考える機会となった」「特定の宗教行事と思われない配慮が必要」「年配の方には作業上の工夫が必要」など様々なご意見をいただきました。

今後もたくさんの方に庭園ワークショップに参加してもらうため、観光ツアーとしての可能性を探っていきます。

 

【開催報告】SDGsカフェ#5 「2030年 こんな会社があったら働きたい! −社会に求められる企業経営の姿とは−」

今回は金沢イクボス企業同盟の「金沢版働き方改革普及プロジェクト サマーセミナ−2019」と合同での開催となりました。

「イクボス」をご存知でしょうか?

「職場で共に働く部下やスタッフのワークライフバランスを考え、その人のキャリアと人生を応援する。組織の業績や結果も出しつつ、自らも仕事と私生活を楽しむことができる上司のことをイクボスという」と、司会を務める金沢イクボス企業同盟の安江さんが教えてくださいました。

また、SDGsの理念や、17の全てのゴールが私たちの暮らしとつながっていること、こういった世界の動きと連動して、金沢では「金沢SDGs−IMAGINE KANAZAWA 2030−」を今年3月から発足させ、5つの方向性を導き出して推進していることも紹介されました。

ちなみに、今日のセミナーは、その方向性4番目の「働きがいも、生きがいも得られるまち」をテーマにしたSDGsカフェとなります。

*金沢イクボス企業同盟では、趣旨に賛同した企業が集まって、勉強会や御互いに切磋琢磨しながら、学びあっています(セミナー開催現在、85社が参加)。
詳しくは金沢イクボス企業同盟のHPをご覧ください。
https://ikuboss-kanazawa.com

 

2030年の自身の働いている姿を2人の大学生にイマジンしていただきました

一人目の中西辰慶(たつよし)さんは、東京都台東区出身の金沢大学2年生。
そしてもう一人の戸上玲央さんは金沢市出身の明治大学4年生。立場は異なりますが金沢市に縁があるお2人です。

 

2030年「コスパがいい仕事をしたい!」
中西辰慶さんの場合

楽をしていい給料をもらおうというのではなく、結果として幸福度が高いことを「コスパがいい」とするのが中西さんの考え方。自分の時間が確保できて、学んだり、成長を感じたりできることが「コスパの良さ」で、その先にあるのが自己実現だと話します。

中西辰慶さん

「2030年がどうなっているのか正直わからない」という中西さんは、ネットで検索して社会的な状況を把握し、超高齢化社会となっている日本を想像しました。周辺のアジア諸国が発展していく中で、日本だけは人口が減少して衰退していく−−。その一方で、早晩人口減少に転じる諸外国にとって、日本の取り組みはモデルケースとして注目を浴びているのではないかとも。

自分たち世代は100歳までは生きそうだと推測し、80歳まで仕事を続けていくことを考えているそうです。その場合、若い時に吸収してきた知識だけでは太刀打ちできなくなるだろうから、20年後くらいに、改めて学びなおす時間が必要になるはずだと言います。

2030年には、週休3日制になっているのではないだろうか? そして3日のうち、1日は休養、2日は教養に当てる・・・。新しいスキルに習得していくためにも、週休3日に対応していく企業の柔軟性が欲しいと感じているそうです。
また、仕事を離れ学び直ししたい時も、企業はそれを後押ししてくれ、戻ってくることができる制度や仕組みが整っていて欲しいとも。

今の学生はプライベートの充実を一番にあげますが、趣味だけでなく、家族との時間や、地域社会への貢献を通じて、自己実現することを大事に思っているそうです。

 

2030年「地域の稼ぐ力向上支援をしたい!」
戸上玲央さん

これからの中核都市の発展を担っていける、そのモデルケースとなり得る金沢市や石川県で、魅力的な新事業の創出やそれを軌道に乗せること、つまり稼ぐ力を作り出すことに関わっていたいという戸上さん。

会社は残業がなく、職種に縛られない働き方ができると良いと述べ、育児の携わり方は家庭によって違うから、さまざまな選択肢の中から、自分に合った育児方法が選択できる企業に籍を置きたいと言います。

戸上玲央さん

東京で成功したビジネスモデルを地方に持ってきてもその縮小版となるだけ。独自のビジネスモデルを作り、さらに若者を惹きつけるために、充分な収入を稼げるものにしていかないといけないと考えます。「稼げるシステムに昇華させていくことは、東京への若者流出を防ぐためにも重要となってくる」と話します。合わせて、既存事業は個人の生産性を高めて、稼ぐ力の増強を図っていくことも必要だと付け加えました。

魅力的な新事業が生まれる土壌を作ること、それは企業だけでは難しく、産官学などの連携も必要。各セクターとのつながりや調整力を発揮し、アイデアを形にして軌道に乗せるための実務力も持ち合わせるようになりたいと考えているそうです。

2030年、地域の「稼ぐ力」の向上支援を仕事にしたいという戸上さん。そのための人間力、実務力をこの先の10年で身に着ける必要があると言います。

冷静に、しかもプラス思考で2030年を想像しているお二人。とっても意識の高い発表に、会場の多くが感心しきりでした。

 

「給料が低くても人気のある会社になるには?」
サイボウズの野水克也さんより話題提供

働きがいのある会社ランキングで6年連続ランクインするなど、働き方改革をやっている人たちの間では知らない人はいないサイボウズ株式会社で、社長室フェローをされている野水克也さんからは、2人の学生の発表を受けての話題提供として、サイボウズが就職したい企業のトップクラスになった理由を説明していただきました。

サイボウズとは企業向けのグループウェアのソフトを作っている会社です。給料はIT業界の中でも全く高くないそうですが、学生からの人気はとても高いのです。

*サイボウズ株式会社 https://cybozu.co.jp

野水さん曰く、「40年ほど前、40億人と教わった世界の人口」も、あと数年後には80億人になります。しかし日本の人口はそれほど増えていません。GDPも世界の伸びに比べると日本はわずかで、日本市場は相対的に小さくなっていると言えます。
「世界が変わっていく中、日本だけは変わらずに30年を過ごしてきました。この事実を企業の皆さんはあまりわかっていません。しかし、学生たちは世界の今を学んできていますから、よくわかっています。ここに大きなギャップがあって、学生たちが入りたいと思う会社は大きく様変わりをしていますが、企業は発想の転換ができていません」

野水克也さん

これからの企業は、環境の上に成り立ち、多様性を担保していないといけないし、その上で、儲けるというビジネスモデルをつくっていかないと成り立たないというのがSDGs的な企業のあり方。社会からはそういうSDGs的な企業が求められていますが、それは学生も同じだと言います。
「社会貢献をしていかないとこの世界は持たない、年金もキビシイとか、学生たちは先行きをわかっていますから、そういう企業を探し始めているのです。きれいごとではありません」
そして、家庭を持ってからの生活の厳しさを考えると、共稼ぎを考えます。「女性の社会進出」ではなく、「男性がどれだけ女性を支援できるか?」という風に変わり、夫婦そろって安心して定年まで働けるから、公務員が人気なのだと付け加えます。

サイボウズでは「100人いたら100通りの働き方がある」と言っています。「一生の間に自分で働き方を決めながら、キャリアプランを作れます」という風にしたところ、就職希望者が押し寄せてくるようになったそうです。再学習は各自に任せ、そのための環境は提供しているそうです。
「本業で、副業で、地域コミュニティで、家族に、友達にと、たくさんの人や環境が支えてくれるのであれば、会社にちょっと変なことがあっても倒れることはありません。残業しないで早く帰って地域コミュニティに参加することは、会社にとって良いこと。だって会社から自立してくれるのですから」

社員の一生を保証することを会社に求めることは「もう幻想だ」とも言います。
「多くの学生たちは、自分でスキルを身に付けたいと思っています。そのスキルをつけるための手段をどれだけ認めてもらえるのか? それだけの新しいビジネスの方向をやってくれるかどうかが働きたい基準の一番。これをできない会社が多すぎるということになります」
IT技術を使うなどして、早く若手を育てている会社は若者の定着率が良いそうです。そして下働きなんてもってのほかだと言います。

働き方を自分で決めたい人たちがたくさんいる今、それに応えることで人を集めることができると述べました。

 

2030年、働き方、生き方ということをテーマにトークセッション

金沢イクボス企業同盟事務局で計画情報研究所の須田さんをコーディネイターに、野水さんと中西さん、戸上さんと、さらには会場からの質問も交えてもう少しテーマの深掘りをしていきました。参考になる意見がたくさん出ましたので、ちょっと長くなりますが、一部をダイジェストでお届けします。

〔会場からの質問1〕

40代あたりで一旦再勉強する働き方を話していたが、子供のことなどで一番その年代はお金を稼がないといけないと思うが、その辺はどう思うか?

〔回答:中西さん〕

30代までにある程度貯金が必要。なので、年功序列で若い人は給料が安いということでは成り立たない。夫婦でどっちかが学び直したいと思った時はフォローしあえる、いろいろの夫婦共稼ぎの形が必要。

〔回答:野水さん〕

会社を辞めてアメリカにMBAを取りに行く時代ではなくなった。30代後半に働く速度を半分に落として、残りの半分は勉強に当てる。何を学ぶかは20代のうちから自分でちゃんと考えておかないといけないと思う。40台後半では遅い。40代前半までに学び直しをやっておくべき。

〔会場からの質問2〕

仕事は現場での作業。もう数年もすれば自動化が進む今が過渡期。そんな中で働く人たちが魅力を持てる働き方について、具体的なヒントを。

〔回答:野水さん〕

自動化について興味を持つこと。本来、総務は仕事の量をこなした方が評価されるが、サイボウズでは評価されない。仕事のやり方を変えた人が評価をされる。今の仕事をこなしながらも自動化について勉強をしていくこと。

〔戸上さんから野水さんへ質問〕

学生が就職で意識することは?

〔野水さん〕

面接の中で出てきたことに対する質問はほとんどない。ボクらが言っていることを盲目的に信じている。わからなかったらちゃんと質問できる力をつけていくことが必要。
もう一つは好奇心。自分の好奇心をどう持ち続けるか? これが人生で一番大事。長生きする人としない人の差はほぼ好奇心の差。好奇心さえあれば人は生き続けられる。その好奇心を持ち続けることを心の中で思うように。

〔中西さんから野水さんへ質問〕

自分は誰かの役に立った、社会の役に立ったと思えた時に働きがいを感じるが、働きがいについてどう思うか?

〔野水さん〕

今は世間から評価されることに喜びを覚えることが主流となっている。学生たちは上司ではなく、違うところで評価されたいという欲が必ずある。企業はそれを満たすように誘導してあげるべき。

〔須田さんから野水さんへ質問〕

売り上げ、事業の継続性で悩まれている方もいらっしゃると思うがどう考えるか? どういうところから取り組んでいけば変わっていけるか?

〔野水さん〕

昔は借金できる方がいい会社と言われていた。今は逆。不動産とか余計なものは買わず、キャッシュフローだけで処理をする方がいい。理由は売り上げを保たなくてもいいから。人件費だけなら、休んで働かない分、売り上げを落としても構わない。
また、売り上げを上げる方法を人に依存してもいけない。人ではなく、仕組みで売り上げを保つ。会社のブランド力を高めるなど、誰が抜けても売り上げが保てるようビジネスモデルを作る。

〔須田さんから野水さんへ質問〕

80歳まで働く時代。持続可能ということを個人も企業も意識していくことが大事。金沢SDGsの4つ目「誰もが生涯にわたって学びや活躍できる社会風土をつくる」
その社会風土をつくるところで企業・個人が意識して取り組んでいくことは?

〔野水さん〕

昔は売り上げが上がる会社がいい会社だった。どこかのセミナー会場で「もう一回、日本が強くなってGNPを3倍にして、世界のトップに立つためにはどうしたらいいか?」と質問されたことがある。ボクは「あきらめなさい」と言った。それは無理。ボクらのライバルはグーグルとかアマゾンとかになるけど、絶対に勝てる気がしない。
でも、日本が生き残る道はある。世界で一番尊敬される国になること。そのために直さないといけないことはいっぱいあるが、どれも直せそうな気がする。そして金沢が観光都市としてどうやって発展してくか考えた場合、日本中で一番尊敬される都市になれば勝てる。
さらに会社も周りから尊敬されるようになれば、助けてもらえたり、いろいろなものが得られたりする。どうやったら尊敬される会社になれるかを考えればいい。

〔須田さんから中西さん・戸上さんへ質問〕

こんな会社だったら働きたいと思うことを。

〔中西さん〕

個人の好奇心に対して企業も興味を持っていて、外から世界から尊敬される会社。

〔戸上さん〕

自分は働いている人に人徳を求めてしまう。仕事ができるかできないかがいちばんの指標になる。この人についていきたいなと思う人が溢れている会社に居たい。

〔須田さんから野水さんへ質問〕

今日の副題にある「社会に求められる企業経営の姿とは」について、改めてお聞きしたい。

〔野水さん〕

近江商人の三方よし「売り手よし、買い手よし、世間よし」と同じ。自分、お客さん、社会がいいということ。金沢や石川のためになって、お客さんのためになって、自分のためにもなるということ。それを延々と続けていけば、それは社会に求められる企業となる。

 

2030年、自分は? 会社は?
まずは、今日からできることをしよう

限られた時間でしたが、それぞれグループ分けされた中で、学生から2030年にこんな会社で働きたいということ、社会人からは自分は、自分の会社は2030年にはこうなっているという話をディスカッションした後、今回の話を聞いて、自分が今日から取り組もうと思っていることを付箋に書いていただきました。

この「SDGsカフェ」では、話題にしたテーマを「自分ごとにして帰る」ということがあり、さまざまな人の意見を聞きながら、自分の気持ちを確かめて書き留めること、この作業は毎回のお約束となっています。

最後に野水さんからは、「出世した人間が幸せに死ねるわけじゃない。死ぬときに幸せな自分ってなんだろう?と考えて、働き方、生き方を見直すべき」と、アドバイスがあり、閉会となりました。

参加者全員で記念撮影。たくさんのご参加、誠にありがとうございました

学生と社会人が、2030年の金沢を想像しつつ、意見を交えるというなかなかない機会。
参加された皆さんは、きっと新しい発見や気づきを得ることができたのではないでしょうか。

【開催報告】 シンポジウム「金沢の庭園がつなぐ人と自然」

金沢には半世紀から代々受け継がれてきた数々の庭園があります。このたび国連大学IAS-OUIKでは、これらの庭園や自然をテーマに、生物文化多様性ブックレット#5『金沢の庭園がつなぐ人と自然−持続可能なコモンズへの挑戦−』を制作しました。
それを記念して、金沢の庭園の知られざる魅力を、歴史、環境、デザインの面から紐解き、庭園の新しい楽しみ方や、「後世に引き継ぐために私たちができることは何か?」を考えるシンポジウムを開催しました。

日本庭園に心底魅せられたフアン研究員がこだわり抜いた一冊が誕生!

まず最初に、オープニングとして、このブックレットの責任編著者・国連大学のフアン バストール・イヴァールス研究員から、ブックレットの概要について解説しました。

本書は4章からなります。

第1章 都市自然の持続可能な保全のための施策
第2章 庭園にまつわる人々の物語
第3章 日本庭園の多様な教え
第4章 自然と関わる新しい方法

金沢らしい生物多様性の戦略、所有者が庭園を維持していくための苦労や課題、さまざまな視点から日本庭園がもたらしてくれる教え、日本庭園との新しい関わり方が生み出すものなど、本文131ページというボリュームで、今まで知らなかった庭園の魅力や関わり方を紹介しています。

「都市の自然と親密な関係を作ることで、人々が幸福に恵まれます。行政、所有者、専門家、市民が協働して庭園を維持管理することで、都市に春夏秋冬が存在できます。人、動物、草木などがサイクルを持ち、調和のとれた世界になるよう、私はこれからも頑張っていきたい」とフアン研究員は話を締めくくりました。

 

基調講演「庭園から見た金沢らしさ」

日本民俗学会評議員・元北陸大学教授の小林忠雄さんの基調講演がありました。小林さんは、本書にも寄稿していただいています。

中国の風水を180度ひっくり返した、いわゆる「逆風水」の空間特徴を備えるのが金沢で、不吉とされる場所に悪霊封じのために寺院群を置いたことを解説されました。

また泉鏡花の作品から、往時の広坂通りはコナラやホオノキなどがいっぱいあって鬱蒼としていたことがわかり、古い写真からは中心部には木がいっぱいあって、文字通り「森の都」だったことを示し、古い時代の金沢では周辺の樹木を積極的に入れて造園をしていたのではないかと述べました。

金沢には植物に関する民俗も残っていて、例えば紫陽花を切って玄関に吊るす「門守」という独特な習慣を紹介。植物と生活が一体となったライフスタイルがこの町には今も残っていることは大変注目と述べて、話を締めくくりました。

*この内容にご興味がある方は、上述のPDF版/P76〜79「風水思想に彩られた金沢」をぜひご覧ください。

 

ブックレットの著者の方々によるトークセッション1
「金沢の庭園に隠された魅力」

ファシリテーター・鍔隆弘さん(金沢美術工芸大学環境デザイン専攻教授)、パネリストに野々市芳朗さん(株式会社野々与造園 会長)、寺島恭子さん(寺島蔵人邸跡)、長谷川孝徳さん(北陸大学国際コミュニケーション学部教授)、土田義郎さん(金沢工業大学建築学部建築学科教授)を迎えて、「金沢の庭園に隠された魅力」をテーマに討論が始まりました。

まずはそれぞれから庭園の魅力、楽しみ方を語っていただくということで、最初にファシリテーターの鍔さんから、「周りを取り込む庭園」(本書P88)に掲載した林鐘庭「五人扶持の松」の紹介がありました。また、「千田家庭園」で毎年学生と一緒に行っている泥さらい(清掃活動)についての説明もありました。

続いて、長谷川さんからは、「加賀藩士屋敷の植栽について」(本書P80)から、加賀藩士の屋敷の庭にはどのような木が植わっていたか? またその理由などについて解説がありました。そして、往時のように自給自足ができる庭というのは、「これから先、庭園を残していくのに大きな魅力につながっていくのではないか」と付け加えました。

「10年後、100年後も、金沢と共にあるために未来を考えて維持していく」(本書P38)を寄稿してくださった寺島さんからは、寺島蔵人邸で暮らしていた頃の思い出を語っていただきました。風呂は庭から拾ってきた薪で沸かし、庭に生えたり、実ったりする自然のものを大切にして食べるなど、慎ましやかな暮らしだったと述べます。また、庭師を入れることができず、見よう見まねで雪吊りも自分たちで行っていたそうで、「そういうこともしないといけないことは苦痛でした」と振り返ります。

「里山の風景、自然から創造する金沢らしい庭園」(本書P92)を執筆された野々市さんからは、雪国・金沢ならではの剪定方法や、「市中の山居」(里山の情景を家の周りに作る)を基本とした金沢の日本庭園の特徴を解説してくださいました。

土田さんからは、「庭を聞く」(本書P108)に合わせて、サウンドスケープ(音風景)の楽しみ方を紹介していただきました。また、日本の庭園の技術には「暗黙知」として受け継がれているものが多く、未来に引き継ぐためには、作る側だけでなく鑑賞する側も意識して、暗黙知を形式知として残す必要があると述べました。

金沢にはたくさんの庭が残っていて、維持する機会もあって、作る楽しみを知ってらっしゃる方もたくさんいる−−。そう言ったものを共有しながら、「風景としてだけでなく、街なの自然空間、生物の生息空間としての価値が広がっていけばいいなと思う」と鍔さんが述べて、トークセッション1は終了しました。

 

トークセッション2「地域の自然から見るサステイナビリティ」

ファシリテーター・上野裕介さん(石川県立大学生物資源環境学部環境学科准教授)、パネリストに円井基史さん(金沢工業大学建築学部建築学科准教授)、アイーダ・ママードヴァさん(金沢大学国際機構特任准教授)と留学生代表(ロシア・カザン連邦大学)、永井三岐子(UNUーIAS OUIK 事務局長)が登壇し、セッション1で知ることができた庭園の新たな魅力や価値を、持続可能にしていくために、私たちはどうすれば良いのかを議論しました。

まず、上野さんからサステイナビリティ=持続可能性について考えた時、重要となる行動目標としてSDGsのアウトライン紹介がありました。

そして、社会、経済を支えているのが生物圏や自然で、そんな地域の資源をうまく使うことができれば、社会はもっとより豊かに、そして持続可能な社会になるのではないだろうか? セッション2では、その方法について話し合いたいと、口火を切りました。

大野庄用水

その答えの一つとして上野さんからは、「グリーンインフラ」の紹介がありました。自然が持っている機能や仕組みを活用してインフラ整備や防災、国土管理に使っていこうというもので、詳しくは「金沢市のグリーンインフラと都市の生態系サービス」(本書P104)をご覧ください。

「金沢市街の緑と熱環境および今後も街づくりについて」(本書P100)を執筆された円井さんからは、都市の緑と熱について着目した話がありました。温暖化は都市部ではヒートアイランドによりさらに進んでいるが、都市でも緑地があることで、緑から冷気流が起こり、周辺が冷やされている部分があるという話。金沢の場合、小立野台地と片町では夜間、2〜3度の気温の違いがあることもわかったそうです。

「庭園でのボランティア活動を通じた学び」(本書P113)を寄稿されたアイーダさんは、海外からの留学生に金沢の文化を体験してもらうプログラムを担当。フアン研究員の協力で、庭園から学生たちにいろいろなことを学んでもらっているそうです。庭園の中に入るとサウンドスケープ、ランドスケープ、建築、経済を一つの場所から全部見ることができ、茶道などの日本文化を掃除しながら学ぶというベストな体験になっていると言い、これをもっと広げていきたいと考えているそうです。

また、今回実際に日本庭園の清掃を体験したロシアの学生からは、庭園の維持管理方法については、「学生の援助を求める、国際ボランティアを招く、世界中に問題を広める」と言った提言もありました。

「金沢の庭園から生まれるコレクティブ・インパクト」(本書P17)を執筆した永井からは、金沢市と金沢青年会議所、そしてUNUーIAS OUIKが中心となって進めつつあるSDGsの動きを紹介。金沢SDGsの5つの方向性について説明しました。

引き続き、「庭園をどうしたら持続的なものにできるのか?」「将来に向かって私たちは何をすべきか?」ということを、考えることに。答えは出なくても、「考える契機となればいい」と上野さんは申します。

庭園の新たな魅力や価値を知り、まずは「庭園は大事だ」ということに気がついてもらうことが、守るための第一歩。そのためにできることとは?

「日本人の昔の知恵というのが庭には眠っていて、その知恵は現代の技術に生かすことができるのに、それに気がついていない人が多い。そういったところを教育したり、普及していきたいと思う」(円井さん)

「手入れされた庭園は生態系だけでなく、社会、経済にも貢献する。庭園を失った時、日本人の心も失う。ボランティア制度を作ってお互いが協力しながら庭園を維持していくことがこれからの時代にマッチ。SDGsのボランティアの概念ともリンクでき、金沢ならではのモデルとなるのではないか」(アイーダ)

「心蓮社の庭園清掃は、スペインに行った日本人がサクラダファミリアの建設を手伝わせてくれるくらい、外国人にとっては宝物のような体験となる。その視点の違いを私たちも持たないといけない。同じものを見ても違うように価値づけできることが大切」(永井)

「30年後、50年後、金沢の街をどう活用していくか? それをみんなで考えていけばいいが、その時により多くの市民や行政の人、企業の人を巻き込み、賛同してやってもらいたい。そのためにはどうすればいいか?」(上野さん)

「知ってもらうこと、体験してもらうことが大切。樹木を西に植えると省エネになることを、庭に木を植えないと言っていた施主に知らせたら、考えが変わったこともあった」(円井さん)

「留学生は金沢の家の前に庭が少ない、土がないと言う。各家の前に小さい庭を作る、そういう場所を増やしていけば、市の人も考えて施策も新しく考え直すことがあるのではないか」(アイーダさん)

 

最後に、上野さんからは、「外国人の視点も入り、さまざまなものの見方で、新しい価値を発見していくこと。多くの人が取り組みたくなるような、そして楽しめるような仕組みを作っていくこと。そして課題解決にはパートナーシッも重要。古い日本らしい、金沢らしい暮らしを守っていく、あるいは取り戻すことができれば、これから50年後、100年後、金沢はもっと魅力的な地域になるのではないか」と述べて、トークセッション2は幕を下ろしました。

引き続き、閉会の挨拶を行った、日本造園学会石川県連絡会の上田哲男さんは、庭園の維持管理の難しさに言及。「所有者や管理者だけでは到底困難な状態が存在しており、良好な状態で後世へ引き継いでいける管理システムの構築が急務。そのためには、庭園や自然に対する調査研究から維持管理までを視野に入れた、市民協働の取り組みを行うことが必要」と述べられました。

会場では席が足りなくなり、慌てて追加するほどの大盛況のうちに、無事シンポジウムを終了することができました。ご登壇くださった皆さん、出版にご協力くださった皆さん、そしてシンポジウムに参加してくださった皆さん、ありがとうございました。

【開催報告】 SDGsカフェ#4「今、求められる教育−2030の担い手育成−」

今回は前回に続いて「今、求められる教育」シリーズの第2回目。
「2030の担い手育成」をテーマに、2030年の金沢を金沢大学附属高等学校校長の山本吉次先生にIMAGINEしていただきました。

まずは、金沢市企画調整課の笠間彩氏から、金沢SDGs「5つの方向性」について紹介。
この5つをゴールとして行動計画を決めていくことで、「金沢らしく、そして金沢の人たちが、自分ごととしてSDGsに取り組んでいけるのではないか」とお話しました。

前回、SDGsカフェ#3の様子は下記の投稿をご覧ください。
【開催報告】 SDGsカフェ#3 「今、求められる教育−映画『Most Likely to Succeed』上映会とワークショップ−」
金沢SDGs「5つの方向性」について、下記の以前の投稿で詳しく紹介しています。
【開催報告】SDGsダイアローグシリーズ最終回・総括シンポジウム「地域の未来をSDGsでカタチにしよう」

以下、本文中の*マークのあるリンク先をクリックするとそれぞれの詳細情報が得られる公的機関等のサイトにジャンプします。

2030年の教育をIMAGINEしてくださる方

さて今回、2030年の金沢をIMAGINEしてくださる人は、金沢大学附属高等学校*(以下、附属高校)校長の山本吉次さんです。
そして、山本さんのお話しから、そこにアイデアをくれるお二人のゲストをお招きしました。

お一人は、今年の春までシンガポール日本人学校の校長も勤められた池端弘久さん。もうお一人は、学生と企業、子供たちと地域社会を結びつける活動などを行う仁志出憲聖さんです。

 

 

これからの社会で活躍できる人材とは?

附属高校は、2014年から文科省のSGH*(スーパー・グローバル・ハイスクール)指定校となりました。世の中のパイロット校となる役割を持つ附属高校では、“国際社会の中で、地球生態系の中で、サステイナブルに能力を活かして生きていける、そんな人間を作る”ために、SGHによる地球サイズの教育活動を行ってきたそうです。

「地域課題研究」(地域)→「異文化研究」(二国間)→「グルーバル提案」(多国間)→「グローバル・キャリアパス」(自己)と、高校の3年間、一貫した課題研究カリキュラムを実践。SGHにより教科もSGH化し、授業も変わってきたそうです。

そして、国内外の学校との交流や、北陸の機関や企業の指導などを受けるなど、オープンな学校へと変化しました。
さらに、外から中に入ってくるだけではなく、中から外へ、留学などで海外へ出ていく生徒も増えたそうです。

一方で、SGHの課題もいろいろ出てきました。その一つ、そもそもこれが課題なのかどうか、意見は分かれると思いますが、今年は東京大学の合格者が減って、「大学受験をしっかりやってほしい」、そんな声も上がっているそうです。実は、東大を志望する生徒自体が減っていて、その代わりに増えたのがAO入試だそうです。留学経験を持つ生徒などが明確な意思を持って、自分が行きたい大学を選ぶように変わってきていると言います。

総合の学習の基盤となるのは教科の学習であり、それは受験にも通じます。でも教科の学習だけだったら、これからの世の中に通用していかないでしょう。附属高校は受験のための教科の勉強と、主体的な探求が求められる総合の授業の両方をやっていくそうですが、「大学受験をどうしていくか?」ということは、今後議論を重ねるべきことだと述べました。

SGHは5年間の期間限定のため、附属高校の指定は今年の3月で終了しました。

今年からは、「Society5.0*」の社会に向けた人材育成を推進する文科省の「WWL(ワールド・ワイド・ラーニング)コンソーシアム支援事業*」の拠点校となり、一つの学校ではできない、国内外のいろんな学校や企業、国際機関と結びつき、コンソーシアムを作ってイノベーティヴなグローバル人材を育成していくそうです。

このようなことを踏まえて、2030年をIMAGINEしてもらいます

山本さんの経験から、「情報入手方法が激変している」ことを指摘。2030年にはもっと変わり、「バーチャルをリアルに体験」できるようになるのではないかと想像されます。

AIが進化しても、情報処理を行うための評価関数(つまり価値)を決めるのは人間です。その価値を決めていく重要な指標が「SDGsの17の目標ではないか? そして、目標(価値観)の深化と共有のためには、もっと自分ごとにするために、対話と議論が必要」と強調されました。そういう意味でも「主体的・対話的な深い学び」がより重要となるのは明らかです。

これから実施されていく「新学習指導要領*」では、「主体的・対話的で深い学び(アクティブ・ラーニング)も重視されていくそうです。

いろいろなことを実際に体験しないと議論はできません。インターネットなどのバーチャルだけではなく、自分でリアルに体験する重要。そして、より広い知的交流の枠組み(コンソーシアム)が必要だとも述べて、お話しを締めくくりました。

 

大人も子供も一緒に問題意識を共有すべき

山本さんのIMAGINEを受けて、ESD*に長年携わってきた池端さんからは、シンガポール日本人学校で行っていることや、海外から見てわかった日本の教育の良い点や足りないことなどを紹介してくださいました。

まず、池端さんからは、全ての小中学校がユネスコスクールに認定されている金沢市は、ESDの基本的な考え方による総合的学習の実践が進んでいるという話も出ました。

さて、とかく英語を喋るのが苦手とされる日本人ですが、その環境さえ整えば、英語力がみるみる上達していく、日本人学校ではそんな子供達の成長ぶりに感心させられたそうです。

日本人学校では、今まで行ってきた体験的な学習にSDGsの項目をつけ、子供達に問題意識を持ってもらう教育をしています。年度当初のガイダンスでは、「学校も力を入れるから、みんなも頑張ってやるぞ」と、問題意識を共有して、教師や大人も一緒に成長していくことを目指します。

また、子供達には、情報が生成される「第一次情報」を作るプロセスをアナログ目線で経験させるようにしているそうです。これを知らなかったら、その情報が正しいものかどうかの精査ができず、2次情報、3次情報だけで物事を考えてしまうことになるからです。

教科の学習による知識理解は、深い思考する上で非常に重要です。その上で、どういう問題意識を持つのか? どういう風に問題を解決していくのか? ということが問われます。そして、教員もまた、問題意識を持って成長することが大事だと言います。

特に、環境問題や人権問題など、もう後戻りができず、限界が近づいています。ここでの議論のような場には子供達がきちんと参画して、子供達とともに考えていく、そうしていくべきだと提言されました。

 

やる気のある学生を支援する会社

株式会社ガクトラボ(企業紹介の動画はこちらで見られます)の仁志出さんからは、全国で唯一、「学生のまち推進条例*」がある金沢で、長期実践型のインターンシップ(ガレナ*)での学生支援の実績の紹介がありました。

スキルはなくてもやる気のある大学生が6ヶ月間、その企業に入って、一緒に挑戦していくことで、さまざまな成果が残せているそうです。学生にとっては、社会で自分の力を試す機会となり、企業にとっては、若い人材と一緒に挑戦できるきっかけとなっています。

また、耕作放棄地を学生が開拓して、日本酒を造り、デザイン、コンセプト作り、販売まで手がけた「N-project*」など、地域を元気にする学生団体の活動も支援もしています。

やる気がある若い人は、SDGsに取り組んでいるようなビジョンを持った企業に魅力を感じると言います。先が読めない時代、やる気があって思考ができる人材は多くの企業が欲するところでしょう。

今は学生のほとんどがインターンシップをしますが、「教育的にも、地域にとっても、経済にとっても、価値のある質の高いインターンシップをいかにするかが大切。体験じゃなくて経験、それもただ経験するだけでは浅い」と仁志出さんは申します。

「学生の街なので数は多いが、質が高く、挑戦できるインターンシップはなかった。しかも、質は一つだけでなく多様なものが必要」と、その時に思った仁志出さんは、学校だけでは多様な選択肢を補完できないと考えて、「自分でやってみよう」と起業したそうです。

若い人たちの意見も主体としてしっかり取り入れつつ、多様性のある教育の仕組みになっていくような場を、ここの皆さんとディスカッションしていきながら作っていきたいと述べました。

 

この後、質疑応答があって、今日話を聞いた中で、自分は2030に向けて、子供達の教育に対してどんな役割を果たしていきたいと思うか? そのことをそれぞれのグループで話し合い、その思いを付箋に書いていただき、SDGsカフェ#4は終了しました。

 

なお、ご参加された皆さんが書いてくださった付箋のメッセージは、今後の金沢SDGsの行動計画に結びつけ、そのヒントとして活用していきます。

 

【開催報告】 SDGsカフェ#2 「Civic Techと誰も取り残さない情報アクセス」

2019年3月23日に、金沢市、金沢青年会議所(JC金沢)、国連大学サステイナビリティ高等研究所いしかわ・かなざわオペレーティング・ユニット(OUIK)の三者でSDGsを推進していく宣言を行いました。

*金沢SDGsの詳細は、当サイトの【開催報告】SDGsダイアローグシリーズ最終回・総括シンポジウム「地域の未来をSDGsでカタチにしよう」をご覧ください。

これを受け、4月からSDGsの勉強会やセミナーなどを開催しています。名づけて「SDGsカフェ」。

2030年の金沢を決めるのは市民であり、いろいろな人に参加していただき、2030年の金沢を考えてもらう(IMAGINEしてもらう)場です。

カフェということで、飲み物やお菓子も用意され、緩やかな雰囲気のなか、誰でも気軽に参加でき、コーヒーなどを飲みながら、登壇者と来場者が気軽に意見を交わせるリアルコミュニケーションの場です。

その第2回目となる今回は、先日行われた統一地方選挙で、候補者の政策などをもっとわかりやすく、簡単に知ることはできないかということを発端に、誰も取り残さない情報アクセスについて、話し合ってみました。

 

統一地方選挙で情報のあり方を考えた

まず、2030年の金沢をIMAGINEする人(話題提供する人)として、認定NPO法人フローレンスの須田麻佑子さんに登壇していただきました。

須田さんは、先日の金沢市議選に立候補した候補者本人が発信しているSNSやブログなどをリストアップして「市議会議員候補者のHP・SNSまとめ」という記事をブログにアップしました。

その記事は、候補者の詳しい情報が届かず、「誰に投票したらいいのだろうか?」と、モヤモヤしていた有権者の間で、「これは助かる!」と評判となりました。

 

現状に愕然としてしまった

須田さんは、候補者43人分もあるから、まとめるのには相当時間がかかると覚悟して取り掛かりましたが、作業は短時間で終わったそうです。

HPやSNSを何もしていない、あるいは、あっても前回の当選のお礼で更新が終わっている人・・・など、機能していない候補者が多く、その状況に驚いたそうです。

「これを許しているのは市民なのではないか?」と須田さんは言い、自分たちの意思を反映しているか否かを、投票によって意思表示をするのが選挙なのに、それを判断する情報が得られない(得られにくい)ことは問題だと述べました。

情報アクセビリティー(利用しやすさ)に問題があるから、「争点がわからない」、「自分たちには関係ない」、「自分の1票で変わる気がしない」などと、いろいろな感情が重なって、それが投票率の低さにつながっているのではないかとも。

 

2030年の金沢のIMAGINE(金沢はどうあってほしいか)とは?

「テクノロジー(情報技術)の恩恵をすべての市民が受けられる」、「テクノロジーからアウトリーチ(出前・出張サービス)の仕組みづくりができる」、「社会課題解決のための資源を供給しあう」、そんな2030年の様子を、ご自身が取り組まれている子育ての現場を例にとって紹介しました。

そして、最近では、市民の声を集めるアプリも登場(*)しているので、そのようなツールも使って市民の声を集め、それを元に政策が作られる街の姿をIMAGINEしてくださいました。

PoliPoliIssuesなど

 

このIMAGINEを実現するためにできることは?

その答えをいろいろと持っているエキスパートの福島健一郎さんと、堤敦朗さんからもプレゼンテーションを行っていただきました。

まず、福島さんからは、テクノロジーを使い、選挙などに関する情報のアクセスの方法として、現状どのようなものがあるのか、国内外の具体的な事例を紹介してくださいました。

意外と知られていませんが、実は日本でもいろいろあるそうです。

代表的な2例をここでも紹介します。

  • ラポールジャパン http://rapportjapan.info 政治資金がどう使われているかを可視化しているサイト。民主主義のコストを可視化
  • 国会議員白書 https://kokkai.sugawarataku.net 国会議員が、議会でどんな発言をしたかがまとめられている

 

使い勝手はさておき、一人一人の国会議員が普段どんな政治活動をしているのかは、このようにその気になればネット上で見られる環境になってきています。

オープンデータとして議事録が公開されていれば、地方でもこれを実現することは可能だと言います。

今後、これを発展させるためにはどうすればいいのでしょうか?

「資金をみんなで出し合ってでも、政治をわかりやすくするツールを作っていくことが必要なのかも」と福島さんは述べました。

ネットやSNSなどを活用すれば、若者たちの選挙離れにも歯止めがかけられるかも知れません。そのためにも、テクノロジーを使って、政治を分かりやすく見せることは、ますます重要となってくるでしょう。

 

全ての人に情報を届けるということ

堤 敦朗 さん
金沢大学准教授、EMPOWER Project KANAZAWA主宰。世界保健機関 (WHO)技術専門官などを歴任

金沢という46万人の都市では、情報を共有するためにテクノロジーが絶対必要。しかしそれを高齢者にいきなりやらせることは無理。また、目の見えない人や耳が聞こえない人もいらっしゃいます。そういう方のことも考えた情報アクセビリティーについて、堤さんからお話いただきました。

今まで、災害が起こればベーシック・ヒューマン・ニーズさえ満たされれば、あとは我慢するという範疇でした。しかし今は、生き方とか人間の尊厳とか、人権的側面からも考えなくてはいけません。アクセビリティーというのも非常に重要な人権です。

東日本大震災で障害のある方の死亡率は2倍、多いところで4倍だったとも。何故ならば、情報が行き届かなかったからでした。

情報というのは出せばみんながアクセスできるわけではありません。とりあえずホームページに載せて情報を出したことで満足してしまうことも多くないでしょうか。

「情報を欲している人がいかにそこに簡単にアクセスできるのか? その配慮をしなければ情報を出す価値はほとんどない」と、堤さんは言います。

アクセビリティーというのは、そこにあればいいといのではなく、必要な人がそこにアクセスできるルートを確保し、その方法を明示していなければなりません。

誰も取り残さないためには、誰もがその情報にアクセスできるようにしなければいけないということですね。

 

2030年への熱い思いを語り合う

3人のプレゼンテーションが終了し、後半は来場の皆さんも巻き込んで、活発な意見交換が始まりました。

障害者の政策などを考える会議なのに、日本では障害者が参加してその情報を得る(手話の同時通訳などが用意されていない)ことがよくあるとか、テクノロジーは特別なものではなくなりつつあるが、自分ごととして考えようとする人はまだ少ないとか、地方自治体のオープンデータ化はなぜ進まないのかなど、今回のテーマに関連することの質疑応答や意見交換が、積極的に行われました。

最後に、来場された皆さんが今日インプットできたことや、アウトプットしたいこと、さらには、テクノロジーを使ってやりたいと思っていることや、あったらいいなと思うことを、2030年をちょっとだけ意識しつつ、それぞれのテーブルに置かれたふせんに書いてもらいました。

さまざまな意見をいただきましたが、2030年に向けて、このままではいけないということは、ほとんどの皆さんが感じたことのようです。

来場者の意見をまとめたものは、下記の「IMAGINE KANAZAWA 2030」Facebookページで見ることができます。
https://www.facebook.com/kanazawa.sdgs/

それにしても皆さん、本日のテーマに大いには刺激を受けたようで、書き終わった後も、あちらこちらで盛んに議論を続けていました。

このように、どなたでも気軽にご参加いただけるカフェです。
今後、さまざまなテーマを扱う予定ですので、まずは興味のあるテーマから、ご来場をお待ちしています。

「第1回IMAGINE KANAZAWA 2030推進会議」開催

2019年3月、国連大学OUIK、金沢市、金沢青年会議所の三者が協力し、持続可能な金沢をパートナーシップで実現するプロジェクト「IMAGINE KANAZAWA 2030」が発動しました。その一環として行われてきたSDGsミーティングでは、多様なステークホルダーが立場や世代を超えて集まり、金沢のあるべき姿を思い描き、アイデアを出し合いながら「金沢ミライシナリオ」の制作にいたりました。

2020年6月29日、SDGsの達成に向けて、この「金沢ミライシナリオ」を通して様々な主体が連携し実践すべく、この推進会議が設置されました。産業、教育、行政、金融、市民団体など各分野の方々をメンバーに迎え、意見を出し合い、協力体制を築きました。

会長として金沢市長山野委員、副会長として金沢商工会議所理事長、鶴山委員と国連大学OUIK所長、渡辺委員が選出され、監事としては金沢青年会議所監事、小谷内委員と金沢市会計課長、徳田委員が選任されました。

さらに金沢青年会議所、国連大学OUIK、コード・フォー・カナザワの三者より、これまでの取組報告が行われました。

最後の意見交換会では今後の活動に向けたアドバイスや様々なアイデアが交換され、立場や世代を超えたコミュニケーションの場となりました。

会議の詳細や発表内容は以下のYouTubeビデオからもご視聴ただけます。

・「IMAGINE KANAZAWA 2030 パートナーズ」募集中

SDGsを通して地域の課題解決を一緒に進めていくパートナーを募集しています。これまでなかなか解決できなかった課題も様々な立場の人や企業が集まり、異なる強みを持つプレイヤー同士が連携することで具体的なアプローチを指すことができるかもしれません。興味がある方はIMAGINE KANAZAWA 2030事務局までご連絡ください。

石川県金沢市が「SDGs未来都市・自治体SDGsモデル事業」に選定されました!

2020年7月17日、金沢市は「2020年度SDGs未来都市」及び「自治体SDGsモデル事業」に選定されました。テーマは「市民生活と調和した持続可能な観光の振興 ~「責任ある観光」により市民と観光客、双方の「しあわせ」を実現するまち金沢~」です。これは観光客が増加する中、自然・歴史・文化に基づく生物文化多様性をベースとし、市民・来街者の双方がまちの魅力を共創し、 持続可能なまちを実現すること目標としています。

日本では2008年、持続可能な経済社会実現に向けて「環境モデル都市」と「環境未来都市」を選定する制度が採用されました。今回金沢市が選定された「SDGs未来都市」は、「環境モデル都市」と「環境未来都市」に加えて、地方創生を一層促進することを目的として、SDGs達成に向けた取り組みを提案するものです。2018年度から各年度最大30都市が選定されており、石川県では珠洲市(2018年度)、白山市(2018年度)、小松市(2019年度)、今年新たに加賀市、能美市、金沢市が選定されました。(自治体SDGsモデル事業としては金沢市が県内初)これらはSDGs17の目標と紐づけられた評価軸で選定されていることが特徴で、目標達成に向けた積極的な事業展開が期待されています。

 

国連大学IAS-OUIKの役割

国連大学OUIKはSDGsの達成に向け金沢市との協働を進めてきました。「2018年のSDGsいしかわ・かなざわダイアローグシリーズ」をはじめ、2019年3月に金沢市、金沢青年会議所、国連大学での三者SDGs共同宣言を行なってからは金沢SDGsプロジェクトを「IMAGINE KANAZAWA 2030」と名づけ、協働を本格始動しました。SDGsや地域の課題への理解を深めるために「SDGsカフェ」という地域の皆さんが気軽に金沢の未来や地域課題について対話できるコミュニケーションの場を提供したり、SDGsミーティングでは地域の様々なステークホルダーの皆さんと協力し、アイデアを出し合いながら2030年の金沢のありたい姿を示す「金沢ミライシナリオ」を作成しました。

 

今後の展開

今後もOUIKは3者の協力体制をプラットフォームとして、SDGsの啓発・周知公報、共創するコミュニティの形成など、様々な場面で協働を進めていきます。特にモデル事業のうち、重要な要素である、魅力的なSDGsツアーの開発において、OUIKが長年の研究で培ってきた「日本庭園と金沢の持続可能性」を考えるワークショップ等の実践経験や、能登GIAHS(世界農業遺産)・白山ユネスコエコパークに関する研究成果を活かし、金沢のグリーンインフラを活かしたツーリズムのあり方や、広域のSDGsツーリズムのあり方に学術的な助言する役割を担っていきます。

【開催報告】 SDGsカフェ#3 「今、求められる教育−映画『Most Likely to Succeed』 上映会とワークショップ−」

今年4月から始まりました「SDGsカフェ」。
さまざまな方に参加していただき、コーヒーでも飲みながら、2030年の金沢を考えてもらおうというものです。
その第3回では、「今、求められる教育」をテーマに、学校教育を問い直すキュメンタリー映画『Most Likely to Succeed』を鑑賞し、会場の皆さんと対話をしました。

未来の学び方について考えさせてくれる映画

まずは国連大学 サステイナビリティ高等研究所 いしかわ・かなざわオペレーティング・ユニット(UNU-IAS OUIK)事務局長の永井から、SDGsカフェの趣旨説明と、今回、2030年の金沢をIMAGINEしてくださる藤岡慎二さん(北陸大学経済経営学部教授、地域連携センター長)の紹介がありました。

さて、上映する映画に出てくるHigh Tech Highというチャータースクール(特定の目的をもって設立される学校)について簡単にご紹介。
この学校は2010年の開校した米国のカリフォルニア州にある公立校で、小学校、中学校、高校があります。
学んだことはテストではなく文化祭で評価され、詰め込み式の受験偏重型教育とは違い、学生が主体的に深く学び、失敗や成功を通じて人間的にも成長できるそうです。

未来型教育を研究・実践しているHigh Tech Highの21世紀型の授業スタイルの実際を、この映画は克明にルポしています。

◎映画の詳しい情報は下記のサイトをご覧ください。
 FUTUREEDU TOKYO

世の中は変わっても教育は120年以上変わっていない

米国の教育カリキュラムは、大量生産を推し進めていこうとした1892年に制定されたもの。GDPが伸びれば、国民所得も伸びた20世紀にはマッチしたものでしたが、1990年代後半からの急速な技術の進歩により、多くの仕事が奪われ、もはや大学を卒業したら安定した職に就けるという時代ではなくなりました。

世界の経済が激変した中で学校教育の改革は遅れています。これは日本に似たような状況と言えるでしょう。

この先、「より創造力の高い仕事だけが生き残っていく時代となる」、そう考えると、今の教育システムで十分なのか?という疑問が生じてくるでしょう。
その答えを導くヒントがこの映画の中にはたくさんありそうです。

映画が媒体となって、日本の教育の現状を考え合う

この映画を観ると、今までの学校教育の概念とのギャップを感じて、疑問や不安、あるいは気づきや確信など、さまざまな思いが浮かんできます。

映画を観終わってすぐ、そんな熱い想いを隣の人と語り合い、そしてティーブレイクを挟んで、今度は4〜5人でグループとなり、ワークショップが始まりました。

この映画は、観て終わりではなく、当事者である学生やその親、教師をはじめ、さまざまな立場の人が意見を交えあうことが重要なのです。

藤岡さんからは、「これはアメリカの学校の話であり、急いで日本で取り入れるのも変な話。日本には日本のいいもの(keep)もあれば、問題(problem)もある。そして取り込むべきと思うこと(try)もある。それをみんなで考えるワークショップにしたい」と述べ、一人ひとりが思うことを付箋に書き、keep、problem、tryと3分割された模造紙に貼っていくことになりました。

今回、さまざまな世代が集まり、いろいろな意見が出ましたが、「keep」には礼儀正しさなど日本人らしさに関係する意見が多く、また「problem」では、子どもの個性を伸ばせていないなど、いまの教育が抱えている問題とリンクした意見が多く見受けられました。

 

日本の地方は世界の“課題最先端地”。ここが変われば世界も変えられる

このワークショップをファシリテートする藤岡さんは、教育改革による地域創生で数々の実績をお持ちの方。
高校魅力化プロジェクト」のきっかけとなった、隠岐島前高校が起こした奇跡の仕掛け人でもあります。その一つの高校から始まったことが、今では全国の地域に広がっているそうです(石川県でも「能登高校魅力化プロジェクト」が始まっています)。

藤岡さんによれば、少子高齢化など、日本は世界の「課題先進国」であり、地方はさらにその先を進んでいる最先端地だと言います。
そんな地方で生活や仕事をしている人たちの意見を高校生たちが聞き、そして一緒に挑戦していけるプロジェクト型学習ができたら、「それはもう、間違いなく世界最先端の教育」だと強調します。

いまの学校教育って・・・。批判するだけでは何も変わらない

このように、日本でもさまざまな教育改革が起こり始めていますが、その全てに当てはまる共通項があるそうです。
それは、「学校の先生に全て授業を丸投げしないこと」。
親や地域の人たちが、みんなで相談しながらみんなで育てているということです。
「今の学校は・・・」と、ただ批判するだけでは、改革は始まりません。周りの人たちがどう参画していけるかということがキーとなります。

2030年の社会をIMAGINEしてみたときに、今の教育制度で大人になった子ども達が、その社会でどんな活躍をしているだろうか? まずは一人ひとりがその姿を想像してみることから、いろいろなことが始まりそうですね。

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