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【開催報告】まちなかの生き物ツアー@尾山神社庭園 — 庭園にひそむ小さな命から都市の生物多様性を考える —

日時 / Date : 2025年10月5日 / 5 October 2025

2025年10月5日、金沢市役所第二本庁舎で開催された「KANAZAWA SDGsフェスタ」の一環として、尾山神社の庭園を舞台に「まちなかの生き物ツアー」が行われました。
本イベントは、国連大学サステイナビリティ高等研究所いしかわ・かなざわオペレーティング・ユニット(UNU-IAS OUIK)と金沢市が協働し、市民が都市の中にある自然とその生き物たちに目を向ける機会として企画されたものです。

ツアーの前半では、UNU-IAS OUIK研究員のフアン・パストール・イヴァールスが、金沢の庭園が持つ生態的価値についてレクチャーを行いました。フアン研究員は、金沢市内の庭園を対象とした生物多様性調査を進めており、庭園が都市の中で果たす生態系ネットワークの役割について紹介しました。
「金沢の庭園は、城下町の水系を活かした独特の構造を持ち、水辺や築山、植栽が生き物のすみかをつくり出しています。これらの環境は、都市化の中で失われつつある多様な生物の重要な避難場所にもなっています」と語りました。

その後の観察ツアーでは、参加者がスマートフォンアプリ「iNaturalist」を使いながら庭園内の生き物を探索。
雨の中行われたこのツアーでは日陰の落ち葉の下や、湿った築山のまわりを観察すると、キセルガイ、クモ、ダンゴムシ、カタツムリなど、多様な生き物たちが姿を見せてくれました。さらに様々な種類のキノコや草木も観察されました。参加者たちは、発見した生き物の写真を撮影し、アプリ上で種類を特定、観察データを共有しました。

また、ツアーに協力してくださった専門員の方によると、古くから残るこのような金沢市内の庭園には、絶滅危惧種に指定されているような希少な生き物が、長年その場所を住処として生息していることもあるとのこと。
庭園が単なる景観資源ではなく、貴重な生物の命をつなぐ「小さな生態系」としての役割を果たしていることが改めて示されました。

ツアーの終盤には、「庭園は景観だけでなく、生き物たちの暮らしの場でもある」という気づきが自然に広がり、都市の中で自然と共に生きることの意味を改めて考える時間となりました。
今回のツアーは、金沢のまちなかをフィールドに、庭園、用水、生き物をつなぐ視点から都市の自然環境を見つめ直す取り組みの一環です。UNU-IAS OUIKは今後も、地域の皆さんと協力しながら、「人と自然が共に生きる都市」の姿を探っていきます。

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