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【開催報告】第2回北陸SDGs未来都市フォーラム

北陸の自治体のSDGs関係者や企業、団体、市民が集い、北陸のイマを共有して、ミライを発信するこのフォーラム。一昨年に続き2回目となる今回、第一部では北陸三県のSDGs未来都市(2県10市の12都市)からのSDGs取り組み報告を、第2部ではテーマごとにグループに分かれてディスカッションし、全体発表によってSDGsの目標達成に取り組む思いを共有しました。

 

基調講演「ローカルSDGsの現在地」

株式会社エンパブリック代表取締役・広石拓司氏から、SDGsに関しての近年の大きな動きや、各地のSDGs未来都市の取り組みの中から、注目していることを紹介していただきました。

自然に影響することが社会や経済にも影響を及ぼすことが、SDGsによって一般的に理解されるようになって、従来は別々に解決しようとしていた地域の課題を、統合的、複合的に考えていく「循環を生かす環境・社会・経済の同時解決」をはじめ、今注目したいSDGsのキーワードとして「脱炭素」、「サーキュラーエコノミー」、「ダイバーシティ&インクルージョン」、「自治体と企業のパートナーシップ」、「人的資本経営戦略」などを挙げて、解説してくださいました。

また、具体的な先進事例として、経済、社会、環境を一体的に取り組んで同時課題解決を目指す滋賀県湖南市や、社会システム全体として、資源を使わない社会や地域をデザインしていく「サーキュラーエコノミー」に取り組む横浜市の「横浜版地域循環型経済」なども紹介しました。

 

北陸のSDGs未来都市の取り組み報告

北陸の私たちが強みを生かし合い、より大きな力を生み出すためには、それぞれの取り組みをお互い理解することが第一歩。今まで取り組んできたことや課題、この先目指していることなどを発表しました。

富山県からは、「環日本海地域をリードする『環境・エネルギー先端県とやま』」を掲げ、美しい山と海があり、豊かな水の恵みを生かした持続可能な経済発展を目指す富山県と、公共交通を軸とした拠点集中型のコンパクトなまちづくりに取り組み、デジタル技術やデータを活用したスマートシティを推進する富山市、目に見えない豊かさが実感できる「一流の田舎」を目指し、地域資源を使った産業を基盤として、好循環を生み出す持続可能な地域づくりに取り組む南砺市の3つの自治体が参加しました。

石川県からは、2030年に目指す5つの方向性から「金沢ミライシナリオ」を市民と一緒に作成し、「市民と来街者が『しあわせ』を共創するまち」を目指す金沢市と、経済、社会、環境の3つの側面のいずれにも深く関わり、より有機的にそれぞれを結びつける役割を担う「人づくり」に力を入れる小松市、人口減少と多極分散型の都市形態という大きな課題を解決するために、先進テクノロジーの導入と人材の育成を強力に進めている加賀市、「白山手取川ジオパーク」と「白山ユネスコエコパーク」という世界に誇れる資産との相乗効果を意識した取り組みを行う白山市、人と人とがつながるきっかけづくりを目指したSDGsの特設サイトを開設し、ふるさと学習での活用も考える能美市の5つの自治体が参加しました。

福井県からは、「次世代ファースト」を合言葉に、2040年に向けた長期ビジョン実現のため、人材力を柱にして、全県一体となって行動し始めた福井県、「女性が輝くメガネのまち鯖江、女性のエンパワーメントが地域をエンパワーメントする」がスローガンの鯖江市の2つの自治体が参加しました。

「それぞれの地域でいろいろなアクションが起こり、先へ進んでいることを実感。なかでも企業との連携が各地域で進んでいることが印象的でした。他の地域の取り組みを知ることで、ますます地域が活性化していったらいいですね」と広石さんが感想を述べました。

 

第2部 グループディスカッション

これからの北陸地域で取り組んでいきたい5つのテーマに分かれ、準備されたお題について、グループディスカッションを行いました。

呉羽山展望台から眺める富山市中心部と立山連峰

テーマ1 既存の枠組みを越えた協働を生み出す地域

「分野・テーマの近い活動の交流を生み出すには?」 → SDGs宣言企業を募集。課題は交流する場所があまりないこと。

「SDGsを推進するための地域内・地域間のプラットフォームとは?」 →地域内のプラットフォームはあるが、地域間ではプラットフォームがない。SNSなど既存プラットフォームを活用して発信していけたらいい。

テーマ2 SDGs・次代の担い手育成が進む地域

「実践につながるSDGs教育とは?」 → キーワードとして出たのが「担い手の多様性」と「教育委員会同士の連携」。

「地域にSDGsを広げ、定着させる学びとは?」 → キーワードとしては「子どもたちの取り組みを認める」「リアルな体験」「次世代の学び」。子どもたちが取り組んだことを大人たちが認めてあげる場所が大切。

雪景色の兼六園

 テーマ3 多様な人が活躍できる地域
「仕事と子育てを両立できる地域をつくるには?」 → 社会的な構造や先入観が問題。解決するキーワードは、「子どもはみんなで育てる」。

「多様性を生かす地域を実現するには?」 → LGBTQを題材にして「一緒につくる」がキーワード。LGBTQについて知らない人が多く、当事者とコミュニケーションをして、新しい社会をつくることが必要。

 テーマ4 北陸版SDGsツーリズムが可能な地域

「市民も来訪者もしあわせになれる観光とは?」 →「取り組みの見える化」、「量から質への転換」、「成長し合う、学びあう」が出たキーワード。

「観光を教育や多面的な地域振興につなげるには?」 → 広域連携により、北陸三県のSDGsツアーを設けること。地域ならではの体験をツアー化して価値化していくこと。ツアーで案内する場所で、SDGsにつなげた情報発信をできるように現場を教育していくこと。

笏谷石の石垣が美しい福井城址

 テーマ5 環境と経済の好循環を生み出す地域

「自然資本を大切にする地域づくりを進めるには?」 → 地域のメリットを考えて、そこに寄り添い、企業のメリットも出せるようにする。

「地域で再生可能エネルギーを生かすには?」 → 再生可能エネルギーの環境価値のコストをどう理解させていくかが重要。地域内にお金が残ること、カーボンプライシングなどによって一般の方にも理解されることを期待。

金沢青年会議所副理事長飯田泰裕氏が、「継続してこういった対話を重ねていくことで、北陸がより笑顔あふれる地域になりますよう、皆さんとまた連携していきたいと思います」と、閉会の挨拶を述べ、フォーラムは終了しました。

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