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生物文化多様性ワークショップ#1金沢で学ぶ留学生が生物文化多様性の持続性を考える

日時 / Date : 2015/07/26-26
場所 / Place : 石川県金沢市

DSC_0215金沢市と金沢大学との合同で 第1回生物文化多様性ワークショップ「海外の視点からみた金沢の自然と文化」(2015年7月25日-26日)を開催しました。金沢市は2015年度に生物多様性地域戦略の策定を目指しており、その骨子にはOUIIKでの研究会(2013年~2015年)を通じて検討されてきた「生物多様性と文化多様性のつながりを守る」という視点を盛り込んでいます。今回のワークショップの目的は、諸外国との比較の視点から金沢の自然と文化の特徴をより具体的に描き出し,政策展開につなげることにありました。アジア,北米,ヨーロッパをカバーする金沢大学の留学生、金沢市国際交流員の参加があり,日本を含む 延べ9ヶ国からの出身者が参加しました。

DSC_0223はじめに,金沢市環境局環境政策課,都市政策局文化政策課、経済局クラフト推進課より、金沢の生物多様性と文化多様性のつながり、文化行政の歩み、伝統工芸の現状と政策展開についてそれぞれ紹介がありました。金沢は江戸時代を通じて加賀藩前田家によって文化学術振興が重視され、茶の湯文化とそれらをたしなむための工芸品や伝統技術が市民生活の日常に根付いてきました。金沢市ではこの価値感を次世代に受け継ぐために、子供たちや若い世代が伝統文化を学び,継承してゆくための政策に注力しています。また,都市部と山地、丘陵地を結ぶ自然地形が「緑の回廊」として機能し、自然との距離感の近さが都市文化の発達を支えてきたことが紹介されました。一方で,近年は外来種の繁殖や温暖化による植生の変化、獣害の増加など自然環境の変化も目立ってきている現状の指摘もありました。

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留学生を交えたフィールドワークでは,金沢城の植生,石の利用,庭園などの景観特性,まちなみと用水や微地形の関係について金沢美術工芸大学教授の鍔隆弘氏より解説をいただきました。また,金沢の老舗料亭の一つである「杉の井」を訪問し,暑さの中にも涼しさを感じさせる夏座敷の設えや,客間と庭園とが一体となった「もてなし」の空間づくりの奥深さを学びました。OUIKでは2015年5月に「地図情報から見た金沢の自然と文化」というマップリーフレットを発刊しており,DSC_0279フィールドワークでは、OUIK飯田義彦研究員よりこの地図情報とフィールドの現場をつなぐ解説が行われました。

  グループワークでは、マレーシア、インドネシア、アメリカ、フランス、ドイツ、スロバキア,ロシアといった多彩な国の事例が紹介されました。金沢の自然と文化のつながりとその豊かさを継承するための方策について,山間地や海岸部につながる公共交通の充実など生物多様性とは直接的に関連しない都市政策が人の流れをつくる上で重要なこと、学生や外国人の視点も取りれることが創造性につながるのではないか、食文化は世界共通の文化の指標であるなど数々の提案がなされました。これらワークショップの一連の成果はOUIKによる取りまとめを経て、金沢市生物多様性地域戦略に反映される予定となっています。

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