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【開催報告】世界農業遺産国際スタディ・プログラム 学生による成果発表会

日時 / Date : 2025年11月16日 / 16 November 2025

2025年11月16日、世界農業遺産(GIAHS)国際スタディ・プログラムの成果発表会が、のと里山里海空港ターミナルビル内の大学コンソーシアム石川 能登分室で開催されました。本プログラムは、震災・豪雨の影響により2024年に延期されていましたが、今年度より石川県との共催として再開され、学生たちは7月の講義・ワークショップと8月の能登での現地視察を通じて、里山里海の価値、地域の生業、震災・豪雨からの復興の現状について学んできました。

本プログラムの実行委員長を務める米田昭博(石川県企画振興部課長)からの開会の挨拶後、まず学生たちから能登とイタリアでの研修について概要が報告されました。災害の影響が残る地域を訪れた経験や、生業・文化・自然の結びつきをどのように理解したかが共有され、地域の現状と未来に対する学生の視点が示されました。またイタリア研修では、伝統的なオリーブ栽培が有機農法や現代的な加工技術と組み合わさり、地域の風土を生かした高品質なオリーブオイルづくりが続けられていることなど、GIAHS地域の知恵を基盤とした持続可能な農業の取り組みについて学びました。

続く学生発表では、3チームが現地での学びをもとに地域の未来に向けた提案を行いました。
食・伝統文化チームは、珠洲市の有機農業の取り組みをテーマに、短期・長期のファームステイを組み合わせた「地域と関わる新しい入口づくり」を提案しました。地域の食や農を体験し、担い手育成につながる関わり方を育む仕組みが示されました。

伝統文化チームは、能登島向田の火祭りに着目し、非観光化ゆえに守られてきた本質と、担い手不足による存続の課題を整理しました。そのうえで、魅力を正しく伝えるためのSNS活用、担い手を外部から支える仕組み、大学と地域の継続的な連携の3点を提案しました。

環境チームは、里山里海で続けられてきた生業の背景にある技や想いを尊重したうえで、学生が継続的に地域を訪れ関係人口を育てる「能登大学村」の構想を提示しました。空き家を改装し、地域住民と深く関わりながら伝統文化の継承や記録にも関わる仕組みづくりを目指すアイデアです。

その後、現地参加者と学生たちによる意見交換が行われ、「世界農業遺産を活かした能登の未来」をテーマに、震災からの復興や若者の関わり方、地域資源の継承について幅広い対話が交わされました。最後に渡辺綱男(国連大学OUIK研究員)より講評が行われ、学生が現場での学びを真摯に受け止め、能登と海外の経験を往復して考えた姿勢が評価されました。

今回の成果発表会は、能登の復興と持続可能な地域づくりを考えるうえで、学生と地域がつながる貴重な場となりました。プログラムで得た若い世代の視点が共有されただけでなく、地域の方々との対話を通じて、新たな協力の芽が生まれ、これからの能登をともに支えていく関係づくりにつながりました。

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