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第10回東アジア農業遺産学会(ERAHS)が中国・湖南省で開催

2026年9月20日から21日にかけて、中国・湖南省婁底市新化県において、第10回東アジア農業遺産学会(East Asia Research Association for Agricultural Heritage Systems: ERAHS)が開催され、日本、中国、韓国を中心に約300名が参加しました。

ERAHSは、東アジアにおける農業遺産の保全と持続可能な活用に関する知見や経験を共有し、研究者、行政関係者、農業遺産地域の実践者などの交流を促進する場として2013年に設立されました。

第10回となる今回は、「農業遺産システムの保全と持続可能な開発目標(SDGs)の推進」をテーマに、FAO(国連食糧農業機関)や各国代表による基調講演のほか、8つのテーマ別セッションが行われました。遺産地域の管理と保全、持続可能な観光、農業食料システムの転換、伝統農業のデジタル化、農業生物多様性、保全政策、棚田の協働的保全と若者のイノベーション、伝統知識・文化の継承と活性化など、多角的な視点から議論が交わされました。

国連大学サステイナビリティ高等研究所いしかわ・かなざわオペレーティング・ユニット(UNU-IAS OUIK)は、ERAHS日本事務局として日本からの参加者との調整を含む大会運営を支援しました。また、OUIKプログラム・コーディネーターの富田揚子が、「棚田の協働的保全と若者のイノベーション(Collaborative Terrace Conservation and Youth Innovation)」をテーマとするセッション7のモデレーターを務めました。

能登の復興とGIAHSをテーマにポスター発表

OUIKはポスターセッションにおいて、「GIAHS as a Living Learning Platform for Post-Disaster Recovery(災害復興のための生きた学びのプラットフォームとしての世界農業遺産)」と題し、2024年の能登半島地震および奥能登豪雨からの復興とレジリエンス構築に向けた取り組みを紹介しました。

発表では、「能登の里山里海」を復興に向けた「生きた学びのプラットフォーム」と捉え、若手研究者や大学生を対象としたグローバル・セミナーやスタディ・プログラム、小学生による生物調査、さらに大阪・関西万博や東京でのイベントなどを通じて、能登で得られた経験や学びを次世代や国内外へ発信するOUIKの取り組みを紹介しました。

ポスターを通じた交流では、能登の被災後の状況や、自然・文化・生業を一体的に捉えながら進める復興プロセスについて、各国の参加者から関心が寄せられました。

農業遺産地域・新化県を視察

会議にあわせて、新化県の棚田、茶畑、歴史的集落などを訪問する現地視察も実施されました。参加者は、地域に継承されてきた水利用の仕組みや農業景観、文化的伝統に加え、それらを地域振興や観光に活用する現在の取り組みについて理解を深めました。

今回のERAHSは、東アジア各地の農業遺産地域が直面する課題と実践を共有するとともに、伝統知と新たな技術・発想をどのように結びつけ、次世代へ継承していくかを議論する機会となりました。能登で災害からの復興が続くなか、OUIKにとっても、農業遺産が持つ価値を「保全」のみにとどめず、学び、交流、そして地域のレジリエンスにつなげていく可能性を国際的な議論の中で共有する機会となりました。

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