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【開催報告】ウェビナー「気仙沼・舞根湾の事例から学ぶ、能登の里海生態系の回復とこれから」

日時 / Date : 2024/4/17
場所 / Place : オンライン/Online

令和6年1月1日に発生した能登半島地震により海底隆起や津波が発生し、沿岸部の環境が大きく変化しました。漁業にも大きな影響があり、里海の暮らしを支える生態系にも大きな変化が起こっていることが懸念されています。そこで、4月17日(水)に宮城県気仙沼・舞根湾の東日本大震災後の経験や取組を学び、能登の里海生態系の今後を考えるウェビナーを、国連大学OUIKと能登GIAHS生物多様性ワーキンググループで共催し、オンラインで60名以上の方にご参加頂きました。

まず、東日本大震災の津波により大きな被害に見舞われた宮城県気仙沼市にある舞根湾の生態系の変化を、地域の漁業者や全国の多様な分野の研究者と共に長年見つめ続けてきた京都大学名誉教授・舞根森里海研究所長の田中克先生に、基調講演として「東日本大震災からの沿岸生態系復活を見続けて~「気仙沼舞根湾調査」の概要~」を発表頂きました。漁業者や多様な人々と共に進めてきた森づくりや教育活動、そして今日まで定期的に続けている生物調査、さらに調査によって見えてきた生態系の変化などをご紹介頂きました。震災直後からの総合的な調査によって、カキ養殖の早期の復活や地域住民の早期の高台移転に貢献したことが伝えられました。

最後に、震災後によみがえった湿地や干潟に、近年ほとんど見られなくなっていた二ホンウナギなどの生き物たちがよみがえっていること、そしてそのような環境を活かした教育や森里海連環の研究活動が継続的に行われていることが紹介されました。

続いて、のと海洋ふれあいセンターの荒川裕亮さんより「能登半島地震後の沿岸における生物調査」のタイトルで、震災後に最大4メートル隆起した外浦の海岸でスタートした生物調査によって現時点で分かってきたことなどをご紹介頂きました。隆起した海岸では沢山の生物の死骸が観察されており、その要因の一つとして震災の発生が真冬だったため、生き物の動きが鈍く、急激な潮位の変化に耐えられなかったことが考えられるとのお話しでした。

最後に、石川県立大学特任教授で能登GIAHS生物多様性ワーキンググループ座長の柳井清治先生に進行頂き、オンラインで参加頂いたみなさまと一緒に意見交換を行いました。隆起したことにより生まれた陸地が海浜植物や海岸部に生息する動物にとって重要な場所になる可能性があるのではないかというコメントがあり、今後調査を行い、干渉帯として守っていくことの重要性が共有されました。その他にも、こういった活動に大学生や高校生が関わることの意義や、海の生態系を守るためには山にも注目することの重要性などが共有されました。今回はオンラインでの開催となりましたが、今後に向けた具体的なアイデアも生まれるなど、積極的な意見交換が行われ、とても貴重な会となりました。ぜひ今後のワーキンググループの活動などに本ウェビナーで話し合われた内容を活かしていけたらと思います。

 

 

 

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