OUIKはSDGsダイアローグをキックオフしSDGsの各ゴールにつき地域のパートナーと連携しイベントやプロジェクトを通じてSDGsの周知を図っています。
7月7日に金沢弁護士会館で、「SDGsいしかわ・かなざわダイアローグキックオフイベント」でも子供の貧困について発表くださった、しぇきらりさんのイベント・シンポジウム「子ども達の傷つきに向き合うということ」が開催されました。
今年2月に石川県初となる女子の自立援助ホームを開設したNPO法人しぇきらりが主催、10代後半の子ども達が今かかえている問題について、専門職の方々やこの問題に関心が高い参加者との間で対話をする場となりました。
自立援助ホームをご存知でしょうか?
おもに中学卒業後の子ども達が、何らかの理由で家に帰れなくなったり、児童養護施設や児童自立支援施設を退所しなければならなくなったりした時、社会に出て働き、自立していくための準備をするための場所です。「家庭に近い環境」で安心安全に暮らせる「家」となります。
実は長い間、石川県にはこの施設が一つもない状態が続いていました。開所してから半年余り、さまざまな生きづらさを抱えながら自立への道を歩む子ども達へ、模索しながら寄り添う活動が始まっています。
対話をすることで相互の理解を深めていく
特に思春期の子どもに焦点をあて、まずは、「家庭、社会の中で揺さぶられながら、子ども達がどのような現実を生きているのか?」について、教育現場、児童相談所、児童養護施設、児童精神科医という、実際に子どもたちと向き合っている専門職の方々から、話題提供をしてもらいました。
そのあと、グループディスカッションを経て、子ども達の“傷つき”を感じ、そして寄り添えるために、一人ひとりができることについて、会場が一つとなって熱心な語り合いを行いました。
当日の議論の中から上がった言葉を、いくつかピックアップ
「まだまだ救えていない命がたくさんある」(自ら命を絶ってしまう子ども達)
「18歳以上の支援がうまく行っていない。18歳の壁がある」(すぐに結果が出るわけではなく、時間をかけたいがそれができない)
「子ども時代を子どもとして過ごしにくくなっている」(ネットなどで幼少期から社会にさらされる)
「子どもがサインを送っていることに気づいてあげる」(そのためにも子ども達と向きあわないといけない)
「ごく普通の日常生活が送れる居場所が大切」(時には親と子を引き離す苦渋の決断も)
「傷ついた子どもの親たちも同じ体験をしている事が多い」(世代伝達を断つ)
「子どもたちと向き会う余裕がない教育現場」(いつの間に家庭訪問しなくなった)
「経済的なリスクは虐待のリスク」(貧困が虐待へとつながる)
「子どもを支えるためには大人もゆとりが必要」(親を支えてあげられる社会)
ディスカッションの後、子ども達の傷つきに向きあい支えるためには、「気づく」「逃げない」「日々の関わり、暮らしの重要性」「連携」「制度」といったキーワードが上がりました。そして、向きあい支えることは「0歳から青年期まで続けていく」ことが大事だということは、参加した皆さんが共通で認識されたことだと思います。
SDGsのゴール1「あらゆる場所のあらゆる貧困をなくす」に貢献
日本でも子どもの貧困率(相対的貧困率)は約7人に1人と言われており、今回のダイアローグが、豊かな日本の、豊かな石川の、「見えにくい子どもの貧困」がより広く知られるきっかけとなったのではないでしょうか。
そしてより多くの皆さんに、このような現状に関心を持っていただき、ひとり一人ができることを考えて、話題にしていく土壌がつくっていければと考えています。
そのことは「だれひとり取り残さない」というSDGsの理念にも通じることとなります。