2019年7月4日、卯辰山山麓寺院群に位置する心蓮社(金沢市指定名勝)で、庭園クリーニングワークショップが実施されました。フアン(OUIK研究員)が率先して始めたこのプロジェクトに、アイーダ・ママードウァさん(金沢大学国際機構特任准教授)、飯田義彦さん(金沢大学環日本海域環境研究センター連携研究員)が加わり、共催でイベントを開催しました。
今回は、金沢大学に短期留学に来ているロシアのカザン連邦大学の留学生14名が参加しました。
開催当日は、ひがし茶屋街を散策しながら、金沢の文化や歴史などを学び、その後に心蓮社で庭園の清掃とお茶体験を行いました。
庭園クリーニングワークショップでの一日の様子を、ご報告したいと思います。
金沢について知る
まず初めに、街中にある地図を見ながら、
・金沢の人々の生活や文化に深く関わっている浅野川、犀川の二つの川について
・金沢の三寺院群について
・金沢の交通網について
など、金沢の街の地形や文化、歴史などの説明を聞きました。
東山ひがし茶屋街を散策
続いて、重要伝統的建造物群保存地区ひがし茶屋街を訪れ、建築物や、金沢の伝統的な食文化、工芸品などについての説明を聞きながら、散策しました。
宇多須神社では、夏越の大祓(なごしのおおはらえ)という神事が行われており、茅の輪をくぐって参拝しました。参拝後、留学生たちはおみくじを引いて、とても楽しんでいるようでした。
ひがし茶屋街から心蓮社へは、〝心の道″を通って行きました。〝心の道″は細い小路になっており、とても静かでした。
心蓮社
心蓮社に着くとまずは、到着を待っていてくれた小島住職が心蓮社の歴史などについて教えてくれました。
心蓮社が現在の地に移ってきたのは1637年頃であり、そのときに庭園が造られたとのことです。庭園は江戸時代初期に作庭された築山池泉式書院庭園で、当時の寺院庭園として貴重なことから、金沢市指定名勝に指定されているそうです。
小島住職は留学生に向けて、「日本滞在中に金沢、そして日本の文化を知り、その背後にある思想なども理解していただければと思います」と優しく語りかけていました。
さて、ここから庭園の清掃です。
まずは、清掃についての指導を受けてから、作業に入っていきました。
水の音やカエルの鳴き声を聞きながら、全員で落ち葉拾いを行いました。気づくと、無心になって清掃していました。庭園が綺麗になっていくと同時に、自分の心も整っていくような感覚がしました。
庭園を清掃していると、緑が美しい苔や、キノコ、カエル、小さな草花など沢山の生物と出会いました。庭園は見た目が美しいと同時に、多様な生物の生息地としても大きな役割を果たしていると実感しました。
お茶体験
庭園を清掃した後は、お茶体験をしました。
茶道の先生がお点前を披露して下さり、和菓子とお茶をいただきました。留学生の皆さんも正座をして、真剣に先生のお点前を拝見していました。
茶道に興味のある留学生三人は、実際にお抹茶を点てる体験をしました。とても緊張した面持ちで取り組んでいました。
自分たちが清掃した後の美しい庭園を眺めながら、幸せなひと時を過ごしました。
庭クリーニングワークショップの魅力
今回の庭園クリーニングワークショップの後、留学生に感想を伺ったところ、「庭園の清掃をしながら、庭園の造りなどをじっくりと眺めることができ、庭園の持つ素晴らしさを知ることができた」と話してくれました。
このような活動に参加することで、庭園のことが好きになったり、自然と私たちの暮らしとの関わりを考えるきっかけになると、改めて感じました。
また、庭園を眺めながらお茶をいただく時間は、自然と文化との繋がりを感じることができるひと時だと思いました。
OUIKでは今後も引き続き、庭園クリーニングワークショップを行っていく予定ですので、
ご興味のある方はぜひご参加ください。
報告:成嶋 里香(OUIKインターン)