困っている人と支援したい人とをつなぐEMPOWER Project(エンパワー・プロジェクト)が推進している「協力者カミングアウト」運動があります。
今回はSDGsダイアローグシリーズとして、ITで地域課題の解決を目指す一般社団法人コード・フォー・カナザワ(Code for Kanazawa)と連携し、異分野コラボによって、この運動をどのように石川に浸透させていくか、それをどうやってITでサポートしていくかということを、有志が集まって議論してみました。
そもそも、アイデアソンって?
アイデアソンとは、マラソンとアイデアを組み合わせた造語。特定のテーマに対してさまざまな分野の人たちが集まり、グループでディスカッションして新しいアイデアを生み出したりするものです。
SDGsが17のゴール達成のために扱うテーマはとても広く、違う分野の人たちが協働してゴールを目指すことはとても需要です。今回は、異分野コラボレーションを、いい地域づくりにどう反映させていけるのか、そんな実験でもあります。
もちろん、EMPOWER Projectが掲げる「互いに協力し合える環境の社会を作る」ことは、SDGs の哲学でもある、「誰も取り残さない」ことにも通ずる、重要なミッションでもあることは言うまでもありません。
インプットと課題の整理から
まずは、EMPOWER Projectの金沢大学の堤敦朗准教授より、このプロジェクトの今までの活動や、これをどう広めていくかということが課題であるという説明がありました。
次に、コード・フォー・カナザワ代表理事の福島健一郎氏より、市民が主体となって自分たちが望む社会を作るための活動と言える「シビックテック」の概要や事例、その可能性を紹介しました。
議論に入る前に、「どう広めていくか?」という課題の整理を、このアイデアソンの進行役を務める福島さんと、EMPOWER Projectからの参加者とで行い、会場全体で共有しました。
EMPOWER Projectの活動をより多くの人に知ってもらいたい
「誰かの力になりたいけど、声をかけにくい」
そういう人たちの気持ちを表すために、生まれたのが「マゼンダスター」のバッジ。
一方、支援して欲しい・助けて欲しいと思っている人の事情はさまざまで、見た目ではわからない場合も多いです。内容によっては不特定多数の人に知らせたくないというものもあるでしょう。
そう考えると、支援して欲しい人より、支援したいと思っている人の方が意思表示をしていく、そんな社会の方が健全ではないか? これがEMPOWER Projectの活動の原点です。
そして、いつかはバッジなどなくても、助け合える世の中にしたいと考えています。
しかし、そんな理念を伝えるのは、マンパワーのアナログによるところが大きく、EMPOWER Projectの存在や活動の趣旨は広く伝わっていないと言います。
課題解決にはその本質を見極めることが重要
課題は2つ。活動の趣旨を広めることと、支援したいと意思表示した人をどう可視化するかと言うこと。
今回のアイデアソンでは、3つのグループに分け、この2つの課題のどちらか一つを、それぞれのグループで話し合いつつ、課題の検証と問題解決方法を模索してみました。
異分野の専門家による白熱した議論が生み出すもの
1時間少々と時間が短く、具体的なプロダクトをイメージするまでには至りませんでしたが、議論の中からは、可能性や問題点の掘り起こし、そしていくつかの面白い発想が出てきました。
可能性としては、協力したいと手を上げることで、自分の内面にある「協力したい」という気持ちに気づき、意識の変容ができるのではないか? そんな話がすべてのグループから上がりました。
一方で、求められる内容が、自分の手には追えない場合はどうすればいいかなど、協力する中身が見えないと手を上げにくいとか、自身の思いや経験を元にした問題提議もされました。
そして、「情報を得た人が行動を起こすタイミングをITで探れないか?」、「集団が得をすることで個人も得をするペイフォワードの概念につながるアプリを作れないか?」、「さまざまな言語で『助けてください』と毎朝話す目覚ましアプリはどうか?」など、異分野コラボならではの独創的かつあったらいいなと思えるアイデアもいくつか出ました。
今後も継続して議論を行い、何らかの形にしたいという思いを確かめあい、短い時間だったにも関わらず、実り多かった実験企画は終了しました。
EMPOWER Project
一般社団法人コード・フォー・カナザワ