メキシコ・カンクンにて開催された生物多様性条約第 13 回締約国会議(COP13)(12 月 4-17 日)において、OUIk メンバーは石川県庁関係チームと連携し、第 1 回アジア生物文化多様性国際会議の成果として「石川宣言」について様々な形で発信を行いました。
まず、12 月 5 日に開催された本会議第1作業部会に武内和彦国連大学サステイナビリティ高等研究所上 級客員教授が国連大学学長特別代理として出席した際に、約 800 人の聴衆に向けて、第 1 回アジア生物文 化多様性国際会議とその成果について紹介しました。石川県が世界農業遺産やユネスコエコパークなどの 国際認証制度間の相乗効果を生み出すフィールドとなっていること、さらにそうした動きを通じて、生物 文化多様性に関わる地域資源を活用し、地域振興と愛知目標の双方に貢献できることをアピールしました。 なお、このスピーチ全文は同条約事務局ウェブサイトに掲載されています。
さらに、10 月 9-11 日の 3 日間に渡って開催された 先住民に関するフォーラム「Summit Muchtanbal on Indigenous Experience: Traditional Knowledge and Biological and Cultural Diversity」(在来の経験に関 するムチュタンバルサミット:伝統的知識と生物文化多 様性)のハイレベルセッションでは、渡辺綱男 OUIK 所 長から同国際会議の概要と石川宣言について紹介しまし た。同宣言のうち、特に生物文化多様性を保全、利活用 する関係者の能力開発の重要性、世界農業遺産など国際 認証制度の効率的な実施の重要性、持続可能な開発に生 物文化多様性を主流化させていくため、対話とパートナ ーシップを生むプラットフォーム機能の重要性を強調し、 2020 年までの愛知目標達成に向けて、OUIK と石川県が連携協力し、世界農業遺産やユネスコエコパーク などの効率的な実施を進めること、石川と国内外他地域の学び合いを促進させることを報告しました。
事例紹介セッションでは、永井三岐子 OUIK 事務局長より、「第 1 回アジア生物文化多様性国際会議の 成果としての、体験型学びと研修ツーリズム」として、石川県がこれまで行ってきた世界農業遺産国際協 力プログラムや、2016 年度に OUIK と白山ユネスコエコパーク協議会が同ユネスコエコパーク内で実施 したアジア地域のユネスコエコパーク実務者研修事業について概要を報告しました。また、能登地域の 人々による子供向け環境学習イベントを「Satoyama Tea Ceremony」として紹介しました。石川には地 域発の先進事例が多くあり、それらを国際的な教育交流と組み合わせること取組を進めていくこと、加えて、石川が生物文化多様性に関する生きた学びの場となり、そのために OUIK が研究機関として結節点と して働き、石川とアジアの両者の学びをもたらすしくみづくりに貢献していくことが提案されました。(この模様はCOP13事務局のウェブサイトから動画をご覧いただけます。 1H:29から渡辺所長、3H:30から永井事務局長の発表)
なお、同フォーラムの席で、生物多様性条約事務局担当者ジョン・スコット氏より、第 1 回アジア生物文化多様性国際会議 を受けて、2018 年に同様な国際会議を北米で開催することがアメリカ自然史博物館を中心に検討されて いるとの紹介がありました。 この会議と平行して生物文化多様性グローバルダイアローグも企画されており、OUIKはアジア会議の主催者として会議に貢献することが期待されています。
最後に、閉会レセプションでは Dias 事務局長に、石川県職員と共に国際会議参加の御礼を申し上げ、 「石川宣言」の冊子をお渡ししました。Dias 事務局長は、石川県には自然と共生する伝統文化が今でも根 付いていることに非常に感銘を受けたと 述べられ、事務局長退任後(2017 年 2 月に任期終了予定)には家族を連れて再 訪したいとのコメントを頂きました。そ れを裏付けるように、同レセプションの スペイン語挨拶において Dias 事務局長 は「Ishikawa」と何度も言及されていま した。
COP13 の会場にて:石川宣言を手にする生物 多様性条約事務局長 Braulio Ferreira de Souza Dias 氏(右から 3 人目)