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国際ワークショップ白峰2018「多様な関係者とつくる山岳ユネスコエコパークの大学教育」の開催報告

MP020180331チラシ

 

国際ワークショップ白峰2018 「多様な関係者とつくる山岳ユネスコエコパークの大学教育」 開催報告

日時 : 2018年3月31日(土) 14:00-16:30
場所 : 「与平」※江戸時代に築造された古民家(特定非営利法人白山しらみね自然学校)

共催:国連大学サステイナビリティ高等研究所いしかわ・かなざわオペレーティング・ユニット(UNU-IAS OUIK)、特定非営利法人白山しらみね自然学校、白山ユネスコエコパーク協議会、金沢大学国際機構
協力:石川県白山自然保護センター

スコットランドの山岳研究者である、マーティン・プライス氏(2018年3月~4月、日本学術振興会・短期外国人招へい研究者として来日。受入機関:筑波大学山岳科学センター)を招き、総勢24名の参加を得て、国際ワークショップ白峰2018が開催されました。

14:00-14:10 趣旨説明(会場説明)
ワークショップの冒頭、コーディネーターを務める飯田義彦(国連大学サステイナビリティ高等研究所いしかわ・かなざわオペレーティング・ユニット)から、ワークショップの趣旨説明を行い、ユネスコエコパークの3つの機能の一つである人材育成活動(とくに大学教育)を多様な関係者とどのようにつくっていくかという問題提起が行われました。続いて、共催者である特定非営利法人白山しらみね自然学校の山口隆氏から会場の「与平」(江戸時代に建造された古民家)と自然学校の活動を紹介していただきました。

14:10-14:50 ミニ講演「スコットランドのユネスコエコパークとハイランズ・アイランズ大学の活動紹介」
マーティン・プライス氏(ハイランズ・アイランズ大学教授)からは、スコットランドのユネスコエコパークの事例として、ガロウェイ・南アイアシャユネスコエコパーク(移行地域でのロゴマークを活用して牧畜、漁業産物のブランディングを支援する取組みが行われている)、ウェスターロスユネスコエコパーク(山岳と沿岸域のランドスケープが一体的に指定)が紹介されました。さらに、ハイランズ・アイランズ大学の紹介があり、この大学はイギリスの中でもユニークな存在であり、9つの職業訓練校と3分野の専門家養成学校(漁業、ケルト文化、神学)、海洋科学研究センターの13の機関から構成されるパートナーシップで運営されています。オンラインでの遠隔教育プログラムを主に実施しており、学生のほとんどはスコットランドからの出身者で、30代以上の職業を持った社会人も多く学んでいます。ウェスターロスユネスコエコパークを対象とした調査研究も行われています。2017年~2020年には、EUの支援を受けて、スコットランド、ノルウェイ、フィンランド、アイスランド、グリーンランドの各サイトが連携して、持続可能なエコツーリズムを推進するプロジェクトが実施されています。

14:50-15:50 事例紹介
白山ユネスコエコパークからの話題提供として、まず、高崎英里佳氏(白山ユネスコエコパーク協議会事務局)から、白山ユネスコエコパークの特徴、登録の経緯や運営体制、これまでの国内外のユネスコエコパークやユネスコ関係者とのネットワーク活動の紹介がありました。

続いて、栂典雅氏から石川県白山自然保護センターの取組紹介があり、環境省モニタリングサイト1000の一環として行われている高山帯調査の概要が解説されました。また、1981年から開設しているブナオ山観察舎での野生動物のモニタリング活動、2004年からボランティアと協働した外来植物除去活動や状況変化を知るためのモニタリング活動が紹介されました。小川弘司氏からは、1981年から継続して実施されてきた白山山頂部の千蛇ヶ池雪渓の長期モニタリング活動が紹介され、経年変化の様子が共有されました。

アイーダ・ママドヴァ氏(金沢大学国際機構)からは、留学生センターで2015年度から行われてきた金沢大学の地域学習の取組が紹介されました。生物文化多様性の視点からの教育の意義、地域コミュニティでの合宿形式の学生教育の成果が紹介されました。こうしたプログラムには、留学生の関心が高いものの、日本人学生の関心が低いことが課題として提示されました。加えて、ロシアの4つのユネスコエコパークの様子が紹介されるとともに、今後のロシアとの学生交流プログラムについて紹介がありました。

15:50-16:30 意見交換
意見交換の時間では、参加者同士の交流を深めることをねらい、ご参加いただいた環境省白山自然保護官事務所、NPO法人環白山保護利用管理協会、筑波大学等山岳学位プログラム、金沢大学能登学舎(能登里山里海マイスター育成プログラム)、三重大学フューチャーアース学講座、白山手取川ジオパーク推進協議会、イオン環境財団などの参加者から、簡単な活動紹介と本ワークショップのテーマである大学教育へのコメントをいただきました。

参加者からは、自然保護の取り組みや地域の実状を知ってもらう入り口として大学教育が果たす役割が大きいこと、また研究機関としての大学の貢献への期待感が表明されました。さらに、今回、筑波大学、金沢大学、三重大学などの大学関係者が参加したこともあり、各地の大学が草の根レベルでつながっていくことの重要性が参加者間で確認されました。

最後に、共催者として山下浩雅氏(白山ユネスコエコパーク協議会事務局長/白山手取川ジオパーク推進協議会事務局長)から閉会の辞をいただきました。

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なお、マーティン・プライス氏の通訳を終始していただいた、ダニエル・ヘリオット氏(白山市国際交流員)には格別のご協力をいただきましたこと感謝いたします。

 

報告:飯田義彦(UNU-IAS OUIKリサーチアソシエイト/ 白山ユネスコエコパーク協議会事務局アドバイザー )

 

 

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