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OUIKについて

Establishment設立

国連大学サステイナビリティ高等研究所 いしかわ・かなざわオペレーティングユニット(UNU-IAS OUIK)は、いしかわ国際協力研究機構(IICRC)を前身とし、2008年4月に国連大学高等研究所(当時)唯一の日本国内のフィールドユニットとして設立されました。 OUIKは、石川県及び金沢市という日本の地方自治体と国連機関が共同で設立・運営しているユニークな機関であり、フィールドと世界とを直接結びつけることで、他には例をみない新しいアプローチによりさまざまな事業を実施しています。

OUIKは、生態系の科学的評価と保全に関する数々の活動に貢献してきました。日本の里山里海の変遷、現状と問題点、将来展望を分析した「日本の里山・里海評価 (Japan Satoyama-Satoumi Assessment: JSSA)」プロジェクト(2007-2010年)は、はじめて日本の里山里海の生物多様性と生態系について科学的な評価を実施し、地域の伝統文化や豊かな暮らしとの関係を明らかにしました。その成果は、2010年に名古屋で開催された第10回生物多様性条約締約国会合(COP10)に報告されるとともに、COP10において決議に盛り込まれたSATOYAMAイニシアティブの基礎となる科学的な情報を提供しました。また、金沢大学、石川県をはじめとする関係自治体、そして専門家と連携しながら、北信越クラスターレポートを作成しました。

2011年には、石川県金沢市において開催された、国連生物多様性の10年の世界的なキックオフイベントにかかわり、石川県や金沢大学とともに日本が提唱する「自然と共生する社会」のモデルとして石川の里山里海を位置づける重要な役割を担いました。

さらに2011年には、「能登の里山里海」が国連食糧農業機関(FAO)により、先進国で初めて世界農業遺産の認定を受け、日本の里山里海に対する国際的な認知が確立されました。2013年には石川県が第4回世界農業遺産国際会議をホストするなど国際的な存在感を増す中でOUIKは研究面や国際的なネットワークの面からそれらの動きを支えてきました。

能登半島だけでなく、県南部に広がる白山麓地域(岐阜県、福井県、富山県を含む)は、1980年にユネスコエコパーク認定を受けており、2016年には自然と調和した暮らしや営みを実践する「移行地域」を含む拡張が計画されています。OUIKでは白山地域とも連携し同地域での研究や活動の国際発信や国際ネットワークへの参加を支援しています。

また金沢市はユネスコ創造都市ネットワークのメンバーであり、クラフト工芸を通じた文化価値創出による創造都市を目指しています。
2015年5月に金沢市がユネスコ創造都市ネットワーク年次総会を開催したのを記念し、OUIKは「生物文化多様性圏―いしかわ金沢モデルー」を提唱しました。

これら以外にも、 石川県にはラムサール条約湿地に登録され、その条約の理念である保護とワイズユース(賢い利用)が地域の方々によって実践されている加賀市の片野鴨池をはじめとして、生態学的にも文化的にも豊かな資源が地域の方々によって守られてきました。

Missionミッション

OUIKは、国際的にも高く評価され保全が望まれる石川の豊かな自然と文化を次世代に手渡してゆくため、地域に根ざした研究を柱として活動しています。そしてその成果を持続可能な社会作りにつながる日本の地方モデルとして、国際社会に発信し、地域から国際的な議論や課題解決に貢献してゆきます。

Activity活動

「石川における生物文化多様性の包括的な保全を目指して」

石川の里山里海は、それぞれの地域の食文化、伝統工芸、建築、景観など豊かな文化を育むと同時に、歴史を通して金沢の都市文化を支えてきました。OUIKではそれぞれの地域の水平連携を促進するだけでなく、従来の原料供給地と消費地という関係を超えた、都市と里山里海の創造的で新しい関係性を模索しています。世界的に見ても豊かな自然と文化が残る石川を生物文化多様性保全モデルとして、研究活動を通じ国際社会に発信することで、地方レベルから国際社会への貢献を目指して活動します。私たちの研究活動の柱は大きく3つあります。

活動1)国際ネットワーク -草の根の活動と国際社会をつなぐ-

ユネスコ、生物多様性事務局、ヨーロッパからのスピーカーを招聘し、 石川県の生物文化多様性保全の取り組みを国際的に発信するための枠組みを議論(2015年5月28日)

世界農業遺産に認定されている「能登の里山里海」、ユネスコエコパーク認定を受けている白山地域(同地域ですでに活発に活動が行われているジオパークは、2016年にはユネスコの正式プログラム化が決まっています)、そして金沢市はユネスコ創造都市ネットワークに加盟し、「ユネスコ創造都市ネットワーク2015」を日本国内で初めて開催するなど各地域が活発に国際的な枠組みで活動を行っています。OUIKではこれらの各自治体の活動を研究やネットワークの面から支援するととともに、ユネスコと生物多様性条約事務局が共同で実施する「生物多様性と文化多様性のつながり」プログラムと連携しながら、 石川県全体を生物文化多様性保全の実践モデルとして国際社会に示したいと考えています。また日本の里山里海、社会生態学的生産ランドスケープの研究をしている(したい)海外の研究者との連携も強化してゆきます。

活動2)各地域との連携 -地域の多様な主体との協働-

世界農業遺産のアクションプラン策定のためのワークショップを自治体の方々と開催

石川県には上記のように、国際的な認定を受けた自然資源が豊富にあります。これらの地域の自治体、大学、学生、市民の方々と資源利活用に関する研究や協働事業を行っています。能登では、生態系評価の地図情報化、 世界農業遺産認定後のアクションプラン改訂作業の支援、里山と里海のつながりについての研究、里海の生業に焦点をあてる里海ムーブメントなどの研究、事業を行っています。

金沢に住む外国人を対象とした生物文化多様性ワークショップ(2015年7月25-26日)

金沢市とは、これまで「都市と生物多様性」プロジェクトで連携し、生物文化多様性という国際的なトレンドの導入を、ユネスコ創造都市会議記念イベントで「いしかわ金沢モデル」として提案しました。また金沢の生態系サービスと文化の関係を可視化する事業として金沢の自然と文化を地図情報化しました。2015年度に策定する同市の生物多様性保全戦略には、 金沢ならではの生物文化多様性保全の視点を入れこむため、意見集約のためのワークショプを開催し政策提言を通じた支援を行っています。

ユネスコMAB国際調整理事会(フランス・パリ)にてユネスコエコパーク関連の国際的なネットワークづくりに貢献(2015年6月)

白山地域では、国際ネットワークへの参加支援を通じてのユネスコエコパークの拡張申請の支援、国際シンポジウムの共同開催、共同研究などを通じて連携しています。

OUIKでは地域の生物文化多様性の保全活動に様々なセクターやバックグラウンドの組織、団体、個人を巻き込むことで、多様な知識、提案、課題が集約されるような生物文化多様性保全のための政策提言プラットフォームの構築を目指しています。

活動3)人材育成 -地域資源の価値を国際的に提供できる人材育成―

生物多様性条約、持続可能な開発目標(SDGs)などの国際条約、国際合意の実施には、地域での取り組み、地域からの声、若者の声がますます重要になってきています。地域における生物多様性や文化多様性の意義を理解し、農林水産業、ツーリズム、飲食業、学校教育、自治体業務などに反映するための人材育成は急務となっています。この中でもOUIKは地域の国際社会への窓口となり、地方と国際社会を直接つなぎ、地域資源の価値に関して国際的にコミュニケーションできる地域人材の育成に貢献します。

石川県金沢泉丘高校の皆さんと「持続可能な開発目標」を地域から考えるワークショプを開催(2015年10月3日)

金沢大学環境技術国際コース環境技術地域研修にて能登の里山里海について講義を行う飯田研究員 (2015年4月)

OUIKの活動ポスターはこちら

About internインターンについて

OUIKでは、 積極的にインターンを受け入れています。
基本的に3ヶ月を最小単位としていますが、まず、OUIKで何を達成したいのか(出来るのか)を相談の上、時期、期間を個別に検討させていただきます。
研究領域は生物多様性関連が主ですが、業務は多岐に渡りますので、様々な学域の方をお待ちしています。
ご興味のある方はunu-iasouik@unu.eduまでご連絡お願いします。学部生の方も受け入れています。

unu-iasouik@unu.edu

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