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第1回アジア生物文化多様性国際会議:アーカイブ

アジア生物文化多様性国際会議開催一周年記念国際フォーラムシリーズ議事録〔電子版〕

2016年10月、石川県七尾市で開催された第1回アジア生物文化多様性国際会議から1年後、石川宣言の実施を推進するため、2回シリーズの国際フォーラムをが開催されました。

 

シリーズ第一回(2017年10月4日)

生物文化多様性とSATOYAMA -自然共生社会を目指す世界各国の取り組みを知る-

 

シリーズ第二回(2017年10月15日)

生物文化多様性を次世代が敬称する為に-東アジアの連携を考える-

 

OUIK 生物文化多様性シリーズ#3「能登の里海ムーブメントー海と暮らす知恵を伝えていく」

2015年度からOUIKが能登GIAHSを構成する市町と開催してきた里海シリーズ講座の内容をまとめたものです。海を利用してきた地域に伝わる知恵、それらを守り、現在の社会環境に合わせて活用していく取組みをまとめています。

第1回アジア生物文化多様性国際会議 分科会・ポスター発表要旨集〔電子版〕

第1回アジア生物文化多様性国際会議 分科会・ポスター発表要旨集〔電子版〕

「持続可能なコミュニティのための生物文化多様性に関わる政策と行動」

ISBN: 978-92-808-4572-3 [電子版]

*注: ISBNと所収ページ数は印刷版と異なります。

生物文化多様性シリーズ#2 白山ユネスコエコパーク ーひとと自然が紡ぐ地域の未来へー

国連大学OUIK生物文化多様性ブックレット#2(WEB版) 『白山ユネスコエコパーク-ひとと自然が紡ぐ地域の未来へ』 (日本語/英語 併記)

石川-金沢 生物文化多様性圏

豊かな自然と文化創造をつなぐ いしかわ金沢モデル 本誌は、「ユネスコ創造都市ネットワーク会議金沢2015」を記念して、国連大学サステイナビリティ高等研究所いしかわ・かなざわオペレーティング・ユニットが主催する、国際シンポジウム「石川-金沢 生物文化多様性圏 豊かな自然と文化創造をつなぐ いしかわ金沢モデル」(2015年5月28日)に合わせて制作されました。 「石川-金沢 生物文化多様性圏」の提唱に至るまでの経緯を振り返るとともに、今後の国内外での議論の展開に資するための論考を収録したものです。

5感を通じて考える生物文化多様性ワークショップがFuture Earth ブログに掲載されました

2018年4月、OUIKはストックホルムレジリエンスセンター、東京大学IR3Sと共同で生物文化多様性ウォーキングワークショップを開催しました。

アジア、南アフリカ、南米、スウェーデン、ハワイなど様々な場所で自然と人間のつながりを研究する参加者が、都市部と農村部を取り巻く様々な外的変化に対し、生物文化多様性資源の役割、現状、保全を、五感を通じて体験しながら議論しました。

「Reinvigorating creative solutions to save people and planet: A walking workshop through biocultural landscapes in western Japan」by Viveca Mellegård, Stockholm Resilience Center 

CBD COP14 (第14回生物多様性締約国会合)で発表

第14回生物多様性締約国会合(COP14)が,2018年11月17日−29日にわたってシャルム・エル・シェイク(エジプト)で開催されました。第13回に引き続き、UNU-IAS OUIKは、Nature and Culture Summit ハイレベルセッションにて、第1回アジア生物文化多様性国際会議で採択された石川宣言の実施進捗を報告しました。

Nature and Culture Summitでは、生物多様性条約事務局とユネスコが共同ですすめcop14-3る生物多様性と文化多様性のつながりプログラムを枠として、先住民族や地域コミュニティが持っている自然を利用する知恵、文化、権利を包括的に守っていこうとする議論が交わされました。

OUIKからは渡辺所長が、石川県、FAOなどと進める石川国際貢献プログラムによる世界農業遺産を軸とした途上国の実践者への能力開発、、アジア生物文化多様性国際会議一周年記念シンポジウムシリーズの開催、金沢における生物文化多様性イニシアティブにより生まれた日本庭園の新しい管理手法などについて発表しました。

各発表者のプレゼンテーション資料はこちらからご覧いただけます。

 

世界農業遺産を軸とした地域発の 国際貢献プログラムの発足

2017年11月20日、石川県、金沢大学、石川県立大学、国連食糧農業機関(FAO)、JICA北陸支そして国連大学サステイナビリティ高等研究所が「いしかわ世界農業遺産国際貢献プログラム」に関する覚書に署名しました。

石川県能登半島9つの市町に広がる「能登の里山里海」は、2011年、先進国で初めて佐渡とともに世界農業遺産(GIAHS: Globally Important Agricultural Heritage Systems)に登録されました。以来、国連大学は石川県、9つの市町、地域の方々とともに様々な取り組みを行ってきました。2013年のGIAHS国際会議では、能登コミュニケにより先進国GIAHSと途上国GIAHSの関係を強化していくことが提案され、石川県は、翌2014年から、能登の里山里海の保全と利活用、地域づくりを研修するプログラムを立ち上げ、これまで、ブータン、インドネシア、ラオスなど6カ国から研修員を受け入れてきました。

今般、この事業を発展させ、能登の里山里海における「持続可能な地域作り」を、途上国からの研修員が現場で学び、またその研修への貢献を通じて能登地域もグローバルな持続可能性の価値に気付ける、双方に学びをもたらすことを狙った国際貢献プログラムが発足しました。プログラムには世界食糧機関(FAO)、JICA北陸支部、金沢大学、石川県立大学、石川県、そして国連大学サステイナビリティ高等研究所が研修実施機関として参加します。

国連大学サステイナビリティ高等研究所OUIKは、これまでのGIAHSにおける研究成果や知見、ネットワークなどにより総合的にプログラムをコーディネートし、GIAHS認定を目指す地域のみならず、持続可能な地域作りを広く途上国のパートナーと共有し、地域間の学びあいを強化していきます。

握手

(左から)仁田JICA北陸支部長、竹本国連大学サステイナビリティ高等研究所長、谷本石川県知事、ボリコFAO駐日連絡事務所長、山崎金沢大学学長、熊谷石川県立大学学長

【国際シンポジウム】新しい都市の未来 -文化、生物多様性、風景の交流

これまで農村部では、人々は地域の気候、地形、生態系に根ざした知恵によって生態系サービスを享受しながら、里山里海のような重層的な自然環境を形成してきました。近年、生活様式の近代化、都市への人口流出、人口高齢化などにより、自然と人間を繋いでいた伝統的な文化が急速に失われつつあります。その一方で、観光資源、精神的豊かさなどを求め里山的環境を求める交流人口の拡大など、人の移動や経済活動と地域の自然と文化は、複雑に相互に影響を与え始めています。

OUIKでは、自然と人間の文化を一体的に捉え、保存、活用しながら持続可能な地域づくりをすすめる「生物文化多様性」というコンセプトを提唱し、2016年10月の第一回アジア生物文化多様性国際会議の開催以来、SATOYAMA イニシアティブ国際パートナーシップ(2017年10月4日)とは自然共生社会の構築への生物文化多様性の貢献、そしてIUCN日本委員会(2017年10月14日)とは生物文化多様性の重要性の次世代への継承、などさまざまなパートナーと多様な角度から議論を重ねてきました。

今回は、東京大学国際高等研究所サスティナビリティ学連携研究機構(IR3S)、ストックホルムレジリエンスセンター(SRC)とともに生物文化多様性の視点から金沢市周辺の中山間地、金沢市街地の景観の移り変わりを人の動きを軸に考える国際会議を開催いたします。今回、海外からの有識者20人あまりが金沢周辺の里山景観と人の営みや動きとの関係を考えるwalking workshop という企画を東原集落にお邪魔して開催します。金沢周辺の中山間地域の生物文化多様性と人々の暮らしのつながりが、どのように海外の研究者には映るのでしょうか。そういった視点もご紹介しながら、金沢、国内、および海外の様々な事例をもとに、人の移動と生物文化多様性の関係から新しい都市の未来について話し合います。お申し込みはページ下のボタンより登録をお願いします。

主催東京大学国際高等研究所サスティナビリティ学連携研究機構(IR3S)ストックホルムレジリエンスセンター(SRC)、国連大学サステイナビリティ高等研究所いしかわ・かなざわオペレーティング・ユニット(UNU-IAS OUIK)

後援:金沢市

言語:日英同時通訳

プログラム

14:00 – 14:10 主催者挨拶 東京大学国際高等研究所サスティナビリティ学連携研究機構 教授 福士謙介

14:10 – 14:15 開会挨拶 金沢市環境局長

14:15 – 14:30 基調講演1「自然や文化と調和した持続可能でレジリエントな社会を創る」 東京大学国際高等研究所サスティナビリティ学連携研究機構 機構長・特任教授 武内和彦

14:30 – 14:45 基調講演2 「人の流れと持続可能な発展・平和のための生物文化的視点」ストックホルムレジリエンスセンター (SRC)教授 トーマス・エルクインスト

14:45-15:00 基調講演3 「金沢を取り巻く生物文化多様性」 石川県立大学生物資源環境学部教授 柳井清冶 

15:00 – 15:20 休憩

15:20 – 16:50 事例発表とパネルディスカッション

モデレーター:渡辺綱男(UNU-IAS OUIK所長)

パネリスト:中野真理子 自然史資料館副館長 「金沢城公園の自然の移り変わり」

Juan Pastor Ivars (UNU-IAS OUIK) 「生物文化多様性による新しいコモンズの創出」

マリア・テンゴ (ストックホルムレジリエンスセンター 博士)

ミッシェル・コックス (ロード大学 文化人類学博士)

 ヘザー・マクミラン(米国林野局 博士)

17:00 閉会

 

【開催報告】国際フォーラムシリーズ 第2回 「生物文化多様性を次世代が継承するためにー東アジアの連携を考える」

アジア生物文化多様性国際会議開催1周年を記念した国際フォーラムシリーズ第2回を、国際自然保護連合日本委員会と共催し、生物文化多様性をどのように次世代へ受け継いでいくか、日中韓のユース参加者とともに考えました。

吉田正人氏(筑波大学 教授)による基調講演では、自然と文化の相互関係について、国際的な動きを含めて、お話を頂きました。

DSC_3443第1部では、日本、中国、韓国の生物文化多様性の事例が紹介されました。まず、UNU-IAS OUIK の飯田義彦研究員が、石川県の生物文化多様性に関する取組と課題について述べた後、地域主体の生物文化多様性保全に向けた「多様性」アプローチの重要性を指摘しました。官秀玲氏(中国林学会 国際部ディレクター)からは、中国のオーク林管理の事例に関わる発表がありました。ホン・スンキ氏(モクポ大学島嶼文化研究所 教授)は、韓国の事例を取り上げながら、持続可能な発展のために、島嶼の生物文化多様性グローバルイニシアチブの必要性を唱えました。第1部の最後では、安藤よしの氏(ラムサール・ネットワーク日本共同代表)から、田んぼの生物多様性を向上するための活動(田んぼ10年プロジェクト)について紹介がありました。第1部の質疑応答では、森林の管理・保全方法、U字溝や除草剤の使用と田んぼの生物多様性の保護、個々の学びの「繋がり」の構築、自然と生活の両立、生物文化多様性と地域の活性化、法制度の問題など、会場から様々な質問が挙がり、日中韓の様々な視点から議論されました。

IUCN_Nproject第2部の質疑応答では、まず、第一次産業が若者にとって魅力的なものになるにはどうあるべきか、ユースの皆さんから意見を頂きました。十分な対価を得られる制度の必要性や社会的ステータスの向上のほかに、自分が食べているものや使っているものがどこから来たかなど、身近なことを知ることが考えるきっかけとなるという意見も出されました。また、次世代に自然と文化を引き継いでいくための若者の繋がりを点から面へ発展させていくための活動をどのように展開していくことができるのか等についても議論されました。

最後に、堀江正彦氏(IUCN理事、外務省参与・大使)の総括の中で、若者が既に行っている心強い活動を広げていくことの大切さ、生物文化多様性の認知度を高め、主流化していくことの大切さ、国際社会が結束し、協調することの大切さについて言及されました。

今回のフォーラムの開催に先立ちIUCN及びOUIKの共催で能登の日帰りフィールドツアーが開催され、日本、中国、韓国の会員31名が参加しました。

一向はまず輪島市三井町のまるやま組を訪れ、活動主体となっている建築家の萩野紀一郎氏とデザイナーの萩野由紀氏、金沢大学の伊藤浩二氏から、地域の伝統や文化と生物多様性の繋がりを守り、次世代に継承していくための様々な取組について話を伺いました。

DSC_3230萩野紀一郎氏からはお二人が能登に住むことになった経緯や活動内容などについて紹介がありました。そして、萩野由紀氏からは地域の伝統行事であるアエノコトを生物多様性に感謝する行事として独自にアレンジし、多様な参加者と共に毎年実施していることや、地域の知恵や文化、生物多様性をまとめた歳時記などの冊子や教材を自ら作成していることが紹介されました。伊藤氏からは、まるやま組の活動が始まるきっかけとなった金沢大学の人材育成プログラムやまるやま組で毎月実施されている植物モニタリングの取組について紹介がありました。

DSC_3259参加者は、一般の参加者や子どもたちにメッセージを伝えるための創意工夫に富んだプログラムや教材に感心し、手作りの人形や冊子を実際に手に取りながら熱心に質問をしていました。その後、まるやま組のフィールドを歩き、活動場所について説明を受けました。視察後には、まるやま組のような取組をぜひ自国でも始めたいという声が参加者から聞こえてきました。

次に、白米千枚田を訪問し、OUIK永井三岐子氏よりこの場所に棚田が作られた経緯や棚田景観を守るために実施されているオーナー制度のしくみなどについて説明を受けました。その後千枚田を散策し、参加者は海辺の美しい棚田の景観を存分に楽しみました。

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