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【開催報告】SDGsダイアローグ第6回 市民発電所見学バスツアー

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2011年に起こった東日本大震災と福島第一原子力発電所の事故により、再生可能エネルギーへの国民の関心が高まっています。クリーンで安全ということはもちろん、エネルギーを地産地消できるという面からも注目され、持続可能な発展をしていくためにも重要なもののひとつと位置づけられています。
_DSC8158SDGsダイアローグシリーズ 第6回は、SDGsのゴール7、ゴール13を学ぶ企画として、市民風力発電所と市民太陽光発電所、そして木質バイオマスを活用した温浴施設を見学するバスツアーを実施しました。
地域に密着して環境にやさしい社会の実現をめざす「合同会社 金沢市民発電所」と、その母体で地域のエネルギーに着目して再生可能エネルギー普及をめざす「NPO法人 市民環境プロジェクト」が主催し、国連大学サステイナビリティ高等研究所 いしかわ・かなざわオペレーティング・ユニット(国連大学IAS-OUIK)が共催しました。
有料にもかかわらず、募集開始早々に満員御礼となり、地域のエネルギー問題への関心の高さを実感しました。

里山が抱える問題とエネルギー問題の2つを解決

松永日出男さん

松永日出男さん

まず、最初に訪れたのが、野々市市御経塚にある公衆浴場施設「ぽかぽか御経塚の湯」。ここは温水熱源を化石燃料から木質バイオマスに変更し、地球にやさしい公衆浴場として営業しています。
荒廃竹林や侵入竹は金沢市内の里山でも問題となっていますが、竹バイオマスを資源として熱利用する「木質バイオマス熱事業可能性調査」を金沢市民発電所は金沢森林組合から委託され、その実証実験をこの公衆浴場の協力を得て行ってきました。
その結果、竹チップを建築廃材などの木質チップと混ぜて燃やすことで、重油などの代替え燃料として可能であることを確認でき、平成30年には事業化に向けて、給油システムの燃焼自動制御を開発し、他の事業者への水平展開を目指しています。

チップをボイラーへ送るコンベア

チップをボイラーへ送るコンベア

さらに、公衆浴場が安価な熱をスポーツ施設や戸建て住宅などに供給する「分散型エネルギーシステム」の導入も御経塚地区で進めているそうです。
ぽかぽか御経塚の湯を経営する松永日出男さんからは、自社で開発した大人気のアイスキャンディ「金沢五彩 ICE POP」を参加者にプレゼントしてくださり、地元産のフルーツや野菜を丸ごと使った上品で見た目も美しいアイスキャンディに、皆さん目を細めていました。

金沢五彩 ICE POP

金沢五彩 ICE POP

真剣な議論が続く

真剣な議論が続く


災害時、地域住民の頼りになる発電所

施設の説明をする市民発電所の蔵谷清元さん

施設の説明をする市民発電所の蔵谷清元さん

続いて訪れたのが、かほく市の新興住宅地に2016年に誕生した金沢市民発電所グループの4号機「かほく市民発電所」です。地元の人たちからの要望を受けて初めて作った野立て太陽光発電所で、最近の主流であるパネルの過積載方式(パワコン出力は低圧系統連系の上限50kwながら積載パネルを70kwとして実効的に50kwを超える発電容量目指す方式)を採用。全量電力会社に売電し、15年の返済を計画しています。
住宅に隣接した暗い藪を切り拓き、パネルを支える架台を木製の家屋型にして景観に配慮したデザインは地域住民に好評。災害時には地域の電力供給を可能にして災害支援を行う地域連携協定も結んでいます。

かほく市民発電所

かほく市民発電所

また、発電量やパネルの温度などを測定し遠隔監視する装置も自社で開発し、さらになるべく消費電力を抑えて遠距離通信を実現する通信方式(LPWA)の実証実験も行っています。
出資者には配当を現金か地元農産物でも行うという発想もユニークです。地域に根差した市民発電所のモデルケースとしてますます注目されていくと思います。

木製の架台

木製の架台

奥に宝達山を望む眺めの居場所にある

奥に宝達山を望む眺めの居場所にある


 間近に見る機会が少ない巨大な風車に大興奮

最後に訪れたのが、輪島市門前の山の中にある「のとりん」。2010年に市民環境プロジェクトが建設した全国で12番目という市民風車で、建設費5億3000万円のうち、約3億円を405人の市民出資でまかなったそうです。ハブ高68.7m、ローターの直径は82m、発電容量1,980kwという大きさで、約1,000所帯分の電力を生み出しています。
風車を近くで見るという機会はめったにありませんが、今回はタワーの中にまで入れてもらい、大変貴重な体験をすることができました。

近づくと巨大さが分かる「のとりん」

近づくと巨大さが分かる「のとりん」

金沢市民発電所の永原伸一郎さん

金沢市民発電所の永原伸一郎さん

唯一の心残りだったのは、無風でプロペラは止まっていたこと。しかし、説明を聞き終えて少し離れたバスに戻って振り返ると、プロペラが回り始めていました。できれば真下にいたときに回っているプロペラを見てみたかったのですが、それでもわずかな風で勢いよく回るプロペラを近くで見ることができたのはラッキーでした。

金沢市民発電所の代表社員・永原伸一郎さんに聞くと、のとりんの収益から、門前町のお祭りやスポーツ大会も支援しているとのことで、風車がそのような能登の文化振興につながっていく存在になっていることに期待する参加者の声もありました。

タワー内部を見上げた様子

タワー内部を見上げた様子

バスに戻ると勢いよく回りだした「のとりん」

バスに戻ると勢いよく回りだした「のとりん」


總持寺祖院では精進料理に舌鼓

「のとりん」の見学後、曹洞宗大本山の總持寺祖院に立ち寄り、雲水(修行僧)が里山から採取してきた素材を使い、禅の心に通じる本格的な精進料理をいただき、その後、院内を案内付きで見学することもでき、ちょっとした旅行気分も味わうことができました。

能登半島地震の修復糀が続く總持寺祖院

能登半島地震の修復糀が続く總持寺祖院

總持寺祖院の精進料理は参加者にも好評だった

總持寺祖院の精進料理は参加者にも好評だった


またやってほしいという声が多かった

10代の高校生から80代まで、さまざまな方が参加してくださった今回のバスツアー。エネルギー問題について意識の高い皆さんは、見学先やバスの車中でも熱心に議論を重ねていました。帰りの車中で感想を伺うと、「駆け足過ぎたのでもっとゆっくり回りたかった」とか「採算性のこととかもっと詳しく聞きたかった」、中には「ぽかぽか湯のお風呂にも入りたかった」という意見もありましたが、風車や太陽光発電所、木質バイオマスを活用している現場を実際に見て、身近なこととして改めて見つめ直すことができたことに皆さん喜び、機会があればぜひまた参加したいという声が大半でした。

エネルギーや気候変動の問題は、身近なところからも解決できるプリント

SDGsのゴール7「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」や、ゴール13「気候変動に具体的な対策を」は、ひとり一人が考えるには大きすぎる問題だと思われるかもしれませんが、今回のバスツアーでは、市民や中小企業が力を集め、再生可能エネルギーを普及させることが現実になるということを実感できたことでしょう。首が痛くなるほど高い「のとりん」を見上げ、これを市民の力で作ったことに大いなる感動を受けたバスツアーでした。

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